異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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第14話 告げられたこと

 

 今日も騎士団の鍛錬を終えた須永は、皇帝ジルクニフの下へと向かう。

 今のところ、武神としての活動ではない須永の仕事は、大きく分けると2つある。ひとつは帝国騎士団への武術指導であり、これは着実に成果があがりつつある。

 現在、帝国は毎年のように王国と戦争を行っている。これは将来的な王国併呑を目指すジルクニフの戦略のひとつだ。

 須永が指導に関わるようになってから、1度だけ出兵があったのだが、戦死者が前年に比べ激減。その分相手の損害は大きく増えている。これは、個の強化に成功したと成果と言えるだろう。

 帝国騎士達は、職業軍人であり毎月のように経費はかかるが、常駐であるのが強みで、組織として強化ができるのがメリットだ。

 対する王国は平民を無理やり集めただけの民兵で、レベル自体は相当低く、たんなる寄せ集めにすぎない。また、戦争の度に集めているので、組織的な強化は不可能だ。よって片方だけが強化されれば、差は広がることになる。

 須永自身は、戦争には関わっていないが、次はわからない。

 さて、もうひとつの須永の仕事は皇帝ジルクニフの警護である。

 もっとも、警備の厳重なこの城でジルクニフを害するのは難しく、実際は単なる側仕えに近い。フールーダとともに、意見を求められることも増えてきている。

 

 

 

「待っていたぞ、ダンディ」

「お待たせいたしました、陛下。鍛錬に時間がかかりすぎました」

「かまわん。騎士団の強化は大事だ。人数も増えていることだしな」

 人数の拡大にともない、鍛錬にはその分時間がかかっている。

「最近の新人は最初から学ぶ気が強いので、成長は早いですが」

「そうか、期待している」

「ありがとうございます」

 須永は頭を下げる。

「そうそう。期待といえば、実は楽しみなことがあったのだ」

「楽しみなことですか?」

 須永はオウム返しで聞き返す。

「そうだ。ダンディ、喜べ。お前の試合が決まったそうだぞ」

 またもや国家の最高権力者である皇帝の口から、自らの試合予定を直接聞くことになった須永は、「それは重畳……嬉しいことですな」と答えながら、ふと考えてしまう。

 

(陛下から直接私の試合予定を聞くのは間違っているのではないか? 普通ならマネージャー経由で入ってきそうなものだけど……あ、マネジャーいないわ……。それに私は皇帝直属ということだから、間違ってはいないのかも……しれない)

 違う世界で共通の常識となるわけもなく、須永は考えるのを途中で諦めた。

 

「それにしても久しぶりの試合ですな」

「武王ですらなかなか組んで貰えなかったのだ。それをこえる武神に挑むなど、そうそうはな……」

 武王を倒してからはや4ヶ月。須永は、いつでも誰の挑戦でも受けると公言しているのだが、なかなか挑戦者は現れなかった。

 しかし、稼ぎ頭である須永を遊ばせておくわけにもいかず、エキシビションマッチとして、月1度は模擬戦を組み、須永の勇姿を披露している。

 

「さて、ダンディ、今回の対戦相手だが……お前は、どのような相手だと思う?」

 ジルクニフは、笑顔で質問してくる。こういう会話を楽しんでいるのだろう。

 

「そうですな……。私が1VS1(シングルマッチ)で武王を破ったことを知っているわけですし、まず1人で挑んでくることは、ないと思っています。だからと言って、人数が多すぎても上手くいかないのは、実証済みです」

 ヘビーマッシャー戦がそうだ。平原のような開けた場所ならともかく闘技場という閉鎖空間では、人数が多すぎても運用が上手くできない。それに、1人に多数で挑んでも同時に攻められる人数には限りがあるのだ。

 

「ふむふむ」

「……よって3人から5人くらいの腕利き集団。少なくとも冒険者でいう、オリハルコン級以上と見ていますが」

 ちなみに武王とまともに戦えるのも、このあたりのランクからと言われていたらしい。もちろん個人としてではなく、チームで挑んだとしたらの話?だ。

 

「なるほどな。まあ、私もそのあたりから出てくると思っていたさ」

「ほう……違うので? 」

 須永は対戦相手に興味を持ち始めた。

「まず、人数だが……相手は1人だそうだ」

「……なんですと?」

 1人とは完全に想定外である。

「さすがのダンディも驚いたようだな」

「ええ。まさか1人とは……で、その男はどのような人物なんですかな?」

 この須永の質問をジルクニフは、くくっという笑いで返した。

「……まさか。男ではない……のですかな?」

「その通りだよ。ダンディ、次の対戦相手は"女"だ」

 

 ジルクニフは、楽しそうにそう告げた。

 

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