ぬわああああん異世界勇者の相手するの疲れたぁぁんもおおおおん   作:輝く羊モドキ

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W・W 様 前話の誤字報告ありがとうございました。

・モンスター
 身体の大部分を魔素で構成されている生命体。総じて知能は低く、昆虫程度の知能しかない。
 人族が見た目だけで魔族とモンスターを見分けるのはかなり難しい。何故ならどう見ても人型なのにモンスターな種族が居たり、どう見ても植物なのに世間話が可能な程知能を持っている種族が居るから。ただ魔族なら同じ魔族かモンスターかの判別は可能。日本人が中国人、韓国人、日本人を見分けられるみたいなモン。日本人がガーナ人、エジプト人、ケニア人を見分けられないみたいなモン。

・ダンジョン
 元々は魔王軍が人界を侵略する際に作った戦闘拠点。悪魔族等が活躍しやすくするために魔界から濃密な魔素が吹き出る構造。
 魔王軍が人界を制覇した際にダンジョンは一時放棄されたが、濃密な魔素が絶え間なく吹き出る所為でモンスターが大量発生した。だが人界に元々棲息していたボウケンシャなる不可思議生命体が好き好んでダンジョンに大量発生したモンスターを狩りに狩っては狩り尽くし、得た素材を売却することで大金持ちになった。
 その事に目をつけた魔王は人界に放置されていたダンジョンを再整備、遊園地染みたアトラクションに改装した所大当たり。大盛況の大混雑、連日連夜ボウケンシャが通い詰めては内部から大量の素材を抱えて帰ってくる。戦争が終わった事で一気に冷え込んだ経済がV字回復。素材を基に作ったポーションはボウケンシャが買い占め、素材を基に作った武具はボウケンシャが買い占め、ポーションや武具に使えない様な素材も嗜好品に加工したり、丈夫な建材として使えたりと使い道は多岐にわたる。果てはダンジョンを中心に町が出来たり、新たな雇用の場が出来上がった。
 ここぞとばかりに魔王が資金を投資しダンジョン町を更に開拓。次々とボウケンシャ以外の種族も移り住み、現在では巨大交易都市になるまで成長した。
 広い人界に点在するダンジョンはその全てが魔王によって再度整備され、ボウケンシャ達の一攫千金夢の舞台と変化した。そのボウケンシャ相手にする商売も次々と都市に来るようになり、素材を加工する職人も次々移り住んでは多くの弟子を育てるようになった。

・ボウケンシャ
 魔王軍が世界征服を成す前から存在した命知らず共。元々は未開の地を切り開く者の事を指していたが、魔王が世界を征服した後、主にモンスター討伐を生業とする者をボウケンシャと言う様になった。
 主な生息場所は世界各地にあるダンジョン都市。稀に人界や魔界の未開の地に出没する。好物は一狩り終えた後の酒。


魔族も人族もみんな友達!ただしモンスターと勇者(笑)、テメーらは駄目だ!

「ぼ、ボーケンシャソーゴキョーリョクカイ?」

『そー、冒険者相互協力会。所謂ギルドってやつですよー』

 

 勇者共を雇用し暫くの時間が経った。多少時間は掛かったものの、俺が実際想定していた以上に時間をかける事無く雇用した勇者共は使えるようになった。

 既にそれぞれが大国で起きたトラブルに対し迅速かつ正確に対応できるようになり、書類仕事もほぼ全てを処理する事もでき、俺に回ってくる書類は嘗ての千分の一、世界の支配者としての俺の意思決定を必要とする書類のみとなった。素晴らしい。

 これによって俺の仕事は十分の一程度にまで減ったのだ。

 

 ……書類が千分の一なのに対し俺の仕事はまだ十分の一残ってるのかとか思う。いや、前みたいに一日フルで時間止めて、更に時間を戻してまた一日フルで時間を止めるみたいな事をする必要も無くなったから楽になったと言えばそうなんだがな……。世界征服してから時間を止めなかった日が無いぞ未だに……。

 

「いや、異世界からの言語で言われても困るんだが。お前等勇者共の言う所謂ってこっちの世界じゃ通じねえから」

『むー。まあそんな事はどーでもいいですー。ともかく、今ダンジョン都市は盛りに盛って昼も夜も大盛況ー。加工職人も輸送商人も毎日てんやわんやで嬉しい悲鳴が止まらないと苦情が来るくらいですー』

 

 大きく仕事が減ったとはいえ、逆に増えた仕事もある。それが各地からの報告だ。今はラナ・ドレイクによるダンジョン都市の全般報告を聞いている。

 

「良い事じゃねえか。職人は造りたいモンを好きに作れるだけの素材が大量にある。商人は稼ぐチャンスが次から次に降り注ぐ。何が不満だ」

『ソレですねー』

「どれですねー?」

『ダンジョンの出入りに税を掛けてるとはいえ、結局は冒険者たちは好き勝手にダンジョンに入っては好き勝手にモンスターを狩って帰ってくる訳ですからねー。時たまモンスターの素材がかなり偏ったりするんですよー』

