三好昇は理解者でありたい   作:Feldelt

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超がつくほど久々の更新!
緋月昇の受難は続くよどこまでも。


第3話 終わらぬ戦い

「……本当に見つかったんですか?」

 

依頼主、雨宮瑠菜の声はあからさまに動揺している。見つかるはずなんてないと。嘘だとわかってこう言っている。

 

「嘘を言う理由がないですよ。今から言う場所に来てください。」

「いいえ嘘です。見つかるわけがないんですから。それに……」

「それに……おおかた今目的を達成しようとしているのにみすみすそのチャンスを逃してたまるか、と言ったところかな。」

「ッ……!あなた、どこまでわかって……」

「さて、どこまででしょう。残念ながら、嘘つきには教えられませんね。」

 

夏凜の場所はわかった。おそらく園子もそこにいる。

 

「ッ……!」

「切ったか……もう遅いんだけどなぁ。」

「ちょ、緋月、アンタなんで見つかってないのにそんなこと……!」

「向こうも嘘だってわかってます。わかっててこの依頼をふっかけてきたということです。つまり、目的は別にある……その目的は、大赦のトップである乃木園子の暗殺……さすがにそこまでやるかはわからないですが、彼女の父親は大赦を襲撃した武装組織の一員だった。辻褄は合う……」

 

骨折偽装のギプスを外し、義手のアンカーユニットを装備する。

 

「ちょっと行ってきます。」

「ちょっとって、そんな距離じゃないでしょ!?」

「そんな遠くないですよ。部室に戻っといてください。それじゃ!」

 

アンカーを出し、空中を駆ける。電話の時に聞こえた周りの生活音から察するに、あっちか。最速10分。間に合ってくれよ……

 

 


 

 

「……どうしたの?昇の奴が変な事言った?」

「……はい。」

「……悪いわね。あいつはあまりにも物事を察する能力が高くって、知られたくないこととかも平気でずけずけと言ってくるもんだからたまったものじゃないわよ。まぁ、その人間離れしたその力で何回も助けられたのは事実だけど……」

 

緋月昇が電話を切った直後、依頼主雨宮瑠菜と三好夏凜は丸亀城公園でやりとりしていた。乃木園子は公開されている丸亀城天守閣から周りを見て探してみるということでここにはいない。

 

「名前、言ってないのに……なんでわかったんでしょう。見せたのはお父さんの写真だけ……それこそ、大赦じゃない限りはわかるはずない……!」

 

神樹様が去ったこの時代、大赦はただの行政機関として存在している。確かに行政なら名前もわかるけど……

 

「匿名って言ってるのになんで調べちゃうのよ……あいつは大赦のそこそこ重要な職に就いてるわ。職権乱用じゃない、あとできつーくお仕置きしておくわ。その、本当に申し訳ないわ。」

「いえ……読みが甘かったこっちの落ち度です。……園子さんのほうに行ってきますね。」

「わかったわ、こっちはまだ探しておくけど……」

「もう、大丈夫です。」

「え?大丈夫ってどういうこと!?」

 

駆け足で依頼主は去っていく。どういうこと……?というか、昇が大赦って聞いた瞬間、表情が変わったような……

 

「昇じゃないけど……何かひっかかるわね。」

「……それは当たっているぞ。夏凜。」

「昇っ!?」

 

ちょっと考え始めたらさっきまで友奈と風のところにいたはずの昇がもうここにいた。義手を使っているってことは……緊急事態ね。

 

「依頼主は?」

「え?園子の所に行ったわ。天守閣よ。」

「了解。すぐ行く。」

「ちょ、待ちなさい昇!いったいなんであの子の名前を知ってるのよ!」

「あとで答える!」

「っ……血相抱えてたわね……何が起きてるの……?」

 

 


 

 

「乃木、園子さん。」

「ん~?どうしたの~?」

 

気取られてるから早く済ませなきゃ。邪魔が入る前に早く……!

 

「息が上がってるよ~?階段を急いで上がってきたのかなぁ~」

「そんなところ、です。」

 

誰かが来るような足音は聞こえない、今しかない……!

 

「……ひとつ、いいですか。」

「いいよ~、なにかな~?」

 

彼女は目を見開く。私が持つ包丁に気づいて。

 

「大赦は、もういらない……!」

「っ……!」

 

真っ直ぐぶつかるように進んで、手ごたえを感じる。手に生ぬるい液体の感覚もする。

 

「……間に合ったか……」

「の、ぼ、るん?」

 

でも、私が刺したのは乃木園子じゃなかった。どこからともなくやってきた男の脇腹。

 

「せぇぇぇやぁぁぁぁッ!」

 

違うとわかった瞬間と急な衝撃で意識が飛んだのは同じタイミングだった。

 

 


 

 

乃木園子暗殺計画は未遂で済まされた。公安部の仕事としてはいい方だろう。園子を危険にさらしたという時点ではマイナス評価だが……

 

「園子、大丈夫か?」

「私は、だいじょうぶ、でものぼるんが……!」

「救急車を呼んでくれ、俺はもう立ってるので精いっぱいだ、でも急所は幸い外れてるな、てことは……」

「しゃべらないで横になって!今呼んだから!」

「そうか、なら……ぐぅっ……!」

 

刺さった包丁を抜き、倒れる。

 

「圧迫止血、頼む……」

「う、うん!だから、だから、お願いだから、のぼるん!死なないで!」

 

朦朧とする意識、涙でぐしゃぐしゃな園子の顔。おいおいそんな顔するなよ。やめてくれよ……遠くからサイレンが聞こえてきた。でも、近づいているはずなのに、音が、遠いなぁ……

 

「のぼるん?ねぇ、のぼるん!のぼるん!」

「何よ、これ……」

 

その日、緋月昇は……

 

 

 

 

 




死んでません、多分。

次回、第4話「緋月昇以外の憂鬱」

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