電光超人グリッドマン ヒカリノキズナ   作:消しゴム

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ここから最終回まで◯・◯でやろうと思いましたがやめました


第22話 ウルトラマントレギア

「ねぇはっす、何あの巨人!?スッゴい悪そう!」

 

「でも三対一だし、楽勝っしょ。さっきからスカしてムカつくしあいつ」

 

はっすはトレギアを快く思っていなかった。

ずっとビルに座って見物したかと思えば仲間を殺してしまった。まるで自分の道具のように仲間を使う姿を見て不快な気持ちにさせられたのだ。

少なくともはっすやなみこ達はそう感じていた。

しかし、それ以上にトレギアに対して言葉に出来ない、得体の知れない恐怖を二人は抱いていた。

 

 

「……なんか嫌な予感するんだ。気のせいかな?」

 

「あの悪い巨人に負けたりしない……よね?」

 

ここ最近ずっと巨人と怪獣達の戦いを遠くから見てきた二人。

立ち振舞いからして恐らくあの悪い巨人が今までの事件の元凶なのだろう。

証拠など何もないにも関わらず何故か強い確信を持っている。

グリッドマン達に勝って欲しいと思う一方でトレギアの底知れない闇に無意識に恐れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トレギア……」

 

「残念だよ響裕太。もし君が黒いグリッドマンのままだったらそのまま私の忠実な下僕にしてやろうと思っていたのに」

 

トレギアは残念そうに言う。

 

「お前のお陰で俺は自分の心の弱さを知った。ここでお前を倒して弱い自分と決別する!」

 

 

「裕太の心を弄び、問川さきる達の生命をなんとも思わない。そのうえ問川さきるの父親やArcadiaのやまとの命まで奪う……。ハイパーエージェントとし て貴様を許さない!」

 

「ククク……」

 

グリッドマンはトレギアに指を指して言う。

トレギアは不敵に笑うだけだ。

 

「トレギア!お前の顔面を一度でもいいからぶん殴ってやりたいって思ってたところだ!」

 

「ほぅ……恐いねぇ。殴ってみなよ」

 

直人の怒りの言葉に自分の顔を指でトントンと叩いて挑発するトレギア。

 

サンダーグリッドマンはその挑発通りエネルギーを右手に込めてトレギアの顔面を殴る。

 

「痛ってぇなぁ。中々いいパンチを持っているじゃないか」

 

ツツジ台に轟音が響く程の威力だったがトレギアは何事も無かったかのように手先から黒い稲妻を繰り出す。

 

稲妻を受けたサンダーグリッドマンは大きく吹っ飛ばされてしまう。

 

「グリッドマンが!」

 

「なんだあの威力!?サンダーグリッドマンが簡単に吹っ飛ばされちまうなんて!」

 

六花と一平はトレギアの技の威力に驚く。

 

「アレクシスとは生物としての格が違うとは言っていたが……」

 

「不死に死を与える程ですもの……」

 

内海とゆかはトレギアが今までの敵で一番強い存在だというのを改めて実感した。

 

 

トレギアがサンダーグリッドマンを攻撃した直後、キンググリッドマンシグマとフルパワーグリッドナイトが反撃に出る。

 

「よくもグリッドマンを!」

 

グリッドナイトが怒りの声を上げる。

二人のコンビネーションは抜群でまるでお互いがどこに攻撃するかをわかってるかのようにトレギアに連続攻撃をする。

だがトレギアは最小限の動きで二人の攻撃をかわすと装甲の薄い部分へ蹴りを入れる。

二人がよろめいている隙に自身の眼から破戒光線を出すと二人のグリッドマンは大ダメージを受けてしまう。

 

「駄目だ、僕達が合体状態だとスピードが鈍くて避けられる!」

 

「なら光線技で遠距離から攻撃しよう!」

 

武史の言葉にアカネが応える。

 

キンググリッドマンシグマはキンググリッドビームシグマを、フルパワーグリッドナイトはツインバスターグリッドナイトビームを放つ。

トレギアはまたも黒い雷撃を手から放ち光線同士を相殺させると煙が立ち込めた。

 

フルパワーグリッドナイトが煙の中に突っ込むとそのままグリッドナイトキャリバーを振り回してトレギアに攻撃する。

だがトレギアは煙で見えない筈の剣を簡単に避けてしまう。

 

「どうした。怒りで攻撃がワンパターンになっているぞ」

 

トレギアはそう言うと装甲の薄い部分を掴み雷撃を流し込む。

かつて自身を一時的な死に追い込んだ攻撃はフルパワーグリッドナイトであっても大きいダメージを受けてしまう。

 

フルパワーグリッドナイトの装甲は全て剥がれ素のグリッドナイトに戻った。

新世紀中学生達はエネルギーを使い果たしジャンクへ戻っていく。

 

「アカネ!」

 

