深夜の冬木市は、大混乱の真っ只中であった。
突如、テロ行為が行われ住民への注意喚起が飛び交うようになっていた。
今日も、ビルが爆破解体されるなんて現実味のない事件が起きたりもしていたのだ。
「いやぁ、嫌な事件でしたね」
「人払いのルーンだ、救難活動とやらの邪魔にはならないだろう。まぁ、元々被害は出ないようにしてたみたいだけどな」
「おぉ、見て下さい。水銀ちゃん、本物の水銀ちゃんですよ」
ハイエットホテルであったか、それがあった場所には水銀の塊があった。
「間桐家、間桐雁夜がケイネスエルメロイアーチボルトに決闘を申し込む」
「ふん、このような暴挙に出たのが始まりの御三家と呼ばれる間桐とは。落ちたものだな」
「いや、ウチは関係ない。これはアインツベルンの仕業なんですよ~」
「…………」
「…………」
水銀が開かれると同時に、呆れた様子のケイネスが現れたのだが、私達の間には悲しい沈黙があった。
まぁ、話を聞くタイプでよかったです。
「このような窮地に攻め入るのは申し訳ないですが、これも乱世のならい、諦めなされ」
「ふむ、サムライスピリットという奴だな。良いだろう、魔術と魔術の立会を所望とあらば、逃げる理由はない」
「その前に、その素敵な奥方は避難させた方がよろしい。戦場に、可憐な華は似つかわしくない」
「おい、人の嫁に色目使うなんてお仕置き確定ですよ~」
おじさんの顔に冷や汗が流れる。
当たり前だろ、遊びに来てるんじゃねぇんだぞ。
「だがよ、嬢ちゃん。ありゃ、気が強いが身体は良いぞ、気が強い女はいい」
「貴様ら、主従揃って人を馬鹿にするのも大概にしてもらおうか」
「ほらー、怒っちゃったじゃん」
怒りを顕にするケイネス先生、それに触発されてランサーも厳しい目を向けてくる。
そそくさと二人から離れて、ソラウさんの近くに行く。
「先に名乗ってやるよ。我が名はクーフーリン、此度はキャスターのクラスで顕現した。さぁ、坊主尋常に勝負しな!」
「ッ、まさか、本当に、貴方が光の御子だと言うのか」
「ランサー、今回だけは名乗りを許してやろう」
「主、感謝します!我が名は、我が名はフィオナ騎士団が一番槍、ディルムッド・オディナ!光の御子との手合わせとは……身に余る栄誉、その勇姿、胸に刻みます」
バーサーカーが奪ってきた、破魔の槍、その原点とでも言う槍をキャスニキが構える。
その格好はキャスターだが、しかし赤い槍を握った姿はどう見てもランサーだった。
「宝具を開帳しな、まさか手を抜いて勝てるとでも思ってるのか。確かにキャスターだが、我が槍裁きはクラスごときで衰える事はない!」
「然り、故にこそ初めから全力で行かせて貰います!」
男達の友情が、そこにはあった。
熱いな、というか暑苦しいですね、二人共爽やかな笑顔だけどね。
さて、対するケイネス先生は観戦という訳にいかず戦う気満々であった。
なんでサーヴァントを召喚したの、まぁたぶん道具とか装備程度にしか見てないんだろうな。
「では、始めようか間桐の」
「武器を使わせて貰います。異存はありませんね」
「フン、此方も使っているのでな。さぁ、貴殿の魔術を見せてもらおうか」
おじさんが黒塗りの長剣を手にとった。
此方も破魔の力の籠もった長剣だ。
漆黒の黒塗りに、赤い動脈のような魔力ラインが侵食した宝剣である。
「何と、白兵戦を嗜むか。極東の魔術師というのは、皆がそうなのか」
「さぁ、どうなんでしょうね。では、行かせてもらいます」
おじさんの姿が一瞬で消え去る。
その動きは人間を超えた動きだ。
「Scalp!」
「ほぉ、やりますね」
だが、その動きについてくるように水銀が鞭のようにしならせた触手で、おじさんを襲いかかる。
触れれば斬れる水銀の刃が、触手となって襲いかかってくるのだ。
いやぁ、薄い本が捗りますね。
おじさんは難なく攻撃を避けていく。
「素晴らしい、この私の礼装にその身だけで対応出来るとは。極東は猿しかいないと思っていたが、なかなかやるではないか」
「メイガス、その賞賛は甘んじて受け入れましょう。人の身で練り上げたにしては、練度の高い動きをする魔術ですね。まぁ、人並みにですが」
