実はオリ主樅路恵の絵を描いてみようとか思って試行錯誤してました。
しかし私は絵が下手でとても小説投稿と一緒には出来ませんでした。
絵も次話も気長にお待ちください。
注:原作とは異なる設定があります。そこは独自設定としてご容赦ください。
SIDE 祠堂圭
「はぁはぁっ・・・!」
「大丈夫祠堂さん!?もうすぐ3階よ!」
わかっている!隠れていた2年B組から飛び出して、鉢合わせした【奴ら】2人を樅路さんが切り伏せ隙を見て中央階段を上り始めた。さっきの2人以外【奴ら】がいなかったのは幸運だった。
だけど【奴ら】と鉢合わせた時に、痛めていた左足がさらに痛みだした!
「っ!大丈夫です!行きましょう!」
だからって2階から3階への階段も半分以上上ってきているのだからこんな所で蹲っている場合じゃない!
「私は3階に残っている【奴ら】を倒して、理科室と生徒会室に籠城している皆を助けるわ!ゆっくり上ってきて!」
そういうと樅路さんは先に階段を駆け上がり、見えなくなってしまった。
(作戦じゃ「【奴ら】は警報音でおびき寄せたからいない」って言っていたのにどうして・・・?)
少し考えたけど階段をまだ登り切っていないことを思い出し、私は手すりを掴んで1段1段と階段を上り始めた。
「やっと安全地帯にたどり着いた」と完全に安心しきっていた。
今、私は1人なのだ。足も怪我をしている。
1人にされたなどと露ほどにも思わず、
3階にたどり着いた私は目の前の崩れたバリケードを超えようとしていた・・・。
「ヴァァアアァァヴゥ・・・」
SIDE 恵飛須沢胡桃
警報音が鳴りやんでから、あたしはすぐ廊下に出られるよう中央階段側のドアの前で待っていた。愛用のスコップを握りしめる。けど樅路さんの言葉が頭によぎって握っていた手の力を緩めた。
「もう戦わなくていい。」
その言葉を思い出すと肩から力が抜けて息を吐いた。
(そうだ、樅路さんと圭が来るまで気を張り続ける必要はないよな。生徒会室から大声も聞こえなくなったし、めぐねえと由紀がりーさんをなんとかしてくれたんだよな。)
相変わらず外は雷雨が激しく、時折雨が吹き込んでくる。廊下側の出入り口前で待っているから直接雨がかかることはないけど、窓が全て割れているから雨が容赦なく入ってくる。理科室のカーテンはほとんど樅路さんが2階の図書館に下りる時にロープ代わりに使ってしまっているからだ。まぁパンデミックが起きてから理科室は誰も使っていなかったし、【奴ら】に荒らされたままの状態だったから今更汚れようとかまわないのだけど・・・。
何気なく樅路さんが黒板に書いた数式を見た。【奴ら】の警報音が鳴り終わってから3階に到達するまでにかかる時間が数式で証明されている。樅路さんが【奴ら】に詳しすぎることも気にはなっていたけれど、冷静に思い返してみるとあたしは彼女に違和感を覚えた。
(どうして【奴ら】のことをあんな
【奴ら】について語る樅路さんは妙に生き生きとしていた気がする。「化学者」と樅路さんは言っていたけど、私達と同じ「パンデミックの被害者」ならもっと苦悶に満ちた表情で【奴ら】の危険性を語るはず。【奴ら】についていろんなことを知っていたこともあったけど、【奴ら】の急襲の対応や樅路さんの気さくな人柄、何よりめぐねえの双子の妹ということもあって彼女に気を許しすぎていたのかもしれない。
(やっぱり樅路さんってこのパンデミックの「被害者」じゃなくて
コンコンッ!
「っ!?も、樅路さん?」
「ええ、やっとついたわ。すぐに開けて頂戴。」
(外から樅路さんの声がした!本当に警報音で一時的にでもあんなにいた【奴ら】を校庭に誘導できたのか!?)
