ぬわああああん異世界勇者の相手するの疲れたぁぁんもおおおおん 作:輝く羊モドキ
来る日も来る日もチートチートチート……お前等人間共は本当にワンパターンだよなぁオラァ!!
やれ『そなたは選ばれし勇者の~』だの、やれ『貴殿こそ我等人間族の希望の~』だの、次から次へと異世界からチート勇者呼び出しやがって。なにポンポンと厄災クラスのバケモン共をこの世に解き放ってんだアホか!!
全属性魔法適性はもはや当たり前。物理攻撃無効や完全魔法耐性なんて序の口、酷い奴はダメージ完全反射って何だよ!?どうやって勝つんだそんなバケモンに!!
「そんなチート勇者相手に勝利を収める魔王様も大概だと思いますが」
「うっせ!」
くっそ、こんな事なら召喚魔法なんぞ作らなければ良かった。なんなんだよあの人間共、何をどうやったら遠くから瞬時に物を呼びよせる魔法が異世界から生き物を引きずり落とす魔法に変わるんだよ。頭おかしいんじゃねえの?
「面白半分で、かの魔法大国の一大学院に召喚魔法を見せびらかしたからだと思いますが」
「うっせ!」
だってあのクソ学院長が『魔王とか名ばかりだろプゲラwww悔しかったら完全オリジナル魔法でも作ってみろやwww』とか喧嘩売ってくるから仕方ないだろ!
「状態異常耐性あっても煽り耐性ゼロ魔王」
「うっせ!」
火水土風に光闇属性以外の完全オリジナルとか無茶振りだろ!
んな事はどうでも良いんだよ!問題は増え続けるチート勇者だ!
「いっその事、一定以上の魔法文明を持ってる国全て滅ぼしてしまえばいいのでは?」
「お前のその発想は何処から来るんだ!?」
そんな事すれば永遠に人間族の敵になるだろうが怖ぇーよ!
「既に神敵扱いされていますし今更では?」
「うっせ!」
ちょっと聖女って呼ばれてたメスガキに手を出しただけじゃん!神って奴は本当に器が小さいな!
「魔王様の粗末なモノ程ではないと思いますが」
「急に言葉の聖剣でざっくり切りかかってくるの止めてくれない!?」
俺だって男なんだから!そういうのかなり気にしてるんだから!
「おや、気にしてるのは髪の毛の薄さだけでは無かったのですか」
「ハゲじゃねーし!?」
ちょっとオールバックにした時にデコの広さに絶望を感じるだけだし!?朝起きた時に枕元にごっそり毛が落ちてた時に胸のあたりがキュってなるだけだし!?
「大丈夫ですよ魔王様、例え貴方の髪の毛程に部下からの人望も薄くても私は貴方に付き従いますから」
「別に髪薄いとは思ってねーし!?部下にめっちゃ慕われてるし!?」
「ついこの前、龍姫が勇者側に寝返ったのをお忘れで?ああ魔王様、その年で健忘症はあまりにも……」
「アレは俺の人望云々って言うより勇者のチート能力だろいい加減にしろ!つーかその勇者だよ!何なんだあいつ等次から次へと来る癖にどいつもこいつも俺等に対する敵愾心深すぎじゃねぇ!?」
「召喚された勇者たちは元々あたまがへいわなせかいで生まれ育ち、こちらの世界に召喚された際に得た能力による全能感から一種のトリップ状態に陥っていると予測されます。その時にこの世の不条理の責任が全て魔王様にあるかの様な説明を受けて、二つ返事で魔王討伐を了承するようです」
「急にヤク漬け状態の奴に死出の旅路の用意させるとか闇深すぎるだろ……怖っ」
「しかもヘタに力を持っている状態ですので何かしらのトラブルが起きた際に発生する事態は災害レベルですからね」
その災害すらも全部
