機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ~戦乙女と血と海と~   作:Seacool

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#5 悪魔の目覚め

 

 

大和サイド

「えっと、どういうことですか!?」

大和は自分の艤装がある格納庫に走っている途中、追いついてきた三日月から言われた一言に驚いた。

「だからバルバトスを動かすんだよ」

「いや、そんな体で大丈夫なんですか」

大和が心配していたのはバルバトスの方ではなく三日月の体の方だ。

なにせ3時間前まで日が照り付ける砂浜で倒れていたのだ。今はなんともなさそうだが、

さっき目覚め、大和が作った大量の料理を食べたばかりだ。

そんな状態で戦えば、胃の中のものすべて吐き出すか、最悪の場合命に係わる。

「大丈夫」

と三日月は言う。この人の「大丈夫」は言われると、納得するだけの「何か」を感じるが

やはり心配なものは心配だ。

「じゃあ行ってくる」

「ああ、ちょっと三日月さん!」

大和が言い終わる前にはもう三日月は正門に向かって走っていった。

(3時間前まで意識がなかったのに 今はもう走れるぐらいに回復しているなんて…すごい生命力…)

と考えていると、後ろから声をかけられる。

「大和!いそげよ」

「大和さん、急ぎましょう!」

声をかけられた方を見るとふたりの少女が立っていた。

一人は黒に緑がかかった髪の毛をうなじが少し隠れるくらいにまで伸ばし、右目に眼帯をかけている

もう一人はダークブラウンの髪の毛をポニーテールに纏め、頭にペンネントを巻いていた。

「木曾さん!、秋月さん!」

と二人の少女の名を言った。彼女たち二人も大和と同じ艦娘だ。

木曾は球磨型軽重洋艦5番艦で、最近まで軽巡洋艦だったがこの前改装し改二になったため、めでたく重雷装巡洋艦になった。

秋月は秋月型防空駆逐艦1番艦であり、その名の通り防空、つまり対空能力が非常に高く、

艦隊防空に特化しており、戦場では艦隊の空を守っている。

「おう!急ごうぜ!」

「ええ、秋月さん状況を」

「はい」

三人は格納庫まで走りながら状況を把握していた。

秋月によれば敵、深海棲艦がこの鎮守府付近の海域に配置してある、ソノブイに反応があったらしい。規模は中規模だがそのなかに、

「戦艦レ級ですか」

「はい、確かです」

戦艦レ級…鬼・姫級を除けば深海棲艦なかでもトップクラスの戦闘力の深海棲艦

戦艦に種別されているが、空母並みの艦載機運用能力を持ち、戦艦でありながら制空権争いにまで首を突っ込んでくるというとてつもない艦である。

艦隊の中に一隻いるだけでも、その危険性を跳ね上げる恐ろしい敵である。しかし

「まあ、戦艦レ級とは言え注意して戦えばどうにかなるからいいけどな」

木曾が余裕そうに言った。

「油断だけはしないでくださいね」

それに対し、大和は釘を刺す。

彼女たちはまるで「いつも通り」という感じで話していた。

その理由は彼女らは何回かレ級と遭遇しており、しかも初遭遇以外はすべて撃沈させるというとんでもない戦果を挙げているからだ。

そのためか戦力的に不足が全くないため、この鎮守府には新しい艦娘が配属される可能性が低いという結果を招いているが…

「でもこんな近くにでるなんて…」

「確かにな…今まで遭遇したのだって敵の支配地域か、占拠してる基地周辺ぐらいだったはずだぜ」

秋月と木曾は今の状況に疑問を抱いた。

戦艦レ級は強力な反面、敵にとっても切り札的存在のようで、重要な海域か基地の防衛艦隊にいることが多い。

その戦艦レ級を前線に、しかも一鎮守府を襲いに来るということは実戦経験豊富な彼女たちでも経験がなかった。

「気になるところですが、今は考えるよりも先に敵を倒すことに集中しましょう」

大和は二人に声をかけ、意識を考えることよりも目の前の問題に向かせた。

そしてもう目の前に格納庫が見えてきた。

「さあ二人とも、出撃ですよ!」

「「了解!!」」

三人は格納庫の中に走っていった。

 

三日月サイド

「たしか200mって言ってたっけ?でも」

「メートルってなんだ?」

と言いながら三日月は大和に言われた通り正門を出て右に曲がり砂浜に出た。

砂浜を歩きながら三日月は別の世界 彼がもといた世界のことを考え始めた。

彼の故郷の火星はストリートチルドレンが多く、かつての三日月もそのなかに含まれていた。だが

(オルガがいたから俺は生きていけた)

オルガ オルガ・イツカ そう三日月にとって命の恩人であり精神面の心の支えでもあった存在

三日月にとっては兄弟以上の関係だった。だが

(…オルガはもう、いない)

そう、オルガは鉄華団の仲間を地球に逃がすため クーデリアが働いてるアドモス商会に行き、地球にいる蒔苗のおじさんに頼み 地球に行く手立てもたってこれからというときに殺されたらしい。ライドが撃たれそうになって自ら盾になったという。

(…)

いろいろなことがあった 地球への旅 テイワズの後ろ盾ができたり 

エドモントンでは紫色のグレイズとの戦闘したり あの鳥みたいなのも倒した

周りはいろいろ変わった 変わらずにはいられなかった。でも、

(オルガは変わらなかった)

そう 鉄華団は大きく変わった。けど、オルガはいつものオルガだった

仲間に道をつくりそして導いた。そして仲間のためなら命を張る覚悟がある

そしてここまで考えて三日月は、

(俺は…オルガみたいになりたっかったのかな…)

その考えが浮かび上がったとき、それはあった。

それは三日月と、鉄華団とともに戦い、傷ついても直してきた相棒

彼の愛機、ガンダムバルバトスだった。だが

「あれ、この姿」

三日月は疑問におもった。

「最初、俺が見た姿、いや、テイワズに直してもらった時の?」

そう考えるのはしょうがなかった。そこにあったのはあのモビルアーマーを倒して得たパーツで修理したガンダムバルバトスルプスレクスではなく 第4形態 地球への旅をしていた時の姿だった

(なんでだ?)

