グリッドマン達が戦うことによって多くの人達が学校へと避難していた。
その中にはなみことはっすもいた。
「ねぇはっす?私、ちょっとおかしいかも。こんな緊急事態にデジャヴ感じてる」
「へー、なみこもそうなんだ。私もどこかで体験したなぁなんてぼんやり思ってた」
「はっすも?」
「うん」
このデジャヴの答えにはたどり着けていない。
ただ、周りの人達の会話に耳を傾けるとも自分達と同じような内容だった。
「あのでっかい巨人……勝ってくれるかな?」
「勝ってくれるでしょ……たぶん」
昔、助けてもらった気がする。
黒い巨人を倒してくれた前にも、ああいった怪獣と戦って何度もツツジ台を救ってくれた。
でも、そんな気がするだけ。
それでも避難している人間の全員が心の中で巨人が勝つことを祈っていた。
「グリッドマン!目を覚ませ!」
グリッドマンシグマはグリッドマンに声をかけるが応答はしてくれない。
シグマがグリッドマンに気をとられている隙にマグマギラスとゴルゴベロスがシグマに攻撃を仕掛けてくる。
最初の攻撃は寸のところでシグマは避けたが後ろからグリッドマンに捕まれてしまい、2体の怪獣の攻撃を受けてしまう。
「グアッ……!」
マグマギラスのプラズマ熱線に、150メートルを超える巨体か繰り出す武器攻撃でゴルゴベロスはシグマを切りつける。
2体のネオカーンデジファー怪獣に加え、ウルトラ怪獣もシグマを攻撃しようよ集まってきており、まさに絶体絶命だった。
「グリッドマン、何してんだよ!」
「操られてるのよ、カーンデジファーの言いなり光線みたいなものよきっと!」
「どうしてウルトラ怪獣が!?」
「ウルトラ怪獣って……内海君の好きなあの?でもそれって架空の物語じゃ……」
ゴモラにレッドキング、エレキング、グドン、バードン、ゴルザ、ガンQ、マガバッサー……内海の好きなウルトラ怪獣が確かにツツジ台にいた。
「ネオカーンデジファーの怪獣もまだ残ってるんだぞ、グリッドマンが正気に戻ってくれないとまずいぜ!グリッドマンシグマだけじゃあの数は倒せねぇ!」
「こうなったらいきなりだけど全員出撃ね。このためにジャンクをバージョンアップしたんだもん」
一平とゆかがキーボードを打ち込み出撃準備に入る。
「ゆか、新世紀中学生は?」
「みんなバッチリ回復出来たみたい!……そうだ六花ちゃん!」
ゆかは六花の手を引っ張ってリビングの方へと向かって行ってしまった。
「………え!それはちょっと恥ずかしいよ………」
「大丈夫!彼を助けるためだと思って!」
六花とゆかの会話が断片的に聞こえる。
「なにしてんだあいつら……」
「おいおい、今ピンチなんだぜ!?」
一平と内海の心配もつかの間二人はリビングから帰ってくる。
「二人とも、ちょっとリビングに行っててくれない?全員出撃は私がやっておくから」
「やだよ!俺だって初めての全員出撃……」
「つべこべ言わないの!ちょっとの間だけだから!」
一平と内海はゆかに引っ張られそのままリビングへ投げ飛ばされた。
………二人とも痛い痛いと言いながら。
(ゆかちゃん……強い)
同じ女の子だが強引さが凄いゆかに驚く六花。
「アクセスコードは"GOD ZENON"」
「"POWERED ZENON"」
「"DYNA DRAGON"」
ゆかと六花がアクセスコードを打ち込み、ツツジ台の空が割れる。
サンダージェット、ツインドリラー、ゴッドタンクがゴッドゼノンに。
グリッドマンキャリバー、スカイヴィッター、バトルトラクトマックス、バスターボラーがパワードゼノンに。
そしてダイナドラゴンがツツジ台に降り立った。
ゴッドゼノンはマグマギラスとゴルベロスを力で押し出し地面に叩きつける。