最近で言えば、火属性特化チート勇者による『擬似太陽異変』で帝国が滅んだり、モンスターテイム特化チート勇者が『ゴブリン王国』を建国し、異常繁殖したゴブリンが一時期人界の10分の1程の規模を支配するだけでなく魔界にまで溢れてきたり、支援特化チート勇者が聖公国を
最近だけでこの規模とか人界もうじき滅びるだろjk……
「もしかして勇者って馬鹿なのではないか?」
「馬鹿王にでも察せる程とは余程ですね」
「今なんて?」
「魔王様は賢くお強いですねと言いました」
「おっおう、急に褒めるんじゃねえよ」
「……フッ」
「今何で鼻で笑った」
というか人間共もなんで見えてる地雷を踏みに行くのか。と殺現場すら見たことのないクソガキにいきなり『魔族殺してきてちょ♥️』でパニックにならない訳がないだろ。
「1.召喚された勇者(笑)を既に完成されている破壊兵器程度にしか思っていなかった召喚者の怠慢。
2.召喚された勇者(笑)に支配の魔法を掛けるも、生物を殺したショック程度で解除される召喚者の慢心。
3.そもそもそんな事にまで気が回らない無能。
のどれかだと思いますが」
「馬鹿なのはこの世界の人間族だったか……」
「そして馬鹿じゃない人間族に召喚された勇者がこの魔王城までやってくると」
「ざけんな」
マジでふざけんな。この一ヶ月毎日の如くチート勇者が魔王城に攻め込んでくる上に、城下町なんてえげつない程に被害が甚大。既に一般市民は比較的安全な遠くの町に避難させているとは言え、勇者による理不尽な略奪から守る為に魔王軍の訓練兵すら防衛に当たらせざるをえない。しかもその戦闘によって死亡する兵の蘇生にも膨大な人員と魔力を割かなければならない。
蘇生の魔法を使える奴を予め増員しておいてよかったと心底思う。じゃなけりゃ魔王たる俺までも前線で蘇生の魔法を使い続ける事になっていた。
「蘇生の魔法用の外付け魔力タンクを補充し続けるのと何が違うんです?」
「時間効率が違うだろいい加減にしろ!」
誰が無限魔力タンクじゃボケぇ!最近じゃチート勇者の相手しながら魔力タンク補充してるけども!
「その上広範囲殲滅魔法用の防御結界、魔王城及び周囲の城下町内に直接転移するのを防ぐ防御結界、耐性を持った勇者以外を無力化する弱体化結界の維持管理。全く呆れる程に働きますね」
「そう思うんならもうちょっと労われ俺を!」
どの結界魔法も未だに取得適正者が見つかってないオリジナル魔法だから必然的に俺が使わなければならないという。
っかーつれーわー!かー!魔王の名に恥じないレベルで自在に魔法造り出せるとこれだからなー!っかー!
勇者に殺される前に過労死するわタコ。
「魔王様、四天王が一、水迅から通信魔法が入りました」
「繋げ」
『魔王様ぁぁぁぁぁ!!ゆーしゃ、勇者が星落してあばうあー!』
「結界内なら死なん。勇者を結界内に入れないように適当にがんばれ」
『かしこまりぁああー!』
「叫ばんと通信できんのか……」
「魔王様、火雅から通信魔法が入りました」
『魔王様!勇者がなんかエラい軍勢引き連れてきたっス!オレの炎が一切効いてねえっス!』
「城下町の戦闘区画に引き入れろ。そこで火葬にでも何でもしてしまえ」
『了解っス!』
「『了解』は俺に使うなっていつも言ってるっス」
「魔王様。風理から通信が」
『まおーしゃーん!ゆーしゃがとんできましたー!』
「叩き落とせよ」
『あいしゃー』
「一々通信入れんな……」
「土虞からです」
『はぁい魔王様ぁ。勇者が地面から生えて来たんだけどぉ』
「埋め直しなさい」
『ゴーレムの具材にしちゃったから嫌よぉ』
「お前に至ってはなんで通信してきたんだよ」
