電光超人グリッドマン ヒカリノキズナ   作:消しゴム

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第8話 君達は何も出来ない

トレギアの策略によって響裕太は黒いグリッドマンへと姿を変えられてしまった。

そしてその黒いグリッドマンはグリッドナイトの首を絞め始めたのだ。

 

グリッドナイトは黒いグリッドマンの胸を両足で蹴り上げて吹っ飛ばし、どうにかして距離を取ることに成功したが、防戦一方な状況は変わらない。

 

 

 

「ククク……、一つ面白い事を教えてやろう。あの黒いグリッドマンは響裕太が自己嫌悪をするとパワーアップするように設定した。だから意識だけを保たせて体の自由を奪っておいたよ」

 

トレギアは笑いを堪えながら続ける。

 

「つまり街を破壊したことも、今こうやってグリッドナイトの首を絞めていたのも全て響裕太は認識している。彼が自分を責めれば責めるほどあの黒いグリッドマンは強くなるのだ」

 

とことん人の心を弄ぶトレギア。

六花と内海は怒り、画面の奥の悪魔を睨み付ける。

 

「どうした?何か言いたいのなら言えばいい。響裕太を止めたいのなら止めればいい。………君達もわかっているんだろう?自分達は何も出来ないと」

 

六花と内海は睨み付けていた目を思わず逸らして俯いてしまう。

 

「君達は新条アカネのためにグリッドマンと共に戦った約2ヶ月半を過ごし、自分達が成長したと勘違いしていたようだが……。実際命を懸けて戦い、世界を救ったのは響裕太とグリッドマンだ。君達は横で見ていただけに過ぎない」

 

「そんな世界を救ったヒーローを追い詰めてあんな姿にして……。そして今も君達はここで見てるだけだ」

 

トレギアの言う一つ一つの言葉が六花と内海の心に突き刺さる。

 

「見てみろよ、あのままじゃグリッドナイトはやられてしまうよ。恐らくあの黒いグリッドマンが響裕太と知ってしまったのだろうねぇ、明らかに大技を出すのを躊躇している。人に寄り添える心を持ってしまったがための悲劇だな」

 

一言だけでもいい、こんなふざけた奴に好き勝手言わせたくない。そう頭では思っていても二人は言葉が出ない。

 

「そうだ、このジャンクと響裕太の心を繋げてやろう。彼の思っていることを筒抜けにしてやる」

 

そうトレギアが言うと、ジャンクから裕太の声が聴こえてくる。

 

「なんで体の自由が利かないんだ!?早く止めないと!」

 

「響君!」「裕太!」

 

さっきまで黙り込んでしまっていた二人は裕太の声に反応する。裕太が必死に抗っている様子が伺える。

 

「私、ジャンクから響君に声が届かないかやってみる!」

 

「そうか、あの時の!」

 

六花はかつてグリッドマンと裕太にジャンクからメッセージを伝えたことがある。

 

「物は試しだ。やってみればいい」

 

トレギアはまるでこの先の展開を予め知っているような素振りで言う。

 

六花はキーボードに素早くタイピングし裕太に言葉を掛ける。

 

「六花と内海……?」

 

「ゆ、裕太!」「響君!」

 

見事に成功し六花はタイピングを続け裕太に言葉をかけ続ける。

 

『私達が絶対助けるから!諦めないで!』

 

「体の自由が利かないんだ……。もう町が壊れるのも、人の悲鳴を聴くのも嫌だ」

 

「元はと言えばトレギアに騙されたのが……いや、俺が弱かったのがいけないんだ。だから二人に一生に一度のお願いがある……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺を殺してくれ。そうすればみんな助かる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六花は自分の耳を疑った。だが、すぐにこれが現実だと理解できてしまう。

 

「何言ってんだよ裕太!?」

 

「あなたを絶対に死なせたりなんかしない!」

 

内海は自分の親友の言葉を信じられない。

それは六花も同様だ。

 

『響君、諦めないで!あなたを救う方法はあるはずだから!』

 

六花はタイピングで必死に裕太を説得しようとする。

 

「いいんだ。多分、そうするしかこの世界を救えないってわかるんだ。二人とも今までありがとう。だから、早く……」

 

二人の説得にも応じない裕太。

トレギアは堪らず大笑いをする。

 

「ククク………フフハハハハ!ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!傑作だ!こんな素晴らしい悲劇があるか!?所詮作り物しかない世界だと馬鹿にしていたが、こうも私の思い通りになるとは!私もアレクシスの様に次の新条アカネを探そうかな?」

 

トレギアは気分を良くし再び二人を煽るように喋る。

 

