異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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第23話 きょうい

 

「おらあっ」

 須永はもう1発、左手で逆水平チョップ! 

 ……だがその腕は、大胸筋に弾き返された。

 

「誰が大胸筋だって? これは私の胸だあああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 ガガーランの右拳が唸りをあげ、須永の顔面を貫いた……ように見えた。

「くはあっ」

 この一撃に須永はたたらを踏む。

(いってええ。おいおい、防御抜かれたぞ。嘘だろ?)

 須永はかなり驚いた。ダメージを通されるとは思っていなかったのだ。

「コノヤロウ。ぶっころしてやる」

 今度は華麗かつ重厚なワンツー。ドン! ドゴォン! とおおよそ人が発する音とは思えない音が響く。

「ぐ、ぐあっ……」

 またもダメージを通されてしまう。完全に、ガガーランの力を引き出したようだった。

「だありゃあああっ!」

「がふっ……」

 爆弾のような左ストレートを受け、須永が仰け反った。

「ヘイ、ガガー。拳はダメだっ! パーでやれ。グーはだめだ!」

 レフェリーが注意するが、ガガーランは止まらない。

 

「オラオラオラオラっ!」

 どどとっとパンチを連打する。蒼き流星がリングに光る。

「……ワン、トゥ、スリー、フォー!」

 ここはカウント4で拳を止めたので、カウントも止まる。

「誰が、とまるかあっ!」

 しかし、ガガーランはまたまたパンチを乱れ打ち。須永が棒立ちになって連打を浴びてしまう。初のルールだというのにしっかりガガーランは順応しているらしい。

「1.2.3.4」

 レフェリーが先程より早く反則カウントをとる。

「このっ!邪魔すんなっ!」

 レフェリーの腹部に左手でボディブローを叩き込み、一撃でダウンさせてしまう。

「どいてやがれ!」

 さらには、ごく自然な流れでレフェリーを蹴り飛ばす。

「ブ──!」

 この行為にブーイングが飛ぶが、キレたガガーランには関係ない。

「オラオラどうしたこらぁ」

 須永の顔面に次々に拳を畳み込む。

「Boo、Boo!」

 止まないブーイングの中、ついに須永が崩れ落ちた。

「寝かせるかこらぁ!」

 さらに馬乗りになって拳を振るい続ける。

 

「ダンディ! ダンディ!」

 観客からついにダンディコールが送られ始めた。

「うるせえっ!」

 ガガーランは止まらない。

「おら、ガガっ! パンチ使うなっ」

 先に復活したトニー・カンレフェリーが、なんとガガーランのパンチを両手でキャッチして反則を防ぐ。

「邪魔すんなっ!」

 拳を外そうとするが、ガッチリ掴まれ外すことができない。

「次使ったら即反則負けにするぞ。パンチは反則だ」

 毅然としたトニー・カンのレフェリングに、場内から拍手……そして……

 

「トニーぃ! トニーぃ!」

 レフェリーに対する声援まで送られた。須永の一言が原因とはいえ、正義の味方(ヒーロー)を自負するガガーランとしては最悪の、悪役(ヒール)への道を踏み出してしまったようだった。

 

「なかなかやってくださいましたね」

 須永はゆらりと立ち上がり、強い闘気を醸し出す。

「くそっ、まだ立てるのかよっ」

 かなりの手応えがあっただけに、ガガーランとしてはショックだった。

 

「もう終わりですかな?」

「まだだっ!」

 ガガーランは、須永に掴みかかると首相撲から首をとり、膝蹴りを須永の腹部へ、ドゴォン! という音とともに打ち込んだ。

「おらあっ!」

 今度は連打ではなく、タメを作って放つ威力重視の一撃。須永の体が浮き上がる。

「まだまだっ」

 もう一撃。浮き上がった須永が落ちてくるタイミングでさらに追撃。鳩尾を的確にかつ破壊力をこめてうち続ける。

「ぶっ飛べええ!」

 須永の体が3メートル、いや5メートルは浮いただろうか。

 

「おおおっ!?」

 人ってあんな風に浮くんだね……というちびっ子の声が聞こえた。

 

「逃がすかあ!」

 浮いた須永の体へ飛びつき、正面から、両肩へ乗せる。

「だありゃあああっ」

 落下しながら、美しく半円を描いて須永を振り下ろし、後頭部からマットへと叩きつけた。名付けるならば、美しいパワーボムでビューティボムだろうか。

うーん、ガガーランボムでもよさそうだが。あ、それはバレるからダメだ……。

 

「フォールだっ」

 そのままエビに固めて押さえ込む。

「ワンッ! トゥ!」

 これを須永は、カウント2で返す。

 

「だと思ったぜ」

 ガガーランはすぐにロープへと走った。

「たっぷりご馳走してやるぜ。ガガーら、いや"ガルムズディナー"!」

 フルパワーで放つ、全体重を乗せた叩きつけるようなショルダータックル! 

「おあっ!」

 立ち上がったばかりの須永をロープまで跳ね飛ばす。

「だあありゃあああっ」

 そのまま跳ね返ってくる須永に対し、ガガーランはハンマーを叩きつけるようなフォームから両腕を振り下ろした。

 

「いい攻撃です」

「なんだとっ……」

 ガガーランの渾身の一撃を受けて須永は平然と……涼しい顔で立っている。これにはさすがにショックを受けているようだ。

 

「ですが、まだまだ。……では、そろそろ私からいきましょうか」

 

 ここからが見せ場とばかりに須永の顔つきが変わった。

 

 

 

 








触れてはいけないこともある。しかし、引き出すには必要かもしれない。

さて、試合はいよいよクライマックス。次回で試合終了です。

このプロレス色の強い……いやプロレス一色の第2章も残り2話となります。
最後までお付き合いくださいませ。

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