ダイナドラゴンはドラゴンフォートレスに変形し多数のフォートレスミサイルをウルトラ怪獣達に発射し、グリッドマン達のいる場所に行かせないように誘導する。
狙い通り、怪獣達はドラゴンフォートレスを追うように移動し始める。そんな中バードンとマガバッサーが飛んで追いかけ始めた。
バードンは炎、マガバッサーは竜巻の攻撃をドラゴンフォートレスに放つがその攻撃をいとも簡単に避ける。
そして避けられた炎と竜巻はそのままウルトラ怪獣達に当たった。
「すごい……」
「ダイナドラゴンは変形して戦えるから頼りになるのよね」
六花とゆかはダイナドラゴンの活躍に喜ぶ。
「グリッドマン!さっさと目を覚ませ!」
ボラーの声と共にパワードゼノンの左拳がグリッドマンに直撃した。
「グ……なお……ゆう……目を……覚ま……」
グリッドマンの声が微かに聞こえる。
「グリッドマン自体には意識はあるようだが……」
「裕太と直人はそうじゃないみたいだね」
マックスとヴィットは直人と裕太の意識が無いことに気づく。
どうやらそれで力が弱ったところをつけこまれて操られてしまったらしい。
「フィクサービーム!」
シグマがグリッドマンにフィクサービームを当てるが正気に戻る気配はない。
「やはりトレギアに対策されてたか」
「や、厄介なやつだ」
ヴィットやキャリバーはトレギアの周到さを恨む。
「さ、ここに例のプログラムを打ち込んでみて!」
「い、いやプログラムというか……」
「恥ずかしがっちゃダメ!ここに思いの丈をぶちまけるのよ!」
ゆかの強い押しに思わずたじろぐ六花だったが、とうとう決心してプログラムを打ち込んだ。
「うん!プログラム転送!」
ゆかがenterキーを押すとプログラムが光となってグリッドマンに直撃した。
グリッドマンの目の色は正常な色に戻り直人と裕太は意識を取り戻した。
「なぁ、二人とも何してんのかな?井上さーん?早く戦況が見たいんだけどー?」
「おい、余計な事言ってゆかを怒らすなよ!ゆかは普段は優しいけど怒ると俺の母ちゃんの倍以上怖くなるんだぜ。鬼ババァならぬ鬼ゆか……」
「誰が鬼ですって~!?」
ゆかは一平の胸ぐらを掴み力一杯揺らす。
一平は目を回しそれを見ていた内海は涙目になる。
「あ、もう来てOKよ。乙女の大切な思いを見せるわけにはいかなかっただけだし」
一平と内海は納得しないままジャンクの前に戻る。
……プログラムという名の"愛"……か。
六花が小さい声でそう呟いたのだった。
「グリッドマン、裕太、直人!正気に戻ったか!」
「わりぃ、心配かけたなシグマ!」
「もう大丈夫だよ!ここから反撃だ!」
直人と裕太の声と同時にダブルグリッドビーム、ゴッドゼノンはゴッドパンチを放ち、マグマギラスとゴルゴベロスを倒した。
「よっしゃー!」
「後はあのウルトラ怪獣だけだな!」
カーンデジファー、ネオカーンデジファー、そしてアレクシスの怪獣達は一掃され、残りがウルトラ怪獣のみとなった。
「ねえゆかちゃん、あのプログラムがなんで有効だってわかったの?」
「昔も同じようなことがあったのよ。あの経験が役に立つ時が来るなんて想像もしてなかったわ」
六花はゆか達が自分達より遥かに修羅場をくぐり抜けているのを改めて感じた。
とっさの判断力や応用力がまるで違う。
「そうだ……いいぞ。絆を信じる者は仲間がいれば、力を合わせれば強くなったと錯覚する。絶望へのカウントダウンはもう始まっているというのに。希望の光が強ければ強いほど、絶望の闇はより深くなる……」
「この世に闇も光もない。……だが、光が闇に堕ちる姿は嫌いじゃないのでね」
トレギアは空に割れた穴からウルトラ怪獣達に禍々しい闇のオーラを浴びせた。
ウルトラ怪獣達の目はみるみるうちに赤くなり凶暴になり始めた。
「よーし、このまま倒しちまえグリッドマン、シグマ!」
