鬱蒼と茂る木々を掻き分けるように、蟲が群れを為して進んでいく。
そこはアインツベルンの領地、冬木において拠点とされている場所だ。
そこには侵入者感知の結界が設置してあった。
まぁ、無意味なのだけれどもね。
そこにある結界とは区切るものであり、その役割は作成者の意図によって考えられる。
アインツベルンは敵が侵入した場合、それが分かるようにという意図の元に作っていた。
しかし、そもそもとして影や光、空気が入り込むことを知らせるようになどしたりするだろうか。
答えは、そんな物まで感知して作成者に伝達していたら作成者は膨大な情報を前に頭がパーになるである。
そのため、アインツベルンの領地にあった結界は結界としての機能を果たさずに攻略できた。
影である、影などと言う結界に感知されない物をワープゲートとして蟲を移動させれば結界に触れずに侵入させる事が出来るのだ。
「流石だ、桜ちゃん!」
「フフン、とーぜんですね」
さぁ、アインツベルン城に侵入するのです。
使い魔となった蟲達を経由して、話し合いの機会を持とうと思っていた私達。
しかし、不測の事態が起きる。
「ッ、使い魔のパスが……消えた」
「馬鹿な」
「他のバックアップがある……よし、つな、あっ!アレは、セイバー!」
他の蟲に視線を繋ぎ変えた叔父さんが驚きの声を上げた。
どうにも、他の視点で見ると最初に操っていた蟲の分隊をセイバーが惨殺していたようなのである。
「馬鹿な、気付かれていたのか!」
「別に中で何か動いてたら反応するようになってたんじゃねぇの?結界の内側の様子が見れたりとかよ、そもそもなんでバレないと思ったのか」
うっかりである。
遠坂の血の呪い、自らの思考こそ優雅であるという傲慢さから起きる悲劇。
そう、うっかりである。
目に見える結界に触れなければ感知されない、その考えが間違え。
寧ろ、その結界の内側に入った時点で感知されていたのである。
境界線を工夫して超えた所で、そういう話じゃないのであった。
「も、元々気付かれるつもりだったから」
「今、とってつけた理由に聞こえるが」
私達の前に一匹の虫が出てくる。
ソファーで寝ているキャスニキ、昼ドラを見ているバサロット、そして一匹の蟲に話し掛ける叔父さん。
それは芋虫のような形の特别製であった。
「アイツベルンに話し合いを求める」
『アインツベルン、ニ、ハナシアイヲ、モトメル』
そう、叔父さんが遠隔で話したことが蟲経由で届けられるという特别製だ。
此方からは叔父さんのやり取りしか見れないけど、たぶん蟲から片言な言葉が聞こえていると思う。
叔父さんの言葉を繰り返す、蟲。
同じ種類の蟲が、たぶんあっちでも声を発している。
「いや、これは奇襲じゃなくて誤解で、あっ、ちょ、やめ」
『キシュウ、ゴカイ、チョヤメ』
「嬢ちゃん、なんか雲行き怪しくね」
「王は人の話を聞かないからなぁ」
「うるさいですよ、サーヴァントズ!令呪を使って豚にしますよ」
「令呪の無駄遣いってレベルじゃねぇぞ!」
叔父さんが奮闘している。
がんばれ叔父さん、負けるな叔父さん。
「あっ、やめ、あぁぁぁぁぁ!」
「おい、ダメだったんじゃね?」
「これ、アレですよね。斬られたんですよね、恐らく」
「さ、作戦変更!」
次の作戦は、蟲を使った手紙の配達である。
アインツベルンの城に向けて、手紙を書いて送り届けるというものだ。
数日後、私達の次善策は失敗したことが分かった。
いそいそと手紙の文章を四人で考えていると、心臓がドクンと体全体に鼓動を伝えた。
結界に、侵入があった証拠である。
「て、敵襲!結界ぶち壊して、何か来ましたよ!」
「衛宮切嗣か!ランスロット、俺に化けて桜ちゃんと逃げろ。俺はキャスターと迎撃する」
「あっちがマスター狙いなら、お前の出番だ。しっかりやれよ」
「腐っても円卓の騎士、必ずや守ってみせましょう」
突然の敵襲に、私達は予め考えていた作戦通りに行動する。
このまま逃げ切ったら、間桐邸は地下の蟲蔵に仕込んだ爆弾で爆破である。
衛宮切嗣も諸共爆死してもらう。
と、思っている時もありました。
間桐邸に穴が空いていた。
その場所に立つのは叔父さんとキャスター。
会話はお互いのサーヴァント経由で分かっている。
そして、その穴を開けた人物は堂々と立っていた。
「よぉ、キャスターとそのマスターよ!」
「ラ、ライダーだと……」
「今宵、セイバーの所で宴を行う。どうだ、お主らも来んか?」
「う、宴……何いってんだコイツ……」
聖杯問答!私は思わず声を上げた。
うっかりしていた、誰かの知識があったにも関わらずだ。
どうすると目で訴えかける叔父さん、叔父さんとしてはキャスターに向けたのだろうけど、サーヴァント経由で私にも見えている。
でも答えはノーだ、いいチャンスだし、これを使って同盟を申し込もう。
