三好昇は理解者でありたい   作:Feldelt

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第6話 雪と花と木と

「なーるほど、わかりやすい説明だねぇ」

 

秋原雪花と名乗った少女はそう言いながらもまだ少し困惑の色を残している。

無理もない。ある日を境に外は三世紀分の年月が流れていましたと言われたら誰だって困惑する。

 

「我ながら、トンデモなことを話してるとは思ってるけどな...さてでは次の話としてだが、俺は地上に出て仲間と合流しなければならない。そこでだ。ものは相談なのだが雪花。」

「ここにある食料とか物資とかと一緒に私もその調査隊とやらに合流しないかっていう勧誘かにゃ?」

「話が早くて助かるよ。」

「そうだねぇ...どのみちここにある食料も尽きるし、バーテックスが残ってないという確証がある以上、私がここに居続ける理由はないかな。」

「おーらい。そうと決まれば荷物をまとめたいところだが...」

「まだ結構な量あるからねー。二人じゃ運べないよ。」

「だよな...雪花、じゃあ出口はどこだ?」

「そこの扉を開けた先だよ。けどまだ雪で埋まってるんじゃないのかな」

 

さすが雪国、か。

アンカーユニットを切り離していなければワンチャンあったが今ここにあるのはライトユニットと電磁石ユニットだけ...なるほど電磁石か。

 

「雪花、鉄製のなにか大きいもの、あるか?」

「鉄...?えっと、ここにシャベルと掘ってる途中見つけたパイプはあるけど...」

「おっけ、それちょうだい。」

 

雪花から鉄パイプを受け取り、電磁石ユニットにつける。

 

「うっそそれ電磁石なの!?まさかそれで雪の壁を...」

「あぁ、ぶち破る。」

「それ大丈夫なの!?」

「こればかりはやってみなくてはわからん...」

 

義手+電磁石ユニット+ライトユニット+鉄パイプというかなりの重量の右腕を引きずり、出口と言われた扉の向こうの雪の壁を見やる。

 

「んー...雪というよりかはむしろ氷といったほうがいいかもしれんな...まぁそこであきらめるわけにもいかないんですけど...ね!」

 

腕を思いっきり振りかぶってパイプを雪の壁にぶつける。

結果は鈍く反響する音と金属同士が擦れた気持ちの悪い感触だけ。

おまけに腕がしびれた。

 

「冗談ではない...」

「ほれほれふつーにシャベル使って掘っていけばいいでしょ...君身長高めだから上から掘ってってねー。ここまできて小規模とはいえ雪崩に巻き込まれるのはごめんだよ。」

「おう...」

 

電磁石をオフにしてパイプをおろし、左手にシャベルをもって雪の壁を崩しにかかる。

 

「あれ、ここだけ雪が薄い...!」

 

が、運がいいことに上の方を一突きしただけで外が見えた。

それだけではない。

 

「ああー!緋月さん!メブー!緋月さんみつけたよー!」

 

なんと加賀城雀に発見された。

 

「とんとん拍子とはこのことなのか...」

 

しかし加賀城雀における異常なまでの生存本能を知っていればなるほどとも思う。その生存への力は軽く予知と言っても過言ではない。

もっとも、それは本人にとって意図した予知ではないのだが...今回はそれで助かったというわけだ。

 

「でかしたわ、雀!」

 

外は雪の反射であまりにも眩しく目がくらむのだが、雀や芽吹の周りを見ると一直線にここに来ていることがわかる。

 

「災害救助犬顔負けの捜索能力だねぇ、これは...」

「えぇ!?メブー!緋月さん以外にもう1人いたよー!」

「なんですって!?」

 

瓢箪から駒と言うべきか棚から牡丹餅というべきか、それとも怪我の功名か。秋原雪花の発見は、調査隊にとって大きな収穫であった。

 

「読み通りとは恐れいったわ、昇君。けど、二度とあんなことはしないように。」

「あぁしなかったら3人とも巻き込まれてただろうが...それより他のメンバーは?」

「別方向であなたを探してるわ。雀がいきなりこっち方面に移動し始めるからもしかしたら、って思ったら案の定、というわけ。」

「へー、そりゃすっごい。」

 

加賀城雀への信頼か。

楠芽吹は丸くなった。

 

「あ、そうだ。しずくをはじめとした全調査隊員からの伝言よ。」

「なんだ。」

「味噌汁、また作りなさい。」

 

今度は35人分か。やれやれ。

 




次回、第7話「白のベールは剥がれて」

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