「あの巨人、負けちゃうよ!」
「つーかアイツ強すぎじゃね……」
なみことはっすはグリッドマンとトレギアの戦いを見守っていた。
だが応援していたグリッドマンは絶体絶命だった。
「あの巨人が負けたらどうなるんだろう……私達」
「まあ、無事じゃすまないよね……」
ここ最近あまりにも現実離れした出来事がたて続いていたせいか緊張感が薄れていた二人。
この危機的状況により逆に冷静になってしまっていた。
そんな二人のところに一人の少女、怪獣少女が現れる。
「あれ、こんなところに小さい女の子」
「どうした?迷子になっちゃった?」
怪獣少女を見て迷子の子供だと勘違いする二人。
「グリッドマンに勝って欲しいでしょ?」
「グリッドマン……?あの巨人グリッドマンって言うの?」
「何で知ってるの?」
「あたし、彼に何度も助けられたから。そのお礼を今したいんだ。そのためにはここにいる人達の光が必要なんだ」
巨人の名前に人々の光……。
いきなりの話に二人は困惑してしまう。
「みんなで心を一つにしてグリッドマンを応援するんだよ。ガンバレって」
「いやいや、そんなんで勝てたらグリッドマン?も苦労しないって」
「そうそう」
子供の言うことを鵜呑みにしすぎたのかもしれない。
しかし、こんなバカバカしい事は無駄だとわかっているはずなのに、自分達の心はそんな無駄な事をすべきだと訴えてるような気がした。
「「……ガンバレー!グリッドマン!」」
二人は同時に大きい声でグリッドマンを応援する。
当然のように周りの人達の注目を集め顔が熱くなってくる二人。
周りの人々がなみことはっすに注目しているのを利用して怪獣少女は体を大きく使って話す。
「みんな!あの大きい巨人、グリッドマンを応援して!あたし達の声が届けば彼はもっと強くなる!」
怪獣少女の言葉に一番最初に反応したのは子供達だった。
「ガンバレー!」「がんばれグリッドマン!」
子供達の声に続いて段々大人達も応援する声が徐々に大きくなる。
「俺はあの巨人に助けられた事がある!」
「私も……昔、助けてもらったわ!頑張って!」
「俺達の町を救ってくれ!」
遂には学校に避難している全員がグリッドマンを応援しはじめたのだ。
「この声は私達アノシラスの力によって想いと一緒にツツジ台中に広がっていく。だから頑張って、グリッドマン!」
グリッドマンを応援する声と想いはアノシラスの音波と一緒にツツジ台中を駆け巡った。
光輝くグリッドマンに驚愕するトレギア。
「どういうことだ……!?」
トレギアは素早く状況を理解しようとする。
よく見ると瀕死寸前のシグマとグリッドナイトが数少ないエネルギーをグリッドマンに与えていたのだ。
トレギアの光線を防いだグリッドマンだったが、体の光は徐々に失われていった。
「フン……驚かせるな。今度こそ終わりにするぞ」
トレギアが光線を放とうとしたその時。
「がんばれグリッドマン!」
「負けないでー!!」
「根性見せろよー!」
「グリッドマーーン!!」
音波と共にツツジ台の人々の声が町全体に広がったのだ。
「これは……この世界の人達の声?」
裕太は暖かい気持ちになる。体の底から力が湧いてくるようだった。
「……耳障りだな。こいつらから先に消すか」
トレギアはそう言うと一番初めに学校へ向けて光線を放った。
「危ない!」
「あそこにはなみことはっすが!」
ゆかと六花は声を荒げて言う。
「「キャーーーッ!!」」
なみことはっすは悲鳴を上げる。
轟音が鳴り響くなか、何も感覚はない。死んでしまったのだろうかと思っていると怪獣少女が側に来た。
「大丈夫だよ。見てごらんよ」
二人が顔を上げると光線は光の壁によって弾かれたのだ。
そして周りをよく見て見るとアノシラス達の大群がツツジ台を囲うかのように並んでいたのだ。
「私のお父さんが色んな電子楽器に住む仲間達を連れてきてくれたんだ。さあもっとみんな声を出して!心の底からグリッドマンの勝利を願って!」
怪獣少女の言葉に呼応するかのように心地よい音波が町を包む。
