異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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第45話 X1登場

 トーナメント1回戦第2試合 タイガー・ジェット・ティ VS X1

 

「さーて、誰が出てくんのかなぁ?」

 先に入場したタイガー・ジェット・ティはロープに色っぽくもたれかかりながら、対戦相手が登場するのを待っている。

「ま、誰が来てもティ様の敵じゃないけどねー」

 闘技場では対戦相手が当日発表などはザラだったので、観客達はある意味なれているが、帝国プロレスでは初の演出であり場内には緊張感と期待感が満ちている。

 

「それでは……」

 アナウンスに被せるように曲がかかる。

 

「SWO……」

 低い声が最初に聞こえ、そこから戦慄が走る。小気味よいリズムの入場曲に乗って姿を現したのは黒いドラゴンマスク。全身を黒でコーディネートし、ロングパンタロンには紫のサイドラインが入っている。

「だれ?」

「誰だろう?」

 ザワつく観客席を無視して、黒いドラゴンマスクはロープをひらりと飛び越え華麗にリングインし、両手を広げてアピールする。

「どうしたオラ、歓声が足りねぇ、歓声が!」

 謎のドラゴンマスクは悪っぽいセリフを吐くが、聞き覚えのある声だな……と観客の誰もが思った。

 

「おいっ! お前、スナっちゃんだろ?」

 いつの間にかマイクを手にしたティが、マスクマンを指差しながら鋭く指摘する。

「なんのことですかな? 私はダースドラゴンですが」

 その声は明らかに須永のものだった。

「お前……喋り方も声も同じだなんて、舐めてんのか? せめて声音かえるとか、喋り方かえるとかしろやっ! ご丁寧にサイドラインに紫までいれて隠す気ないだろう? 」

 紫は須永のパーソナルカラーであり、帝国プロレスでは他に誰も使わないようにしている色だった。

「細かいツッコミですなぁ。私は須永の友人で"ダースドラゴン"と申すもの。けっして、ダンディ須永ではありません。よく声は似ていると言われますが、他人の空似ですなぁ……」

「とぼけてんじゃねぇ。そもそもそのドラゴンマスク自体スナっちゃんのオーバーマスクの色違いじゃない」

 ティはさらにツッコミを入れる。

「本当に細かいですなぁ。あんまり細かいと、めんどくさい女と思われて嫁の貰い手がなくなりますぞ?」

「ちょ、ちょっとちょっと。私ずっとモテ期なんですけどぉ? こんないい女つかまえて、嫁の貰い手がない? ふざけんじゃねーよ、須永!」

 珍しくスナっちゃんと呼ばないくらいにティはぷりぷりしているらしい。

「ほう……キャラに似合わず嫁には行きたいのですな。だったら乱暴な言葉遣いはよくありませんなぁ」

「キャラに似合わずとは、なんだこらぁ……ハッ」

 見事に乗せられてしまうティに、場内から笑いがもれる。

「それと、もう1つだけ言っておきましょうか。顔が見えないとダメじゃないかなと思うんですな」

「って覆面被って出てきたお前がいうか? それに私にマスクマンいや、マスクウーマンになれっていったのスナっちゃんじゃないの」

「だから私はキースドラゴンです」

「名前変わってんじゃん!」

 的確すぎるツッコミに場内は爆笑の渦に。

「って……だから、なにしにきたのよ? 私の対戦相手は誰なのさ」

「おお、そうでしたな。それを伝えるためにきたのを忘れてましたな」

「わすれてんじゃねーよ。舐めてんのかぁ?」

「しかたありませんな。発表するとしましょうか。タイガー・ジェット・ティの対戦相手……Xは……」

 須永はタメを作ってもったいぶる。

 

「そこまでだよ、ダンディ。それは私の仕事だ」

 お馴染みの声が響き、テーマ曲とともに皇帝ジルクニフが登場。場内はいきなりMAXボルテージ。第2試合ではやくも降臨である。

「やあ、諸君待たせたね。ジルクニフだ」

 なんとなくいつもよりお疲れの皇帝はあっさりした挨拶をする。

「では、さっそく選手を発表しようじゃないか。出ろおおお……森のケンオウ!」

 ジルクニフは指をパチンと鳴らす。

「うぉぉぉぉおお!」

 リング下からデカい丸っこいものが飛び出すと、ボンとリングへと飛び乗った。

「それがしは、森の賢王改め、森の"拳王"名をハムスタというでござる」

 ハムスタの姿は文字通り、ハムスター。ジャンガリアンハムスターだった。ただし巨大である。少なくとも高さでゼンと同格以上。幅はハムスターらしくずんぐりとデカい。おかげでリアル世界よりも広くしたリングが狭くみえる。

「よろしくでござるよ」

 シュッシュと華麗なワンツーをシャドーで披露。さすが、森の拳王。威厳溢れる魔獣だといや、聖獣だと客席がざわざわとしている。

 ちなみにハムスタはハムスターの略ではなく、ハムスターのファイターの略でハムスタというリングネームとなったそうだが、そもそもハムスターという言葉がこの世界にないので、誰もそんなことは考えない。

 凄い聖獣でハムスタ……森の拳王だけあって強そう……という反応がほとんどだった。

 

「ハムスタ、ティを痛めつけてやれ」

「はいでござる。師匠任せるでござるよ。ハムスタの必殺パンチをお見舞いするでござる」

「いや、それ反則ですな……」

「そうでござった」

 

 第2試合は、タイガー・ジェット・ティVS ハムスタで決定。まもなくゴングが鳴る。

 

 

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