異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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第60話 フィニッシュ

「ぬんっ!」

「せいっ!」

 同時に組みにいくが、上手くポジションをとったのは、グレートだった。ティを首相撲でつかまえると膝蹴りを連打して頭を下げさせ、そのまま脇に抱えると、後方にドンッ! と倒れてティの頭をリングへと打ちつける。

「今のはDDTですな……」

 解説席の須永が聞きなれぬ技名を口にする。DDTはポピュラーな技であったが、何故か今までの帝国プロレスには使い手がいない。 受けのタイミングに慣れてないティのダメージは軽くはなかった。しかも、グレートはその体勢のままティを抱えて立ち上がり、もう1発さらにエグい角度、ティを頭頂部からリングへと串刺しにする。

 

「ぐ……」

「決めにいくぞっ!」

 グレートは初めて客席に対してアピールしてみせた。

「グレート! グレート!」

 それを大グレートコールが後押しする。観客の期待はグレート勝利へと傾いたのか。

 左手でマスクをつかんで起こすと、右腕をふるい叩きつけるようなラリアット! 

「がっ……」

 しかしティは堪え倒れない。 やはりラリアットに対しては耐性が出来ているのだろう。威力もフォームも色々だが、経験値があるのは大きな財産だ。

 

「やるじゃんっ! なら私もっ! 斧爆弾(アックスボンバー)!」

 初公開となるティのアックスボンバーは、須永とは違って下顎を打ち抜くような軌道で放たれた。

「ぐっ……ぬうおおおおおおお!」

 これは意地で耐えるが、関節技で痛めつけられていた膝はガクガクと揺れている。

「もらいっ!」

 ティは足をとるべく低い体勢でタックルに入ったのだが、それをサッとかわされ腹部を掴まれ仰向けに担ぎあげられた。膝が揺れていたのはブラフだったのだろうか。

「ぎぎっ……ぐっ」

 グレートの左肩を起点にティの背中が折り曲げられ、上下に揺さぶられる。揺さぶられる度にティの顔が歪み呻き声が漏れる。

「ほう……カナディアンバックブリーカーですな」

 バックブリーカーとは背骨折りという意味合いで、いくつかの種類がある。そのうちの一つがこれだった。

「ティ、ギブアップするか?」

「ノーに決まってるだろうがっ……ぐぎぎぎっ……」

 ティはレフェリーの呼びかけを拒否しこれを耐える。グレートは、その後もしばらく揺らし続けていたが、やがて決まらないと判断しもう一つの技へ移行する。

「くらええええええっ!」

 バックブリーカーの体勢から前に落とし、この試合何度か見せているパワーボムで叩きつける。この技の名称はサンダーファイヤーパワーボム……彼はボムにこだわりを持っているのか。

「くあっ!」

 ティはカウント2.8でブリッジして跳ね返す。

「ならばっ!」

 もう一度カナディアンバックブリーカーの体勢に持ち上げ直すとジャンプして膝から着地しつつ、サンダーファイヤーの形で叩きつけ直す。先ほどより高さがあり、叩きつける角度がエグい。これはサムライボムと呼ばれる形だが、本人は狙ったわけではなく威力を高めようとしただけだった。

「くうっ……」

 これはなんとかカウント2.9で返す。

「もう一度だ」

 もう1回持ち上げようとするがこれはティが上手く切り返し、前屈みにさせたグレートの両腕を逆羽交い締めのように決めて、一気に持ち上げた。

「タイガードライバー!」

 落下させながら両手を離して叩きつけ、そのままエビに固める。

「ワンッ! トゥ! スリッ」

 カウント2.98というところで、ギリギリ返す。

「ちぇーとっておきだったのに決まらないかー」

 初公開の大技で決めたかったのだろう。セリフは気軽な口調だが、顔には残念な気待ちがわかりやすく浮かんでいる。

「今度はこっちの番だっ!」

 またもや肩まで担ぎあげる。

「これでフィニッシュだ!」

 担ぎあげたまま、助走を1、2、3とつけてグレートは一気にティを叩きつけ……るはずだった。

「甘いよねー……」

 くるりと超高速ウラカンラナで丸め込む。

「ワンッ! トゥ! スリ」

 これをカウント2.9で右肩をあげて返す

「んふふ……まだ元気だねえ」

 はね上げた右腕を素早くとらえると、腕ひしぎ逆十字をきめる。

「ぐうっ……」

 必死に体をバタつかせてロープへと逃げるグレート。ロープに近い右足を伸ばすが……。

「大人しくしてなよー」

 その足もまとめて極められてしまう。

「これがダブル・ジェット・ロックだよー」

 この世界では、ティのオリジナルホールドとなるダブルジェットロック……須永のいた世界での名は……ドリカン・ニーサレンダーと呼ばれる技だった。相手を降伏させるという意味があるらしい。

 

「ぐあああああああああああっ!」

 元々痛めつけられていた右腕と右膝が完璧にきめられてしまった。

「ぐあああああああああ……」

 悲鳴に力をがなくなり……そしてグレートはタップアウト……ギブアップを宣言した。

 

「楽しかったよ、グレート」

 手を貸してグレートを起こす。

「こちらこそだ」

「あんたなかなかやるね……」

 ティはグイッとグレートに近づきなにごとか耳元で囁く……。

「じゃあまたね、グレート。次どんな形で会うかはわからないけどさ。再戦楽しみにしてるわ」

 ティは投げキッスのサービスを残し、花道へと消えた。

 

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