今回は暴れます。
被害が最大……。
「人の強さを思い知らせますぞ。今被害にあっているのは隣国ですが、ここを抜かれれば次は我々の帝国領です。ここで食い止め、二度と我々人間を攻めようという気をなくさせてやります。手加減は一切必要ありません。殺るか殺られるかではない。ただひたすら滅せよ。話し合いは、力を見せつけてからですな。派手にぶっ飛ばせ!」
「了解っ!」
「では、いくぞー! いち、にい、サンアターック!」
須永はドンと地面を蹴って、飛びかかり高角度ドロップキックで突っ込んでいく。
それを合図に須永を含めた七人の戦士達が約五千のビーストマンの軍勢に突っ込んでいく。ビーストマン達は問題にならないと考えているようで、緩慢な迎撃だ。
「あんな少勢で何ができる。あまり美味そうではないが、デザートくらいにはなるだろう。とっとと片付けてこい」
こんな気楽な命令を出していた。ビーストマンと人間のスペック差は十倍あるという。訓練なしの村人と普通のビーストマンでは相手にならず、精兵レベルでも苦戦は免れない。ましてやここにいるビーストマンは戦闘慣れした存在だ。
「六光連斬!」
いきなりガゼフの武技が放たれ、少数だと舐め切っていたビーストマン達の首がバシュバシュと吹き飛ぶ。
「チッ、ガゼフの奴……やはり上をいきやがるか……まあ、あのチョップでわかってはいたがな。ならば四光連斬! ダブルで食らえっ!」
ガゼフを倒すために、そして彼に憧れてガゼフの武技をマスターしたブレイン。四つの光が二度煌めきビーストマンの戦士が次々に倒れていく。
「やるなアングラウス」
「ブレインだ。戦士長殿」
「ふっ。ガゼフで構わん」
二人は認め合いながら並んで剣と刀を振るう。かつて王国の御前試合で戦った二人が、帝国の一員として、竜王国のためにビーストマンと戦う。数年前には予想できないことだった。
「ぬおおおお!」
「らあああっ!」
「なかなか熱い御仁達でござるな。某も力を見せるでござる。いくでござるよ、命の奪い合いでござる。真・ハムのメリーゴーランド!」
プロレスモードでは爪を使わなかったが、今回はしっかり爪を使って切り裂いていく。前方回転しながら敵陣へ食い込むハムスタ。凄い勢いでビーストマンの陣を切り裂いていく。さらには反撃してきたビーストマンを、硬化させた毛と回転の勢いで弾き飛ばす。
「ハムスタの開いた突破口活かしますぞ。狙うは敵大将および、精鋭の殲滅です! 」
「おうよ!」
「ハムスタ、目を回さない程度に!」
「師匠、かしこまったでござるぅ!」
相変わらず素手というか主に蹴りでビーストマンを圧倒する須永。ハムスタが開いた突破口と言っていたが、いつの間にか並び、そして追い越している。
「レイナース、着いてこれてますか?」
須永の後を追うのはレイナース。他のメンバーと比べると一段実力で劣るが、彼女は志願して同行している。
「ええ。なんとか」
「ゼロ、しっかりと彼女を守るように。できないとわかってますよね?」
「ああ。わかっている。しかし、俺は動物の力を使えるんだが、まさかビーストマンと戦うことになるとはなっ!」
拳を振るいビーストマンのボディに風穴を開ける。
「ふっ……貴様はもう死んでいる」
「アホ。カッコつけてるヒマあったら次殺っときな!」
久々に
「いんやー
「なんなら素手でもいいんだぜ。俺みたいにな。きえええええええええええええええええええええええええええええ!」
立場を気にせず戦えるゼロは叫びながら拳を繰り出している。
「うるさいなぁ。もうちょいエレガントにいきなよ。それにハゲは逆に武器使えないじゃん」
「なんだとっ? 」
「やんのかよ? 私に勝てるとでも?」
「お二人共、敵の精鋭らしき部隊がきますわよ」
風でレイナースの長い前髪が靡く。見えたその肌は美しく、そしてレイナースの表情からも以前のような苦悩は消えていた。
「おのおの方、油断めさるな」
何故かハムスタが仕切る。古めかしい言葉遣いが
「なんであんたが仕切ってんの。そこはスナっちゃんの役目でしょーが」
「まったくだ」
タッグは解散してもティとレイン、いやクレマンティーヌとブレインの連携は健在だった。
「ダンディ様、敵将発見しました」
「では仕留めて来ますかな」
レイナースの声にこたえ、須永は加速して飛び込んでいく。
「まだ速くなるのかよっ!」
「底が知れねえ……」
「さっすがスナっちゃん」
やがて、この部隊の大将と思われる立派な体躯のビーストマンが上空へと投げ飛ばされたのが見えた。
「相変わらず高いとこに飛ばすの好きだねえ」
「ダンディ様は、相手の兵達に見せつけるつもりですわ……我々に逆らう恐ろしさを」
ビーストマンを追っかけて飛翔した須永が虎頭のビーストマンの背後に回り、両腕をチキンウイングに決めたのが見えた。
「虎だけに……」
「タイガースープレックスか」
「いえ、雪崩式はデスレイクドライブ!」
すでに雪崩式どころの高さではない気がするが、真っ逆さまに脳天を地面に文字通りに突き刺した。
大将をあっという間に屠った須永を見て、さすがのビーストマン達も逃げ出し始める。
「逃がさんよ……殲滅します!」
「いいの?」
「所詮奴らは人間を餌としか考えていない獣にすぎません。まずは、力をみせつけましょう。獣というのは力差を理解すれば逆らってはこなくなりますからな。なので、逃がすのは三匹ほどでよいでしょう。腕の二本くらい折って構わないので、ボロボロにしてから逃がしましょうか。あとはここで数を減らしておきます。なにせ簡単に和平を結べる相手ではないですからな」
こんな会話をしながらも、次々にビーストマンを倒していく須永達。もはや彼らの相手ではない。
五千いたビーストマンのうち、退却できたのは本当に三匹だけだった。本来は三体か三人と表現すべきだろうが、ここは須永の表現通りとする。
「まずは第一歩ですかな」
涼しい顔の須永は、他のメンバーに休息と回復を指示し、ビーストマン達が逃げた方角を睨む。
須永を除く六人はすぐに眠りについた。いくら強力な力を持ち、疲労軽減アイテムを装備している彼らでも疲れはあったのだろう。
「さすがに次はかなり苦戦するでしょうな……」
次は総大将率いる本隊と当たるだろう。強さは問題ないが、敵の数は今回の比ではない。その数が問題だと須永は考えている。
「ゆっくりお休みになってください。見張りは置いていきますからな」
須永は見えにくい位置で何かをし、後を託すと野営地から姿を消した。
次回竜王国最終話となります。
原作のバルブロ軍に近い被害がビーストマンにでました。
それでも被害が少ない方な原作って……。死者多すぎ……
残りあと4話です。