冷酷の種   作:レイガース

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並行ある世界は、三次元や四次元を超えて存在するのかもしれない。己が選択しなかった未来、己が生まれていない世界、たくさんの道筋が枝分かれして並行ある世界は生まれているのかもしれない。


第2話: 記憶の邂逅

ここは、歴代火影が生まれた、火の国を守る隠れ里、その名は、木の葉隠れの里。初代から続く、千手とうちはの系統の選ばれた者は、木の葉隠れの火影として二大火影として並び立つ。

 

他の里とは違い、千手とうちはは先祖代々から因縁があったため、こうして初代千手の火影の柱間と初代うちはの火影のマダラが組まなければ、さらに多くの忍が犠牲になっていただろう。

 

現四代目火影である千手の出てはない、波風ミナトは、もう一人の火影であるうちはの出のフガクが、里を任され成り立っていた。

 

五歳になるミナトとうずまきクシナの子、波風ナルトは、一人で野原の草の真ん中で空を見上げていた。

 

変な感じだった。遠い未来のはずの歴史。あり得ない世界。あるはずのない仲間たちとの対立。今のナルトにとって、知っている知人は少ないはずなのに、その世界のナルトは親しげに話している、そういう夢を見た。

 

「ナルト〜、クシナ叔母さんが呼んでるぞ〜!」

 

遠くから、幼馴染みのうちはサスケが呼んでいる。ナルトは何かを思い出し、急いでサスケのところに走った。

 

「何、ボケ〜っとしてるんだ?」

 

「いやさ、あのさ。少し聞いてもらいたいんだけどさ」

 

ナルトの暗い顔に、サスケは不思議に思い、近くのベンチに座ってナルトの話を聞いた。

 

「オビトさんが戦争を起こして、僕がお前と対立して、しかも変な化け物が里を襲って、お前の両親が死んだって?

なぁ、ナルト。もう少し焦らずに話してくれ。意味が分からん」

 

サスケはナルトの夢が変な妄想話だと思ってはいない。深刻な顔をしてるナルトは、たまにだが真実を言い当てる。

 

「だったら、僕より理解ある人に話そう。僕たち二人じゃ、この夢みたいな話に解決できる問題じゃないから」

 

ナルトとサスケは、ちょうど昼時の火影邸を訪れた。こういう飯時というのか、火影邸の中心である火影の仕事場には立ち入ることはできないが、火影邸の近くにある別宅から誰でも入ることができる。ただし、ミナトやフガクと関わりある者だけだが。

 

ナルトとサスケは、幼いながらも関わりある人物の家を訪れた。

 

「自来也先生いますか〜?」

 

ナルトの声を聞き、扉が開く。扉を開いたのは、自来也と並ぶ三忍の一人、千手綱手であった。

 

「ちょうどお前たちの話をしてるところだったよ。やっぱり、ナルトは私の弟とダンに似ているな〜」

 

綱手はナルトを見ると、いつも同じことを言って、髪をかきむしる。

 

「綱手、二人を外に出してままじゃ、クシナとミコトが怒るわよ。さあ、入りなさい」

 

綱手の後ろから現れたのは、自来也、綱手と並ぶ最後の三忍の一人、大蛇丸であった。

 

綱手と大蛇丸に連れられ、自来也の座るテーブルの周りに座る。

 

「自来也がね、変な夢を見たって、私たちを読んだのよ。でしょう、自来也?」

 

大蛇丸の冷たい目線に、自来也は少したじろぐ。自来也は咳払いし、ナルトが見た似たような夢を語る。けれど、自来也の夢は少し遠い未来、死に直面する可能性のあるはずのない出来事だった。

 

ナルトも、サスケに話した夢について話すと、自来也含む三忍は顔を合わせる。

 

「オビトが、私のお祖父様の友、うちはマダラと組んで、忍界大戦を起こすだと?」

 

自来也は、紙に一つの仮説を立てて描く。

 

「並行世界かもしれん。どこかの歴史で、分岐点となる転機が訪れ、そこで分かれた。儂らのいる世界は、うちはマダラは生きておらず、あのオビトは今、うちはの辺境に住んでおる。儂らが体験した、数年前の第三次忍界大戦は、上手く回避された。ここでも、また分岐点が起きておる」

 

うちはマダラの話から、現在に至るうちはオビトの分岐点。自来也は、数本の線を引き、ナルトとサスケ、綱手や大蛇丸に見せる。

 

「自来也にしては、面白いこと思い付くわね」

 

大蛇丸は捻くれた会話をするが、心は自来也を褒めていた。

 

「つまり、あなたの死は、あなた自身の分岐点が死を回避して、うちはの先祖マダラの分岐点がオビトを変えた。ということかしら、綱手?」

 

「そうなるらしい。それより、ナルト、サスケ。さっき、クシナが探してたぞ」

 

ナルトとサスケは、長話でまたクシナの用事を忘れていた。

 

