GOD EATER AWAKENING   作:Carbon

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主人公姉弟の名前の由来は

イザナギとイザナミが生んだ島(淡島)

です。


story17 再臨の竜帝

 

 

 

 

 

 受注する任務を選びに受付へ向かったナギ。到着するとコウタがヒバリと話していた。

 

「お、ナギ!丁度いいところに来た」

 

 ナギに気づくと手招きで彼を呼ぶ。コウタは手に持っているミッション情報の表示された携帯端末を見せながら話し始めた。

 

「このミッションに同行してほしいんだけどさ、いい?」

「ん~。場所はエイジス。ターゲットはグボロ・グボロ。メンバーは俺、サコン、エリナ……。あれ、コウタは?」

「ああ、俺も一緒に行くけど、戦闘メンバーじゃないんだ」

「?なんだそりゃ。まあいいか。ヒバリさん、俺も参加で」

「はい。お気をつけて」

 

 受注が完了し、あとはサコンとエリナを待つだけだ。すぐにヒバリが連絡していたため時間はかからないだろう。ナギ達は出撃ゲート前で二人を待つことにした。

 

「今回は討伐もそうだけど、エリナの指導も頼みたいんだ。普段は俺が任されてんだけど、なんか行き詰った感があってさ」

「なるほど。でも、サコンだけでも十分じゃないか?」

「昨日ジュリウスに聞いたんだよ。新人育成でアドバイスないかって。そしたら……」

 

――ナギを同行させてみてはどうでしょう。あいつはブラッドの中でも観察眼に優れていますし、他人との連携もすぐにこなせます――

 

「……って言われたんだ」

「へ~」

 

ジュリウスがそのように自分を評価していたとは。平然としているが、ナギは内心の嬉しさを表情に出さないようにしていた。

 

「あんなに頼りにされてるってすごいことだぜ」

「隊長の負担を少しでも減らしたいしな。戦闘面じゃまだ難しいから、チーム内の人間関係とか、自分でもできることからやってこうって思ってな」

 

 それは副隊長になってからナギが決めていたことだった。神機使いになったばかりの自分では、ジュリウスのように武勇で人を引っ張っていくようなことはできない。では、自分でもできることはないか。そう考えている内に、チーム内のコミュニケーションを改善していくような方向で貢献するようになっていた。

 しばらくしてサコンとエリナが合流。四人でヘリポートへ移動する。戦闘には参加しないと言いながら、コウタもしっかりと神機を持っている。

 

「コウタ、結局お前は何すんだ?」

「へへっ、見てからのお楽しみだ。びっくりすると思うぜ!」

「お、ついにあれのお披露目ですか」

 

 サコンは既に心当たりがあるようだった。コウタの企みに期待しつつナギはヘリに乗り込んだ。

 

(あの人、本当に新兵なの……?)

 

 一方のエリナ。話さなかったものの視線はずっとナギに向けていた。コウタとは親交があるとはいえ、すぐに第一部隊に馴染んでいる。さらに昨日はコウタ、ジュリウス、ハルオミという強者揃いのチームに加わりながらも、彼らの活躍に隠れることなく実力を示したと聞く。しかし、彼はエリナと同じく今年入隊したばかりなのだ。

 

(私も負けないもん!!)

 

 強力なライバルに密かに対抗心を燃やすエリナだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エイジス島に到着した四人。意外なことにそこには先客がいた。四人ほどの作業員と、それを指揮する女性。彼女らの中心には大きな装置が設置されていた。各側面に四つの穴がある。どう使うのかナギは分からなかった。

 

「リッカちゃん、お待たせ」

「お、待ってたよ。こっちの人は初めましてだね。ブラッドの人かな?」

「ブラッド副隊長、淡島ナギです。よろしく」

「ナミちゃんの弟だね!神機整備班の楠リッカだよ。よろしくね」

 

 自己紹介の後、この装置の説明を受けた。リンクサポートシステム。神機を接続することで戦場に様々な効果を発動させる装置だ。今はコウタの神機が接続されている。今回の任務はこの装置のテストも兼ねている。

 そしてもう一つ、小型の装置をリッカは持っていた。ナギから神機を借りると、それを神機に装着した。

 

「見ての通り、リンクサポートに使ってる神機は戦闘に使えないんだ。それを解決するのがこのリンクサポートデバイス」

「これなら戦闘も支援もできる、ってことか?」

「理論上は、ね。まだ成功例がないんだ。でも、ブラッドが使えば違った結果が出るかもと思ってね」

「なるほど。それも俺が呼ばれたわけの一つってことか」

 

