「響裕太は?」
「もう目が覚めて宝多六花の家に行っている」
「そうか……」
シグマはそう言うと目の前に現れた怪獣を見る。
「グリッドナイト、あの怪獣は……」
シグマはグリッドナイトに言う。一体化している武史も、かつて自分が洗脳したアノシラスがこうして自分達と戦うことになるとは思ってもいなかった。
「あの娘の父親だ」
「怪獣少女か……」
武史とシグマを六花の家に導いた怪獣の少女。
かつてグリッドマンに借りを返すためにこの世界の秘密を響裕太に明かした。
「気を付けろ。ヤツの攻撃は強力だ」
かつてアノシラスは裂刀怪獣バギラを倒したり、武史がアノシラスを模して作ったにせアノシラスはゴッドゼノンを破壊した程だ。
トレギアによって強化されたアノシラスは手始めにと言わんばかりに街の周囲を破壊していく。
「フィクサービーム!」
シグマはすぐさまフィクサービームを放つ。周りの建物が修復される一方でアノシラスにはまるで効果が無い。むしろフィクサービームを吸収し始めた。
「フィクサービームが効かない!?」
シグマのフィクサービームを吸収したアノシラスの角にエネルギーが集まっていき光始める。
アノシラスは角を震わせ音波を放つと、シグマとグリッドナイトは苦しみだした。
「ぐあああぁぁ!」
「グッ……!」
グリッドナイトは耳を塞ぐような仕草をするがまるで意味をなしていない。
シグマはどうにか角を掴んで音を震わせないようにするが、今度はエネルギー弾を発射しシグマは直撃を受けてしまい腕を離してしまう。
すると再び角を震わせ、更に大きな音波を放ってグリッドナイトとシグマを攻撃する。
「どうなってやがる!?何でグリッドナイト達はあんなに苦しんでいるんだ!?」
六花や内海にも音波自体は届いているが二人に影響はない。だからこそ苦しんでいるグリッドナイト達が不思議で仕方なかった。
「多分、そうトレギアが設定したんだと思う。昔、殺人音波を出してた所をグリッドマンに助けてもらったから……」
怪獣少女はかつて父が武史とカーンデジファーによって操られてしまった事を聞かされていた。
「私達は音を浄化する怪獣。前のときは良い心を持った人達の奏でた音楽で正気に戻った。でもそれはコンピューターワールドの外から発せられた音だったし、ここにあるスマートフォンやラジカセじゃ音量が足りない。このままじゃ二人ともたおされてしまう……あいつのせいで」
アノシラスは冷静にしかし、静かにトレギアの怒りを燃やしながら言う。
「どうすれば……」
「俺、大きい音量出せる所を知ってるよ!」
六花が打つ手なしという感じで呟くように言った瞬間、裕太が帰ってきた。
「響君!」「裕太!」
二人は裕太の無事に安堵する。
トレギアによってついさっきまで黒いグリッドマンになっていたために何か体に異常がないか、どう接したら良いのか等、六花と内海の頭の中には様々な感情や思考が巡る。
だが、当の本人はこの非常事態に夢中になっていて二人の心配を察する事までは気が回らない。本来なら気まずくなるような状況でも目の前の危機を無意識に優先した。
「学校の放送室のスピーカーが新しいのに変わったんだ、音質も音量もより良い物に。あの怪獣を学校に近づける事が出来たらきっと……!」
「ナイスだ裕太!」
「私、放送室の機械なら少し使える!」
三人は学校の放送室を目指すことになった。
「アノシラスちゃん、ジャンクからグリッドナイト達に怪獣を学校に近付かせるように言ってみて!」
六花はお店を怪獣少女に任せる。
「六花ちゃん、これ持って行って」
怪獣少女は店にあったキーボードを六花に渡す。
「みんなは気を付けてね」
アノシラスが小さく手を振る。
「行こう!」
裕太がそう言うと三人は学校へと走って行った。