すぐにドアを開ける。そこにいたのは
「恵飛須沢さん、私が来たからにはもう大丈夫よ!」
こんな状況にも拘わらず
「・・・・・・・・。」
「恵飛須沢さんどうしたの?」
「い、いやなんでもない。・・・あれ?圭は一緒じゃないのか?」
「祠堂さんならあそこよ。」
廊下に出て樅路さんが指を指した方向を見る。中央階段の前に崩れたバリケードがあって、圭はそれを超えようとしているのが見えた。だけど足の怪我の影響なのか、乗り越えるのに苦労をしてるみたいだな。
「それよりも、恵飛須沢さんあっちを見て。」
「『それよりも』って・・・。【奴ら】まだ残ってたのか!?」
振り向くと反対側の生徒会室のドアを1人の【奴ら】がバンバンと叩いていた。生徒会室からは特に物音はしてなかったはずだけど、何であいつだけ残ってるんだ!?
「恵飛須沢さん気をつけて。あれはただの【奴ら】じゃないのよ。」
「『ただの【奴ら】』じゃないってどう違うんだ?他の【奴ら】と全く同じに見えるぞ?」
「【奴ら】は『ヴォミター』というのよ。まぁよく見ておいて。」
そういうと樅路さんは『ヴォミター』とかいう【奴ら】に近づいて行った。
(『ヴォミター』ってなんなんだよ・・・。着てる制服から考えてここの女子生徒ってことはわかるけど・・・。)
樅路さんの接近に気がついたのか、そいつもドアを叩くのを止めて樅路さんによろよろと近づきだした。
「アアアアァァァァァ・・・」
ゆっくり距離を狭めていく両者だったが、突然樅路さんが廊下の端に寄った。すると深緑色の液体が樅路さんがいた場所に飛び散り、廊下に落ちた瞬間に「ジュッ!」と不快な音を立てた。
(な、なんだよあれ!!?)
素早く『ヴォミター』の横に回り込み、改造刀で首を切断する。スイッチを入れていたのか、両断した『ヴォミター』の首と胴体が発火して崩れ落ちた。
「見ての通り『ヴォミター』は近づくと口から強酸性の嘔吐物を吐いてくるわ。もちろん服どころか皮膚も簡単に溶けるわよ。【奴ら】は300匹中2~3匹程の確率で突然変異するのよ。通常種と見分けがつきにくいから気をつけてね。」
「・・・・・・。」
【奴ら】の突然変異種『ヴォミター』・・・。「そんなのがいたのか」とか「何でそんなことまで知っているんだ」とか、言いたいことが沢山ある。だけど目の前で起きた脅威に平然と対処し、こともなげに笑顔で解説してくる。
(めぐねえと同じ笑顔で・・・、しかも元は人間の【奴ら】を虫みたいに・・・。)
「恵飛須沢さん、さっきからどこか上の空よ?【奴ら】が階段を上ってきているのよ!?」
「そ、そうだった!悪い、切り替える!」
(あたしのバカ!理科室で「今は考えない」と決めたばかりだろう!それどころじゃないんだ!切り替えな
「キャアアアアアア!!!」
「なっ!?」
「祠堂さん!!」
中央階段を見ると、バリケードを超えようとしている圭に【奴ら】が1人迫っていた!
「もう1匹いたの!?」
「くそっ!!」
考えるより早くバリケードに向かってあたしは走り出した。だけどとても間に合いそうにない!だが突然泣きながらこっちを見る圭が驚愕の表情に変わった!?