ツツジ台の人々はより大きい声で、より大きい想いでグリッドマンを応援する。
その声はやがて光となってグリッドマン達を包む。
その光はグリッドマン達をキズを完全に癒したのだ。
そして、六花の家にいる四人も光に包まれた。
「なんて暖かい光なの……!?」
「これが……この町の人々の想いなんだわ!」
「見ろよ!グリッドマン達の傷が癒えていくぜ!」
「おい!俺達の腕についているのって……!?」
内海は自分達の腕に装着されているモノに驚いた。内海に言われて気付いた三人もビックリしている。
腕にはアクセプターが着いていたのだ。
「裕太……よく戦ってくれた」
「カッコよかったぜ、裕太」
グリッドマンと直人も目覚める。
グリッドマンが回復したシグマとグリッドナイトを起こし顔を見合わせた。
「なんだこの光は……!?ふざけるな!作り物分際でいきがるな!」
トレギアは町を包む光の壁を壊そうとする。
力一杯の黒色稲妻の光線をぶつけると壁にひびが入り始めた。
「時間はない。皆の心を一つに合わせるぞ!」
そう言うとグリッドマン達は光に包まれそのまま消える。
グリッドマンの掛け声を聞いた全員がアクセプターに手をかざした。
「行くぜ、みんな!」
一平がゆか、六花、内海に言う。
「「「「アクセース……フラッーーシュ!!」」」」
四人はジャンクの中へ吸い込まれて行く。
「みんな!」
「待ってたぜ!」
「さあ、反撃開始だ!」
裕太と直人、武史が四人を迎えた。
そこにはグリッドマンにシグマ、グリッドナイト、そして新世紀中学生がいた。
四人は精神世界に来ていたのだ。
そして……
「アカネ……!」
「六花……!」
二人は思わず抱き合う。親友同士の久し振りの邂逅に二人とも込み上げそうなものを抑えようと必死だった。
「ごめん……六花との約束……」
「ううん、来てくれて本当に嬉しかった……」
「六花、アカネ。今はまだ再会に喜ぶ時ではない」
グリッドマンは周りにいる仲間達を見回す。
「内海……どうやら君との約束も果たすことが出来そうだ」
「……!………ああ!」
グリッドマンは別れの時の内海との約束を覚えていた。
だが内海もまさか自分がグリッドマンになれるとは思っていなかった。
まさに光が起こした絆の奇跡だった。
「みんな!心を一つに!」
全員が目を閉じる。
全員が暖かい光りに包まれていく。
一方、突然消えたグリッドマンに困惑していたトレギアだが、自身の目の前に光が段々と集まっていくのをみるやいなや中心部に光線を放つ。
だが光線はかき消された。
やがて町全体を包んでいた光がその中心部に集っていく。
そしてそこから身体が光輝くグリッドマンが現れたのだ。
腕の両方にはグランアクセプターとナイトアクセプターが、そして胸のコアにグリッドマンのアクセプターが付いている。
「これって……俺達みんながグリッドマンになったのか?」
「すげー!身体中から、心の底から力が湧いてくる!」
裕太と直人は絆が生み出した光の力を実感する。
「また、絆の力か……反吐が出るッ!」
トレギアはグリッドマンに突進する。
「行くぞ!みんな!」
グリッドマンは突進してくるトレギアを迎え撃つ。
拳と拳がぶつかり合うとツツジ台に爆風が起こり、蹴りと蹴りがぶつかり合うと爆音が鳴り響き、光線と光線がぶつかり合うと爆炎が巻き起こる。
そんな時間が長い間続く。
町全体を音速以上の速さで飛び回る巨人達を人々は見ていた。
そして絶え間無くグリッドマンを応援していたのだ。
応援が続くかぎり、光が絶えない限りどんどん力が強くなるグリッドマン。
トレギアは光輝くグリッドマンが自分と同程度の強さになっていることに気付いた。
「本当にお前達は気にくわん。私は絆や友を最強の武器だと思う奴らに絶対に負けん!」
「それなら、お前は俺達に勝てない!」
裕太はトレギアを一蹴する。
「作り物がほざくな!一人でなにも出来ない失敗作が!」
「お前の言う通りだぜ。俺達は一人じゃ何も出来ない」
激昂するトレギアに直人は言う。
「私達は一人じゃ何も出来ない。あなただってそうよ」
「だから僕達は力を合わせるんだ!」
