ありがとうございます!嬉しい気持ちでいっぱいです!
頑張って続きを投稿していきたいと思います!
恵飛須沢胡桃 SIDE
突然現れためぐねえそっくりの双子の妹、樅路さんと一緒に私は物理実験室に籠城していた。いろいろ聞きたいことがあったけど、僅かな会話からパンデミックが起きた日に、私が手を汚したことを見抜かれたのには驚いた。さらに樅路さんは「緊急避難マニュアルという物を知っているか」と尋ねてきた。
「緊急避難マニュアル?いや、あたしは聞いたことないぞ。」
「・・・やっぱりお姉ちゃん、誰にも言わなかったんだ。」
頭を抱える樅路さん。緊急避難マニュアルってなんだ?そんなに大切なマニュアルならなんでめぐねえは言わなかったんだ?いや、それも気になるけど・・・
「樅路さん、めぐねえの感染ってどうなったんだ?さっき感染を防ぐって言ってたけど。」
「え、ええ・・・。感染して【奴ら】になることはないわ。さっきワクチンを打ったから。」
「ワクチン?」
「そうよ。私はこれでも化学者なの。【奴ら】から採取した血液から感染を防ぐ抗体を作ったの。」
「本当なのかそれ!?めちゃくちゃ凄いじゃんか!」
「く、胡桃さんっ。あんまり大声出すと
「ヴァアアァァ!」ダンダン!
「アアァァァァ!」バンバン!
「オオォォゥゥ!」ガンガン!
「・・・す、すみません。」
「大丈夫だと思うけど、大声は出さないようにね。」
「う、うん・・・。」
「あのワクチンはそう何度も作れるものじゃないわ。臨床試験回数もそこまで多くないし、同じ人に2度使えないデメリットもあるの。次また噛まれたら私でも対処できないわ・・・。」
「そうなんだ。でもめぐねえが死なないだけでも助かったよ。本当にありがとう樅路さん。」
樅路さんがいなかったらあのままめぐねえは最悪【奴ら】になってただろうし、運よく助けられたとしてもやっぱり感染はどうすることもできなかっただろう。
しかし何故か樅路さんは何も言わず、悲しそうな顔をしていた。
「?どうしたんですか樅路さん。」
「・・・お姉ちゃん。いや佐倉慈先生のこと、皆好きなのね。」
「ああ、ちょっと影が薄いとこがあるけど頼りになる優しい先生なんだ。」
「羨ましいなぁお姉ちゃん。私は教師に成れなかったから・・・。」
「え?」
(教師に成れなかった?)
「そうそう、これからどうするかだったわよね胡桃さん。」
「え?ああ、そういえばそうだったな。」
露骨に話題を変えられたけど、あまりいい話じゃないと考えて話題を元に戻した。
「もう戦わなくていいわ。」
樅路恵 SIDE
あまり触れられたくない話題から強引に元に戻した私は、「もう戦わなくていい。」と告げた。
「もう戦わなくていいってどういうことだよ?このまま朝まで籠城するのか?」
「いいえ。胡桃さんには手伝ってもらいたいことはあるけど、私がいる内はこれ以上戦わせたりはしないわ。」
胡桃さんを見ていると、どうにも危なっかしく感じてしまう。【奴ら】と最も対峙している彼女には優先的にメンタルケアが必要かもしれないわね。
「これから作戦を考えるのだけど、その前に無線機で祠堂さんと連絡を取りましょう。」
「祠堂さんって誰だ?」
「あなた達の後輩の女の子よ。リバーシティ・トロンで助けてここまで一緒に来たの。今はキャンピングカーの中にいるわ。」
「リバーシティ・トロン・・・。」
この反応はもしかして・・・いや、今はこれ以上余計な詮索はやめておきましょう。
「とにかく祠堂さんと連絡を取りましょう。・・・祠堂さん、聞こえるかしら?」
「・・・・・・・・。」
「返事が返ってこないぞ。っていうか無線に出てこないな。」
「慌ててて説明は出来なかったけど、スイッチ1つ押すだけで出れるわよこれ。」
「もしかしてそいつに何かあったんじゃ?」
「そ、そんなっ?祠堂さん、聞こえる?祠堂さんっ」
私は祠堂さんの身を案じつつ、彼女が返事をするのを待った。
祠堂圭 SIDE
拝啓 美紀 太郎丸
リバーシティ・トロンで別れてまだ3時間半程ですが、お元気でしょうか?私は今、巡ヶ丘高校の駐車場に止まっている大破したキャンピングカーの中で3本目のうんまい棒を食べています。1本目の(辛子明太子味)も美味しかったけど、2本目の(サイコロステーキ味)は本物のステーキを食べているかのような気持ちになりました。今食べている(コーンポタージュ味)はほんのり温かいコーンスープを味わっているような気分です。えっ、羨ましいって?私は樅路さんという女性に助けられてここまでこれたんだけど、キャンピングカーに揺られること3時間、何十人もの【奴ら】を撥ね、他の車やガードレールに何十回も
「美紀 太郎丸へ
私、生きてていいことあったよ。」
うんまい棒(コーンポタージュ味)を食べ終えると、
「このスイッチを押せばいいのかな?・・・もしもし?」
『祠堂さん!?よかった、繋がったわ。なかなか出なくて心配してたのよ。大丈夫?』
どうやら心配させてしまったらしい。うんまい棒を食べていたら夢中になってしまったみたい。ミネラルウォーターを一口飲むと気持ちを切りかえた。
「すみません、こっちは大丈夫です。そちらは大丈夫ですか?」
『大丈夫とは言えない状況ね・・・。お姉ちゃんはなんとか助けられたけど、バリケードを突破されて物理実験室に籠城中よ。』
「そ、そんな・・・。」
もうすぐ安全な場所で休めると思っていたのにこんなことになるなんて・・・。しかも物理実験室は3階。つまり校舎のほぼ全体が【奴ら】で溢れかえっていることになる。
ゴロゴロと音が聞こえる。雷まで鳴っているみたいだ。これじゃしばらく雨も止みそうにない。
『今後のことや現状について説明する前に・・・はい胡桃さん、自己紹介。』
『えっ、ここでか?』
(胡桃さん?生存者かな?)