「魔王様、勇者から通信が」
「勇者から!?」
『聞け魔王!これ以上無辜の民を傷つけるというのなら容赦は……』
「んな話耳にタコ出来るくらい聞いてんだよ!むしろ無辜の民傷つけてるのお前等量産型勇者!民家に押し入って壺やら箪笥やらの中身荒らし回ってるそうじゃねえか!」
『黙れ!それもこれもお前等魔王軍が……』
「そういうのも聞き飽きてんだよ魔族とモンスターの区別もつかない野蛮人共が!態々通信魔法使ってまで言うことか!」
『きさ』ブツッ
「……今日はもう寝ていいか?疲れたわ」
「よろしいのですか?既に勇者がこの部屋に続く階段の中程におりますが」
「それ一番先に報告するべきじゃないかなあ!?」
「魔王は此処かぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
「馬鹿みてえにうるせえ奴来た!」
「貴様が魔王か!!!!!!!聖女を奪い返しこの剣の錆にしてくれる死ね!!!!!!!」
「人格破綻のヤベー奴じゃねえか会話しろやせめて」
「魔王様も人格破綻のヤ」
「貴様を切り捨てるのに9秒も要らん!!!!!!如何な防御もこの聖剣の前に紙に等しい!!!!!!そして我が異能、時止めと合わされば神すら敵では無いわ!!!!!」
「さっきからマジでうるせえよ自己主張激しすぎるだろこの勇者」
「な、馬鹿なっ!!!!!?なぜ止まった時の世界で動ける!!!!!?」
「時間止めてくる奴なんて初めてじゃねえからだよ言わせんな」
「くっ、だが止まった時間の中では魔法は使えまい!!!!!剣の腕で我に勝てまい!!!!!!」
「いや、普通に魔法使えるし。剣の腕もお前よりマシだわ」
「話が違うぞ女神ぃぃぃぃぃぃいいいいい!!!!!!!」
うるさい口を聖剣(笑)ごと切り裂き、返す刀で止まった時ごと勇者を切り捨てた。
「バい奴で……あれ、勇者は?」
「転移魔法失敗して壁の中にでも居るんじゃね?それよりお前さっきなんて言っ」
「魔王様、また勇者反応です」
「またかよ!?三将軍は何してんだ!?」
「勇者に殴り飛ばされて蘇生待ちの様ですね」
「あいつ等全員!?物理無効持ちもいたはずだが!?」
「なんか物理無効無効持ちみたいですよ」
「頭おかしいんじゃねえの!?何簡単に耐性突破してんだ!」
次の瞬間、魔王の間の床がぶち抜かれた。
床の破片が飛び散り、開いた大穴から一人の男が這い出てきた。
「……お前が魔王か」
「いやいやいや、破壊不能オブジェクトを平然と壊さないでくれませんかね」
「何言ってんだ?まあいい、お前自身に恨みは無いが……世界の平和の為に倒させてもらおう」
「うるせえ禿げ頭!お前等勇者が出しゃばらない方がよっぽど平和な世界だったわ」
「禿げっ……テメェ、人が気にしている事を!」
「
「何をごちゃごちゃと訳の分からんことを!」
「っ!コイツは……!」
「先手必勝!」
禿げ頭の拳が迫る。咄嗟に肘で防御するが、ミシリと嫌な感覚を覚える。
魔法が使えなくなっている。いや、魔法どころか魔族としての先天的なスキルすら使えなくなった。
「俺のスキル:
「……なるほど。これはしてやられた。まさかこんな方法で俺の防御結界を突破するとはな」
「魔王様。観察の結果、現在この魔王の間全体がそのスキルの範囲内の様です。城下町に張られている各種結界は現在無事な様子。ですが魔王様の魔力リンクが途切れてる現状早く対処しなければ最悪の事態になるかと」
「わかった。やはりお前の目は良いな」
「ふん、この俺に勝てるとでも?
