異世界プロレスinオーバーロード   作:NEW WINDのN

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救いの神現る。


第86話 待ち望んだ朗報

「陛下! バハルス帝国から!」

 取次役の兵士が慌てて走り込んできた。

「バハルス帝国がどうしたのじゃ?」

「は、申し上げます。バハルス帝国より援軍が!」

「なんと! それはありがたい。早速代表者を通すのじゃ」

 女王ドラウディロンは、ほっと今はない胸をなで下ろす。少なくても、ねっちょりとした視線を送ってくるセラブレイト相手に夜伽をする必要はなさそうだ。

 

「援軍はどれくらいくるのかのう?」

「バハルス帝国は全部で10軍団あるはずですよ。軍団はひとつは確か万で構成されているはずですから、最低でも1軍団……1万はいるかなと」

「かなりの出費になりそうじゃな……」

 ドラウディロンはため息をつく。

「仕方ありません。国を守るためですから……」

「国防を他国に任せないといけない状況だからのう……」

 二人はああでもないこうでもないと、支援に対する礼を考えて意見交換を繰り返す。やがて……。

 

 

「申しあげます。バハルス帝国の代表の方をお連れいたしました」

 先程の兵士が戻ってくる。

「おお、これへ」

 兵士が連れてきた代表者は三人の男性だった。

 

「よくぞ参った。帝都からは遠いであろうに」

「お気遣いありがとうございます。竜王国の危機と聞き、陛下の命により馳せ参じました。私はダンディ須永と申します」

 顔を上げ挨拶をしてきた男──恐らく20代後半から30半ばだろう──を見た瞬間女王ドラウディロンの体をビリビリとしたものが走る。

(なんじゃ、この感覚は……物凄く惹かれるものがある)

 女王は戸惑うが、それをかき消すような大声が、宰相から発せられた。

「ダンディ須永!? ってあのダンディ須永ですかっ!」

 宰相は興奮を隠せないでいる。

「"あの"が、どのようなものを指すかは存じませんが、私がダンディ須永その人でありますぞ」

「宰相、知っておるのか? そこな御仁を」

 女王は血が騒ぐのを感じている。何故かはわからないが、とにかく本能的に惹かれている。

「陛下……なにを言っておられるのか。まさかダンディ須永を知らないとは……情けなや。ダンディ須永といえば、闘技場無敗の帝国最強の男であり、武神とまで称される帝国では知らぬ者はいない超有名人ですよ。格闘術プロレスの使い手で、帝国で大人気の帝国プロレスの創始者にして、絶対エース。初代チャンピオンであり、プロレスでも無敗のスーパースターですよっ!! 愛と勇気と希望を与えるスーパーヒーロー! "ダンディ・ドラゴン"とは、この御方だああああっ!」

 異常に詳しすぎる説明だった。しかも最後はなぜか歌舞伎調。もしかして彼はプロレスファンなのだろうか。

「そ、そうなのか……それは凄い御仁なのだな」

「何を言っているんですかっ! 凄いという言葉が陳腐に聞こえるほど、凄い御方なんですよっ!」

 もはや宰相は意味がわからない領域に達している。

「結局凄いで間違ってないではないか」

「違います。ただの凄いじゃないんですよ、凄いをすっご──く超えた凄いなんです!」

「はは。過分な評価をいただき恐縮ですな。ま、たまたまですよ」

 須永の謙遜に同行していたメンバーが、オイオイという顔をしている。

「そうか。是非詳しい話を聞きたいのう。二人きりで話そうではないか、今夜にでもどうかえ?」

「陛下、ヨダレ」

 小声で宰相が注意する。

「い、いかん。宰相の興奮が移ってしまったぞ。ダンディどの、是非に。ちなみに、やはり大人の方がよいか?」

「まあ、それくらいでしたら構いませんが。……質問の意味がわかりかねますが、私は子供のファンも大事にしていますぞ。もちろん、大人のファンも大事に扱わせていただいてます。とにかくまずは、この国に平和をもたらしてからですな」

「平和を?」

「ビーストマンなど我らにお任せください。この国の民が安寧に暮らせるようにしてみせましょう」

 須永は自信たっぷりである。

「それは頼もしい……して、今回の援軍の数はいかほどなのかのう?」

「そうですな……ひいふうみい……七人ですかな」

 予想外の答えに女王と宰相は言葉が出ない。

「……え?」

「まあ、正確には六人と一匹または一頭なのでしょうが、七人でよいかと」

 須永の余裕のある受け答えに自信が見える。

「な、七人? たったの?」

「最低でも、一万の軍勢ではなかったのか宰相」

「は、はあ……」

「陛下、ひとつお忘れのようですが、数も大事ですが、質は大事な要素ですぞ。我々はたった七人かもしれませんが、万の軍勢に勝ります。それに兵は神速を貴ぶと申します。今回の移動速度に耐えられるのは我々だけでした。さて、二人とも、挨拶を」

 須永に促され、二人の男が一歩前に出る。

「女王陛下お初にお目にかかります。私はガゼフ・ストロノーフと申します。全力を持って貴国のために戦うことを誓いましょう」

「ガゼフ・ストロノーフ! あの周辺国家最強といわれた王国戦士長の!」

「今はただのガセフでございます。もはや最強ではありませんし」

 宮仕えが長いだけに、名を知られていたようだ。

「同じくお初にお目にかかる。私はブレイン・アングラウス。ただの元剣士です」

「おお、戦士長と互角に戦ったという!」

「やはり、ガセフの相手として知られていましたか」

 ブレインは苦笑するが、二つ隣の国にまで知られていたことは嬉しかった。何より須永を知らない女王が、ガゼフとブレインを知っていたことにひとつだけ勝ったという思いがある。

「この両名をはじめとした精鋭を早馬にて引き連れて参りました。ビーストマン程度我々の敵ではないでしょう。では、明朝征伐に出立いたします」

「頼もしい限りじゃ。よろしく頼む。そなたたちを派遣してくださったジルクニフ陛下にも礼を言わねばなるまいな」

「かしこまりました。なお、陛下はこのようにおっしゃられておりました。『隣国が援軍を必要とするならば、喜んで送ろうではないか。ダンディよ、二度と援軍の必要がないくらいまで、ビーストマンどもを叩きのめしてこい!』と」

「なんと強気な……」

 女王は皇帝の覇気に驚く。そしてそれが可能なのが、選ばれし者達なのだと知った。

 

 

 

 

 

 

 

 





どなたかの創作……だったかな?
女王と宰相がプロレス技をかけ合うようなシーンを見たことがあります。

宰相のダンディへの反応はその辺から来ているんですが、作品名が思い出せない……。
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