「伏せなさい!!」
その刹那、学校全体に乾いた音が響き渡った。恐る恐る圭のいたバリケードを見る。そこには、
その瞬間を目の当たりにし、へなへなと座り込む圭がいた。
後ろをゆっくり振り返る。
そこには普段めぐねえが絶対にしない鋭い目つきで本物の拳銃を向ける
SIDE 若狭悠里
佐倉先生の怪我の処置を終えて、私と由紀ちゃんは静かに生徒会室に籠城していた。何の音も立てていないのに何故か生徒会室のドアを叩き続ける【奴ら】はとても不気味だった。だけど私達にはどうすることも出来ないため、さっきまで気を失っている佐倉先生の怪我の処置を続けていた。
由紀ちゃんは佐倉先生の手を両手で握って見つめている。さっきまで取り乱していた私がいうのも何だけど、精神的に不安定だったのは寧ろ由紀ちゃんの方だったはずだ。しかも今日はいろんなことが起こって体力的にも限界なはずなのに・・・。だけど私のように取り乱したりしないし、私が生徒会室のドアを開けようとした時も精一杯私を止めようとしてくれていた。
佐倉先生は・・・あの時間違いなく自分の命と引き換えにしてでも私達を助けようしていたに違いない。樅路さんが来てくれていなければ確実に死んでいたでしょう。私が取り乱した時も、冷静に言葉を選んで私を引き留めてくれた。
由紀ちゃんも佐倉先生も、いや胡桃も怪しさ満点の樅路さんでさえ自分に出来ることを精一杯やっている。
(それに引き換え私は何やってるのかしら・・・。)
私が今回やったことといえば、佐倉先生の怪我の処置くらいだ。取り乱して皆の足を引っ張ってる場合じゃないのに・・・。だけどるーちゃんのことを思い出してしまった今、今までのように冷静でなんていられない。だってパンデミックが起きた10日前の朝、私はるーちゃんと途中まで一緒に登校していたのだから。そして交通事故に巻き込まれてるーちゃんは・・・その後私、は・・・・・
「キャアアアアアア!!!」
「えっ!」
「な、なにっ!?」
私も由紀ちゃんも、突然廊下から聞こえた悲鳴に驚いて生徒会室のドアを見た。いつの間にかドアを叩く音はしなくなっていた。すぐ近くから胡桃と樅路さんの声も聞こえたような・・・。
パァァァン!!
「っ!?りーさん今の音って・・・。」
「銃・・・声・・・?」
(いったい廊下で何が起こってるの!?廊下に出て確認したいけど、何が起こっているのかわからない今、安易にドアを開けるわけには・・・。)
とにかく何が起きてもいいように準備するよう由紀ちゃんに言おうとした時、ドアがドンドンと叩かれた。
「丈槍由紀、若狭さん!すぐにここを開けてバリケードを作るのを手伝って!」
「樅路さん!?由紀ちゃん行きましょう!」
「う、うん!」
ドアを開けると焦った様子の樅路さんがいた。廊下に出ると中央階段前のバリケードの前で胡桃が・・・誰かしら?しゃがんでいる女性生徒を揺さぶりつつ声をかけていた。
「いろいろ聞きたいことがあるでしょうけど、時間がないわ。皆でまず中央階段前のバリケードを作り直す!ついてきてちょうだい!」
樅路さんが後ろを振り返り廊下を駆け出すが、私も由紀ちゃんも動けずにいた。
「2人ともどうしたの!?」
ついてこない私達に気づいて、樅路さんが戻ってきた。明らかに苛ついているのがわかる。容姿どころか服や身に着けている物まで佐倉先生と同じ。そんな人が普段しないような表情で声を荒げている現実に私は【奴ら】以上に恐怖していたから。
だけど由紀ちゃんはそのことよりも床に落ちている物を凝視していた。
「これ・・・
樅路さんも私も廊下に落ちている血まみれのカチューシャを見た。今日まで3階に籠城していたけど、廊下にこんなものは落ちていなかった。それに横には何かが燃えたような跡も残っていた。これって・・・ん?
「今は
由紀ちゃんも私も弾かれるように樅路さんを見る。いつの間に状況がそんなひっ迫しているなんて思ってもみなかったわ!
