あまりに嬉しくてまさかの連続投稿です!
さすがに第6話はすぐに投稿出来そうにありませんが、頑張りたいと思います!
追記
第4話までに【奴ら】の首をはねる、腕を切る等のグロい表現がありましたが、第5話はよりきつい描写があります。ご了承ください。
若狭悠里 SIDE
「怪我も感染も治す?そんなことが出来るんですか!?」
私は自らを佐倉先生の「妹」と言う樅路さんの発言に疑問を投げかけた。当然の疑問だ。背中の怪我も酷いが、1度感染したら【奴ら】になってしまうもののはずだし、それを防ぐ手段なんてあるわけがない。けれど、皆が何かを言う前に彼女はこともあろうに佐倉先生の
「な、何をするんですか!?」
「まずは背中の怪我の出血を止めるわ!この改造刀はスイッチ1つで高熱を発するのよ!これで傷を焼いて止血するわ!」
「傷を焼くだと!?」
信じられない処置方法に胡桃も大声を上げる。確かに傷を焼いて応急処置が出来ると聞いたことはあるけど、それを本当にやろうとしているの!?実の姉に迷いなく!?
「そもそもその刀で【奴ら】を切ってきたんだろ!?そんな道具で治療なんて出来るのか!?」
「どのみちもう感染してるんだからノープログレムよ!」
「胡桃が言いたいのはそういうことじゃなくって、傷口を焼くなんて先生が耐えられれないって言ってるんです!」
こんなやりとりをしている間にも、樅路さんは佐倉先生のブラ以外の上半身の服を脱がし終え、床にうつ伏せで寝かせた。疲労困憊の佐倉先生は樅路さんにされるがままの状態になっている。樅路さんはうつ伏せに寝かした佐倉先生にまたがり刀を傷口に向ける。
「ほ・・・本当にやるの!?」
佐倉先生も顔を蒼白にさせて背中にまたがる樅路さんを見て尋ねる。
「大丈夫よお姉ちゃん!私は医者だから!」
「医者!?いや、そういうことを聞きたいんじゃなくてそもそもあなたはいったい「樅路さんってお医者さんなの!?」っ!?」
佐倉先生が何かを聞こうとした時、由紀ちゃんが遮るように聞き出した。
「もちろん嘘よ♪」
「「「「えっ?」」」」
ジュッ!!!
「っああああああああああ!!!?」
「「「め、めぐねえぇぇぇ!!!?」」」
本当に唐突で止める間もなく、彼女は高熱を発するという刀を傷口に押し付けた!時間にして3秒程だろうけど、佐倉先生の痛がり方から尋常じゃないほどの痛みなのは誰が見ても明らかだった。
「よし!出血はこれでたぶん止めたわ!」
「たぶんかよっ!ていうか逆に悪くなってないかこれ!?本当に大丈夫なのか!?」
「めぐねえ!めぐねえぇぇ!」
彼女の言動に怒りよりも驚愕が勝り、私は茫然と佐倉先生の傷口を見ていた。確かに出血もほとんど止まり、傷口も塞がったかもしれないが、早急にしっかりした手当てをしなければならない。
(いや、それよりもこの人はどうやって感染を
ガシャアン!!!ガランガラン・・・
今にも気絶しそうな先生も含め全員が音がした方向、バリケードの方を見た。
「アアアアアァァァァ・・・・」
「ヴォオオォゥゥ・・・」
「オオオオォォォゥ・・・」
(バリケードが破られた!!?)
樅路恵 SIDE
(くっ!?時間をかけ過ぎたわね!あんな大騒ぎしたら無理もないけど!)
お姉ちゃんの背中の傷口の応急処置は終わったが、まだ感染を防ぐ処置は終わっていない。それ以上にバリケードが壊され、大量の【奴ら】が押し寄せていることで女子生徒3人がさらに騒ぎ出した。
「ど、どうすんだよ!?さすがにあの数は私も無理だぞ!」
「逃げましょう!内側から鍵をかければ入ってはこられないはずよ!」
「めぐねえは!?めぐね「黙りなさい!!」ひっ!?」
ただでさえ丈槍由紀と
「すぐには【奴ら】も崩れてはいてもバリケードを超えてここまでは来れない!ここまで到達するのに・・・約15秒!胡桃さん!あなたは先行して生徒会室までの安全を確認しなさい!」
「はぁ!?なにを「行きなさい!!」っ!くそっ!」
有無を言わせず指示を出す私に対して悪態をつきながら1人生徒会室まで駆け出す胡桃という女子生徒。だが彼女には見向きもせず私はお姉ちゃんの感染を防ぐ処置に入る。取り出していた長方形の箱を開け、中に入っている
「なんですか、その注射器!?」
「説明してる時間はないわ!」
そう言いながら注射をお姉ちゃんの噛まれた右腕に打つ。
「はうっ!?きゅう・・・」
「めぐねえ!?」
注射を打ち終わるとお姉ちゃんはぐったりと床に突っ伏した。丈槍由紀がお姉ちゃんに駆け寄るが、相手をしている暇はない。注射器を捨てると改造刀を掴み、すぐ近くまで接近していた【奴ら】を切り伏せる。
「あなた達はお姉ちゃんを生徒会室まで連れてって!私が殿をするわ!」
「っ!わかりました!」
「ラジャー!」
大量に迫る先頭の【奴ら】を切り伏せながら少しずつ後退する。教室に1度入り、少しでも時間を稼ごうと「3年B組」の教室に入る。
(っ!?いや、今は気にするな!)