「力を合わせりゃどんな強大な敵にも負けないぜ。お前にだってな!」
直人に続いてゆかと武史と一平も言う。
「それはお前達が弱い存在だからだ!私は闇に身も心も堕として力を手に入れた!たとえ一人でも強大な力を持つことが出来た!光や絆がなくてもお前達を消すことなど造作もない!」
「なら今すぐ私達を倒してみろ」
トレギアの言葉にシグマが返した。
するとトレギアは距離を取って光線を撃ち始めた。
グリッドマンも格段に威力の上がったグリッドビームでトレギアの光線を打ち消していく。
「お前がさっき言ってた『アイツ』って……その親友もお前と同じウルトラマンなんだろ?たとえお前が闇に堕ちて道を踏み外しても、きっと今もどうにかして助けようとしてくれてる。それが俺の知ってる『ウルトラマン』だからな!」
内海の言葉を聞いたトレギアは何も言わずに攻撃を更に強めた。
「あなたは強い。でも間違っているのは自分でもわかってるでしょ!?」
「黙れ!」
六花の言葉にトレギアは益々攻撃を激化させる。
「光か闇かが全てではない。自身の力をどう使うかだ」
「俺のようにな」
グリッドマンとグリッドナイトがそう言うとグリッドマンは激化したトレギアの攻撃を全て防いだ。
「あなたと戦ってみてわかった事がある。あなたは私と一緒なの。ずるいところも、弱いところも」
「貴様と私が一緒だと?笑わせるな!」
アカネの言葉に憤怒するトレギア。
「俺はお前に一度騙されて力を得ようとした。でもそれは俺が内海や六花に向き合うためじゃなかった。二人と向き合うのが怖くて力に逃げてしまっただけだった。お前は俺や新条さんと一緒なんだ!」
「作り物と出来損ないめ……戯れ言すら言えなくしてやる!」
「トレギア、お前は光も闇もないって言ったな?でもお前は闇の力で俺達を陥れようとした。この矛盾が指し示すのはひとつだけだ。お前は光や絆が怖いんだ。光を恐れて、絆を信じられなくなって闇に逃げただけだ!」
裕太の言葉を聞いたトレギアは光線を撃つのを止めて顔を下に向けた。
力一杯の手の握り拳からは自身の爪のせいで傷が出来、エネルギーが漏れ出していた。
トレギアの体は痙攣しているのかと見間違いそうになる程怒りで震えていた。
「私が……光から逃げているだと……?」
次の瞬間、トレギアが解放した闇の力がツツジ台中を闇でつつむ。
「……決めたぞ。貴様達もこの世界も、桜ヶ丘も全て!……私の力で滅ぼす!」
トレギアは怒りに任せて、体を竜巻のようにして突進した。
しかし怒りに身を任せたトレギアの攻撃をグリッドマンは
簡単に避けてみせた。
「どうした?怒りで攻撃がワンパターンになっているぞ?」
「ふざけるな!!」
トレギアの連撃は続く。
タイミングよく繰り出されるキックやパンチ、一瞬でも隙をみせればグリッドマンの体のどこかに雷撃を流し込もうとするが、グリッドマンはトレギアの攻撃を全てかわしてみせた。
「小癪な……!」
トレギアは空のゲートから無数の黒い光線をグリッドマンへと降り注がせる。
グリッドマンを追尾する無数の黒い光線が襲う。
グリッドマンは空中へ飛ぶと光線同士が相殺するようにツツジ台の空を飛び回る。
トレギアはそこへ光線を打ち込むべくグリッドマンを追いかけ回す。
それでもグリッドマンはトレギアの攻撃を最小限の動きで避ける。
まるでさっきまでのトレギアのように。
そしてトレギアが段々と大振りの技を繰り出すようになる。
一つ一つの攻撃に僅かながらの隙が生まれるのをグリッドマンは見逃さなかった。
そして
「ここだッ!」
グリッドマンの超電導キックがトレギアに炸裂する。
「グハァッ……!」
トレギアに初めてと言っていい程の重いダメージを与える事が出来た。
グリッドマンの攻撃は続く。
グリッドライトセイバーで十字に切りつけ、サンダービームで動きを鈍らせるとグリッドビームで止めの一撃と言わんばかりの威力でトレギアを攻撃する。
トレギアの動きはフラフラと目に見えて鈍くなる。
「これで終わりだ!」
「………!」