「そこの廊下に跳ねているドロッとした液体には絶対に触れないで!強酸性のうえに感染するわよ!指示はバリケードを作りながら説明するわ!」
そう言うと返事を待たずにバリケードに向かって走りだした。由紀ちゃんもカチューシャをちらりと見たけど、すぐに樅路さんの後を追って走り出した。
この時、私はカチューシャとは別の物に気を引かれていた。廊下にはカチューシャの他に水鉄砲のような銃が落ちていたから。おそらく樅路さんの私物でこれも【奴ら】に対抗できる武器なのだろう。当然
『そんなもの後にしなさい!』
わかっています佐倉先生。この人は信用できない。
私は銃を拾うと2人の後を追った。
以下、補足・・・とおまけ
1.どんどん悪くなってゆく樅路恵への不信感・・・物語が進むにつれて化けの皮が剥がれていく彼女。【奴ら】についてあまりにも詳しすぎるうえに、改造刀や改造銃等の武器を彼女だけが所持していることも疑心を深める要因になっている。
2.突然変異種『ヴォミター』・・・正式名称は『Vomiter』で、意味は「ゲロを吐く人」。某バイオハザードゲームにて出てくるゾンビと似ているが、本作では独自設定有り。『ヴォミター』の詳細は次話以降で。
3.『ヴォミター』になってしまった南照子・・・変異種になったからなのか警報音が鳴っても意に介さず、何故か生徒会室のドアを叩き続けていた。中にいたのはいつも明るくて、でも何処か放っておけない同じクラスの親友であった・・・。樅路恵の手によってあっさり倒されたが【奴ら】になっても身に着けたままだったカチューシャだけは燃えずに残った。
4.本物の拳銃を撃った樅路恵・・・前話に「大きい音が出る武器を持っている」とありますが、この拳銃がそれにあたる。胡桃視点であり一瞬の出来事、さらに悠里SIDEにすぐ視点を変えた為、描写が少ないです。樅路の所持していた拳銃の詳細は次話以降にて。
5.胡桃、呼び方が樅路さん→樅路恵へ・・・樅路恵が校内に飛び込んできてから最も長く一緒にいたのが胡桃。廊下で一緒に【奴ら】と戦ったり、理科室で作戦を練りつつこれまでの話をしたりして、樅路とは高校に籠城していたメンバーの中で最もコミュニケーションがとれている。だが、さすがに拳銃を撃ったことまでは見過ごせなかったようだ。
6.るーちゃんが交通事故にあった日時の設定・・・原作でるーちゃんが交通事故にあっているようなのですが、原作ではパンデミック前だったようです。どういうわけか、私はパンデミック当日にるーちゃんが交通事故にあったと思い込んでいたためこのような展開となっています。「どうしてるーちゃんが病院にて生死不明の状態なのか」「一緒に登校していた若狭悠里が何故当日そのまま学校にいたのか」にもちゃんと理由を用意しております。(そうしないと自分で考えた設定の中で矛盾が起きてしまうため)
7.「てるちゃんのカチューシャ」・・・ろうかにおちていたカチューシャ。くらくてあかいよごれがついちゃってるけど、よくてるちゃんがつけていたカチューシャだったはず。どうしてろうかにおちていたんだろう?
8.苛立たしげに声を荒げる樅路・・・余裕が無くなってきたのか、思い通り(計算通り)に動かない由紀と悠里に対して、つい声を荒げてしまった樅路。今がどれほど危険な状況なのか立場故に最も理解しているからこその言動だったのだが、実はそれ以外にも理由があったりする。
9.若狭悠里の猛省と決心・・・皆が自分に出来ることを必死にやっている中、妹のことを考え続け、取り乱して【奴ら】でいっぱいの廊下に飛び出そうとまでした。それらのことを猛省し、最後に彼女は落ちていた改造銃を手に駆け出しました。奇しくも佐倉慈に「妹なんていない」と注意され、樅路恵の本性の片鱗を垣間見た悠里も、樅路恵を完全に警戒対象として見始める。
12話ではついに圭と樅路が籠城組と合流出来ましたね。しかし後2分で大量の【奴ら】が上ってきてしまう事態に。樅路恵への疑念が膨れ上がる中、彼女達はバリケードを作ることが出来るのか。次話を気長にお待ちください。
※ここまで読んで下さり誠にありがとうございます!m(__)m
ここで樅路さんから1つ問題を出すそうです。
問1.私が声を苛立たしげにあげてしまった理由はなんでしょうか?
(複数回答可です。是非感想に「これだ」と思う理由を書いてみてください!
決して感想がもっと欲しいから」とか邪なことは・・・ゴニョゴニョ)
出番がなかった佐倉先生「何この茶番劇・・・。」
悲劇のヒロイン・南照子「1つの答えのヒントは『音』らしいわよ。」
細かい矛盾点等は本作設定ということでご了承ください。
誤字脱字や明らかな矛盾点等があれば、感想にてご指摘いただけると幸いです。