南半球はいい加減な気がするけど……
今回の内容はサブタイトルでだいたいわかると思う。
旗揚げ戦を終えた須永達帝国プロレスは、皇帝の指示により、各都市で興行をおこないプロレスを広めるべく巡業を行っていた。
そんなある夜の出来事だ。
須永は、日課となっている個人トレーニングを終え、楽しみとしている星空を眺めている。彼のいたリアル世界の空では空気汚染が進み、このような満天の星空などみることもできなかった。
「あの星とあの星を結ぶと、ケンカキックの体勢にみえますな。あれはケンカキック座としますか……」
見たことは無いが知識として星座というものがあったことは知っている。今は違う世界にいるので、須永は自分で星座をつくっているが、ろくな星座はない。今あるのは腕ひしぎ逆十字座とか、髪の毛引っ張る座とか……。
「……サインですかな?」
須永はなにかの気配を感じ取り、敵意のない声を出す。実際トレーニング終わりにサインを求められることも多々あり、読めも書けもしなかった帝国文字で、ダンディ須永とサインを書けるようになっていた。
「……君がダンディ須永だね」
音もなく突如姿を現した白金の全身鎧の騎士が、尋ねてくる。
(……見覚えはない鎧だけど、かなりの逸品か……となると……)
須永の見立てでは結構な逸品だ。強者は装備品に比例していることを考えると、かなりの手練だろうと須永は判断する。
「いかにも。私がダンディ須永だ。君は?」
「そうだね、ツアーとでも呼んでくれ」
「……ツアーか。いかにも偽名ぽいですな。それとも、バトルネームか。それで私になんのようですかな?」
須永は警戒を強める。明らかにまともな用とは思えない。
「最近、やたらと君が目立っているようだからね。確かめに来たんだよ」
「ほう……何をですかな?」
だいたい予想がつき、須永は動きやすいように身構えた。
「……君の力をねっ!」
いきなり斬りかかってくる。武王の比ではない高速の斬撃。これと比べたらエルヤーの剣など子供のチャンバラごっこだ。
「っ! らあっ!」
須永はそれを
「……嘘だろ? ……まさか……僕の剣を折るなんて、やはり只者じゃなさそうだね。魔神以上か……」
須永は無言で身構える。
(わからない。殺気は感じないが、今までの相手とは明らかに格が違う)
須永は受けに回らず、攻めを選択する。
これまでに出したことのないキックのコンビネーション。右ミドル・左ミドル・右ロー・右ミドル・左ローさらに左ハイ・右ロー・左右ミドルから左右のハイキックを打ち込み、騎士の鎧を破壊していく。
「烈風正拳突き!」
そして強烈な右正拳突き。ツアーの鎧がベッコリと拳型にへこむ。なお、プロレスルールでは当然反則となるが、これは野良バトルである。
「やってくれるねえ」
しかしこれだけの攻撃を受けてもツアーは平然としている。ダメージが読めない。
「こちらもいくよ」
武器を失ったツアーは、右足で蹴りを繰り出す。速く、重い蹴りだ。
「甘いですな」
須永はこれをキャッチし、ドラゴンスクリューで足を破壊しにいく。
「あぶない技だな……足もげちゃうよ」
ツアーは平然と立ち上がる。
(……本気で足をもぎに行ったんだけどな……)
須永は次の技に移る。
「う、動けない……」
高速で回り込み、羽交い締めにすると、必殺のダンディ・ドラゴンスープレックス!
ツアーを文字通りに地面へ突き刺した。
「どうですかな? がらんどう鎧の操り手さん」
「……こんなに早くバレるとはね。そうさ、そこにいるのは僕であって僕じゃない。それにしても早くないかい?」
「操り手のあなたは気づいてないかもしれませんが、最初の蹴りのコンビネーションは、全て急所を狙ったものです。ローは、普段ならふくらはぎを狙いますが、膝を潰しにいきましたし、ミドルも臓器を潰しにいってます。ハイも当然こめかみを蹴りぬきまさした。ついでに正拳突きは、いわゆる"ハートブレイクショット"ですぞ?」
「心臓狙いか……」
「もう少し操るにしても気をつけることですな……人のフリをするならね。なにしろあまりにダメージが無さすぎましたよ。最後のドラゴンスクリューで確信しましたな。……本気で足をもぐつもりでしたからね」
「これは参った。この力、やはり君はプレイヤーだね」
「なんだと?」
須永はツアーの言葉に驚く。
「ああ、今ので確信したよ。君はユグドラシルから来たプレイヤーなんだとね。100年の揺り返しにはまだ早いからどうかな……っと思ってたんだけどさ、間違いなかったようだね」
「やはり、前にもいたんだな。そうじゃないかと思ってたんだ。六大神、八欲王、そして13英雄……あたりがプレイヤーじゃないかと」
「へえ、そこまで気づいてたんだね」
ツアーは感心していた。
「ええ、1人だけとは思えなくてね。歴史を調べると100年がキーのようだけど」
「……毎回じゃないんだけど、知ってるかぎりではそうだね。ただ、君は早いんだよ……だから僕の中ではイレギュラーなんだ。調べる必要があったのさ」
「イレギュラーですかな。なるほど、数年先には本命が来ると」
須永は心に刻む。須永は1人だが、相手は複数の可能性がある。1VS1ならある程度戦えるかもしれないが、複数なら負けは決定的になる。
「わからないよ。そもそも100年ジャストと決定しているかもわからないし、だいたいユグドラシルから来る段階で、イレギュラーなんだからさ」
「確かに。貴方の言う通りだと思いますよ。ツァインドルクス=ヴァイシオン。
沈黙の時間が流れる。察するに絶句したのだろう。
「……なんでわかるのさ」
「私は皇帝直属なので、わりとイレギュラーにしては情報通なんですぞ。ツアーという偽名、それに白金の鎧。隠すつもりなら色を変えたり、もう少し名前を変えるべきですな。この間の''青の薔薇"のガガーランも、青い道着にビューティ・イチ・ガガでしたが……。それにツアー、貴方がその格好で出歩く? のは初めてでもないのでしょうし。……13英雄の1人だったはず」
「……そこまで、読むかい……君は何者だい?」
「私ですか? 私は……ダンディ須永。プロレスラーさ」
そう、彼は頭の回るプロレスラーである。
この後も、
帝国プロレスに参戦して欲しいキャラクターは?
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ガゼフ・ストロノーフ
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森の賢王
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ラキュース
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バルブロ
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その他