異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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タイトルのわりに帝国プロレスの人出てきません。

しかし、ついにメンバーが……。


第30話 帝国プロレス遠征へ

 

 

 

 リ・エスティーゼ王国城塞都市エ・ランテル。ここはバハルス帝国及びスレイン法国との国境に近く王国の防衛の要である。そのため領主はおらず、王家の直轄領となっていた。この都市はその地域特性から防御に重点を置いており三重の城壁に囲まれている。有事の際は、前線基地もしくは最前線となる場所であった。

 

 最近、活気がなくなっていたこの都市──もっとも王国全体の都市が活気がない──のだが、今日は格別の賑わいをみせている。

 王国各地から……いや、もしかしたら帝国や法国からも人々が訪れており、商店の店主達も大声をあげて、呼び込みに必死だ。

 宿屋は全て満員御礼。市民の中には、部屋を貸して金をとる民泊で稼ぐ者たちもいた。

 多数の来訪者の中には、六大貴族の1人レエブン侯、そして王国の第1王子バルブロの姿もある。

 

 彼らのお目当ては、この都市で初めて、いや正確にはこの国で初めて開催されるとある興行である。

 まあ、実際には都市内でのスペースの確保が難しく、都市外で行われるのだが。

 

 そしてその興行のタイトルは……

 

 "帝国プロレスinエ・ランテル"である。あまりにも素直すぎるタイトルだった……。

 

 都市で配られていたチラシには、場所は"エ・ランテル城門前特設リング"と書かれており、実際に城門にそこそこ近い場所にリングを設置。オープンスペースに座れるようにシートがはられ、即席で何段にも渡るひな壇を設置。遠い観客も高い位置から試合を観られるようになっていた。

 会場は白い天幕で囲われており、ひな壇の存在がなければ、いかにも地方巡業といった雰囲気だったが、四角いリングを囲うように8箇所に設置されているひな壇があるため、屋根のない武道館といった方が近いかもしれない。これはもちろん須永が上級スキルを使って作成したものだ。

 

 さて、ここでチラシに書かれている出場予定選手を一部抜粋しよう。

 まず、ど真ん中に名前と絵があるのは、当然"ダンディ・ドラゴン"ダンディ須永だ。

 上に名前が載るのは、"神を超えた天才"超神・ジーニアス・カイザー。

 ダンディの右側には、"魂の剛腕"ミスター・ゼン、"龍戦士"リューの2人。

 左側には"疾風の狂虎"タイガー・ジェット・ティ、"返し技の達人"レイン の名があり、下には、スメラギ&カスミノと、その他のメンバーの名前が記載されている。その中には、呪怨という怪しげな名前もあった。

 

 基本的にダンディ須永以外のメンバーは、旗揚げ戦でデビューしている。

 ゼンはパワーファイターで、鍛えられた右腕が武器。必殺技は"剛腕ラリアット"。

 リューはバランスの取れたレスラーで、タフネスが売り。切れ味鋭い"斬撃チョップ"を得意とする。

 レインは細身だが、間合いを取るのが上手く返し技が抜群に上手い。必殺技は"レイニーブルー"。

 そして、超神・ジーニアス・カイザーと、タイガー・ジェット・ティは覆面レスラーで、正体は不明。

 また、ティは虎を模した覆面を被り、口に刺突武器を咥えて、ニンマリと笑いながら反則技も使う危険な女とか……。

 

 呪怨は全てが謎。女性ではないかと思われている。

 

「それにしても、王国で帝国プロレスを観られるなんてな」

「今噂のだろ? 帝国に見に行こうかと思ってたんだよな」

「ならラッキーなんじゃないか? 俺っちはこないだの戦争のあと、向こうで治療を受ける方だったんだけどさ……」

 チラシを見ながら数人の男たちが話している声が聞こえる。

「あ、おめえそっちだったんか」

「そうなんだよ。あれは酷かった。怪我はするし、飯は出ねーし最悪だったぜ」

「あらら」

「最悪だな、そりゃ」

 帰還兵の言葉に他の面々は顔を顰める。

「でよ、俺は帝国側で治療受けたんだけど、飯はちゃんと出るし街は明るいし、ついでに帝国プロレスも見せてくれたんだわ」

「なんだよ、そりゃ。厚遇じゃないか」

「敵国の兵にかよ……」

 王国では考えられない話だ。

「なんでも、戦いは帝国と王国の問題であって、民一人一人に敵意があるわけじゃないってことらしい」

「……この国の貴族とは大違いだな」

「だな」

 皆がため息をつく。

「で、帝国プロレスなんだけど、見たことない技の数々でさ。スゲー、すげぇ……って思ってるうちに終わってたぜ」

「そんなにすげーんか」

「ああ。みんなスゲーよ。チラシに名前だけ載ってる前座のメンバーでも、見たことない技つかうし、攻防は熱いし」

 帰還兵は拳を握りしめる。

「絵と名前が出ている人達はさらにスゲーよ。動きが全然違うんだよ。その中で別格なのはダンディさん……ダンディ須永だな」

「だてに真ん中じゃないのか」

「ああ。見て損はないぞ」

「楽しみだな」

 彼らは幸運にも観戦できることになっている。

 

 

 今回の興行は、建前上だが招待主のレエブン侯が主催、この地を管理する王家も公認の興行となっている。

 実際には負けた王国が飲まされた条件に追加されていたのたが、慰問目的と言われては敗者側は何も言えない。

 また、会場警備には帝国側出資者の依頼により王国の冒険者がつくことになる。目と鼻の先とはいえ、城外で行われるのだ。当然警備は必要であり、冒険者組合も受け入れるしかなかった。

 

 

「ったくよーなんで俺らまで」

 ずーっと文句を言っている冒険者が1人だけいた。エ・ランテル最高ランクであるミスリル級冒険者"クラルグラ"のリーダー、イグヴァルジだ。

 

 彼は設置が終わったリングサイドで腕組みをしながら、無人のリングを睨んでいる。

 

「ずっとそればかりだな。イグヴァルジ」

「……モックナックか。お前はこんなつまらない仕事で満足なのかよ」

 イグヴァルジに声をかけたのは、同じくミスリル級冒険者チーム"虹"のモックナックだ。

「報酬は悪くない。それに噂じゃかなりの手練揃いらしいぞ。帝国プロレスの面々は。警備担当とはいえ、試合をみることはできるだろうしな」

「プロレス……真剣勝負ではないショーだと聞くぞ?」

「ルールの中でいかに魅せるかという話だ。新しい文化らしいから、古い人間には理解できないとか……」

「俺が古いってのかよ?」

「俺だって大差ないさ。ただ、世の中は常に変わっていくわけだろ? この王国だって人類誕生からあるわけじゃない。たかが200年だ」

「まあ、そうだけどよ」

「もしかしたら、これから先には領主が違う種族になるとかありえるかもしれん。ま、新しいものを受け入れる気持ちくらい持てよ。固執しすぎると、生命に関わるかもしれんからな」

 モックナックは笑いながら、ぽんとイグヴァルジの肩を叩き持ち場へと戻っていった。

 

「チッ……面白くねぇ」

 腹いせに思いっきり殴る。

「いってえええ……」

 ロープは硬い。

 

「頭に不安があるが、アイツは使えそうだな……」

 天幕に隠れ様子を見ていた男はそう呟き、使いを送ることを決めた。

 

 

帝国プロレスに参戦して欲しいキャラクターは?

  • ガゼフ・ストロノーフ
  • 森の賢王
  • ラキュース
  • バルブロ
  • その他
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