だが、宴には参加しない。
神父を殺していることはアサシン経由でバレていると思うので、最悪集団リンチになるかもだからだ。
「聖杯を相応しき者の手に渡る定めだという、その見極めをつけるのがこの冬木の闘争と聞く。しかし、何も血を流すだけが見極めではない。お互いの格に納得が行くならば、おのずと答えは決まってくるであろう」
「悪いが参加はしない」
「残念だのぉ、戦場に立つ剛毅なマスターだ。そう言うと思っておらんかった。気が向いたらなら来い。ではな、先に待っているぞ!」
ただし、聖杯問答が終わってからだがな。
そう言って、ライダーは戦車を間桐邸で乗り回して、開けた穴から出ていった。
人の家をぶち壊して、そのままアインツベルンの城へと飛んでいった。
「何だったんだ」
「英霊なんざ、大なり小なり、頭が可笑しいもんだ。気にする方が無駄だぜ」
キャスターの言葉に、なるほどなと私と叔父さんは呟くのだった。
私達は、ズタズタに壊された森を見た。
一直線に、獣道の如く、木々が壊されて直線の道が出来ていた。
ライダーが戦車で突撃敢行したんだろうな。
「はえー、すっごい」
「アホっぽい顔してるぞ、嬢ちゃん」
「バーサーカー、ソイツを殴って!」
「キャスター殿、すまない。主命には逆らえなかったよ」
「おのれバーサーカー、また裏切ったか!」
森の前で茶番劇を広げるサーヴァント達、そんな私達の視界の先で閃光が煌めいていた。
最初に気付いたのは、そこだバーサーカー、下から抉るように殴れと熱が入った私ではなく叔父さんだった。
「城が、光ってる」
「えっ?あっ、ライダーの宝具って奴なのでは」
アサシンが纏めて蹂躙されたアレである。
外から見ると、光のドームが城に出来てるのが見える。
「お開きだな、セイバーだけになるしチャンスだ」
「急ぐぞ」
私達が辿り着くと茫然と立ち尽くすセイバーが見えた。
「キャスター!」
「ッ!?アイリスフィール、下がって!」
先に反応したのはマスター、っていうロールのホムンクルス。
アインツベルンの用意した聖杯の入れ物だ。
「結界が破れたのを良いことに奇襲か」
「待て、俺達は話し合いに来たんだ」
物陰からそう言いながら、彼らの前へと出ていく。
キャスター、おじさん、私、そして……
「遠坂時臣……そう、間桐と手を組んだということね」
「好きに解釈してくれ」
姿を変えたバーサーカーが前に立った。
「信用できないのなら誓約書でも書こうか」
「ギアス……スクロール……」
おじさんがポンと羊皮紙の塊を投げつける。
それを片手で掴むセイバー、拍手する遠坂時臣、やめろ。
「間桐とアインツベルンの停戦契約……」
「そうだ、遠坂は別陣営なので個人で交渉してくれ。だが俺と俺のサーヴァントは残り二騎となるまで敵対行動を取らない。その上で、未だ姿を表さないバーサーカー陣営と永久に手を組まないことを保証しよう」
「戯言を、そんな紙切れで何の保証になるというのです、メイガス」
「……良いでしょう、検討だけはしましょう」
「アイリスフィール!」
「セイバー、この誓約書は魔術的な保証を持っているの。それに、今は遠坂と間桐の両陣営を敵に回すわけにはいかないわ」
うんうん、正しい判断でしょう。
もっとも、対象としているのがアイリスフィール・フォン・アインツベルンとセイバーなので衛宮切嗣は自由に動けるという抜け穴がある。
そこを利用してくるために乗ってくるでしょう。
「約束しよう、俺は敵対しない。その上で、聖杯の浄化に協力して欲しい」
そう、叔父さんとバーサーカーは敵対しない。
叔父さん達は、ね。
「そして、改めて伝える。聖杯は汚染されている、聖杯の叶える願いは破滅的なものとなる。例えば世界平和を願えば、悪意を持つ者を全て皆殺しにして叶えるだろう。故国の救済はブリテンの脅威を殺戮し、その後に続く人類史すらも焼却する」
「そんな……そんな戯言で私の聖杯を奪うというのか」
「えっ?いや、えっ」
「結論は追って知らせるとします」
私達は無言で叔父さんの肩に手を置いた。
まぁ、気にするなよ。
ルート分岐
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よし、セイバー達とレイド戦するか
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オジサンは敵対しないよ、オジサンはね
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ブリテンごっこしよ、時臣お前アーサー王な
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そんなことよりゴロゴロしたい