異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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第2章のヒロイン登場です。




第15話 ニュース

「なー。せっかく帝都まできたんだからよ、なんかおもしれーことしてこーぜ」

 見た目はガッチリした体格の男性に見えるのだが、声はハスキーだが女性のものだ。この人物の名はガガーラン。彼女……そう彼女である。性別は女性であり、好物は"経験のない男の初物"と公言している。被害者? は幾人にも登るとの噂だ。だが、彼女は悪い人間ではない。むしろ正義の味方に近い存在であった。

 

 

 彼女を含めた冒険者風の女性4人は、依頼を終え帝都の一等地にある高級宿屋のラウンジで寛いでいた。

 

「……面白いことねぇ……」

 純白の鎧の美女──いや、まだ美少女の方がしっくりくる──は、あまりに大雑把な仲間の言に、若干呆れ気味になっている。

「そう、おもしれーことだよ、ラキュース」

 ガガーランは、右手に持った骨付き肉に豪快にかぶりくと、左手に持った特大のジョッキをあおり、胃袋へと流し込んだ。

 

「ガガーラン、貴女は大雑把すぎるのよ?」

 ラキュースは美しい所作で食後の紅茶を口に運ぶ。

 彼女が身にまとっているのが、純白の鎧ではなく白い美しいドレスを着ているかのような……そんな優雅さだ。冒険者ではなく、いいところのお嬢様といった印象を受ける。もっともそれは間違いないではない。実際彼女は帝国の隣国、リ・エスティーゼ王国の貴族令嬢であった。

 

「そうか? イビルアイみたいに細かすぎて煩く口出しする小姑みたいなやつより、俺の方がよかねーか?」

 今回の旅には同行していない仲間──仮面の凄腕魔法詠唱者(マジックキャスター)──を引き合いに出す。

 

「ガガーランは、声がうるさい」

「うるさすぎ。存在がうるさい」

 同じ顔をした2人……双子の身軽そうな女性2人が、似たような話し方をする。正直どちらがどちらかは区別がつかない。

 

「ティア、ティナそのへんにしてあげて」

「わかった鬼ボス」

「了解。鬼ーダー」

 鬼ーダーは、鬼とリーダーを繋げた造語であり、ちょっと前に噛んで上手く言えなかった時に生まれた言葉だ。 最近お気に入りの1つである。そのうちもとの鬼リーダーに戻るだろう。

 

「誰が鬼よっ!」

「鬼が怒った」

「ラキュース、ジョブチェンジ、鬼」

「もうっ! それ職業じゃないわよっ?!」

 怒りながらも、的確なツッコミで返す。

 

(こんなやりとりしてる3人が、実は暗殺者2人と暗殺対象者だったとは誰も思わないだろーな)

 最後の1本を流し込みながら、ガガーランはふと最初の出会いを思い出す。

「ガガーランが浸ってる」

「似合わない」

 双子のからかいターゲットは、ガガーランに変わったようだ。

「なんだと、こらぁ」

 こんな調子の面々だが、実は優れた才の持ち主達であり、冒険者としての最高位であるアダマンタイト級に認定されているチームである。

 

「……そう言えば面白い出来事があった」

「……そうそう。面白いニュース。興味深い」

「ガガーランにも関係ある」

「そうそう。ある」

 ふと思い出したかのように言う2人だが、最初から話すつもりでいたことは雰囲気からわかる。

「俺に関係?」

「へー、そうなんだ? 気になるわね……どんなことがあったのか詳しく教えて貰える?」

 ガガーランは怪訝な顔をし、ラキュースは興味津々といった様子で2人をみている。

 

「ガガーランの許婚が負けた」

「ガガーランの未来の旦那様が負けた」

 双子の言葉で、ラキュースはピンときた。

「ガガーランの許婚……未来の旦那……様か……わかった!」

 ラキュースの右手は早押しのごとく、テーブルを叩いていた。

「はい、ボスどうぞ」

「リーダー、どうぞ」

 2人はラキュースを同時に指差し、続きを促す。

「武王でしょ? それしかないわ、間違いない……はず」

「正解。そう。さすが鬼ボス」

「正解。さすが鬼ーダー」

「おいっ、なんで武王が俺の許婚になってるんだよっ!」

 ガガーランはようやく反論を挟むことができた。

「体格的にピッタリ」

「ガガーランを抱けるサイズ感」

「たしかに、武王ならガガーランが乗ってもこ、壊れないかも……」

 平然と口にする双子と違い、ラキュースは真っ赤な顔をして、小さく呟いている。なお、蒼の薔薇の一行は、以前武王の試合を観戦したことがあった。

 

「おまえらなぁ……武王はトロールじゃないか。さすがに人以外はごめんだぜ……」

 ガガーランがムッとした顔になる。

「安心しろ。ガガーランもトロール」

「そうだ。進化してる。大丈夫、間違いない」

「種族が違うつーの。進化してもトロールにはならないだろがっ! んで、その武王に勝ったのはどんな奴らなんだ?」

 ガガーランは新たなる強者のことが知りたくなり、真剣な顔で双子を見た。

「……旦那負けたの気になるんだ?」

「ガガーラン、仇討ちする?」

 そんな雰囲気を消し飛ばすかのように2人はからかう。

「ちょ」

 ラキュースが文句を言おうとしたとたんに「奴ら違う」「1人」と真面目な顔で答えるた。

「なんだと!? あの武王をひとりで?」

 ガガーランよりも、スピードとパワーに勝り回復能力まで有している武王に1人で勝てるイメージはわかない。

 

「だとしたら、凄いわね。イビルアイは自分なら勝てるって豪語してたけど……」

「まあ、まともに剣で戦って勝てるとは思わねぇな。するってーと、やはり魔法詠唱者(マジックキャスター)か? だとしても相当な使い手じゃないと無理だな……」

 体力のない魔法詠唱者(マジックキャスター)がたった1人で、武王を倒す姿は想像できなかった。もし出来るとしたら、きっと超越者(オーバーロード)と呼ばれる存在であろうと、ガガーランは考えていた。

 

 

「魔法は使わない」

「剣も使わない」

 予想外の言葉に思考が一瞬止まる。

「えっ? 剣を使わないの? なら武器はメイス? 弓?」

 2人は首を同時に左右に振るが、お互い逆に振っているので、なんとなく可愛らしく見える。

「…………はぁっ? マジかそれ? じゃあ斧とか槍の使い手ってことか?」

「「武器、使わない」」

 双子の声が重なり、ガガーランとラキュースは、目を見開き双子を見つめたまま固まった。





続きます。

久々に女性だけの会話を書いたら、長くなりました。
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