「勝つさ。俺を誰だと思っている?」
「戯言を!喰らえ必殺マジシリーズ『マジ殴り』」
「だからそういうRP他所でやれって」
禿げ頭の拳に対し、指を絡めるように回し、指関節、手首、肘、肩をクッションにして威力を完全に殺す。
「な、馬鹿な!?軽く触れただけで岩すら粉々にする圧倒的パワーだぞ!?」
「鍛えた魔族の身体は鋼鉄なんぞ遥かに凌ぐほどに強靭になる。知らなかったのか?」
この世には通称『魔素』と呼ばれる物質群がある。魔族はその他種族と違って生まれながらにして体内に魔素を分解、吸収する器官が備わっており、魔力と呼ばれるエネルギーに変化する。魔力は魔法の元になるエネルギーだが、魔法以外にも使い道はある。その一つが身体の強靭化だ。身体を鍛える際、筋繊維一本一本に混ぜ合わせるように魔力を通す事でより強く変化する。ドワーフや巨人が人間より生まれつき力が強いのは、生まれつき筋繊維に魔力が通っているからだ。
「
「ぐ、んぬぁああああ!!!」
力任せに腕を振り回した所で、当たらなければなんてことは無い。
「お前、そのパワー任せで技術面のトレーニングなんて全然してなかったろ」
「黙れ黙れ黙れぇ!!!」
もはやガキの喧嘩レベル。技も何もあったものじゃないテレフォンパンチに手を添えて真上に投げ飛ばす。腕を振るうベクトルがそのまま上に向かい、禿げ頭の身体が錐揉み回転しながら落ちてくる。
落ちて来たタイミングに合わせ、掌を押し当てる。自身の腰から肩、肘、手首、指先にまで魔力を順番に、流れるように、それでいて閃光の様な速さで通す。
「魔導拳!」
「ぶがあああ!!!」
禿げ頭の重心に直撃し、真横に吹き飛んでは魔王の間の壁をブチ破ってそのまま遥か遠くの山を越えて飛んで行った所まで見送った。
「……魔王様」
「なんだ。俺はもう今日は休む。もう勇者以外の事で呼ばないように。一日七勇者ってなんだよ、呼び過ぎだろくそ人間共が……」
「あの……」
「だからなんだって」
「『魔導拳』って、魔王様が考えたネーミングですか?」
「……は?」
「いや、だって『魔導拳』ですよ?なんですかその意味不明な技名。魔力使った拳なら『魔力拳』では?魔法使った拳なら『魔法拳』では?何処から『魔導』が生えて来たんですか?」
「……」
「なにちょっとカッコつけた言い方に変えてるんですか?そもそもそういった技名なんて一々声に出して恥ずかしくないんですか?なんで心の中だけに留めておかないんですか?それに……」
「もう止めろよぉ!!別にいいだろ必殺技に名前付けたってよぉ!!ちょっとカッコつけた技名にしたっていいじゃねえかよぉ!!」
「いい年して未だに厨二病とか恥ずかしくないので?」
「いい年しては余計だちくしょう!!誰だこんな奴側近にした奴!」
「当時まだ幼かった聖女を拉致して光源氏した魔王様では?」
「『光源氏した』って何!?くっそ、こんなのに成長するとか聞いてないぞ!過去の俺何してんだ!」
「子供サイズの魔王様も成長しましたか?」
「マジで余計なお世話だドちくしょう!!」
世界があらゆる意味で俺を殺しに来てるとしか思えない。
「さあ魔王様、今日もまだ始まったばかりです。この後は女神族の長が謁見を希望してますのでその対応、その後そのまま精霊族が一族全員引き連れて嘆願に来るのでその対応、巨人族の勇者が魔王と一騎打ちを希望してますのでその対応、それが済んでから昼食ですがその際に元帝国の第一王女から第四王女との会食、会食後ですが人狼族が魔王軍幹部待遇として扱うなら仲間になってやると調子に乗ってるので立場を解らせてやるのと新しいダンジョンの建設予定地の下見、その後魔王軍訓練施設に赴いて兵士達に激励の言葉をお願いします。夕食はその後ですがエルフ族との会食も兼ねてます。食事が終わったら入浴になりますがスライム族の女王と裸のお付き合いも兼ねてますのでそれまでに精を果たさない様お気を付けください」
「まてまてまてェ!!何その過密スケジュール!!何も聞いてねえんすけども!!」
「今言いましたので」
「そんなスケジュールなら事前に言っとけよ常識的に考えて!!え、何!?女神族の長が何だって!?精霊族!?巨人族の勇者と一騎打ちって言ったか!?その後なんか色々有ったな!?スライム族の女王!?」
「魔王様程の強さを持つ雄との子なら大抵の種族なら受け入れるかと」
「そういう事言ってんじゃねえよ!え、マジ!?マジなん!?マジなんなん!?過労死するってのが冗談じゃなくなってるんですが!?」
「大丈夫ですよ魔王様。蘇生の魔法は私も使えますので魔王様が過労死してもすぐに蘇生してあげますから」
「死んでも逃げられないッ!!!」
ああ、こんな……こんな事になるなら世界征服なんぞしなければ良かったッ……!!
