モフモフタヌキ!アライグマ!ハロ!銀髪眼鏡!ジャージ男!の5名!
「へえ、『ニーベルンゲン』とのフォースバトルなのだ?」
「うん、そこからお誘いがあったんだ」
ある晴れた日。とは言ってもGBNのフィールドは大抵晴れているのだが、その日フォース『
「で、それをこのアライさんに言うってことは?」
「そうそう、アライさんにも参戦して欲しいんだよね。その日は空いてるんでしょ?」
「おーう、大丈夫なのだ」
男の名前は『アライ』。見た目の特徴の薄さに反し、一人称が「アライさん」なのに加え、「なのだ」口調が某アライグマのアニメキャラを思い出させる彼もまた、『
「もうじきしたら残りのメンバーも来るだろうから、そしたら詳細を説明するね」
「わかったのだ」
その十数分後、集まったメンバーの内2名を見て、アライは頭をそっと抱える事になる。
「『ニーベルンゲン』?ああ、はいはい。あのイケメンリーダーで女性プレイヤーたちに人気のところね」
「思い出し方と情報の偏りが過ぎない?」
集合直後に早速タヌベロスのモフモフなお腹を枕にしたイツワは、早々に相手フォースへの醜い嫉妬を露にした。
イケメンは死すべし。慈悲はない。
言外にそう伝えるオーラを出すが、イケメンのアバターを使っている癖に何を言っているんだとは、タヌベロスも口には出さない。
「話を進めるけど、この間のマギーさんのとこでやった、初心者講習会の映像をそこのリーダーが見たらしくてね?自分たちに興味を持ったみたいで、バトルのお誘いが来たんだ」
「つまり合法的にイケメンをしばける……と?」
「普段は違法にイケメンをしばいてるみたいな言い方だね?」
「私はカタギです」
「何で違法でやっているか疑惑をかけたのに、自分がカタギって主張をしてるの?」
「ちょっと何言ってるか分からないですね」
そのままモフモフボディに顔を埋め、動かなくなるジャージ男。
それにため息をつきながら、ユートが眼鏡を押さえつつ口を開く。
「それで、フォースバトルの詳細は?」
「それはね、こういう感じ」
タヌベロスがウィンドウを開き、そこに記された情報を各自確認していく。
「ありゃ、知ってはいたけどやっぱり格上だね?」
「まあ、俺たちはまだ脱初心者程度だしな」
椅子に座るユートの膝の上では、クリーム色のハロボディのマヘルがウィンドウを動かす。
「相手のリーダーは個人ランクBランクだってさ。ウチの誰よりも高いね」
「リーダーさんと一人で戦えるの、タヌベーくらいか?必殺技の有無もあるし」
「うーん、どうだろうね?可能なら常に複数対1の状況はキープしたいけど、それも難しいかなぁ?」
フォース・ニーベルンゲンはリーダーがBランクで、他は全員がCランクだというのは分かっている。
ならば常に数的有利をキープしたいのだが、それは向こうも同じだろう。
あーでもないこーでもないと情報を整理しつつ、方針を固めていく。
が、その中でアライの一言が火薬庫に火を放つこととなった。
「アライさん的には、何でこの面子なのか気になるのだ?よりにもよって、三馬鹿の内の二人がいるのだ」
「「オメーも入れて馬鹿四天王の内の三人だよ!バーーーカッ!!!」
瞬間的に中指を立て、抗議というよりも罵倒を入れていくユートとイツワ。
その姿はまさに瞬間湯沸かし器が二つ。
「お?なんだやるのだ?」
「おぉよ!イケメン共の前にお前ら揃って潰してやらぁ!!」
「前哨戦だな」
「ちょっと、三人とも―?ちょっと、ちょっとー?……あ、ダメだこれ」
馬鹿四天王(の内の3名)がバトルのために外へ出て行くのを、一応呼び止めるもすぐに諦めて遠い目になるマヘル。
そのマヘルの肩を……ハロボディなので分かりづらいが、おそらく肩であろう部位をぽむっと叩き、タヌベロスは優しく言う。
「えいきっきがいないだけ、あれでまだマシなんだよね」
「あ、この人私以上に諦めてた」
「そりゃあそうでしょ……」
常にフォース内に内ゲバを抱え込むリーダーの背中は、哀愁に満ちていた。
BATLLE REQUEST
DAIVER NAME:ジーク
【件名】
突然のご連絡、申し訳ございません。フォース戦を希望いたします。
【内容】
フォース・ニーベルンゲンのリーダーを務めます、ジークと申します。
先日のアダムの林檎主催で行われた初心者講習会の動画を拝見し、貴フォースに強い興味を抱きました。
つきましては、フォース戦を願えませんでしょうか?
