三好昇は理解者でありたい   作:Feldelt

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第3話 白く冷たい世界の中に

辞令交付から一週間後、緋月昇は苫小牧に上陸していた。

 

「先輩...ここ寒くないですか!?」

「説明しただろうが...なんでついてきたんだよ、楓花。」

 

何故か、陽本楓花もついてきて。

 

「だって、先輩がいないと書史部の仕事量に耐えられないです!」

「そんなことはないだろ!何のための晴信さんだよ!あの三好晴信さんだぞ!?...楓花がいなくてもなんとかなるか...」

「それはナチュラルにひどいです...」

「めんどくさいこって...さて、とりあえず物資だが...そこの電車に乗せればよさそうだ。見た感じシステムは動いてるし...って、あれは...」

 

電車の運転席。見覚えのある銀髪。

かつて防人だった少女。

 

「山伏しずく...よし、楓花!」

「はい!」

「いい返事だ、持ってきた物資の確認と列車への積載指示、頼むぞ。」

「私がですか!?」

「俺がなんでもするわけにはいかないのさ、ここからは。」

「...わかりました、これをそっちに積載します!」

 

楓花の号令で積載が始まる。

俺は運転席に向かうことにした。

 

「ん、緋月。楠が言ってた通りだ。」

「さすがは元防人隊隊長...わかってたのか。」

「いまの緋月はいろいろ持ってる、楠はそれを待ってる。」

「だからこの腕の機能...なるほど芽吹の要望か。」

 

園子のごり押しで作った機能ということは知らされていたが...てことは園子はこのことを知っていたんだな。相変わらず読めんな。

 

「先輩、積載完了しました。」

「早いな...」

「なんかみんな張り切っていまして...」

 

まぁ楓花は夏凜や園子と同様普通に美少女だからな...積載班には癒しだろうて。

 

「おっけ、それじゃあしずく、現場まで頼む。楓花は少し休んでてくれ。」

「はい。」

「積載班の総員撤収を確認...よし。しずく、現場まで頼む。」

「わかった。それじゃあぶっ飛ばしていくぜ!」

 

シズクに変わり運転を始める。このスキルはどこで手に入れたのだろう。

 

「先輩...なんかあの人性格変わってません...!?」

「あぁ、シズクだからな。長旅になりそうか?」

「そうならねぇよう、全速力で向かってんだよ。しっかし、まさか楠がこんなのの動かし方を知っていたとはな...」

「先頭指揮を執る以上現場からは離れられない。だから、一番飲み込みが早いであろうシズクに任せたのか。」

「よく見てやがる。俺が間違えてもしずくがいる。しずくが間違えても俺がいる。そうしてここにいるってわけだ。」

「さすがは楠芽吹、か。それで楓花、質問の答えだが、山伏しずくと山伏シズク、彼女たちは二人で一人。二重人格というやつだ。」

「そう、なんですか...」

 

さすがは俺の後輩、情報から推察されることを膨らませている。

俺みたいにはなってほしくないが、その力は持っていたほうがいい。

 

「さて、夕飯どうするかね...」

「おいおい冗談だろ、確かに食料はこの列車にはあるが調理場とか包丁とか鍋とかそこらへんどうするんだよ...まさか作るとか言わないよな...」

「包丁は自分のがあるし、調理場はがれき積み重ねるくらいでもすぐできる。というかそこらへんのノウハウは芽吹が持ってるはずだ。で、鍋だが...シズク、今現場にいるのは何人だ?」

「お前ら合わせて34人だ。」

「40人用の大型鍋をひとつ紛れ込ませてある。毎回は作れなくてもあったかいものは作れるさ。」

「先輩の料理はおいしいですからね。」

「そりゃどうも。さて、俺も少し休む。そこそこ長旅だったしな。」

「まさか先輩あの船の中で寝てないんですか?」

「起きてるに決まってんだろ...夏凜が横にいないのに寝られるか...」

「そういう問題なんですか...」

 

それは死活問題なんだ。

三好夏凜が隣にいるかいないかで眠れるかどうかは9割決まるんだ...!

 

「だからしばらく徹夜テンションかもしれない...楓花、俺がおかしくなったら殴るか叩くかしてくれ。」

「えぇ...」

「そこは俺に任せろ。」

 

うげぇ、絶対痛いだろうなぁ...

そう思って俺はまどろみの中へ落ちていった。

 

 

 

 




次回、第4話「銀世界と銀と世界」

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