一平の掛け声と同時にグリッドマンが攻撃しようとしたその時だった。
「グリッドマン!みんな!攻撃をやめるんだ!」
武史が怪獣達の異変に気付く。
「何か聞こえないか?あの怪獣達から……」
「声?」
武史の言葉にゆかは怪獣達の声をジャンクから聞けるようにプログラムを組む。
「おい、この声ってArcadiaのメンバーじゃねーか!?」
「問川達もいる!」
内海と六花が怪獣達からArcadiaと問川達の声を発してることに気付いた。
「怪獣の中に人がいているってこと!?」
「パワードゼノン!ゴッドゼノン!ドラゴンフォートレス!お前らも攻撃をやめてくれ!」
一平の声を聞いたグリッドマン達は攻撃をせず相手の攻撃をいなすことにした。
だが凶暴化した怪獣達を止める術があるわけではなかった。
ゴモラの突進にパワードゼノンががっぷりおつの状態で止めるが、その隙をついたエレキングが尻尾でパワードゼノンの身体を縛り電撃を浴びせた後、ゴルザが光線を発射し直接してしまう。
「攻撃が激しくなっているぞ……!」
「ゆ、油断したら命を落とす」
「言われなくてもわかってるっての!」
「パワードゼノンでもこれだけダメージ貰われるとマズイね」
ゴッドゼノンはグドンの鞭に腕を縛られゴッドパンチを繰り出す事が出来なくなってしまうと、ガンQとレッドキングがゴッドゼノンをタコ殴りにしてきた。
バードンとマガバッサーは空中でドラゴンフォートレスを追いかけ続ける。幸いドラゴンフォートレスはまだ被弾していないが攻撃することも出来ない今の状況では2体の怪獣を引き付けて逃げるしかなかった。
グリッドマンとグリッドマンシグマは怪獣達に攻撃されている味方を助けるべく、出力の低いWグリッドビームを放つ。
出力を抑えることで怪獣達を撃破せずゴッドゼノンとパワードゼノンを敵の拘束から解放しようとした。
だが突然現れた火球と光線に阻まれてしまう。
「あれは……ゼットンとギャラクトロン!?」
内海はウルトラ怪獣の中でも強力な力を持つゼットンとギャラクトロンを見て驚く。
「知ってるの内海君!」
「ああ!あいつらの強さは半端じゃない!」
六花の問いに答える内海。
「さきるを……返せ……!」
「みんなを……奪った奴に復讐を……!」
他のウルトラ怪獣同様ゼットンとギャラクトロンから声が聞こえていた。
「!グリッドマン、シグマ!この怪獣も元々人間だ!」
問川の父とやまとが怪獣になってしまっていた。
一平はグリッドマン達に声をかけたが後一歩遅かった。
既に二人は攻撃を始めていたからだ。
グリッドマンは超電導キックでゼットンを攻撃しようとするがバリアで弾かれてしまいバランスを崩してしまう。
その隙を見逃さず火球を繰り出しグリッドマンは大ダメージを受けてしまう。
シグマは速さでギャラクトロンを圧倒しようとしたが、頭から生える長い尻尾のようなものに捕らえられてしまう。
更に腕が光の剣に変わり捕らえていたシグマの体を貫通させた。
シグマは残りの力を振り絞ってギャラクトロンの拘束から無理矢理脱出したがエネルギーの消耗も激しくあと僅かしか残っていない。
そこへゼットンが火球を放つが、グリッドマンがシグマの肩を組んで間一髪のところで避けさせる事に成功した。
しかし大ピンチであることに変わりがなかった。
一平の心配は杞憂に終わった。……最悪の形で。
「やべぇ!グリッドマン達が本当にやられちまう!どうにかなんないのかよ一平!」
「俺にもわかんねーよ!」
「二人ともしっかりして!」
内海と一平は焦ってパニックになってしまっている。
ゆかはその二人を落ち着かせようとするものの、ゆか自身もこの状況をどう切り抜けてよいかわからなかった。
「…………!」
六花はスマホのLINEの画面で新条アカネのトークページへと急いでアクセスし、メッセージを送った。