生徒の机や椅子が2,3倒れており、床や黒板・割れた窓も含めて教室中が血だらけの部屋で【奴ら】を数人倒してもう1度教室を出る。後ろを振り返ると想定していたよりも生徒会室に進めていない3人が少しずつ歩を進めていた。
私は殿を中断し、3人の元に駆け寄る。
「あなた達遅いわ!リュックはあなたが、刀は由紀が持ってなさい!」
リュックを下ろしちょっと怖い女子高生に押し付け、改造刀を由紀に渡し、お姉ちゃんを背負おうとする。
「・・・って重っ!!」
ショッピングモールで祠堂さんを背負った時は口には出さなかったが、今回は我慢できずに反射的に口から本音が出た。
「お、お姉ちゃ・・・んっ。ちょ・・・っとぉ、ダイエット・・・してっ・・・!」
ふらつきながらもお姉ちゃんに悪態をつきつつ生徒会室まで駆ける。背中から「そんなに太って・・・ないもんっ。」というお姉ちゃんの声が聞こえたが無視して歩を進める。両側から「めぐねえ太ったの?」とか「後にしましょう由紀ちゃん!」という会話を聞きながらようやく生徒会室にたどり着いた。
「皆大丈夫か!?防火扉からもう1つある端のバリケードまで【奴ら】はたぶんいないが、バリケードの向こうにはもう【奴ら】が昇ってきてたぞ!破られた方からも来てる!どうすんだ!?」
ソファにお姉ちゃんをうつ伏せに寝かせた直後、胡桃さんが戻ってきて状況を教えてくれた。おそらく職員室まできてるわね、1人じゃきつい・・・。
「胡桃さん・・・私に命を預けてくれる?」
私の言葉に胡桃さんは驚いて私を見つめたが
「わかった!あんたを信じるよ!」
「胡桃!?」
思った通り胡桃さんは承諾してくれた。この状況を最も理解しているのも彼女だろうと判断してのことだ。リュックと改造刀を2人から受け取ると次の指示を出す。
「私達が廊下に出たら扉を閉めて、鍵をかけなさい!お姉ちゃんの火傷は20分程流水で冷やしてから処置しなさい!お姉ちゃんの手当てが終わったら3人とも着替えて静かにしていること!由紀っ、出来るわね!?」
「う、うん!わかった!」
由紀の返事を聞き、私と胡桃さんは廊下に出た。
若狭悠里 SIDE
2人が出ていくと由紀ちゃんが扉を閉め鍵をかけた。扉の向こうからは指示を胡桃に出す樅路さんと返事をする胡桃の声、そして【奴ら】の声が聞こえる。
「りーさん、めぐねえの手当てをして・・・。私は着替えを用意するから・・・。」
「え、ええ。わかったわ由紀ちゃん・・・。」
扉の向こうに【奴ら】がおり、佐倉先生そっくりの樅路さんに指示されているからなのか由紀ちゃんの行動が早く、声もトーンを落として話しかけてきた。パンデミックが発生してから今日まで精神が不安定だったにもかかわらず指示されたことを迅速に取り組めているのは、やっぱり彼女と面識があるからなのかしら?。
そう考えつつ佐倉先生の背中の火傷の手当てを始める。
「佐倉先生。これから背中を流水で冷やします。痛むと思いますが堪えてください。」
「う・・・ええ、わかったわ。お願いね・・・。」
樅路さんの指示通り20分間流水で冷やし続け、右腕の噛まれた部分、後は頭からも少し血が出ていたため自分に出来る限りの手当てを行った。由紀ちゃんは着替えを持ってきた後も佐倉先生に水を飲ませたり、救急箱から包帯や消毒液や絆創膏等を取り出して私と一緒に手当てを手伝った。
廊下に大量の【奴ら】がいるうえに、大雨が降っている。時計を見ると既に午後5時30分を過ぎていた。暗くて治療を続けるのも大変で不安が尽きないけれど、1人ではないし佐倉先生も死んでいない。決して予断を許さない状況だけど、あの人のおかげで最悪の事態だけは回避出来たような気がするわ・・・。
「・・・ありがとう悠里さん。少し楽になったわ・・・。」
「無理しないでください先生。由紀ちゃん、先生の着替えをやりましょう・・・」
「うん、わかった・・・。」
佐倉先生はほとんど動けないため、2人で着替えを手伝った。
佐倉先生が防火扉で脱がされた洋服は持ってきていたが、今履いているスカートも含め血糊がべっとりついている。私が服を脱がしている間に由紀ちゃんには洗面台でタオルを濡らしてもらい、佐倉先生の体を拭く。
(そういえば胡桃と樅路さんはどうなったのかしら?治療に集中はしていたけど、悲鳴とかは聞こえなかったわよね?。だとしたら別の教室に立てこもっているのかしら?この学校の教室のほとんどは内側から鍵をかけられるからたぶん2人とも無事だと思うけど・・・。それにしても、あの人・・・。)