しかし六花の声はアカネに届かない。

グリッドナイトはそのまま倒れてしまった。

 

「どうしよう……アカネが……!」

 

「大丈夫よ六花ちゃん!グリッドナイトはまだ消えてないもの!」

 

泣きそうになる六花をゆかは励ます。

 

「大丈夫かみんな!?」

 

一平が戻って来た新世紀中学生に声をかける。

しかし彼らはその声に答えられないくらい疲弊していた。

 

「すぐに救急プログラムに入れないと!」

 

「急げ!」

 

ゆかは救急プログラムをセットすると内海と一平と六花はすぐにジャンクの前へ新世紀中学生を運び、ジャンクの中へ入っていくのを確認した。

 

「グリッドナイトがやられちゃったねぇ。次は君達だ」

 

トレギアはサンダーグリッドマンとキンググリッドマンを指差す。

 

「裕太、ドラゴンスパイラルだ!」

 

「ああ!」

 

サンダーグリッドマンとキンググリッドマンシグマは再び力を合わせドラゴンスパイラルを発動させる。

三匹の竜の光線はそのままトレギアに向かっていく。

 

トレギアは腕を広げるとそのままドラゴンスパイラルに体を貫かせる。

 

「やったか!?」

 

内海の期待も虚しくトレギアは全くと言っていい程効いていなかった。

 

すると今度はトレギアが自身の体を回転させると自身が竜巻のようになりそのまま突進してくる。

トレギアはサンダーグリッドマンとキンググリッドマンシグマを回転で切り刻むと怯んでいる二人へ問川達を屠った技で攻撃する。

 

サンダーグリッドマンのアシストウェポンは完全に破壊され、キンググリッドマンシグマのダイナドラゴンも粉々になる。

グリッドマンとシグマの体にはトレギアの放った光線によって引っ掻き傷のような痕がのこった。

 

「響君!」

 

「裕太!」

 

「直人!」

 

「武史!」

 

六花と内海、ゆか、一平が同時に声を上げる。

トレギアによって三人のグリッドマンはあっけなくツツジ台で倒れてしまったのだ。

 

「どうした?もう少し楽しませてくれないか?脚本のクライマックスなのに締まらないなぁ」

 

トレギアは笑いを堪えながら言った。

 

「嘘だろ……裕太……」

 

「こんなの……こんなの嘘に決まってる……響君、アカネ……」

 

内海と六花は絶望する。

 

「俺達……負けたのか?」

 

「こんなにあっさり……これほどまでに力の差があったの?」

 

一平とゆかも呆然としてしまっていた。

 

今までどんな状況になっても諦めず戦いを見守った四人だったが、今は絶望のドン底にいた。

 

「ぐ……」

 

「……ハッ!?みんな大丈……」

 

グリッドナイトとアカネは気絶から目覚めた。

アカネは皆の無事を確認しようとしたがすぐに絶望的な状況であると悟った。

 

「ククク……ハーハッハッハッ!どうだい?新条アカネ。自分の心の弱さを克服し、自分の弱さの象徴だったアレクシスを倒し、絆の力で光に酔いしれていた矢先、一瞬にして絶望の淵に叩き込まれ闇を味わう気分は?」

 

トレギアは笑いながらアカネを挑発する。

アカネが挑発に乗れるほどの力も元気も残っていないのを知っているにも関わらず。

 

「ト、トレギア……」

 

「ほう、まだ息があったか」

 

裕太は力を振り絞って弱々しい声で言う。

直人も武史も、グリッドマンもシグマも意識自体はあるが喋る力すらない状況へと追い込まれてしまう。

 

「あっけない幕引きだったが……丁度いい。ツツジ台が無くなる前に私が何故君達を狙ったのかを教えてやろう」

 

トレギアはジャンプするとそのままビルに着地し、ビルのの上で説明を始めた。

 

「まずは自己紹介からだ。……内海将、私の正体は君の思った通りだ」

 

「ま、まさか……!」

 

「私の名はウルトラマントレギア。君の大好きなウルトラマンさ」

 

トレギアは自身をウルトラマンと名乗る。

 

「嘘だ!ウルトラマンは架空の話で……!」

 

「グリッドマンがいるんだ。ウルトラマンがいたっておかしくないだろう?私が何故闇の力を使っているかは……そこまで教えなくていいか」

 

内海はトレギアがウルトラマンだと信じることが出来なかった。

しかし、トレギアの胸のプロテクターに押さえ付けられているカラータイマーらしきものが何よりもトレギアがウルトラマンであることを証明していた。

 

「私の目的、一つ目は光の国を破壊するための下準備をしにきたのだ。君達に怪獣達を倒させて闇のエネルギーを奪う。問川さきる達や魔王達もより増幅した闇のエネルギーを吸い上げるため復活させたのだ」

 

「光の国……?」

 

「ウルトラマン達が住む星なんだ」

 

