今回はオーバーロード側の回。
珍しく仕事モードのジルクニフ登場。
ここは、帝都皇城内にある帝国会議室。大・中・小の三つの部屋があり、この日使われているのは、中会議差だった。
40人ほどの人間が着座できる空間に、今は6人が集まっている。人数からすれば小会議室でよいのだが、ある理由からこの場所を使う必要がある。
会議室の一番奥、大理石製の長机の上席には、皇帝専用の豪華な椅子に腰かけるジルクニフ。その傍らには、警護役を兼ねるダンディ須永が立ち、睨みを効かせている。この場に皇帝を害する者はいないだろうが、それでも信任厚い須永が控えていることは重要な要素だ。
その他の参加メンバーはリザードマンが2体に巨大なハムスター。さらには虎覆面の女性とバラエティに富んでいた。そう、おわかりかもしれないが、小会議室ではつっかえて入れない者がいたので、この部屋を使うことになったのだ。
ちなみにこれは帝国プロレスの会議ではなく、バハルス帝国の会議であることを強調しておく。
「よく集まってくれた。みな無事でなによりだ。それでは、それぞれの進捗状況を聞かせてもらおうか」
ジルクニフはいつになく真面目な顔だ。これは公務なのだから、半分楽しみでやっている帝プロの時とは違うのは当然なのだが。
「それでは、まず私から報告いたします」
リザードマンのリューが立席し口火を切る。
「リューではなく、リザードマンとの交渉担当であるザリュース・シャシャとしての報告になります」
ザリュース・シャシャは、リザードマンの部族の一つ
「ザリュース・シャシャ、報告を聞こう」
「それでは。私の兄シャースーリュー・シャシャをはじめとしたリザードマン五部族の会議により、リザードマンは全部族一致で、バハルス帝国の庇護下に入る事を決めました。代表者……恐らく我が兄が、後日正式にご挨拶に伺いますが、まずは先に私の口からご報告させていただきます」
「うむ、よき選択だな。歓迎しよう。ザリュース・シャシャよ。よくやってくれた」
ジルクニフは満足気に頷いた。
「ありがとうございます。陛下」
「ダンディ、彼らに魚の養殖術でも教えてやってくれ。食糧が安定しないと大変だからな」
「かしこまりました」
須永はうなずき、報告を終えたザリュースは一礼して着席する。
「それじゃ俺だ。ミスター・ゼンではなく、広域担当ゼンベル・ググーとしての報告だな」
入れ替わるように立ち上がったのは右腕が発達したリザードマン。彼はザリュース同様にリザードマンの旅人であり、長く離れてはいても
「ゼンベル・ググー、報告を聞こうか」
「おう。おれはリザードマンの件は途中からはザリュースに任せて、その間に以前行ったことのあるドワーフの国へ行き、交流をもてたぜ。奴らは元々帝国とも交流があったんだよな。奴らも交流再開を望んでいるそうで、皇帝陛下によろしく伝えて欲しいと。あとついでに、クワゴアとかいう部族とも接触中だ」
「ほう……顔に似合わず意外とやるな」
ジルクニフは本音を口にする。
「こう見えても結構器用なんだぜ。ドワーフはともかく、クアゴアは人と絡むことはなさそうだったな。ただドワーフとクアゴアは仲が悪いらしい。両方と平和に交渉ってのは難しそうですぜ」
「なるほど頭にいれておこう」
ジルクニフはゼンの評価を修正する。
「続いては某でござるな」
巨大なハムスターが意気揚々と話し出す。彼女は、かつては森の賢王として、トブの大森林の南部を支配していた。帝国プロレスによるカルネ村での村おこしプロレスの際に須永に挑み、蹴散らされて以来須永を師匠と慕いくっついてきた。
「ケンオウか」
ジルクニフはさすがにあまり期待していない。
「某は師匠とともに、トブの大森林を巡回。森を支配していた東の巨人を成敗。西の魔蛇とは盟約を結んだでござる」
「盟約を?」
「はいでござる。魔蛇殿はナーガだったのでござるが、話がわかる御仁でござった」
ハムスタはどうだ参ったかと言わんばかりの顔つきだった。
「ナーガか。やはりあの森は危険な場所なのだな」
「そうですな。ですが魔蛇殿の協力と私が多少の仕掛けを施しましたので、周囲の村が襲われることは早々ありますまい。あたりの開拓村には帝国プロレスの予備軍を修行のために配置してありますし、最悪住民が避難する時間くらいは稼げるでしょう」
須永はハムスタの報告をフォローする。
「あいわかった。ケンオウ、ご苦労であった」
「ありがたき幸せでござる」
「うむ。では、ティと須永以外は退席してくれ。褒美はあとで届けよう」
リュー達が去り、この場には人間種のみが残る。もっとも須永は違うのだが。
ついに明かされた彼らの正体。
まあ、皆さんわかってましたよね……。隠す気はなかったですし。
ティが残された理由は次回にて。
グリーンクロー と打とうとして、 グリーン・アローと打ってしまう。
やはり染み付いているらしいです。