異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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第57話 疑惑のマスクマン2

 準決勝第2試合 タイガー・ジェット・ティ VS 超神・ジーニアス・カイザー・グレート

 

 やたらとムッキムキになったカイザー。彼はパワーアップして超神・ジーニアス・カイザー・グレートになったらしい。ギミックとしてそう設定され、帝国プロレスを管理するツートップに認定された以上は受け入れるしかない。

「頑張れ、頑張れグレート!」

「俺もパワーアップしてグレートになりたいや」

「僕が先だよー。頑張って、グレート!」

 甲高い声援が飛ぶ。まず、真っ先に受け入れたのは、カイザーファンの子供たちだった。彼らにとってカイザーは英雄(ヒーロー)だ。ピンチになればなるほど力を発揮するカイザーは、彼らを常に勇気づけている。

 

「チッ、やるしかないのか」

「そういうことだ」

「あんたが誰だかは知らないけど、このリングに立つ意味を知ってて、覚悟はできているってことだよねぇ?」

 ティは最後に大事なことを確認する。

「ああ。俺はいつも覚悟を持って戦場に立ってきた。それはこのリングという場所でも変わることはない。俺は超神・ジーニアス・カイザー・グレートとして、タイガー・ジェット・ティ殿との一騎討ちを望む」

「ははっ……なんか、レインに似て堅いねぇ。まあそういうの嫌いじゃないよー」

 ティは対峙している疑惑のマスクマンに好感を持つ。武人という言葉がピッタリなこの男に。

 

「エンリ、この試合しっかりとみておきな」

「は、はい。姉様」

 エンリはその言葉の意味を理解する。姉は相手を強敵とみて、凄い試合になるかもしれないから、見逃すな。そしていつかはこれを超えてみろと言いたいのだろうと。

 

 試合開始のゴングが鳴る。

 

「様子見なんかしないよ」

 いきなり右足でマットを蹴り高速で突っ込むティ。グレートもそれに反応する。

「らあああっ!」

 ティは易々と懐に飛び込むと、右の正拳突き! 

「ぬんおおおおっ!」

 それをグレートは分厚い大胸筋でこともなげに跳ね返す。

「なにいっ?」

「お返しだああ」

 ブンと大振りな、打ち下ろしの右拳が唸りを上げる。

「なめるなああっ!」

 ティはそれをあえて受け、微動だにしない。

「な、なんだとおっ……」

「御生憎様。その程度のしょっぱい打撃には慣れてるんだよっ!」

 左足の裏でカイザー・グレートの顔面を打ち抜くトラースキック。グレートの体が大きく仰け反る。ティは側転して右へ移動し、反動をつけたオーバーヘッドキック! エンリと同じ技だが、しなやかさスピード……そしてパワーが段違いだった。

「おごっ……」

 顎を蹴り飛ばされ、グレートの膝がガクガクとなる。

「そらっ!」

 ティは跳躍し肘を落とす。

「甘いわっ!」

 その体を空中で掴み、グレートはそのまま急角度のバックドロップ! 

「がっ……」

 しかし、ティもただやられることはなく、受け身と同時にくるりと丸め込みフォールへ持っていく。

「なんとおっ!」

 カウント2.5ではね返し、そしてすかさず右肘を落とす。

「うぐっ……でもねっ?」

 ティはその腕を掴み腕ひしぎ逆十字固めに取る。

「させんっ!」

 さっと手をロックし、腕ひしぎをブロックしつつ体勢を修正。体を入れ替えて上になるとぐいっと腕力で持ち上げ、グレートは勢いよく頭からマットへ叩きつける。

「いたっ。なかなかやるじゃん」

 ティは技を解いておらずそのまま両足でグレートの頚動脈を締め付ける三角絞めに移行する。

「ぬぐっ……なんというテクニック……これが帝国プロレス……か」

 堪えつつ、一気に持ち上げてジャンプ。空中でティの頭を両足で挟み込み、尻餅をつきつつ豪快に後頭部を叩きつけた。以前ジルクニフが、襲撃者に繰り出したエンペラーボムと同型の技だが豪快さで上回る。ジルクニフが、ズバン!なら、グレートは、ズッダーン! ズズン!という感じだろうか。

 

「これがカイザーボム!」

「がふっ……」

「フォール!」

 呻くティをそのまま押さえ込むが、なんとカウント1が入る前に弾き飛ばされた! 

「な、なんとっ?」

「だから言ったよねー。なかなかやるよーだけど、その程度は慣れてるんだよ。確かに今までのカイザーと比べたらお前はグレートだよ。段違いのパワーさ。でもね……それはあくまでもカイザーと比べての話なのさ。このリングには、あんたのパワーを上回るやつがゴロゴロしている」

 かなりの猛攻だったはずだが、ティはケロリとしている。

「なるほどな。俺は井の中の蛙だったというわけか……ふっ……王国が負けるわけだな」

「おんやあ? 帝国の人じゃなかったのかなー」

 ティはおどけつつ、今のやりとりでグレートの正体を確信した。

(なるほどねー。スナっちゃん達も苦労してんなぁ……。ま、私としては楽しめればいいんだけどー)

 実際ティはこの試合を楽しんでいる。未知の強者との戦いを。

「……俺は、超神・ジーニアス・カイザー・グレートだ。この帝国プロレスの人間だよ」

 これは合格点の切り返しと言えるだろう。

「さて、両者準備体操は終わったようですな」

 解説席に座る須永は、ここまでの戦いをそう表現した。そう……まだまだ試合は始まったばかりなのだ。

 

 

 

 





この話はスピード感を重視した書き方なので、細かい描写を省いてみました。

すでに登場しているキャラで今後活躍を期待するキャラは

  • タイガー・ジェット・ティ
  • ライオネス・エンリ
  • ハムスタ
  • ミスターBOバルブロ
  • その他→活動報告へ一言ください
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