「あ、もし勇者が襲撃してきても今日の予定は一切ずらせませんので一瞬で処理してくださいね」
「魔王が心置きなく政務出来るようにしとけよ配下共ォ!!」
「無理でしょう」
「冷静かよ元聖女っ!!」
今日も今日とて魔王は働く。この世界の支配者として。
「さあ魔王様、お伝えした予定以外にも当然いつもの書類仕事がありますのでさっさと処理してください」
「ちくしょうなんで世界征服してまでこんな事しなきゃならんのだァァァァ!!!」
行け魔王!頑張れ魔王!世界の命運はお前の肩に掛かっている!!
『まおーしゃーん!りゅーおーがゆーしゃととんできましたー!』
「ちょっとは休ませろよおおおおおおおお!!!」
「あ、魔王様そこ計算ミスってますよ」
「なんで経理書類まで俺が処理しなきゃなんねえんだよおおおおおお!!!」
「しょうがないじゃないですか。魔族って基本的にINT低いんですからこういう計算出来ないんですから……」
「書類仕事出来る種族雇えよおおおおおお!!!」
『まおーしゃーん!りゅーおーがー!』
「だあああああもおおおおおお!!!」
魔王の闘争の日々は続く!
「続いて堪るかこんな日々ぃぃぃ!!!」
* * * * *
そう、それは正に天啓とも呼べる発想だった。
「魔王、覚悟しろ!」
「覚悟するのは貴様だ、勇者!コレを見よ!」
「な、これは!?」
異世界勇者の相手をするのに疲れた俺こと魔王は遂に現状を打破する方法を見つけたのだ。
「『回帰魔法発動条件表』……!?」
「それはお前が住んでいた元の世界に返す為に必要なモノをリストアップしてくれる魔法紙だ。さあ条件を読み上げろ勇者よ!」
「っ、元の世界に帰れるのか!!?」
「当たり前だ!こっちに召喚する魔法があれば送還する魔法もあって然るべきだと思わなかったのか?」
「だ、だが俺は魔王を……」
「よく考えろ勇者よ。突然断りもなく訳のわからない場所に無理矢理連れて来られて、しかも帰る事も出来ない上に無理難題を押し付ける。そんな奴等に果たす義理なんて無いとは思わないのか?」
「う、ぐぅ……」
「俺なら条件さえ整えばお前等異世界勇者を元の世界に戻す事が出来る。ならもう争う必要は無いと思うんだがな?」
「く、元の世界に帰す代わりに言う事を聞けと言うつもりか!」
「そうは言ってねえだろ。いいからその表を読み上げてみろっつーの」
「……」
座標 ■■.■■.××.××
必要LV 95
スキル 全属性耐性 魔法吸収 サイコキネシス
装備 女神の奉剣
「な、なんだこれは……!」
「お前の元の世界の座標……まあ転送魔法みたいなもんだ。そこに送るのに必要なお前のスキル、装備。要するにコッチの世界に来たときに得たチート能力、チート装備を捧げろってことだ。レベルは単純に転移する際に必要となる魂の強度だ。それ以下だと転移の衝撃に耐えられず死ぬぞ」
「俺のこのスキルを奪うつもりか!?」
「バカ、お前が住んでた世界にまでスキルを持っていく気か?必要ねえだろ普通に生きる分には」
「だ、だが……」
「スキルを捨てて元の世界に戻るか、この世界で死ぬまで過ごすか選べるだけいいと思うがな。レベルが足りないというのなら俺が『クエストブック』を渡してもいい。装備が手元にないなら同じ程度のレアリティの装備を天界からでも奪って来るんだな」
「……」
「考える時間が欲しいなら好きにしろ。俺はエルフよりも遥かに長生きする。但しこれ以上お前が暴れるのは許さん。その時はお前を排除する。……ま、賢い選択をすることを祈る」
「俺は……」
