インタビュー ウイズ ダンディ 前編
──本日は、今話題の人物……皇帝陛下直属のプロレスラー、ダンディ須永さんにお話をうかがいます。ダンディさん、よろしくお願いします。
「こちらこそ、よろしくお願いします。緊張しますなぁ」
──それはこちらのセリフですよ。変なこと聞いたら女性ファンに袋叩きにあいそうで。
「気をつけた方がよいですな。そこにいるお嬢さんも……」
──ここにもいらっしゃるのですか。ひいっ、睨まないでください……
「ハッハッハ。冗談ですよ。まあ肩の力を抜いてください。気楽にいきましょう」
──では、はじめさせていただきます。まずは、ダンディさん、一昨日の試合、勝利おめでとうございます。素晴らしい試合でしたね。
「ありがとうございます。素晴らしい相手に恵まれましたな。対戦相手の武王、ゴ・ギン殿には、感謝しています。彼以外とはああいう戦いは難しいですからな。我々プロレスラーは、箒と試合できて一流と言われていますが、やはりよき相手と戦うのが一番楽しいですし、良い試合になりますからな」
──対戦相手あってこそ、ですか。なるほど。好敵手に感謝なのですね。ところで、箒というのは?
「例え話ですがね。まあ、実際お見せしましょうか」
ダンディさんは、箒を対戦相手に見立て30秒ほど攻防をみせてくれた。
──凄い。箒が生きているみたいに技をくらい、仕掛けているのが見えました。
「ま、プロレスは攻撃だけではないので、奥が深いのですよ。そもそも、闘技場ルールとは違うルールなので、勝ち方も工夫出来ますからね」
──違うルール? 具体的に教えていただけますか?
「では、簡単に説明させていただきます。プロレスは一定範囲の囲われた空間で行われます。決着の1つめは、3カウントフォールです。相手の両肩を床に押しつけ、審判が3つカウントを数える間に肩をあげられなければ、勝ちとなります。……2つ目は、相手をダウンさせて10カウント。3つめは、相手に参ったと言わせる。4つめは、範囲外から20カウント以内に戻れない。5つめは、相手が反則を行い、反則を5カウントされてもやめない場合ですな」
──なるほど、たしかに戦略的に広がりますね。
「ですな。選手も3カウントを技術でとる人、パワーでとる人がいましたし、ギブアップ……降参させるのが得意な人などそれぞれですよ。いつかこのルールで試合をお見せしたいものですな」
──勉強になります。有難うございます! いつか、見せてください。
「ええ。頑張りますよ」
──さて、ダンディさんは、多彩な技の使い手で知られていますが、何かこだわりのある技はありますか?
「むろん、全ての技に想いやこだわりはありますが……あえてあげるなら、チョップですな」
──それは何故でしょうか?
「"基本を大事にする"それを忘れないためですな。ファンの皆様は、派手な技を好み、さらに派手な技を見たいと望みます。ですから、それに応えようとすると、最初から最後まで派手な技ばかり使うようになってしまうのです」
──見応えはありますよね?
「そうかも知れませんが、食事に例えるなら、肉、肉、肉……最初から最後まで肉……となってしまいます。これはどうですかな?」
──確かに他のも欲しいですね。パンやスープも欲しい。
「そういうことです。野菜やパンやスープ、さらにはデザート……バランスよく食べたいでしょう? それと同じで大技ばかりではなく、基本的な技も大事なのですよ。ですから基本を磨いた上で、新技を研究すべきなのです」
──でも、ダンディさんは派手な技が多いのではないかと?
「はっはっ。まあ、否定はしませんがね。そうでなくても、私は一捻り加えるのが好きですからな。ただ、基本技は大事に使っていますよ。なんなら基本技だけで試合やりましょうか?」
──うーん派手な技もみたいですね。
「でしょうな。私も使いたいですし」
──それでは、いくつか技について個別にお尋ねします。……まずは、ライダーキックについてですが、2種類ありますよね? これは何故でしょうか。
「簡単にお答えするなら、かつて……使い手が2人いたのです。……同じ名前の、別の技を使う人が2人いたわけですよ。……高いところから飛び、回転しない片足蹴りをライダーキックと称した方がいて、一回転する両足蹴りをライダーキックと呼んだ方もいた。私は両方使いたいと思い、多少アレンジを加えて自分の技にしました。回転しない方も回転するように変えて、同じ体勢から繰り出せるようにしています」
──なるほど、我々の知らない歴史があるんですね。そうそう、同じ回転から別の技も出しますよね?
「テキサスコンドルキックですかな。あれは、フェイントも兼ねてですな。同じ入り方から違う技を出すのもテクニックですよ。これは前方回転の技に限った話ではありませんがね」
──次に、エルヤー戦のフィニッシュについてですが。
「ああ、ウエスタンラリアットですな。……ウエスタンラリアットを名乗るのは、まだ少々早いかも知れませんので、ウエスタンラリアットを目指している……としておいて下さい。
私は、1試合にラリアットを軽々しく連発するようなことはしたくないのですよ。一撃の重みを大事にしたい。……だからこそ、私が最強と思うウエスタンの名を冠した左ラリアットを使わせてもらってます。私は左ではこれしか出しません」
──なるほど、大事にしていらっしゃるのですね。左はということですが……
後編へ続きます。