と思ったが三日月は考えるのをやめ、バルバトスに近づきコックピットに入ろうとするが

「あ」

バルバトスは今、うつ伏せだった。そしてコックピットのハッチは胸部。つまり

「…掘るか」

そう言いながら、近くに掘れるものがないか探し、ちょうど砂浜に漂流していたスコップを見つけた。それを使い三日月はうつ伏せのバルバトスのコックピットの周りを掘り始めた。

そしてコックピット辺りの砂が無くなったらスコップを砂浜に刺し、コックピットハッチを開けた。

そして乗り込もうとしたとき、

「三日月君!」

後ろから自分の名前を呼ばれ、振り返ると、

「はぁ…はぁ…」

さっき自分を治療してくれた山本が立っていた。ずいぶん息を荒げている。

どうやら全力で走ってきたらしい。

「どうしたの?山本?」

「三日月君、君一体何する気だい」

「敵がくるんでしょ、だったら俺も行くよ」

三日月はコックピットの中を見ながら言った。見知ったいつもコックピットだ。

計器類やレバー そして、阿頼耶識システムの接続機器に破損はなかった。

「いやだからな、君h」

「大和も出るんでしょ」

「あ、ああ…ってそうじゃなくてだなー」

「大和には助けてもらったし めちゃくちゃうまい飯も食べさせてくれたし、その恩返し」

と三日月は言いながらコックピットに入り座席に座った。そして服を脱ぎ上半身裸になると阿頼耶識のフラグを機体側の接続機器に接続する。

「う、」

一瞬ショックがくるが特に問題もなかった。三日月はバルバトスを起動させようとしたとき、山本がコックピットを覗いてきた。

「そうつなぐのか 阿頼耶識とやらは」

気味悪そうに三日月の阿頼耶識を見る

「うん、入れるとき一瞬ショックがあるけどね」

「見ためは痛そうなだが、そういうものなのか…」

そして三日月はバルバトスを起動させた。その瞬間、悪魔の心臓となる二つのエイハブ・リアクターが唸りをあげ始めた。

「!?」

山本はその音に驚いていた。山本が知る動力炉でこんな音を出すものはなかったからだ。

「三日月君 本当に行くのかい」

「うん」

「…悪いことは言わない 行くのはやめた方がいい」

「なんで?」

三日月は山本の方を向くとその顔にはくやしさと怒りが混じったものだった

「奴ら 深海棲艦は艦娘しか対抗できないんだ」

「? どうして?」

「奴らは海上を高速で動く癖に火力は軍艦レベルの化け物なんだ。船の艦隊がまったく意味をなさずにやられていったんだ。」

「…」

三日月は黙って聞いていた

「だから艦娘が生まれた。深海棲艦並みの速度で動け、深海棲艦を倒せるだけの火力を持った。でもそれを見た海軍の船乗りたちはみんな泣いていたよ。自分たちの力のなさにな」

山本の顔は悲壮感ただようものだった。

「だから三日月にもその気持ちを味わってほしくないんだ。わかるかい」

「…なんとなくだけど、わかるよ」

三日月にもなんとなくだがわかった。

「ならすぐコックピットからでt」

「でも、力がないからってあきらめる気にはなれないよ」

「!…」

と三日月は答えた。それを聞いた山本は顔を下に垂らす。

「山本」

三日月は無言のままの山本の名を呼ぶ。

「大丈夫」

三日月はそう言うとコックピットハッチを閉めた そしてバルバトスを立たせた。

山本も顔を上げ、18mはあるその巨体の頭を見た。

「あ、そういえば」

武器がなかった。辺りを見渡すが武器になりそうなものは…

「うん?いいのあるじゃん」

というと三日月はバルバトスを歩かせた。その大きさながらもスムーズな動きに

唖然するしかない山本を横目にして。

それは大きな柱だった。恐らく建物の支柱か何かだったものだ

それにはコンクリートなどがこびりついて、持ち手のように鉄骨が露出していた。それをバルバトスは軽々と持ち上げた。かつて持っていた武装 メイス のように。

「三日月君、本当に行くんだね!」

山本の声をバルバトスの外部マイクが拾う。

「うん」

「はあー…わかった…じゃあ、一つ」

「なに」

「助けてくれた大和の為にもちゃんと生きて戻ってこい」

「!!…わかった」

戻る場所 オルガは俺たちに戻る場所はないって言ってたけど、ここの人たちは俺に戻る場所をくれるのか?

そう考えていると、海の方から爆発音が聞こえた。

「戦闘が始まったか」

「じゃあ行ってくる」

「ああ、わかった!」

「山本、離れて」

それを聞くと山本は離れた。そして三日月はバルバトスのスラスターを噴射しだした。

そして海の方にバルバトスの向きを変えた。そして愛機に言う。

「行くぞ、バルバトス!」

それに呼応するが如くバルバトスのツインアイが強く輝き、三日月の操縦に呼応しスラスターを噴射し、海を滑るように飛んで行った。

大和がいる戦場へ

 

 

この世界で初出撃した三日月とガンダムバルバトスはこの世界で何を見て 何を考えるのかはまだ誰もわからない…

 




いかがだったでしょうか。
次回も見てくれると幸いです。

あと、そのうち設定集みたいなのも投稿出来たらいいなと思います。
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