「ありがとう、綱手のバアちゃん。サスケ行くぞ!」

 

ナルトはサスケを引っ張って、靴を履いて玄関から出て行く。

 

自来也、綱手、大蛇丸は、自来也の描いた分岐点の夢の紙をじっと見ていた。

 

ナルトは、ベランダで夜空を眺めていた。起こるはずのない、数年後の未来と、起こるかもしれない少し先の未来。しかし、まだ見ぬ仲間や友達を夢見ていては先に進めないのは分かっていた。

 

怪しく光る、真夜中の月光。その暗闇で、一人の影が目を薄く細めて、ナルトの住む家を見ていた。

 

木の葉警備隊ですら、その存在に気付けないほど別次元の影に隠れていた。

 

『行け、影法師。この世界の者に取り憑き、歴史を再現しろ』

 

実体の無い影法師は、スルリと地面の影に入り、姿を消していく。

 

翌日、事件は起きた。うちは一族の一人が何者かに暗殺されるという話が木の葉の里全体に広まっていたのだ。

 

これを機に、うちはと木の葉の間に小さな亀裂が作られようとしていた。うちは一族の滅亡まであと一年と少しというあの歴史に近づいていた。

 

「ナルト、顔色が悪いぞ?」

 

「そういうサスケも、変だってばよ」

 

2人は深刻そうな顔で青空を見ていた。暗殺事件が起きた日から数日、子供たちの夕方から外出禁止令が出て、ナルトとサスケは警備の厳重な木の葉の暗部の特別室に入れられていた。

 

「また最近、変な夢を見るってばよ。木の葉の里に、あの怖い大蛇丸さんが里が潰そうとする夢だってばよ」

 

「お前も、変な夢見たのか?」

 

サスケは暗い表情でうつむく。

 

「僕は、イタチ兄ちゃんがうちは一族を全員殺す夢を見た。それで僕だけが生き残ったっていう夢だ」

 

2人は溜め息をつく。木の葉の里全体に不穏な空気が流れ始めていた。

 

ー某所ー

 

???「やはり、この世界には、既に尾獣なるものは存在しないか」

 

仮面の男は、部下の者にそう尋ねる。

 

「ですが、各里の機密文献を調べたところによると、面白い発見がありました」

 

部下は仮面の男に、写し取った巻物を渡す。

 

「なるほど。奴等が気付く前に、一つでも多くの欠片を回収しておけ」

 

部下は部屋から去る。男は黒い玉を取り出し、それを見つめていた。

 

火影邸ー仕事部屋。

 

「綱手、自来也、大蛇丸。お前たち三人の話を聞き、儂が文献を調べたところ、ある物を見つけた」

 

三代目火影ヒルゼンは、ヒルゼンの命で他里に出たミナトの代わりに、代理を任されていた。

 

「それで先生、何か分かりましたか?」

 

「これを見ろ」

 

綱手、自来也、大蛇丸の前に、一つの巻物が広げられた。そこには、古い文字で六道仙人の伝説と、噂で書かれた伝説が載っていた。

 

「太古の昔、五大国や各里ができる前、六道仙人は一つの強大なチャクラの化け物、十尾を操り、世界を崩壊の危機から救ったと残っておる。そして」

 

ヒルゼンは、もう一つの巻物を広げた。

 

「これは噂であり、ただの伝説だが、六道仙人は死期を悟り、十尾は九つのチャクラの化け物に姿を変えて、その化け物の尾の分だけ、世界に一つの強大なチャクラの化け物一体につき、二度と封印が解けぬよう、欠片として分割し、世界にばら撒いたとある」

 

綱手や大蛇丸、自来也は考える。綱手は少し考えた後に、ヒルゼンに尋ねる。

 

「ということは、この木の葉の里にも、眠っているということですか?」

 

ヒルゼンは頷く。

 

「確信はなかったが、九尾と呼ばれる尾獣が封印されている九つの欠片のうち、儂が初代様から受け継いだ欠片はミナトが持っておる。それに、火影岩の四代目顔岩を建造する際に、それと同じものを見つけた。それがこれじゃ」

 

何かの文字が刻まれた、九つの部分のうちの一つだった。

 

「儂が思うに、伝説でしかないが、この欠片を揃えた時、その九尾という化け物は復活するだろう。だが、伝説でしかなく、もう全ての尾獣は力を失い、蘇ることはないとも限らん。ミナトにも、他里にこのことを伝えるよう、五影会談で話をするよう言ってある」

 

ヒルゼン、綱手、大蛇丸、自来也が話している遠くの方で、仮面の男はそれを見つめていた。

 

「見つけた。全ての欠片を破壊し、この世界も滅ぼしてやる」

 

【ー第3話に続くー】




今までネタが思いつきませんでした。ようやく、2話目の区切りがついて、一安心です。続きを引き続きお楽しみ下さい。
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