異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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第16話 ダンディなドラゴン?

「じょ、冗談よね?」

「だよな、ハッハッハ。だけどよ、冗談だとしても、タチが悪い冗談だぜ」

 そんな馬鹿なことがあるかと信じられない2人は、いつものように双子が、からかっていると判断したようだ。

「冗談違う。これはマジ。彼は本当に武器を使わない」

「本当だ。そいつは、素手で戦う格闘術"プロレス"の使い手」

 双子の顔も声音も真剣なものであり、さすがに信じないわけにはいかない雰囲気だった。

 

「プロレス?」

「……聞いたことがないわね」

 ガガーランと、ラキュースは顔を見合わせる。素手で戦うといえば、モンクぐらいしか記憶にない。

「とにかく、そいつは見た事のない戦い方で、3戦全勝とか」

「……たった3戦だろ?」

「そうね。相手が弱かったのかも」

 武王を倒している段階で強いことは想像がつくが、だからといって過大評価する必要はないだろう。蒼の薔薇として活動する時も情報は必ず精査しており、鵜呑みは厳禁だった。

「まず、"不敗の剣士"エルヤーなる売り出し中の凄腕剣士のチームをたおした」

「もう1敗の剣士だな」

「チーム相手に1人か……やるわね」

「そのあとは、14対1で勝ったときいている」

 これには2人も表情を変える。

「マジか。やるなあそりゃ」

「どれくらいの強さの相手? ミスリルなんだ。……にしても14人か……」

 個々は劣るとしても、それだけの人数がいれば多彩な攻撃ができるはず。それを素手で倒すというのは、想像がつかなかった。

 

「その後は、武王を圧倒したそう」

「武王の武器を素手でへし折ったり、空を飛んだらしい」

 ガガーランと、ラキュースの顔に戸惑いの色が浮かぶ。

「空を飛ぶ? 魔法も使うのか?」

「それはわからない。でも、飛んだと聞いた」

皇帝(ジルクニフ)のお気に入りらしい。この数ヶ月で帝都ではプロレスを学びたいものが続出してるとか……」

「確かにそれだけの偉業を成し遂げたってんなら憧れの対象になるわな」

「そうね。実力的には、冒険者だとしたらオリハルコンじゃおさまらない……私たちと同じ」

「アダマンタイト級かもしれんな」

 帝国は王国に比べると冒険者の価値が低いとされている。これは街道警備などは、騎士団が行うことが出来るからだ。

 

「これ、みる」

「そう。みる」

 双子は何やら紙を取り出すと、ガガーランとラキュースへと手渡した。

「なになに? ……"武神"ダンディ須永への挑戦者募集中……か。かーっ、武神とはまた凄い2つ名をつけたな……」

「名付けたのは別人で、本人は"ダンディ・ドラゴン"って名乗ってる」

「なかなかの美男らしい。歳的には好みじゃなさそうだけど」

 双子は、片方が女性好きで、もう1人が年下好み。なかなか嗜好に偏りのあるチームだったりする。

 

「ダンディなドラゴン……」

 ラキュースの頭の中に、口髭がおしゃれなドラゴンが貴族服に身を包み優しくエスコートしてくれる絵が浮かびあがる。

(……そんな馬鹿はことはないわね……)

 ラキュースはブンブンと頭を振って自分の妄想を振り払う。そして、あることに気がついた。

「むしろドラゴンって名乗るのが、自信の表れなんじゃないかしら……」

 ドラゴンは強い生物だ。種族として、人間などよりも遥かに格上と言える。

「それにしても、あなた達……情報早いわね」

 ラキュースはいつも不思議に思う。なぜ一緒に行動していたはずなのに、情報を入手できたのか? と。

 

「ふふん。腕が違う」

「そう。違う」

 頭の後ろに、エッヘン! という文字が浮かび上がっているように見えたが、たぶんラキュースの気の所為だろう。

 

「よし、いっちょこの俺……ガガーラン様が挑戦してやっか」

「本気なの、ガガーラン?」

「当たり前だろ。せっかくつえーのがいるってんなら挑戦するのが……」

「「男ってもんだろ?」」

 見事に話の腰を折るダブルアタックが決まった。

「誰が男だこらぁ!」

「よっ、男前っ!」

「さすがっ! 男の中の男」

「2人とも、せめて女の中の男くらいにしようよ……」

 ラキュースまで流れに乗ってしまい。もはや止めるのは本人のみとなる。

「ラキュースっ!」

 抗議の声をガガーランは上げた。

 

 

「あはははは。ごめんなさい」

「くそっ……とにかく俺が1人でやるよ」

「1人で?」

「ああ。……まさか帝国の闘技場に、蒼の薔薇として出るわけにもいかないだろ。色々としがらみがあるんだろうし」

 ガガーランは真剣な顔をラキュースに向ける。

「そうね。私も対戦してみたい気持ちはわかるしね。ガガーラン、私は応援するわよ」

「仇討ち頑張れ」

「旦那のために」

 双子は右手の親指をピキンという音と共に立て、ウンウンと頷いている。気持ちはわかっているから……と御丁寧に顔に書いてある。

 

「だからなぁ……」

 ガガーランは諦めてため息を1つついた。

 

 





なんと、さらに続きます。

彼女たちは動かしやすい……
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