【凍結】もう1人のめぐねえ   作:神代麒麟

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亀更新のつもりでしたが感想やお気に入りをいただき、嬉しくて頑張って2話目を投稿。
しかしほとんど進まない物語。理由は後書きにて。


「私は樅路恵(もみじめぐみ)。あなたは?」

SIDE 祠堂 圭

 

【奴ら】が突然町に現れてからショッピングモールに籠城すること10日間。私は一緒に籠城していた親友の静止を振り切り、1人ショッピングモールからの脱出を試みた。

その道中、あと少しで脱出出来るというところで【奴ら】に囲まれてしまったけれど、

偶然ショッピングモールに来ていた女性のおかげで私は助かった。

今は彼女の運転しているキャンピングカーの中。

逃げる時に右足を捻ってしまったけど、【奴ら】に殺されるよりはずっとマシだ。

 

「ここまでくれば一息つけるわね。」

 

助けてくれた女性がキャンピングカーを止めて、私の前に座る。

 

「大丈夫?何処か怪我は・・・確か足を捻っちゃったのよね?よければ見せてくれないかしら。」

「はい・・・。」

 

捻ってしまった右足を彼女に見せる。女性が足に触れると痛みがはしった。

 

「つぅ!」

「うん、捻挫みたいね。確かシップは救急箱に・・・。」

 

そういうと女性は近くにあった救急箱からシップを取り出してきた。よく見るとこのキャンピングカーにはお菓子が詰めてある箱や缶詰が入っている袋、日曜大工に必要な雑貨品等いろいろな物が置いてある。

 

「今貼ってあげるからじっとしててね。」

 

女性がシップを捻った右足に貼ってくれる。痛みが続いていた部分がじんわりと冷えてきた。

 

「あの・・・何から何までありがとうございます。なんてお礼を言えばいいか・・・。本当に助かりました。」

 

助けてくれた女性にお礼を述べると、女性は何処か困ったように

 

「お礼なんて・・・いえ、私もあなたを助けることが出来て嬉しいわ。」

 

そういうと女性はいきなり私を抱き寄せてきた。えっ、なになに!?

 

「よく頑張ったわね。生き続けるだけでも大変だったよね?。苦しくて辛くて怖かったでしょう・・・。」

 

抱き寄せた手を放して教師のように私の目線に合わせて話してくる。

 

「でももう大丈夫よ!もう怯えたり危険を冒したりする必要もないわ。これから【奴ら】が入ってこない避難所に向かうからね。」

 

にっこり笑って頭をなでてくれた。お母さんがなでてくれたみたいに。

こんな暖かい気持ちになったのはいつだったかな・・・。家族との何気ないやりとり、友達との学校生活を思い出すと涙が出てきた。

女性の胸に顔をうずめて泣き出してしまう。一言一言が暖かくて嬉しかった。

 

「すみません・・・その、いきなり・・・。」

「ふふっ、いいのよ。気にしないで!・・・・・・ごめんね(・・・・)。」

「えっ?」

「そういえばまだ名前を聞いてなかったわね!私は樅路恵(もみじめぐみ)。あなたは?」

「あ・・・祠堂圭っていいます!巡ヶ丘高校の2年生です。」

 

(樅路さんっていうんだ・・・。さっき小声でごめんねって言ったような?)

 

「よろしくね祠堂さん!実はこれから行く避難所が巡ヶ丘高校なのよ。」

「巡ヶ丘高校が避難所になっているんですか!?」

「ええ、発電施設や浄水施設があるから避難所になっていると思うの。私の双子の姉もそこの教師なのよ!」

「樅路さんのお姉さんが?」

「私の自慢のお姉ちゃんよ!佐倉慈っていうのだけど見たことないかしら?私のように首に十字架を提げてて、私にそっくりな先生。確か担当科目は国語だったと思うわ。」

 

記憶を掘り起こしてみたけど、樅路さんのような容姿の先生は見なかった気がする。

 

「すみません、樅路さんのような先生がいたら覚えていると思うんですけど、ちょっとわからないです。」

「そ、そうなの・・・。今年は3年生の授業を主にしているからかしら?周りから『影が薄い』って言われてるみたいだし。」

 

樅路さんと同じ容姿の先生が『影が薄い』って、どれだけ存在感がない人なんだろう。

そういえば名字が違くて名前が同じ(めぐみ)なんだ。この話は聞かない方がいいかな。

 

「ってお姉ちゃんの話をしている場合じゃなかったわ!巡ヶ丘高校に行きましょう!」

 

そう言って運転席に向かう樅路さん。いや、その前にっ!