グリッドマンはグリッドマンキャリバーを召喚するとトレギアをそのまま真っ二つに切ろうとした。
その時だった。
トレギアが突如闇に消えたかと思うと、グリッドマンの後ろに回り込み首根っこを掴む。
「私が隙を見せたと思ったかい?」
自身の持つありったけのエネルギーを黒い稲妻の光線へと変え、グリッドマンの体へ流し込む。
グリッドナイトを倒した技を受け、さすがにダメージを負うグリッドマン。
さらに闇のゲートからまたしても無数の光線が降り注ぎグリッドマンへと攻撃を始めた。
「ぐああああああ………!!……だが、私達は絶対に負けない!」
グリッドマンはトレギアの腕を掴み背負い投げをして地面に叩きつける。
トレギアはすぐに起き上がるとツツジ台中に広がった闇を自身の光線に集め始めた。
「みんな、これが最後だ。私達の想いを、絆を奴にぶつけるぞ!」
グリッドマンの言葉に全員が応えた。
グリッドマンも身体の光を光線に集め始めた。
「この世界ごと消し炭にしてやる!」
トレギアの光線は今までで一番の威力でグリッドマンへと発射される。
トレギアの周りのビルが一瞬にして消し炭になっていることからもとんでもない威力なのがわかる。
「グリッド……トリプルハイパービーーーム!!」
グリッドマンは両腕をグリッドビームを撃つ時の形にして両方から射出するだけでなく、胸のコアからも光線を出した。
両方の光線はアノシラスの光の壁内を少しの空間を空けることなく埋め尽くされた。
光線の威力は互角だった。
どちらも一瞬でも光線の威力を弱めた方が負ける……。
お互いが傷だらけで万が一どちらかが勝っても勝者が立っていられるほどの体力がのこっているのか。
グリッドマンもトレギアも紙一重だった。
そして。
「うおおおおおお!!!!!」
グリッドマンはそのままトレギアの光線を押しきってトレギアにぶつけた。
それと同時にアノシラスの光の壁は破壊された。
だがグリッドマンの光線は壊れた町を修復してもいた。
「見て!町が元通りになっていくよ!」
「一週間前と一緒だ……!」
「グリッドマンが勝ったんだ!」
人々が喜ぶのも束の間、トレギアは闇のゲートからグリッドマンを不意討ちで引っ掻き傷のような光線を連続で出した。
「ぐああああっ!」
グリッドマンはダメージを負うだけでなく隙が出来てしまう。
トレギアは光線を押しきられる直前にワープして避けていたのだ。
「終わりだ!グリッドマン!」
トレギアは自身の闇のエネルギーを体に集め彼の親友の技、ウルトラダイナマイトの様にしてグリッドマンへ突っ込んだ。
「今だ!俺達の奥の手だ!」
「『追放プログラム』を使うのよ!」
一平とゆかがそう言うとグリッドマンの体はより光のエネルギーを増した。
そして突っ込んでくるトレギアを迎え撃った。
「行くぜ!みんな!」
「お前こそ終わりだ!トレギア!」
直人とグリッドマンはトレギアのカラータイマーの部分へパンチを繰り出すとそのまま追放プログラムによって増した光のエネルギーを流し込む。
「な、なんだこの力は!?」
トレギアは光のエネルギーが体に流し込まれると自分の力が段々と失われる感覚がわかった。
「お前の体の一部をプログラム化したんだ。これでお前はこの世界も、僕達のいる桜ヶ丘の世界も二度と来れなくなる!」
四人の正義の結晶である『追放プログラム』。
武史はこの時のために自分達はこの世界に来たのだと悟りながら言った。
「ぐあああああああぁぁぁぁぁ!貴様らの様なちっぽけな存在に……!!」
「私は……また光に、絆に敗れるというのか!!?」
かつての親友を。
自分の運命に立ち向かったウルトラマンを。
家族の、兄妹の絆を信じるウルトラマンを。
刹那であるが思い出していた。
トレギアはグリッドマンに闇のゲートまで吹っ飛ばされるとゲートごと消えたのだった。
「勝った……のか?」
「俺達……やったんだよな……?」
「信じられない……」
「勝ったんだ……私達……グリッドマンとして……」
裕太と内海、六花、アカネは未だに実感出来ていなかった。
「ああ、勝ったとも。私達の絆の勝利だ」