 上手くいけばコウタとナギ、二人の神機でリンクサポートを発生させることができるということだ。

 

「さて、そろそろお仕事始めましょうか」

「はい!行くよオスカー!」

「頼んだぜ、ナギ!」

「今日は頼まれごとが多いな。ま、やってやるさ」

 

 三人が戦場に降り立つ。まずはサコンとエリナが前衛、ナギは後方支援だ。ヒバリからのアラガミ接近の報告を受け、戦場に緊張が漂う。

 

「ガアアアアアア!!」

 

姿を現したグボロ・グボロ。手足ではなくヒレがあるなど、水生生物のような外見だ。

 最初に動いたのはサコン。一気に駆け出し正面から接近する。グボロ・グボロがサコンに気をとられている間に、エリナは側面から攻撃。

 

「当たって!」

 

 チャージグライドで距離を詰めると同時に突進。グボロ・グボロの胴体を貫いた。煩わしそうにエリナへ向き直るグボロ・グボロ。だが、敵は一人ではない。

 

「僕もいますよ」

 

 肉薄したサコンが神機を突き刺す。連続攻撃を決めて一度下がる。すかさずそこへナギが追尾弾を撃った。スタートは好調だ。

 数分が経過した。ここでリンクサポートシステムが発動。全員の防御力が上昇した。神機の新たな活用方法にナギは感心していた。

 

(さて、エリナのほうだが……)

 

 ある程度戦況が安定してきたところでナギはエリナの行動を目で追った。チャージスピア使いではないため神機の扱いの良し悪しは詳しく分からないが、特に問題点は見当たらない。だが……

 

(……危なっかしいなあ)

 

 一つ気になった点。装甲を全く使っていないのだ。ステップで回避している場面もあるが、予備動作の少ない攻撃を食らうことが多い。リンクサポートの恩恵があるとはいえ、常にこのような戦い方をしているならば危険すぎる。

 

(コウタもここは指摘してると思うけどな。防御しないっていうより焦って攻めにこだわりすぎてるって感じか?さて、どうしたもんかねえ)

 

 考えている間も射撃を忘れない。サコンとエリナの隙を潰すように追尾弾を放つ。

 

(ミッション後に四人で話し合いでもするか。とりあえず、さっさと倒しちまおう)

 

 今は口を挟まないことにし、戦闘に集中することにした。近接武器形態に移行しつつグボロ・グボロへ肉薄する。それに気づいたサコンは援護射撃へ移るべく後退。側面にいるエリナに注意が向かないよう、ナギは真正面から大胆に攻め込んだ。

 

「そらよっ!」

 

 水球を放つ角のような砲塔へ一撃。そこが弱点だったようで、グボロ・グボロは大きくのけ反った。

 さらに、ナギ達に追い風が吹いた。捕食をしていないにもかかわらず、三人とも最大レベルまでバーストしたのだ。

 

『リンクサポートデバイスの発動を確認しました!』

「やった!動いた!!」

「すげえぜ、ナギ!」

「え?なに、俺がやったのか?」

 

 いきなり発動したためか、ナギが一番困惑していた。

 

「一気に攻めますよ!」

 

 サコンの声で我に返ったナギ。身体能力が大幅に強化されているこの機を逃す手はない。神機を叩きつけ、斬り上げ、もう一度叩きつける。そして、サコンの狙撃が胴体を貫き、グボロ・グボロは脱力し倒れ込んだ。

 

「はああああああ!!」

「おおおおおおお!」

 

 エリナのチャージグライドが突き刺さり、ナギのCC・ディバイダーが砲塔へ直撃。血飛沫を上げたあと、グボロ・グボロは動かなくなった。

 これでミッション完了。のはずだった。

 

『緊急連絡!大型アラガミが接近しています!!』

「種別は分かりますか?」

『ハンニバル神族と思われますが、データベースにないアラガミです!』

 

 サコンの表情が少し曇る。

 

「コウタさん、加勢できますか?」

「おう、パーツ付けてすぐ行く!」

「エリナさん、あなたには少し厳しい相手です。撤退してください」

「私もまだ戦えます!」

 

 そう言ってちらっとナギを見た。ナギには撤退を促さなかったことに不満があったのだろうか。

 

「なあサコン、四人がかりならなんとかできるんじゃないか?」

 

「グアアアアアアアアアア!!」

 

 エイジスに鳴り響く咆哮。そして現れた紅いアラガミ。とてつもない威圧感がナギを呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナギはすぐに悟った。なんとかなるなんて甘い考えが通じる相手じゃない。危険だと分かっていても、体が動かず立ち尽くしてしまった。

 

「エリナ!退け!」

 