『あ~聞こえるか?3年B組の恵飛須沢胡桃だ。祠堂だったか?よろしくな。』
「あ、はい。2年の祠堂圭です。よろしくお願いします。」
『自己紹介も終わったところで胡桃さんに聞きたいことがあるのだけど・・・。』
『なんだ?』
『よければ教えてくれないかしら?パンデミックが起きた時、学校で何が起きたのか。休憩と現状把握を兼ねてね。』
『・・・わかった。圭・・・もそれでいいか?』
「はい、私も知りたいです。」
樅路恵 SIDE
話を聞き終えた私は生々しい当時の出来事の話に絶句した。屋上に避難した先で思い人の先輩が【奴ら】に変わり、シャベルで倒したことも含めて・・・。誰かと付き合ったり好きになったりしたことがない私でも、彼女の気持ちは痛いほど伝わってくる。そこまで話す必要もなかったはずだが、彼女は吐き捨てるように最後まで話してくれた。
「ありがとう恵飛須沢さん。お姉ちゃんとみんなを守ってくれて・・・。」
「いきなりなんだよ、胡桃でいいぞ。皆もそう呼んでるし。」
「私にはあなた達を名前で呼ぶ資格がないから・・・。」
『「資格?」』
「本当はね、数日前に巡ヶ丘高校につくことが出来ていたはずなのよ。」
「え?」
恵飛須沢さんが驚いて聞き返してくる。本当に情けない理由で私は足踏みをしていたのだから。
「数日前には既に巡ヶ丘市にキャンピングカーでこれていたのよ。でも途中でお姉ちゃんが【奴ら】になっていたらって考えたら怖くなっちゃったの。その背中を押してくれたのが祠堂さんだったのよ。」
『私がですか?』
「いかにも今高校に向かっている最中みたいなこと言ったけど、ここに向かう決心がついたのはあなたとリバーシティ・トロンで出会えたからなの。祠堂さんは友達と喧嘩別れのような形で出てきたって言ってたけど、あなたのその行動のおかげでお姉ちゃんを助けることが出来たのよ。後少し遅かったらお姉ちゃんだけでなく最悪全滅していたかもしれない。」
事実、まだ助かってはいない。だが確かに祠堂さんの行動はお姉ちゃん達を助けた。
「恵飛須沢さんも先輩だけでなく、3階を制圧するのに何人か【奴ら】を倒したのでしょう?さっきも助けてくれなかったら死んでいたわ。あなたのおかげでお姉ちゃん達は助かったの。2人のおかげでお姉ちゃん達だけでなく私もこうして生きているの。本当にありがとう!。」
無線機越しに祠堂さんに、そして恵飛須沢さんにお礼を言って頭を下げる。お姉ちゃんが死んだら何のために全てを投げうったかわからなくなり、その後どうしたのか・・・。考えたくもない。
「だからあなた達はもう何もしなくていいわ。今度は私があなた達を助ける番よ。」
『何もしなくていいって、1人でどうするつもりなんですか?』
「やっぱり朝まで待つべきだ。物理実験室から出られないんだ。廊下の【奴ら】が減るまでじっとしているべきだろ?」
「そうしたいのは山々なんだけどね。いくつか理由があるのよ、それは・・・。」
理由を述べようとして私は言い淀む。確かにここで説明すれば2人とも納得してくれるかもしれない。廊下にいる
(そして、何よりも・・・。)
『樅路さん?』
「理由は・・・あなた達を助けたいからよ!」
大きな声を出してしまったからか、廊下を徘徊する【奴ら】がバンバンと扉を叩く。しかし恵飛須沢さんは何も言わず、黙って私を見据えていた。
『私達を助けたいから、ですか。』
「これは私の嘘偽りのない本心よ。それに出来ないことを気合や根性でどうにかしよう、なんて考えてはいないわ。出来るから助けたい。頼られているから応えたい。それが樅路恵なのよ。」
『私は樅路さんを信じていますよ。命を助けられたからだけじゃなくて、樅路さん自身を。車の運転技術は除きますけど・・・。』
「あ、あはは・・・。」
(落ち着いたら、運転の練習をするのもいいかもしれないわね。)
運転の出来るお姉ちゃんがいるのだから練習する必要はないのかもしれない。それでも今後のことを考えて弱音を吐く訳にはいかないと気持ちを高ぶらせ・・・、教習所を3日で追い出されたことを思い出して涙目になった。