 

「あのっ樅路さん!」

「どうしたの祠堂さん?」

「実はさっきのショッピングモールにもう1人友達がいるんです!」

「ええっ!?」

 

樅路さんが来た道を凝視する。まだそんなに遠く離れてはいないけど、もうショッピングモールはここから全く見えない。

 

「祠堂さん、簡単にでいいから話してくれないかしら?祠堂さんと友達のこと。」

「・・・わかりました。」

 

私は親友の美紀のことと太郎丸という子犬のこと、美紀の静止を聞かずに助けを呼びに別れたことを話した。本当は続いていた籠城生活に耐え切れなくなって出て行ったことも含めて・・・。

 

「美紀はきっと一緒に助けを待ってくれなかったこと、怒ってます。出ていく直後に聞こえたんです。太郎丸に言ったと思う「うるさいっ!!」って怒鳴り声が・・・。」

「そうだったのね・・・。でも私はどちらが悪いという問題ではないと思うの。お互いの思うことを正直に言い合えるってすごいことよ。祠堂さんは私に助けを求めることが出来たのだからもっと自分に自信を持っていいんじゃないかしら?」

 

《ねっ?》と樅路さんはそう言ってほほ笑んだ。つられて私も照れてしまう。こんなに優しい人に助けてもらえて嬉しくなる。

 

「でもごめんなさい。祠堂さんの話を聞くに、今は救出を急がない方がいいと思うの。籠城場所にはまだ食料が残っているみたいだし、今ショッピングモールには【奴ら】が多く集まってきてる。私もお姉ちゃんが心配だし・・・嫌な予感がするのよ。」

「嫌な予感ですか?」

「ええ、だから今は巡ヶ丘高校へ向かいたいの。ダメかしら?」

「そんなことないですよ樅路さん!状況的にも今ショッピングモールは危ないですし、美紀には悪いけど先に巡ヶ丘高校に行きましょう!」

 

そう答えると樅路さんは「わかったわ、すぐに出発しましょう!」と言い運転席に向かっていく。

 

「あ、そうだわ。祠堂さんお腹すいてるでしょう?そこの箱にお菓子が入ってるから好きなの食べていいわよ!そっちの冷蔵庫に入ってるジュースも飲んでいいけど、一緒に入ってるお酒は飲んじゃダメよ♪」

「ありがとうございます!あの、圭でいいですよ。みんなそう呼んでるし。」

 

そういうと振り返った樅路さんが何故か悲しそうに

 

「ありがとう。でも名字で呼んでもいいかしら?普段からいつも名字で呼んでるから・・・。」

 

と断ってきた。

 

「そ、そうなんですか。かまいませんよ、祠堂で!」

「くすっ、ありがとね。」

 

そういうと今度こそ運転席に向かう樅路さん。名前のことはあまり触れないように気をつけようと思っていた矢先に地雷を踏んでしまったかもしれない。キャンピングカーが走り出す。私はお菓子の箱に入っていたポテトチップ(うすしお味)の袋を開けて食べだした。

 

(美味しい・・・ポテトチップってこんなにおいしかったかなぁ。)

 

「あ、そうそう!1つ言わなきゃならないことがあるんだけど・・・。」

「・・・なんですか?」

「実は私、無免許なの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、私は暴走するジェットコースターに乗っているような感覚に陥った。




以下注視した点

1.樅路恵が首に提げている十字架の描写について・・・いろいろと書き連ねたいことはありますが、宗教についての描写をすること(実在する宗教団体名称を出す等)は違反するかもしれないため、省きました。それでも樅路恵がどのような服装で身に着けているものは何かを描写したくて書き方に悩みました。わかりづらいですが、着ている服や靴、身に着けている十字架や時計まで佐倉慈と一緒です。だから1話で登場した由紀達も樅路をめぐねえと勘違いしているのです。

2.なかなか進まない物語・・・助けた恵と助けられた圭。一息つけられる場所にたどり着けば、自己紹介から情報交換や今後の方針等、同性であることもありこれくらい話が長くなるかなと思いました。同時に3話目も作成しようと思っていましたが、上記理由に苦戦し断念。

3.ポテトチップを食べる圭・・・こんな何気ない描写もしていきたいと思います。より登場人物に感情移入したり、彼女たちがどんな心境なのかを考えることが出来ると思っています。間違っても文字数稼ぎとかじゃないよ。

第2話は描写に苦戦しました。改めて2次創作の難しさを痛感しました。
物語がほとんど進んでいませんが、頑張って3話目を作成していきたいと思います。
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