内海は裕太の背中を見てとてもさっきまで自分を殺してくれと言っていたとは思えない程の頼もしさを感じていた。
(裕太……。お前は自分に『力』が無いと思っていたみたいだけど、それは違うぞ。最初に怪獣が出て来たときだって、いつだって、お前が最初に走り出していたから俺達もその道を進めたんだ。グリッドマンがいてもいなくても、お前は立派なヒーローなんだ)
怪獣少女は早速ジャンクからグリッドナイト達へ、怪獣を学校に近づけさせて欲しいと伝える。
音波の中、シグマは怪獣少女からのメッセージを受け取る。
「グリッドナイト、あの学校に怪獣を近づけるぞ」
「………わかった」
二人は力を振り絞りアノシラスの角を掴みながら学校のある方向へ押す。
アノシラスはエネルギー弾を二人に発射するが二人は角を離さない。
「力押しになるがこれが音波に手も足も出ない以上、一番の策だ」
グリッドナイトはそう言うと同時により強い力でアノシラスを押す。
今度は角にエネルギーを集め直接攻撃をするがそれでも二人は角を離さず学校の方向へ押し出す。
すると再びエネルギー弾を発射するが明らかに二人を狙わずあらぬ方向へ飛んでいく。
「しまった!」
二人は気づいた。エネルギー弾の行方が学校へと向かっている裕太達に放たれていたことに。
「ヤ、ヤバイ!」
「危ない!」
内海はそのまま身を守るような仕草、裕太は六花の盾になるようにするが時既に遅し、そのまま直撃……したかに思われた。
エネルギー弾は何かに遮られるように三人の目の前から消え去った。
「無事か、三人とも!」
「あ……、余り無茶はするな」
三人の前にはマックスとサムライ・キャリバーが立っていた。この二人がエネルギー弾を防いでくれたのだ。
「マックスさん!」
「キャリバーさん!」
六花と内海は二人に助けてもらった事を感謝する。だがそれと同時に改めて今この世界が危険に晒されていることをこの二人によって確信させられた。
「ありがとうございます!ところで……誰?知り合い?」
お礼を言うものの、裕太だけは二人の事を思い出せていなかった。
「記憶がないというのは本当だったか……。改めて自己紹介といきたい所だがそう言ってる時間は無いようだ」
「お……、俺達が護衛する。もうすぐヴィットも来るしな……」
キャリバーが言うのと同時に空から戦闘機が現れ五人の元へやって来る。
「スカイヴィッターだ!」
「悪い、みんな待たせた!」
心なしかテンションが高いような気がするヴィット。
そう言えばスカイグリッドマンになった時も何時もよりテンションが高かった気がするなぁと内海は思った。
「戦闘機が喋った!?」
「後で説明するから!みんなヴィットさんに乗ろう!」
六花はそう言って裕太の腕を引っ張ってスカイヴィッターに乗り込んだ。
「少し飛ばすぞ!」
スカイヴィッターは学校へと発進した。
「み、店にはボラーがいる。怪獣少女の護衛を任せた」
「新世紀中学生がいるってことはグリッドマンも……?」
内海は当然の疑問を聞く。
「まだ来ていないがすぐに来るだろう。グリッドマンシグマとアクセスフラッシュした彼の友達と共に。その中には響裕太より前にグリッドマンとアクセスフラッシュをした者もいる」
マックスの言葉に六花と内海は驚く。
眼鏡の少年藤堂武史は、裕太の前にアクセスフラッシュをした人物の友達だった。
言わば自分達の先輩と邂逅することになるとは思ってもいなかった二人。
「マ、マスクのおじさん。その、俺とグリッドマンがアクセスナントカって……」
「おじさんではない。もうすぐ学校に着くぞ!」
裕太はマックス達に聞きたいことが沢山あったが取り敢えずまずは目の前の事を解決しようと決心した。
投稿遅れてすみませんでした。(二回目)