「ぐすっ。と、とにかくもう少し待っててね。納得のいく作戦が練れたらまた連絡するわ。」
『?。わかりました、樅路さんもあまり無理をしないでくださいね。』
通信を切る。大まかな作戦は既に立ててあるため、最善の作戦を練ろうとして・・・恵飛須沢さんがじっと私を見ていることに気がついた。
「恵飛須沢さん、どうしたの?」
「え?ええと・・・。樅路さん、さっき防火扉の前で卑猥な言葉を言ったり、めぐねえの傷を焼いて処置したりしてたよな。あと皆に怒鳴ったりもしてたっけ?」
「はうっ・・・。ご、ごめんなさい。」
「いや、責めてるわけじゃないんだけどさ(いや多少は責めてるけど)。それでもやっぱりめぐねえの妹なんだなって思ったんだよ。あの状況からめぐねえを助けられたんだ。それだけじゃない、誰かのために一生懸命になってくれる所もめぐねえとそっくりだからさ。こうして樅路さんと一緒にいるとなんか安心するんだ。」
(お姉ちゃんと似ている・・・か。嬉しいはずなのに素直に喜べないのはなんでかしらね。)
いや、わかってはいるのだ。ただその答えから目を背けたいだけで・・・。それでも今だけは頼りになる佐倉先生の妹でありたい。
「ありがとね恵飛須沢さん。でもそれはこの状況をなんとかしてからにしましょう。最悪の事態は回避出来たけど、まだ誰も助かってはいないのだしね。」
「そうだな。でもどうやってここから出るつもりなんだ?」
「大まかな作戦はもう考えてあるから、手を動かしながら考えるわ。まずはカーテンを全部取り外しましょう。」
「カーテンを?そんなことしてどうするんだ?」
「ガムテープで縛ってロープにするのよ。そして窓から2階の図書室に降りるわ。」
恵飛須沢さんの「おまえは何を言っているんだ」と言いたげな顔は見なかったことにした。
以下、補足・・・と、おまけ
1.樅路恵の本業(化学者)・・・はい、本業は化学者です。そして成りたかったのが教師です。お察しの通りただの化学者じゃないのは一目瞭然?ですが、胡桃はワクチンの作成がすごいと考え、悠里のように不信感はまだ感じていません。
2.うんまい棒と圭・・・地獄の3時間を耐え、ようやく生を実感した圭。うんまい棒を3話にわたって食べてしまうのも仕方ないことと言える。
3.大破したキャンピングカー・・・扉の開け閉めは出来るが、もう動かすことは出来ないであろう多機能車。だが樅路は『まだいける!』と思っている。
4.何十回も
5.圭「私、生きてていいことあったよ。」・・・アニメ最終話で美紀が黒板に書いた圭へのメッセージ。本作では何かを悟った圭が美紀と太郎丸に向けて思いを巡らせている。
6.樅路「あなた達を助けたい。」・・・時折はぐらかしたり嘘をついたりすることがある彼女。しかしこれだけは唯一無二・絶対の彼女の行動原理。そのためならば必ず最善の行動を躊躇なく行う。それが樅路恵である。
7.教習所を3日で追い出された樅路・・・何があったのかはお察しください。
8.図書室の場所・・・位置的に考えると、図書室は左翼階段と中央階段の間の2階にあると考えております。
9.「おまえは何を言っているんだ」・・・とある総合格闘家が発言した言葉である。
10.由紀・悠里・めぐねえ「「「私達の出番は!?」」」・・・8話に登場予定です。初の丈槍由紀SIDEを考えております。
由紀「わーい!私視点だ~♪」(≧▽≦)
めぐねえ「私・・・出番・・・。」(´・ω・`)
悠里「先生・・・。」(=_=)
11.蓮見 巴旗・柚村 貴依「「私達の出番は!?」」・・・
貴依「照子が出たんだ!私達にも出番あるはずだろ!?」
巴旗「そうよ!照子だけなんてずるい!」
麒麟「ちゃんと出番はありますよ。」
貴依・巴旗「「よっしゃあ!」」
照子「どうせゾンビ役よ。」
貴依・巴旗「「ヴァァァァ!」」
というわけで、第7話でした。全然進まないので、次回はちょっと端折ります。あまりぐだぐだ物語を進めても面白みにかけますし。
細かい矛盾点等は本作設定ということでご了承ください。
誤字脱字や明らかな矛盾点等があれば、感想にてご指摘いただけると幸いです。