 コウタの叫びでナギは膠着から脱出した。しかし、エリナは金縛りにあったかのように動かない。そこでアラガミが動いた。たった一跳びで間合いを潰し、左腕からブレードを展開。エリナを切り裂かんと飛び掛かった。

 

「まじかよ!?」

 

 間一髪ナギが間に割って入り装甲を開く。傷は負わなかったが、二人は大きく吹き飛ばされた。

 

「きついな……。大丈夫か?」

「なにが……どうなって……」

 

 あまりの速さにエリナは状況が把握できていない。

 

「とりあえず撤退しろ。いいな?」

 

 エリナの返事を聞くより早くナギはコウタとサコンのもとへ走る。なんとかこの場をしのぐため二人は奮戦していた。ナギが合流し三人と一体が相対する。

 

「この外見、あの速さ。ハンニバルというよりもカリギュラですね」

(カリギュラ……!?たしかハルさんの言ってたやつって……)

「ナギ、ほんとはお前も退かせるべきだろうけど、二人でこいつを捌くのはきつい。手伝ってくれるか?」

「もちろんだ」

「助かる!こっちが隙を作って逃げるか、あいつがどっか行くかだ。とにかく死ぬなよ!!」

 

 三人とも別方向へ同時に走る。紅いカリギュラがまず狙ったのはナギ。襲い掛かる左腕のブレードを装甲で防ぐ。一安心したのも束の間、すぐに右腕のブレードが迫っていた。なんとか防いだものの、完全に防戦一方だった。

 その間もサコンは休むことなく斬撃を浴びせる。だが、どこを斬っても効いている様子がない。コウタも素早く動き回る標的を捉えられずに苦戦している。

 驚異的なスピード、ブレードによる斬撃、冷気をまとった光弾。多彩な攻撃に翻弄され三人は追い詰められ始めた。

 

「サコン、なんか分かったか!?」

「左腕に比べ、右腕が少し脆いようですね」

「なら俺とナギで注意を引く!腕の破壊、頼んだ!」

「了解です!」

 

 方針を立てるとサコンはすぐに右腕に狙いを変更。他の部位は無視し、右腕に集中攻撃を始めた。サコンが狙われないように、コウタとナギは正面から紅いカリギュラを攻める。

 劣勢には変わりはない。それでも突破口が見えたかと思われた。しかし、敵の力はこの程度ではなかった。背中のブースターでゆっくりと浮上。攻撃を中断し次に備える三人。

 次の瞬間。

 

「ガードだ!!」

 

 紅いカリギュラは一瞬で三人の目の前に飛び込み、ブレードで薙ぎ払った。ナギとサコンが吹き飛ばされ、それにコウタが巻き込まれた。幸い前にいた二人が装甲を開いていたため三人とも致命傷には至っていない。

 

「よく……対応できましたね、ナギさん」

「最初に一発もらったからな……。しっかし、このままだとまずいな……」

 

 全滅という最悪の展開がナギの頭をよぎった。迫りくる紅いカリギュラをよろめきながら迎え撃とうとした時だった。

 

「うおおおおらあああああああっ!!」

 

 ナギ達を追い抜かし、紅いカリギュラに飛び掛かった影。

 

「ハルさん……!?」

 

 第四部隊隊長のハルオミ。だが、いつもとは全く違う。飄々とした態度は完全に消え失せ、尽きることない殺意を剥き出しにしている。あまりの変貌ぶりにコウタとサコンも唖然としていた。

 

「くたばれ!!」

「グアアアアアア!?」

 

 ハルオミの一撃が紅いカリギュラの右腕を打ち砕く。紅いカリギュラは結合崩壊した右腕を押さえ、悲鳴のような叫びをあげた。

 

「どうしたよ。まだこんなもんじゃないだろ!?」

 

 なおも続くハルオミの猛攻。遂に紅いカリギュラはハルオミに背を向け逃げ去った。

 エイジス島に流れる沈黙。三人はハルオミに歩み寄るも、なんと声をかければいいか分からなかった。

 

「はぁー疲れたー!やっぱ激しいのは勘弁だわ。おう、三人とも無事だな。よかったよかった」

 

 三人に向き直った姿は、誰もが知るいつものハルオミだった。完全に混乱しているコウタとサコン。一方、ナギはあることが頭に浮かんでいた。そして――

 

「……アイツだ」

 

 すれ違い際にハルオミがナギに発した一言。それで確信した。”ルフス・カリギュラ”。ギルの人生を狂わせ、ハルオミの愛する人を葬ったアラガミ。それが急襲してきたアラガミの正体だった。

 

 






ダミアンは犠牲になったのだ……
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