グリッドマンがそう言うと直人達はおおはしゃぎで喜び出した。
「よっしゃあああ!」
「やったわ!私達、倒したのよ!」
「全く、いい気味だったぜ!」
「紙一重だったね、今回は」
「ま、まさか勝てるとは……」
「何言ってんだキャリバー!正義は勝つんだよ!」
「ま、みんな無事で何よりだね」
「みんな、よく頑張ったな」
グリッドマンは最後にツツジ台全体へフィクサービームを降り注がせるとそのまま消えていった。
ツツジ台の至るところで歓声が湧く。
「はっす!勝っちゃったよ!」
「さすがグリッドマン!信じてた~!」
なみこもはっすも大喜びで抱きあっていた。
「みんな、協力してくれてありがとうね」
怪獣少女がアノシラスの大群に言うと、彼女の父親以外は元のコンピューターワールドへ帰っていった。
「あ、お帰り~。みんな頑張ったねぇ~」
ジャンクから戻ると六花ママがご飯を用意して待っていた。
「ママ!?」
「あんた達、かっこ良かったよ。お腹すいてんでしょ?」
「イエーイ!六花のママさん最高!」
「あ、一平!俺の食うなよ!前のプリンみたいに!」
みんながワイワイ騒ぎながら食べようとするなか、二人の少女だけが浮かない顔をしてた。
「……行っちゃうの?アカネ」
「だって私、この世界にいちゃいけないから」
この世界に神様はいらない。アカネも六花もわかっていることだった。
「それに、六花との約束も絶対に守りたいから」
「……でも」
アカネのためを想うのであれば逃げ場所であるこの世界にいて欲しいと思ってはいけない。
でも、友達と一緒にいたいと思う気持ちに嘘をついてまでそれを通す意味はあるのだろうか?
矛盾した気持ちを精一杯抑えて作り笑いをする六花。
「なにしんみりしてんだよお二人さん!」
「そうそう、そんな意地はってないで素直に一緒にいたいって言えばいいじゃん」
直人と一平が言う。
「でも私、弱い人間だから。優しいみんなと一緒にいたら、この世界にまた閉じ籠っちゃうかもしれない」
アカネは弱々しい声で言う。
「それは違うよ新条さん!」
「だってあなた、ここへ逃げて来た訳じゃないわ。私達を助けるために来たんですもの。もう昔のあなたじゃないわ」
武史とゆかも続く。
「新条さん!俺、記憶ないからもっと新条さんの事知りたいんだ!」
「お、俺も!今の新条さんなら大丈夫だ!」
裕太と内海も続いて言う。
「友といる時間はとても大切なものだ」
「新条アカネ、俺はどっちでも構わない」
「……そう言えば、トレギアが作った次元の穴が修復していない。直に完全に塞がるだろうが万が一の事を考えると三日はここにいなくてはな」
グリッドマン、グリッドナイト、シグマが言う。
「……アカネ?三日だけでもいい。私はアカネといたい」
六花はアカネの手を握る。
「私も、六花と……みんなと一緒にいたい!」
そうして六花とアカネは互いに涙を溢しながら笑いあった。
「よっしゃぁ!残された三日分遊びまくるぞ!」
六花の家は笑顔に包まれたのだった。
「彼らがいなければ負けていた…。我々も精進せねば」
「た、助けられなかった命もある」
「俺達の責任だ。強くなんねーと」
「彼らが平和な世界をいきるためにも、ね」
新世紀中学生は裕太や直人達を見守りながら自身の更なる成長を誓うのだった。
「……ねえ、シグマ。ホントはすぐにでも帰れるんじゃない?新条さんが来るときトレギアもいたし次元の穴は塞がれてなかったけど問題なかったじゃないか」
武史がヒソヒソとシグマに言う。
「その通りだ武史。でも彼女が素直になるには口実が必要だと思ってな」
「へー、やるねシグマ!」
シグマの言葉に小さい声で感心する裕太。
「裕太、君こそトレギアがいなくなったなら記憶が戻ったんじゃないか?」
「……うん。トレギアを追い出した途端、昔の事全部思い出したよ。でももういいんだ、記憶なんて。こうやってみんなと強い絆で結ばれてるのが何より嬉しいんだ」
裕太は爽やかな笑顔を見せた。
武史はかつて黒いグリッドマンとしてこの町に現れた彼はどこにもいないと確信したのだった。