誰かMAD作ってくれ~
グリッドナイトの消息と問川さきるの復活……
六花の家に集まった一同は既に情報交換をした後だった。
マックスとヴィットは新条アカネのコンピューターに行ったはいいが中に入ることが出来なかったのだ。
既にトレギアに先回りされたというのは明白だった。
一方学校でもまるで今まで居たかのように振る舞われていた問川達。なみこはっすの二人ですら問川達が消えていたのが無かった事になっていた。
結局トレギアの指定した日の二日前まで、ジャンクのバージョンアップをすることは出来たが新条アカネへの接触やトレギアの狙いがわからないままで終わってしまっていた。
「ねぇはっす!新生Arcadiaだって!……って四人のまんまじゃん!」
「企画とかがいつもと違うって感じじゃないし、まあ迷走ってやつなんですかねー、なみこさん」
「でも今までのと違って四人が楽しそうにやってるのが嬉しいよね」
「うんうん、なんか原点回帰でいい感じ。ネタ切れでも動画あげてくれるのありがたみ感じる~」
「六花は相変わらずこういうの興味無さそうだもんね~……六花?」
私は驚愕した。Arcadiaが四人?前に三人が怪獣に殺されてしまい一人で活動していたはずだ。
もしかしたら問川達と一緒でなんらかの方法で生き返ったのだろうか?
「ねぇ、Arcadiaってなんか人数増えてない?」
私は二人に疑問をぶつけてみることにした。
「いやいや、元々四人だったでしょ?前の合コン覚えてない?」
「やっぱり興味無かったんだ~」
なみこもはっすも違和感を感じてる様子はない。
間違いない、問川達を生き返らせたヤツと同じものだ。
「ごめん、用事があったの忘れてた!」
私は皆が集まってるであろう自分の家へと急ぐ。
この埋め合わせはトレギアを倒して平和になってからにしよう。
私は家に着くと直ぐにこの事について話した。
「問川さきるに続いて……新条アカネの怪獣によって殺されたはずの人間が生き返っている……か」
「やっぱトレギア……だよな、やってんの」
そう答えたボラーさんに頷くグリッドマン。
恐らくではあるがそんな事が出来るのはアカネとアレクシス以外だとトレギアしかいないだろう。
実際、アカネやアレクシスよりもこの世界で好き勝手にやっている事実もあるし。
「新条アカネの協力もグリッドナイトの行方もわからないとは困ったものだな」
マックスさんは珍しく頭を抱える。
いつも冷静に状況判断をしてくれるマックスさんでも私達の現状は厳しいと考えているみたいだ。
「おいおい、みんな暗い顔すんなって!その分ジャンクの強化が想定以上に出来たんだからよ!」
張り詰めてやや重い空気を一蹴するかの如く大きな声で切り出したのは一平君だ。
残り二日ではあるがジャンクの強化は完璧といっていい程のモノに仕上がったという。
毎日のように直人君、一平君、武史君、ゆかちゃんの四人がジャンクを改良してくれたのだ。
「いいか直人、裕太。君達二人のアクセスフラッシュを合わせたWアクセスフラッシュがあれば私達は更に強くなる。グリッドナイトがいない今、私とグリッドマンシグマだけがこのツツジ台を守ることが出来る唯一の存在なのだ」
響君と直人君がグリッドマンの話を真剣に聞いている。
一平君が言うにはジャンクのバージョンアップによって今まで出来なかったあれやこれが出来るようになるらしい。
「君達の腕についているアクセプターも強化されより私達の繋がりが強くなった。負担や疲労は増えるだろうがそれ以上のパワーを発揮できるだろう。もちろん武史やグリッドマンシグマも同様だ」
「……俺達が守るんだ、この世界を」
響君も直人君もどちらも険しいながらも引き締まった顔で自分のアクセプターを見つめていた。
「で、ジャンクのバージョンアップって具体的にはどうなったんだ?」
内海君が一般人代表として質問する。私も専門外の事はちゃんと聞いておこう。
「まずは処理落ちを完全に無くしたぜ。俺達の持ってるアシストウェポンを総動員しても余裕のよっちゃんよ!」
「当然グリッドマンやグリッドマンシグマ自身も本来の力を発揮してくれるはずだよ」
一平君と武史君が言うには怪獣軍団を従えてくるであろうトレギア相手にこちらも物量で真っ向勝負しようというわけらしい。
「後、これこれ!三人は初めて見ると思うけどこれがダイナドラゴンだ!一平に言って恐竜型にしてもらったんだっけ」
その他にもダイナドラゴンが変形するドラゴンフォートレスや電光雷撃剣グリッドマンソード、バリアシールドなど様々なアシストウェポンを紹介される。その他にもどういう技が使えてどのくらいの威力なのかを私達に教えてくれた。
ただ正直、私達三人は追い付くだけでいっぱいいっぱいだった。
見かねたゆかちゃんがグリッドマンのスペックやアシストウェポンの特徴をわかりわすくまとめたノートを作ってくれたのが無かったらリタイアしてたかもしれない。
それにしても直人君、一平君、ゆかちゃん、武史君の四人は本当に頼りになる。いとも簡単に凄いプログラムを組んでしまう。
それに比べて私達は……私の出来ることってなんだろう?
トレギアの言葉がよみがえってしまう。
『君達は何も出来ない』
前に、響君が私達と友達として、パートナーとしていてくれるだけで力になると言っていた。
でも結局それは私がいるだけで何もしていないのは変わらない。
アカネの時もそうだ。グリッドマンの側に、いや戦いの場からは遠く離れた所で応援していただけ。
そんな私にこれから何が出来るのだろうか?
