六道仙人の母、大筒木カグヤは、確かにチャクラを手にした。しかし、息子であるハゴロモたちを産み、力による支配を拒み、十尾をハゴロモに託した。それは遥か数千年前の出来事だが、その想いは何千年も生き続け、ハゴロモが九体の尾獣に分散した強大なチャクラを、その尾獣たちの承諾の下、二度と過ちを繰り返すことを無くすため、一尾の欠片は三つ、二尾の欠片は四つ、その他の尾獣は尾の数だけ欠片に分散し、大国や里の長が一つずつ管理し、他の欠片はそれぞれ誰にも知らないように歴代の長が、誰にも分からない場所に封じ込めた。
それから、百年の年月が経ち、ナルトやサスケが生まれ、今に至っていた。
そんな時、ナルトが見た並行世界の記憶により、少しずつ並行世界のバランスが崩れ、別の平行世界から何者かが侵入しようとしていた。
『それにしても、ここのナルトは生かしておいていいのですか?』
黒い影が喋る。
「多少の誤差は、どの並行世界にもある。今は、欠片の破壊が最優先だ」
黒い影はスルリと伸び、その場から消える。
「未来の選択世界は消したはずなのにな。全く、誰がこのような並行世界を生み出しているのやら」
その男も姿を消す。
四代目火影である波風ミナトは、同盟国の里である砂の里に着いていた。
「お待ちしていました。連絡は受けています。風影様が祠でお待ちです」
風影の部下がミナトを案内する。その道中、今の風影に似た子どもがミナトを見ていた。
「ああ、我愛羅様。こちらは木の葉の里の火影様です」
ミナトは何かを察したのか、我愛羅に近寄る。
「我愛羅くんか。もう少し大きくなったら、僕にも息子がいるから、里に遊びにおいで」
ミナトに撫でられ、我愛羅は笑う。
「カンクロウ様、カンクロウ様はどこですか?」
部下に呼ばれて、この子どもの我愛羅を探していたのか、少し背の高い子どもが走ってきた。
「カンクロウ様、目を離されては困ります。テマリ様は学校でいませんのに」
「ごめん、ごめん。トイレ行ってたら、遅くなって。あ、火影様ですか?ご迷惑をおかけしました。我愛羅、さっき俺の友達が凄いの見せてくれるって言ってたぞ。行くぞー」
カンクロウがそう言うと、我愛羅はミナトにぺこりと頭を下げて、カンクロウについて行った。
ミナトは部下に連れられて、風影のいる祠へと着いた。
「待っていました、ミナトさん。とりあえず、例のある場所へどうぞ」
風影はミナトをさらに奥へ進ませ、部下でも進めことを許さない場所に向かった。
「驚きました。まさか、本当に伝説が存在していたなどと。この箱です」
風影は箱を開く。そこには、右上に分散された四つのうちの一つだった。
「これは代々、風影に伝わる欠片です。そして、私が首に下げているこの欠片は右下の部分に当たり、ちょうど半分が揃っているのです。ちなみに、この箱に封じたのは、先代である三代目風影です。他は全て、初代、二代目様方が隠したと思われます」
風影は箱を閉め、チャクラによって厳重な奥の棚に仕舞われた。
その時、巨大な振動が地上を襲った。
「地震でしょうか?」
「行ってみましょう」
風影の後に続いてミナトも外へ向かう。外では、黒いチャクラをまとった獣が暴れていた。その後ろに、明るいのに影が見えない存在がいた。
『お前たちの欠片を頂きに来た』
影は獣に指示を出し、風影とミナトを襲うように仕向ける。
ミナトはクナイを風のチャクラで威力を高め、獣に投げる。鋭い風のチャクラにも関わらず、黒いチャクラにクナイは弾き飛ばされる。
「何て強いチャクラだ。なら、これでどうだ!」
ミナトは螺旋丸を作り、黒い獣にそれをぶつける。だが、螺旋丸は黒いチャクラに吸収され、ミナトは弾かれる。風影はミナトを受け止め、獣の恐ろしさに気付く。
「なぜ、あれほどのチャクラを持ちながら、攻撃してこないのだ」
風影の言葉にミナトは祠に目を向ける。
「まさか、奴等は囮では!」
そのまさかだった。祠は内部から爆発し、中から人影のようなものが飛び出す。人影は先ほどの影が操る獣に欠片を投げつける。黒いチャクラは欠片に宿る一尾のチャクラだけを抜き、欠片の石を壊す。
『守鶴のチャクラはもらった。見よ、我が獣にチャクラが宿った』
獣は姿が一部変化し、手足や目が砂の獣に変わっていった。
『まだ持っているな、守鶴の欠片を』
影は砂のチャクラを使い、風影を砂で縛り付ける。ミナトにも砂が巻き付き、身動きが取れないでいた。首飾りの一尾の欠片を砂で取った影は、人影に欠片を投げ、その人影は砂の獣に欠片を投げつける。黒いチャクラは欠片のチャクラを吸収し、色を変えて欠片を砕く。顔の半分が砂の獣に変わり、下半身がほとんど砂に変わっていった。
『これで半分か。用は果たした。奴等は必要ない』
影は獣を一つの玉に封じ込める。砂の縛りから解けたミナトと風影だったが、影たちはすぐに姿を消し、何もできずに戦いは終わった。