ルールはオーソドックスな5対5の殲滅戦で、場所はムーンエリアのグラナダ近郊でいかがでしょうか。
日程は下記の候補の中から、貴フォースのご都合が良い日をご連絡ください。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
「この度は、フォース戦を受けていただき、感謝します」
「いえいえ、こちらこそお誘いいただいて嬉しいです」
そして当日の約束の時刻。
待ち合わせ場所となるムーンエリアにある月表面のロビーで、それぞれのフォースが顔を合わせた。
スラリとした体格を黒いスーツで覆い、派手過ぎない落ち着いたシルバーのイケメンである、ニーベルンゲンのリーダー『ジーク』とタヌベロスが握手と挨拶を交わす。
ジークの所作は洗練されており、なるほど世の女性陣達も虜になるだろう振る舞い。
「ハハ、実は断られるんじゃないかとビクビクしていましたよ」
「まさかまさか。こんな嬉しいお誘い、断るわけないですよ」
和やかに進むリーダー同士の会話。
では、そのすぐそばで行われる、メンバーたちの会話はというと。
「やあ、どうも綺麗なお姉さん。僕の名前はイツワ。どうぞよろしく」
「あらあら、ご丁寧にどうも。わたくしは『クリーム』です。よろしくお願いしますわ」
「「こ、こいつ……!躊躇いなく猫を被って……!って、ん?」」
金の長髪を優雅に靡かせる美女のクリームを相手に、いつも通り即座に猫を被って対応するイツワ。
その二人を見て、それぞれのメンバーにまたやりやがったという表情を見せ、それに気づき「あ、この人
「ガハハ!ハロってことは、お試しさんかい?」
「いえ、これが本登録で使ってるアバターなんですよー」
「ガハハ!そうなのか!」
「ちょっと!グンターさん、声大き過ぎっすよ!」
「まあまあ、アライさんは大丈夫なのだ」
ハロボディのマヘルを見て、何が面白いのかは分からないが、とにかくガハハと笑う筋骨隆々の男性『グンター』と、それを諫める些かチャラい男性の『ハーゲン』。それにアライを加えた4人。
自己紹介をしつつ、それぞれが個性を主張しているのが見て取れる。
「ふむ、それではそろそろ」
「ええ、始めましょう」
メンバーたちが恙なく自己紹介をしているのを確認したリーダーたちが、握手を交わす。
「「楽しいバトルを!」」
「それじゃあ、出撃前に作戦を確認するね」
MS出撃ハッチでの待機中、リーダーであるタヌベロス主導の元で作戦の再確認が行われる。
「相手が全員格上であることを考えて、常に最低でも2名で行動すること。それと、最大の敵であるジークさんを見つけたら、集まれる人数で一気に叩く。月面は遮蔽物が少ないから、追い込んだりするポイントもないからね。それぞれの射線に入らないようにしつつ、挟み撃ちになる様に心がけよう」
「予定通り、タヌベーとアライとマヘルの組と、俺とイツワの組だな。……なあ、今からでも交代しないか?」
「バランス的にはこれが良いから、却下します」
「くそお」
「おい、幸運E-。俺とのコンビが嫌だってか」
「お前俺の背中狙うだろぉ!?」
「お互い様だろぉ!?」
「そのお互い様はやめて欲しいんだよなぁ……」
バランスの問題で馬鹿四天王の内の二人が組んだことで発生した、お互いの背中を警戒し合うという悲劇に、ちょっと目が遠くなるリーダー。
アバターだから毛が抜けないが、そろそろ毛の一部が丸くハゲないだろうかと、そんな心配もしてしまうのがなお悲しい。
「まあ、そろそろ出撃時間だから。みんなストップストップ」
「そうそう。馬鹿コンビも落ち着くのだ」
「「だからお前も同じ括りだろうがぁっ!!」」
「はいはい、それじゃあ行くよ」
いつものように口論を始めたメンバーたちを、タヌベロスが手を叩きながら諫め、出撃を促す。
そう。出撃までのカウントダウンが始まったのだ。
カウント5。
「チッ、背中には気を付けろよ……?『Ez−BD〔FPFB〕』、ユート」
カウント4。
「お前もせいぜいそうしな。『ヅダ』、イツワ」
カウント3。
「もー、2人とも……。『サンドルフォード・ラー』、マヘル」
カウント2。
「アライさんは知らないのだー。『Point guard』、アライ」
カウント1。
「まったく、もう……。締まらないなぁ……。『ガンダム00トロイアリバティ』、タヌベロス」
カウント0。
「
カタパルトで加速された五機の機影が、一気に月面へと躍り出る。
目指すは奇しくも自分たちと同様の、神話をその名に関する格上の相手。
戦いの火蓋が、切って落とされた。
次回予告
龍殺しの英雄を冠する格上を相手に戦う、フォース
強大な敵、見えない機影、巻き起こる内ゲバ。
果たして勝機はあるのだろうか。
次回、ガンダムビルドトロイアス。
『BLDTroiaS MISSON4-2 ZZ GUNDAM』