「とりあえず今日は解散だな。今私達に出来ることをしよう」
私が思い悩むうちに今日の作戦会議が終わった。
トレギアの言っていた通りになってしまっている自分に腹が立った。
「裕太に内海、それに宝多さん。ちょっといい?話せないかな?」
珍しく武史君から私達三人に何か話があるらしい。彼は直人君や一平君、ゆかちゃんにはあまり聞かれたくないということなので家から少し離れた場所に集まった。
「どーしたの武史?」
「なんかあの三人に言えない悩みでもあんのか?」
武史君は周りに人がいないことを確認すると私達を一瞥して言う。
「これから言うことを出来ればあの三人には言わないで欲しいんだ」
「これから言うこと?」
「新条アカネの事と、僕の体験した夢のような現実を」
どういう事なんだろう?私達三人は顔を見合わせる。
でも武史君の真剣な表情に、少なくとも一平君がよくやる冷やかしではないことだけはわかった。
「君達も知ってる通り、かつて僕は新条アカネのように怪獣で人々を苦しめていた。孤独で癒えることのない心の傷をずっと他の関係ない人達にぶつけてきたんだ」
武史君がアカネと同じように怪獣を作っていたなんて今の彼を見るととても信じられないことだった。
彼がアカネに対して協力的なのはきっと自分と同じ境遇だった者同士何か理解できるものがあるのかも。
「ある日タケオという僕そっくりの顔をした奴が現れた事があるんだ。そいつは僕の正反対で運動神経も良くて気さくで勇気があって、なにより直人やゆかさん、一平ともすぐ仲良くなった。友達の出来たことのない僕はタケオに狂ってしまうくらいに嫉妬していたんだ」
孤独だった武史君にはタケオがあの三人と仲良くしている姿は眩しすぎたに違いない
「怪獣を送り込んでもタケオは人々を救って周りから称賛された。だから僕は……このカッターでタケオを殺そうとしたんだ」
「そのカッターってアカネの……!?」
武史君が言うにはたまたま同じカッターだったらしい。
響君はこれと同じ種類のカッターで自分が刺されたと想像もしないだろう。
「刺そうとした瞬間、タケオは笑うと小さい頃の僕になっていたんだ。黄色い紙飛行機を持って……。それは唯一僕を愛してくれた使用人との思い出の紙飛行機だったんだ」
「思い出の……?」
「僕の両親はエリート志向でね。小さい頃からずっと海外にいるのに僕をロボットのように命令してきた。今でも僕の家にかかってくる電話は直人達を除いたら両親の命令だけさ」
「当然友達を作ることなんて言語道断で勉強だけしてればいい。命令に背いた時にされるお仕置きが怖くて人を拒絶するようになっていた。そんな僕の心を落ち着かせられる唯一の人物が、使用人のお清っていうおばあさんだったんだ」
「お清は孤独や両親からの恐怖やプレッシャーに押し潰されそうな僕を優しく抱きしめてくれた。勉強が終わった後には美味しいご飯が出てくるし、両親に内緒で遊びに連れていってくれた事が何度もあった」
自分の小さな頃の夢はパイロットになって、お清を飛行機に乗せて世界を一周することだったんだ。と言う武史君の笑顔が儚く見えた。
「でも両親に遊んでいることがバレてしまったんだ。両親は飛ばした紙飛行機を、夢を踏みにじりながら僕を引っ張って行った。その後お清は解雇されて、使用人がいるとまた遊びかねないって言って僕は広い家で一人ぼっちになった」
武史君の家庭事情は思った以上に悲惨なものだった。
響君と内海君は顔を俯いてしまっている。
「そんな僕の心を救ってくれたのはあの三人だった。ひねくれてて卑怯者でどうしようもない奴で、敵だった僕を救いたいって言ってくれたんだ」
「新条アカネにとって君達は友達であり、僕にとってのお清や直人ゆかさん一平と同じ存在なんだと思う。君達三人じゃないと新条アカネの心は動かせない」
新条アカネの事は君達でなんとかするしかない。
彼女の孤独を理解できる君達じゃなきゃ。
そう言って武史君はそのまま響君達と帰って行った。
武史君は私が何をすべきか思い悩んでいたのに気づいていたのだろう。私がすべき事を教えられた。
私はスマホのLINEアプリを開く。
前に作ったグループLINEにはなみこやはっす、Arcadiaの復活したメンバーも登録されている。
そこには当然……アカネもいる。
私はアカネのトーク画面に移ると前に私が送った文がそのままになっていた。
この頃はまだアカネが神様だなんて想像もしてなかった。
彼女はきっと今も現実を頑張っている。夢であり彼女の甘えでもある私に返事をくれるのだろうか?
『元気?』
たった二文字。これしか思い浮かばなかった。
彼女自身が現実を生きるために必死になっているのをわざわざ止めたくない。
武史君はきっと私達……いや私にアカネを連れてきてもらいたかったんだと思う。
でも私は頑張っているアカネの歩みを止めるような事をしたくない。
何故ならこの世界に来ることは彼女にとって逃げることだからだ。
自分でも不器用だなって思うけど結局これを送信した。
………あっ!やっぱり変えようかな!
もっと他にもいいのがあったかも!
いやそれとも………
「六花ちゃーん、おばさまが晩御飯を作ってくれたわよー」
「あ、はいはーい!いま行く~」
ゆかちゃんに言われて私はリビングに行った。
新しくでた小説まだ買えてない……( ノД`)…