「いやーマジで発想の勝利だわー!!お天道様も想像しねえ、これ以上ないほどの解決策!俺、かしこ~い!!」
「魔王様……」
「毎日毎日うざったいほどに暴れる勇者(笑)は強制送還!多少話のわかる勇者(笑)は肉体労働に使うだけ使ってポイ!使える勇者は書類業務任せて、色々理由つけて終身雇用!俺はもう座ってるだけ!やー、一時はマジで魔王辞めて異世界にでも逃亡しようかと思ったが「は?」ナンデモナイデス」
「魔王様、確かに異世界から召喚された勇者を配下に置くその詐g……悪魔染みた発想力には心底けいべ……畏敬の念を隠しきれませんが」
「隠しきれてないのは本音では?」
「ともかく、その様に得た駒など使いこなせるのですか?腐ってもチート勇者ですよ?」
「既に勇者の性根が腐ってるからセーフ」
「そういうことを言っている訳ではないのですが」
「イッツジョーク、魔王ジョーク。HAHAHA」
「魔王様、ついに睡眠時間を削ってまで公務をすると言うのですか。嗚呼、私感動のあまり震えが止まりません」
「馬っ鹿お前これ以上仕事増やす気か!?」
「ジョークですよ」
「(その割には目は本気だったんだよなぁ)」
「ま、勇者の話に戻るが、話の通じない馬鹿にはとっととお帰り(命の保証は無い)頂くし、話のわかるやつは早く帰りたいからって俺に媚び売ってくるから扱いやすくて助かる」
「では有能な勇者は?終身雇用と言っても、帰りたがる勇者をどのように引き留めておくのですか?洗脳魔法なんて当たり前のように弾くじゃないですか」
「それなんだがな、ぶっちゃけ俺は特に何もしてないんだわ」
「はあ?」
「某勇者曰く『え!?一日8時間しか働かなくていいの!?しかも毎週二日休み固定で貰える!?オレもう此処に永久就職するわ』との事」
「……えーと?」
「『ああ、もう毎日終電から始発の間の4時間で風呂と万年床に寝転ぶ生活から解放されるのか』とか、『もうクソ上司に理不尽な怒りを受ける事も無い』とか、『味が……味がする……飯の味が……何年ぶりだろうか……』とか呟きながら号泣してたな」
「異世界怖ぁ……」
「まあ何呟こうが俺の代わりに書類仕事完璧にこなすならどうでもいいな」
「流石魔王様。その血も涙もない判断に脱帽致します。よ、冷血漢。人非人」
「え、何……お前が手放しに誉めるとか怖いんだが……」
「(もしかしなくても魔王様もINT低いのでは……?)」
『はぁい魔王様ぁ。ちょっといいかしらぁ?』
「ぁん?なんだ土虞か。通信魔法使うならちゃんと名乗ってからっていつも言ってるだろう」
『そんな事どぉでもいぃじゃないのぉ、それより緊急連絡よぉ。勇者が徒党を組んで魔王城に接近してきてるわぁ』
「なんだと!?」
「ど、どういう事でしょう。魔王様の策によって勇者は魔王様と敵対する意義がかなり薄いというのに……」
「……なんかガチで焦ってるお前って珍しいな」
「言ってる場合ですか!?」
「とりあえず土虞、ゴーレムで潰せるだけ潰しとけ!」
『それなんだけどねぇ魔王様ぁ、元聖女様ぁ。なぁんか勇者達の様子がおかしいのよぉ』
「様子だぁ?勇者の様子がマトモだったことが有ったか?」
「無いですね」
「よーし土虞、勇者らを叩き潰せ」
『ちょっとぉ、聖女様までソッチに回ったら抑えが効かないじゃないのぉ』
「聖女じゃなくて元聖女です。ソッチって何ですか」
『と、とにかくぅ、勇者たちの様子がおかしいのよぉ』
『なんかぁ、変な黒い服着て「正社員雇用希望」って書いてあるプラカードを持ってるのよぉ』
「「!?」」
魔王の受難は続く!
