先に入場したタイガー・ジェット・ティはビキニアーマー風のコスチュームを着用しており、ボディラインがハッキリと分かる。多くの男性ファンはティに釘付けだった。それを意識しているのかどうかはわからないが、彼女は色っぽくロープにしなだれかかりながら対戦相手を待っている。セコンドには妹のライオネス・エンリがつき、帝国プロレスの公式シャツと、運動用ズボン姿で姉を見守っている。
「おい、水」
「はい、姉様」
すかさず水の入った瓶を手渡す。動きに澱みはなく、機敏な動きだった。水と言われた時にはすでに手に持っていたのだから、思考を先読みしていたのだろう。ティとエンリの間には強固な絆があるような気がする。
ティは満足げに頷き、乱暴に瓶を放る。エンリがキャッチすると信じて。……実際には地面すれすれのところで、なんとかダイビングキャッチしたのだが。
「続きまして、超神・ジーニアス・カイザー選手の入場です」
タラララン! タラララン! と、テンポのよいイントロが流れ、手拍子しやすいリズムの曲が流れる。気待ちが昂るヴォーカルに乗って、ジーニアス・カイザーが花道に姿を見せた。
いつものように真紅のマントを靡かせ、金銀の色をふんだんに使ったマスク。そして今日はタイツこそ金銀だが、上半身はむき出しだった。やや褐色気味の肌にムッキムキの筋肉ボディ……やたらとパワーがありそうなカイザーがそこにいた。……いやカイザーなのか?
観客も異変に気づきザワザワしている。いつものカイザーは、繊細さを感じさせる貴公子なのだが、今日は力強さを醸し出す筋肉ボディのファイターである。どうみても……別人に見えた。
「おいおいおいおい? ちょっとまて! 誰だ、お前?」
リングインしたところで、ティがマイクでアピールする。
(おんや~そういえば、この前もこんな展開じゃなかったっけ?)
実はその通りである。演出側として見た場合、マイクの扱いはティが一番上手いのだ。アクターとしての際立つ才を見せる須永や皇帝を除けばの話だが。
「私は、超神・じ、ジーニアス・カイザー……だな……だったかな」
カイザーは低い声で、不安げに答える。いつもの繊細な感じはまるでなく、近くでみても明らかにゴツい。
「せめて自信持って答えろよ……だからお前誰だよ? 明らかに私が……いや、お客さんが知ってるカイザーじゃないだろ!」
「そうだそうだ!」
観客の声がティの指摘を後押しする。
「わ、私は超神・ジーニアス・カイザーだ……」
「歯切れわるいなぁ……どうみても明らかに別人なんですけど。だいたいマスクから見える髪、いつもは金髪なのに黒髪じゃん。中身違うよね? いつものカイザーよりもだいぶ逞しい……し」
細かいツッコミをガンガンいれるティは、クルリと貴賓室の方へ向き直る。
「おい、皇帝! ……出てこいやっ!!」
セリフをパクった上で、なんと皇帝を呼び出すという前代未聞のパフォーマンスをみせた。
「おいおい、それは私の専売だよ。勝手に使ってはいけないな」
ジルクニフが姿を現す。
「そんなことはどうでもいいけどぉー。コイツ誰だよ?」
「どうでもよくはないぞ? 大事なことだからもう1度言ってやるが、そのセリフは私の専売なんだ。勝手に使うんじゃない」
「いやいや、今大事なのは……出てこいや! の話じゃないのよ。わかる? 大事なのはこれが誰か? ってことなの」
しれっと話に混ぜた上にしっかりとイントネーションを真似するところがティらしさだ。
「……また使ってるし。給料から使用料引くぞ?」
「セコいよ、ジルクニフ……」
「こら、名前で呼ぶんじゃない! 陛下と呼べ陛下と」
「へいへい……か」
明らかにおちょくっているが、ジルクニフは無視することにした。
「話を元に戻す。彼が誰かって? 何を言っているのやら。彼は超神・ジーニアス・カイザーだよ。なぁ?」
リング上のゴツいカイザーは腕組みしながら、そうだと頷く。
「いやいや。絶対違うだろ?」
「仕方ないな。では、彼はパワーアップしたんだよ。超神・ジーニアス・カイザー・グレートだ。それでいいだろ。早く試合を始めたまえ」
ジルクニフはそう言って引っ込んでしまった。
「あ、おいっ! まだ話は終わってないんですけどぉ? ねえ、こんなのあり? トーナメントなんですけど」
「決まったんだから頑張ってくださいな」
今日は試合がないダンディ須永は解説席に座っていたが、一言そう告げた。
「このようなファンタジーなところもプロレスの魅力なんですよ」
第一人者がそう片付けてしまえばそこまでである。
準決勝第2試合は、タイガー・ジェット・ティVS超神・ジーニアス・カイザー・グレートという組み合わせでまもなくゴング。
すでに登場しているキャラで今後活躍を期待するキャラは
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タイガー・ジェット・ティ
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ライオネス・エンリ
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ハムスタ
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ミスターBOバルブロ
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その他→活動報告へ一言ください