おじさんの動きが加速する。
その破魔の長剣の効果か、避けることをやめた。
そして、そのまま水銀に斬り掛かると切り離された水銀は地面へと飛び散って動かなくなる。
「なるほど、魔術の無効化か。だが、回収すれば問題ない」
「流動し、常に供給すれば元通りという訳ですね。大元である貴方を倒せば問題ないと」
切り結び、バラバラにしても水銀は本体とも言うべき一番大きい水銀に触れると元通りに動いていく。
いくらバラバラにして質量を減らしても、すぐに元通りになってしまうのだ。
流石、遠坂時臣しか魔術師としては勝てないと言わしめた実力者だ。
勝つには英霊をぶつけるしかないというだけある。
さてと、やりますか。
「動くな!この女の命が惜しくないのか!」
「なっ、ソラウ殿!」
「ソラウ!」
私の魔術を使い、ソラウさんを影で包み込む。
目しか出ていない状態で、身動きの取れない人質の完成である。
「魔術師にしては箱入り娘なのかしらね。子供の見た目に騙されて、油断するなんて」
「馬鹿な、子供ではないのか!老獪な魔術師が、化けていただと!私ですら見抜けぬなんて」
「所詮はアーチボルトもその程度よ」
ほれほれ、おっぱいとかお尻とか揉んじゃうからな。
どうだ、触ったことないだろ。
「貴様ら、我が主君の奥方を辱めるか!」
「ケイネス殿、終わりです」
「えっ、ぐわぁぁぁぁ!?」
血涙を流す勢いで凝視していた先生が、そのまま懐にはいったおじさんによって切り裂かれる。
すげぇ、上半身と下半身が真っ二つになった。
「貴様ぁ、主の仇!」
「激情に踊らされるようでは、槍の冴えも鈍りますよ」
おじさんが剣を振るってランサーと切り結ぶ。
短槍を防がれたランサーは、もう片方の長槍を構え振るう。
それをおじさんは腕で受け止め、その腕が触れている場所に黒い装甲が現れた。
「その装甲、まさか、貴様はマスターではない!?」
「悪いが、その心臓貰い受ける!」
「ガハッ……あっ、あぁ、サーヴァントだったのか」
呆然と、胸の内側から現れた槍にランサーは固まった。
まるで、ブリキの人形のようにゆっくりと首を動かし背後を見る。
その背後には、不敵な笑みを浮かべたキャスターが槍を突き刺した姿だ。
「おのれ、おのれ、おのれ!貴様らは、貴様らはそうまでして聖杯が欲しいか!見損なったぞ、光の御子!御身がそこまで落ちるとは」
「それ以上はやめろ、同じ戦場に立った主君への冒涜だ。まぁ、噂以上だったぜ麗しの若武者さんよ。しかし、マックールの小僧も魔が差したもんだ。これだけの男を私怨で取りこぼすとはね」
「だが、だとしても許さん!このような卑劣な手で……断じて貴様らを赦さんッ!名利に憑かれ、騎士の誇りを貶めた亡者ども……その夢を我が血で穢すがいい!聖杯に――」
「そういうの良いんで、やっちゃえバーサーカー!」
心臓を刺されたぐらいで死ぬほど英霊は弱くないという兄貴の持論から油断せずにバーサーカーが顔面を殴る。
その後、兄貴が背後から抱きつき関節を絞め技で固定し動けなくした。
「騎士道に拘ったところで、主君を失うとは愚かな極み。恥を知れ」
「などと、主君の嫁を寝取った同じ境遇の男は申しております」
「私は、違うのですアーサー王、あぁ、あぁぁぁぁ」
「おい、やめてやれよ。いつもの発作入っちゃただろ」
何をしようが勝負の世界に綺麗も汚いもねぇとあっさりな兄貴。
一番、こういうの嫌いそうだったけど、綺礼の命令で一般人を殺害とかもしてたしそういうのは平気なんだろう。
三百年も違えば考え方が変わるもんなんだね。
ルート分岐
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残念だが、その聖杯は汚れてますよセイバー
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アイツら、強いから同盟結びましょライダー
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しばらく、現代を楽しみましょうキャスニキ