替えのジャージに着替えが終わるとようやくひと息つくことが出来た。
「本当に・・・本当にありがとうね・・・悠里さん、由紀ちゃん・・・。」
「今はゆっくり休んでください・・・。胡桃と佐倉先生の妹さん・・・樅路さんでしたっけ?2人が頑張ってくれてます。今は樅路さんを信じましょう・・・。」
「そのことなんだけど、悠里さん・・・。」
「わかってます佐倉先生。先生に打った注射もそうですが、あの人は何かがおかしいです。生徒会室とは1度も言っていないのに何故真っ先にここを指定したのかもわかりません。まるで最初からここで生活しているのを知っているみたいでした。あんな刀を持っていたことも気になるし、バリケードから防火扉までの【奴ら】が進む時間まで言えるなんておかしいです!」
「りーさん、しーだよっ・・・」
「ご、ごめんなさい由紀ちゃん・・・。」
樅路さんへの疑念を1つ口にすると次々と気になることが浮かび、最後には声を荒げてしまった。
「ヴァアアアァァ・・・」
バンバン!っと扉を叩く【奴ら】に気づき、慌てて口を押さえる。3分程黙っていると扉の向こうの【奴ら】は叩くのを止めて、また廊下を徘徊しだしたみたい。佐倉先生を見るとうつ伏せのまま目を閉じていた。
「おやすみなさい佐倉先生。もう2度と無茶なことはしないでくださいね・・・。」
由紀ちゃんも黙って頷いていた。もう2度と自分を蔑ろにするようなことはしないでほしい。
「悠里さん・・・由紀ちゃん・・・。最後に1つだけ、怖がらせたくはないのだけど・・・言わせて欲しいの・・・。」
「なんですか?」
「めぐねえ?」
以下注視した点
1.傷口を焼く(焼灼止血法)・・・出血面を焼くことで止血する方法。医学・医療の進歩に伴い人間に対してはされなくなった治療法だが近代以前に有効な止血方法として世界中で用いられていた。しかし今回の場合、めぐねえの背中の傷口はそこまで大きくなく、出血も焼灼止血法を用いてまでするほど酷いものではなかった。止血に成功してはいても、胡桃が「逆に悪化してないか!?」と、言うくらいである。しかし樅路がそんなことをしたのにもちゃんと理由があったりする。
2.【奴ら】を切った刀で処置をしようとする樅路・・・
胡桃「そんな装備で大丈夫か?」
樅路「大丈夫だ。問題ない。」
悠里「大丈夫じゃない。問題だ。」
めぐねえ「1番いいのを頼む。」
由紀「皆何言ってるの?」
3.治療のためにめぐねえの洋服を脱がしていく樅路・・・第4話で卑猥な発言をしている彼女ですが、実は樅路恵というこのオリキャラにはモチーフとなっているアニメキャラクターがいます。さて誰でしょうか?
4.樅路視点「丈槍由紀と
ちなみに作者は、丈槍由紀というキャラクターは好きです。
4.【奴ら】の到達時間を言う樅路・・・第4話までに度々樅路は
5.注射器・・・樅路がめぐねえに使用した感染を防ぐという注射器。この辺りから悠里は樅路に不信感を抱くようになる。
6.由紀視点「めぐねえ太ったの?」・・・樅路はめぐねえに「ダイエットして」とか言ってますが、彼女も3人がめぐねえと見間違うほどそっくりな容姿。第1話でも本人が少し触れていますが彼女も・・・。「
7.火傷の処置方法・・・「焼灼止血法というインパクトのある方法で樅路が止血する」という展開にしていこうと考えていましたが、この医療行為がどれだけ危険なものなのかを調べて、その後の対処方法をさらに調べました。
しかし悠里達が行った治療方法は
8.流水・・・生徒会室には確かに水場はあるが、人の背中をうまく流せ続けられるようには設計されていません。もうここは本作設定で出来たということに・・・。すみません><
9.悠里の心理状況・・・「妹」というワードが出る度に、顔をしかめる悠里。生徒会室での治療中の心理等を描写してみましたがいかがでしょうか?おかしなところが無ければよいのですが。
10.「
「大丈夫よお姉ちゃん!私は医者だから!」
「医者!?いや、そういうことを聞きたいんじゃなくてそもそもあなたは
第5話はいろいろと話が急展開をしていますが、いかがでしょうか?
物語を進める度に矛盾点がないか、おかしなところがないか等不安になります。そこまで神経質にならなくてもいいのかもしれませんが、読んでくださっている方々が少しでも楽しんでくだされば幸いです。
細かい矛盾点等は本作設定ということでご了承ください。