平成最後に投稿するかぁ……
↓
やっぱ令和最初の投稿にするかぁ……
意 志 薄 弱 羊
これだから無能作者はほんと……しかも令和になって結構時間たってるし。
仕方ないねゴールデンウィークだし。十連休だし。
なお作者にゴールデンウィークは無かったもよう。くそが。
・世界観
世界にはものすごく大きく分けて三つの種族が居る。『人族』『魔族』『モンスター』
『人族』は魔素を分解・吸収する器官を持たない人型生物全般。
『魔族』は魔素を分解・吸収する器官を持つ知能生物全般。
『モンスター』は魔素を分解・吸収する器官を持つ『魔族』以外の生命体全般。
魔族は知能を持ってモンスターは知能を持っていないと考えておk。女神族も魔族の一種。モンスターは本能のみで生きる。
人族の中でも支配意識の高い『人間族』は世界の覇権を握りたいがために邪魔な魔王を消そうと色々してる。異世界から勇者を召喚するのもその一環。
世界は『人界』『魔界』『天界』の三界に分かれており、比較的容易にそれぞれの界に行き来できる。三界以外の世界の事を異世界と呼んでいる。
天界
↑↓
人界
↑↓
魔界
の三層に分かれており、魔界には魔素が溢れているが天界には魔素は一切無い。人界は場所によって魔素が濃かったり薄かったりする。
魔界ではあらゆる動植物がモンスターとなっている。モンスターは某勇者曰く『特殊調理食材』。調理するスキルを持っていなければ可食部は極僅かな上、モンスターは死ぬと約半日で『素材』以外は消えてしまう。そもそもモンスターに勝てなければ食べることも出来やしない。故に魔界では農業や畜産業がほぼ成り立たないので食糧危機。人界の食料が無ければ滅びの危機を迎える。
魔界と人界では交易をしていた時代もあった。だが人間族が不当に関税をかけまくった所為で魔族の怒りを買い、人界は魔界の侵攻を受けてその大半が魔王軍に支配された。実質植民地。
・魔王
勇者がチートなら魔王はバグ的存在。その強さで魔界を支配した唯一王。あらゆる種族の特性を持っている。ある意味合成素材。
魔の王と名乗るだけあり、魔法において右に出る者はおらず保有魔力は無限。様々なオリジナル魔法を開発しては配下に覚えさせている。ただし開発したはいいものの自身以外に適正者が居ない魔法も多い。
最近の悩みは暴走した勇者(笑)が荒らした国を復興する費用の捻出方法。
・人間族
人族の中でも繁殖力に優れている、条件さえそろえばあらゆる異種族と交配できる種族の総称。厳密に言えば異世界から召喚される勇者とは異なる種族。
自身で魔力を生成する力を持たないが、魔素を加工し魔法を扱う技術を持っている。
・女神族
天界に棲息している精神寄生生命体。人界に生息する生命体の心に寄生して活動している。
教会等に捕食用の分体を潜ませ、主に信仰心を食べている。その際、より強い信仰心を生み出すために信者に幻覚を見せる事もある。
人間族が異世界から勇者を召喚する際、必ず天界を通る。その時に発生するエネルギーを女神族が加工し、勇者の魂に入れる事によって所謂チート能力を勇者が得る事になる。つまり異世界チート勇者は女神族の悪ふざけによって生まれた。
・勇者
元々は女神族では無い、本物の『神』の祝福を受けた者及び『神』の代行者としての役割を与えられた者がそう呼ばれる。異世界からひっきりなしに召喚される者は正確には勇者では無い。
異世界勇者は『召喚される際落ちる感覚を味わった』と口をそろえて言う。これは勇者召喚魔法の元となった遠くから瞬時に物を呼びよせる魔法の特性をそのまま引き継いでいるから。物体を右から左に1メートル動かすより上から下に1メートル落とす方が遥かに労力が少ないのと一緒。
召喚の際同じ高度の世界座標から呼ぶより、高い高度の世界座標から呼ぶ方が必要魔力が遥かに低く、世界間を落下するエネルギーが女神族によって加工されチート勇者になる。結果的には万々歳。
・聖女
女神族の分体の中でも特に力を持っている存在。
天界に本体が存在する女神族が人界の様子を調べるために自由に動き回れるほどに多くのエネルギーと時間を注いで作られた人型生命体。要するに女神族が作ったアンドロイド。
数多の人間に接触することで直接信仰心を吸い上げることが出来るのだが、余りにも力を込めて作ってしまったがために替えの利かない程に高コストとなった上に今は魔王によって攫われて魔界に居るために完全に女神族から切り離されている。
現在は、元々埋め込まれていた擬似人格『聖女の理性』の上に魔界の魔素によって半分モンスターとなった意識『本能の欲望』が組み込まれて、精神は普通の人間と変わらない。
魔王が寝ている間にこっそり髪をカットして毛を撒いておくくらいにはおちゃめ。