「どうした内海将!友達が間違った事をしたら止めるのだろう?それとも友達だから彼の願いを叶えてやるのかい?」

 

「君もだ宝多六花。パートナーとして響裕太の望むことなら何でもやるんじゃないのか?」

 

嘲笑いながらかつて二人が口にした言葉で二人を問い詰めるトレギア。

 

「おっと失礼。彼の殺してくれっていう願いも君達じゃ叶えられないんだったね。友達の最後の願いも君達は他人任せじゃなければ叶えられない」

 

「君達は何も出来ない」

 

何も出来ないという言葉が二人に重苦しのしかかる。

今まで自分達がやってきたことが否定される気分になりながら。

 

六花は目に大粒の涙を溢しトレギアに言う。

 

「何が目的なの!?何のために響君を……。私達の世界でこんなことして何が楽しいの!?」

 

六花は思わず感情に任せたままトレギアに心に思っている事をぶつける。

 

「言っただろう?私は悲劇をこの眼で見るために脚本と演出をする。悲壮感が溢れていたらなおいい、とね」

 

「ふざけないで!」

 

「ふざけてなどいない。大体そんな戯れ言を言ってても君達が何も出来ないのは変わらない。君達が出来ることは、このままグリッドナイトが倒されてこの世界がめちゃくちゃにされるのを指を咥えて見ているか。それともグリッドナイトが響裕太を殺すのを黙って見ているかだけだ」

 

「さあ、私と共にこの愉快な悲劇を見学しようじゃないか。ハーッハッハッハッ!」

 

トレギアは再び高笑いし店中に声が響き渡る。

二人はその声を聴いてることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何!?」

 

ジャンクの画面が光ったかと思えば、突然トレギアは身動きが取れなくなる。

 

「まさかこれは……油断したな」

 

そのままジャンクは強制シャットダウンし、トレギアはそのまま闇に消えてしまう。

 

六花と内海は何が起きたかわからなかった。

すると後ろに気配を感じ振り向いてみる。

 

一人は怪獣少女のアノシラス(二代目)が、もう一人は眼鏡をかけた二人と同じくらいの年齢の少年だった。

 

「ありがとう、ここまで案内してくれて」

 

少年は怪獣少女にお礼を言う。

 

「ううん、君がこの世界に来てくれて良かった。彼を助けてあげて」

 

怪獣少女は笑顔でそう言う。

 

「僕はこの世界に来る前に予め作っておいた二つのプログラムを使ったんだ。一つはヤツが作った次元の穴を通っても気づかれないようにするステルスプログラム。もう一つはヤツをこの世界から追い出す破壊プログラム」

 

少年はそう言いながら二人の横を通りジャンクを起動する。ジャンクは正常に起動し、さっきまでいた悪魔はもういない。

 

「グリッドマンから話は聞いているよ。新条アカネが作ったこの世界のことも、アレクシス・ケリヴのことも、君達グリッドマン同盟のことも」

 

「あなたは一体……?」

 

六花は少年にそう言うと、少年は振り向いて答える。

 

「僕は藤堂武史。僕も新条アカネのように、かつてグリッドマンに助けられたんだ」

 

グリッドマンがかつて助けた少年はそのまま二人の顔を見つめる。

 

「内海将君、君は最後まで響裕太の友達として共にアレクシス・ケリヴと戦ってきたんだろ?」

 

「宝多六花さんも、新条アカネの心を救うのには君がいなければ出来なかった」

 

「グリッドマンは誰か一人でも欠けていたらこの世界を救うことは出来なかっただろうって言っていたよ。君達が何も出来ないなんて事はない。今までも、そしてこれからも」

 

武史と名乗る眼鏡の少年は二人を励ますように言う。

 

「後は僕に任せてくれ」

 

彼がそう言うと腕を捲り始める。

彼の腕に着いていたものを見て二人は驚愕する。

 

「あ、アクセプター!?」

 

武史の腕にアクセプターがついていたのだ。

 

「て言うことは……」

 

ジャンクには既に青いグリッドマンが宿っていた。

 

「青いグリッドマン!?」

 

内海はアクセプターに続き突然現れた青いグリッドマンに驚く。

 

「行くぞ、武史。響裕太を助けるために」

 

青いグリッドマンが武史に言うと武史は眼鏡を外した。そしてグランアクセプターを顔の横に掲げた。

 

「アクセース……フラッシュ!」

 

ツツジ台が青い光に包まれると共に轟音が鳴り響く。

 

黒いグリッドマンの前に青いグリッドマン、グリッドマンシグマが登場したのだった。

 

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