ゆかの質問に答える内海。

 

「ふざけんじゃねえ!問川の親父さんもArcadiaのやまとも殺してるじゃねぇか!」

 

一平は怒りで声を荒げる。

 

「彼らからは予想以上に闇のエネルギーを抽出出来たのでね。あのまま生きててもしょうもないやつらだったんだから死んでも問題ないだろう?」

 

「ひどい……!」

 

六花は悪びれもしないトレギアを軽蔑する。

 

「二つ目、この世には光も闇もないことを君達にわからせてやりたくてね。光の国の連中も君達も物事を一つの面からしか見ない。私の闇の誘惑で響裕太は自分の心をさらけ出すことが出来たのだ。お前達の言う光、つまりは友情に苦しめられた彼を救ったのは闇だったのを忘れたか?」

 

「確かに俺達の友情が裕太を苦しめてたのかもしれない。でも俺達の友情はあいつの孤独を救うことが出来たんだ!」

 

「孤独から救う……?馬鹿を言うな。お前達だけでは何も出来なかった癖に。君の様な光の者は孤独を、闇を悪いものかのように言う。光の力こそが正義だと誇示するかのようにね」

 

トレギアは怒りを抑えながら言う。

 

「闇も光も力の使い方次第だわ。武史君だって新条さんだって元々あなたの言う闇側の人間よ?」

 

「私の言っている事がわからないみたいだな。闇の力を今使っている訳でない彼らは論外だ」

 

あくまで闇の力を使ってるかどうかに拘るトレギア。

 

 

「そして三つ目、それはお前達の言う絆がどんなに意味の無いものかを証明しに来たのだ」

 

トレギアは声は心なしかより低くドスの効いた声になる。

 

「友達や絆が最強の武器と信じて疑わないお前達にわからせてやりたくてね。だから桜ヶ丘とこのコンビューターワールドにあるツツジ台の次元を繋げたのだ。案の定、こっちで問題を起こしたらすぐにお前達はこの世界に来た」

 

「そんなことのために直人君達を、私達を、アカネを……!」

 

「見ててイラつくんだよ。この世界を俯瞰して見てた時からずっと絆を壊したいと思っていたんだ。友達や友情を信じるお前達を絶望の闇に堕とすためにね」

 

「テメー!俺達の絆を馬鹿にするのか!?そもそも俺達の絆は壊れねぇよ!」

 

一平が大声でトレギアを怒鳴る。

 

「……ハァー。煩わしい奴らだ。二言目には絆や友情しか言えない下等な人間が。一人じゃなにも出来ないって言ってるのに気づかないのか?」

 

トレギアはイライラしてきたのか首を掻きはじめる。

 

「絆は呪いだ。切っても切っても纏わりつき解けない。光の力が好きなやつらは平気で軽々しく言いやがる。アイツもそうだ……!」

 

「アイツ……?」

 

裕太はトレギアの言うアイツが気になった。

 

「一度絆を軽んじて痛い目にあっていてね。それでも私は絆というふざけたものは信じないようにしているんだ。そして今、お前達を殺して絆がいかに意味のないものかを証明する!」

 

トレギアは両腕にエネルギーを集中させそのまま漆黒の雷撃をグリッドマン達に浴びせた。

 

「ぐあああああああああ!!」

 

「うおおあああああああ!!」

 

「うあああああああああ!!」

 

グリッドマンもシグマもグリッドナイトもトレギアの攻撃で只でさえ残っていないエネルギーが尽きようとしていた。

 

「や、やめて……!皆を殺さないで!」

 

六花が悲痛な思いで叫ぶ。

 

「どうした?お前達の光の力は、絆はその程度か?……ハッ、瀕死で声すら届いていないな」

 

「や、やめろ!」

 

「逃げてみんな!!」

 

「裕太、直人、武史、新条さん!!」

 

一平達はジャンクを通じて声を送るが最早グリッドマン達には届かない。

 

一人を除いて。

 

「絶対に……諦めない!ここで倒れちゃ……俺を救ってくれたみんなに顔向け出来ない!」

 

直人とグリッドマンの意識が無い中、裕太は気合いと意地で意識を保つ。

 

そして裕太の意識のままグリッドマンは立ち上がった。

 

その姿にトレギアは戦慄した。一瞬だけではあるが、トレギアに畏怖の念を抱かせる程の執念だった。

 

「……響裕太、その執念は認めよう。これで脚本は……物語は終わる」

 

トレギアは再び両腕にエネルギーを集中させ漆黒の雷撃を高出力で放った。

 

ツツジ台を爆炎が包み、轟音が響く。

 

トレギアはツツジ台の希望を全て打ち砕き、絶望の色へと染め上げた。

 

……そのはずだった。

 

「何だあれは!?」

 

煙の中からでもわかるくらいグリッドマンの体が光輝く。

その姿にトレギアは驚愕したのだった。

 

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