「はぁん。それで?」

『ですからー、職人さんが欲しい素材があったとしてもー、冒険者がその素材を持ってこないと作れないじゃないですかー』

「んなもん時の運だろ」

『そーなんですけどねー。ここで業突張りの商人が出張る訳ですねー』

「なんで」

『魔王様は色んな事に精通してますけどー、人間の欲望にどこまでも正直になれる所までは流石に理解が及ばないみたいですねー』

「ディスってんのかおい」

『いやー、そういう訳じゃないですー、魔王様のそういう所大好きー。ま、本題に入りますねー。職人さんは素材が欲しいから色んな商人に当たる訳ですよー。それで強欲な商人はその素材が流通する前に買い占めちゃうんですねー。そうして独占した後、その職人さんに売りつける訳ですよー、法外な値段で』

「……普通買うか?法外な値段で?」

『普通はそうなんですがね。職人さんは普通じゃない人ばっかなんで、破産するのが頭では分かっていても一度造りたいと思ったら我慢できなくなるみたいでしてー。それで莫大な借金を抱え込んだ職人さんが首が回らなくなって夜逃げしたり、自身を身売りしたり、家族を身売りしたり、酷いのになると一家心中……みたいなー』

「……大問題じゃねえかぃ」

『あ、分かりますー?あたいの所に報告が上がってきた頃には既に判明してるだけで3%の職人及びその家族が行方不明、5%の職人が吊っちゃったみたいでしてー』

「大問題じゃねえか!」

『そこで最初の話ですよー。まー名前はともかく、魔王様名義の公的な機関が仲介に入ることで商人による素材の独占を防ぎ、職人さんに適正価格で販売するって寸法ですー。場合によっては職人さんから依頼を受けて冒険者に仲介する事も出来るようにしますー。そうすれば必要な素材が何時まで経っても入荷されないって事もないですねー?』

「……なるほど。最初は何言ってんだこのアホとか思って悪かったな」

『そんな事思ってたんですかー?』

「許せ。ともかくその冒険者相互協力会の概要は理解できた。企画書をすぐに作成して提出しろ」

『えへへー、理解が早くてとっても助かりますー。そう言うと思って既に企画書は通信中に作ってましたよー。転送しますー』

「そっちこそ理解が早くて助かる。よし、届いたぞ。企画書を読んでるから詳細を伝えろ」

『かしこまりましたー。冒険者相互協力会、以後ギルドといいますー。ギルド設営に当たってですがダンジョン都市の中央搭にそのまま追加する形でギルド本部を作れば良いと考えますー。それとダンジョンに入る冒険者から徴収する税金はギルド運営に一括して纏めるべきですー。正直ダンジョン入口で税金徴収するのは非効率と思ってますー』

「それは俺も思っていた。具体的にはどうするつもりだ?」

『電子マネー決済方式を採用しましょー』

「で、でんしまねー?」

『企画書にギルドカード云々ってありますでしょー?そこにも概要は書いてますがー、冒険者って基本的に決まった住居を持ってないんですー。言い換えればほぼ常に全財産を持ち運んでる訳ですー。まあ土地とか家財道具とかは、生活スタイル的に不要だからそーなるんですがー。いくら金貨が小さく持ち運びに優れると言っても限度はありますー。そ、こ、でー……ギルドカードに所持金の情報を魔法なりなんなりで登録しちゃうんですー。ダンジョンに入る際には所持金の情報から税金分を自動で差っ引いちゃうんですー。ギルドからの報酬金の受け取りは所持金の情報に追加しちゃうんですー。どーです?便利そうでしょー?』

「……凄いな、目から鱗とはこの事か。なるほど……貨幣の信用さえあればブツ自体を無くすことも可能か……。これなら前から陳情のあった貨幣の問題が完全に無くなる。ただの金属だとスライム族は大量に持ち運べないと前から言われてたし、小さすぎると巨人族が使いづらい、かといって大きいと妖精族がそもそも持てない。……全部解決だ。ギルドカード自体も企画書だと白金製だが必要な魔法さえ刻めれば木製だろうが紙製だろうが……ギルドカードもカード型である必要は無いんじゃないか?それこそ身体の一部に魔法を直接刻み込むことでも実現出来そうだ。魔法耐性のある種族はそれこそカード型でも良いだろうし……」

『魔王様ー?』

「ラナ・ドレイク!」

『は、はーい?』

「よくやった!お手柄だぞ!褒賞を与える!俺に出来る事なら何でも叶えてやろう!」

『な、何でも!?』

「ああ!お前はそれほど凄いアイデアを出した!さあ何でも言うがいい!」

『な、何でもー?いいのー?本当にいいのー?じゃ、じゃーあー……魔王様と……デーt「魔王様。そろそろ定例会議の時間です」

「ん?、もうそんな時間になったか。ドレイク!褒賞の内容はまた今度聞くから考えとけよ!それと企画書にサインをしておいた!全ダンジョン都市にギルドの設営を許可する!ついでに業突張りの商人をリストアップしておいてくれ!」

『ぅ~……かしこまりました魔王様ー。明日の正午までには全ダンジョン都市にギルド本部が出来てると思いますー……それでは失礼しますー……』

 

 ブン。と通信魔法が切れる音が響く。

 にしてもダンジョン都市……魔王軍の資金繰りの一環で設営したが、もはやこの世界に無くてはならない程に巨大に成長した正に経済の核であり文化の核でもある重要拠点だ。当然その核を担う冒険者も職人も商人も重要である……が。

 

「今回の件は些か目に余るなぁ……!」

 

 血の気の多い冒険者が暴れるのは大目に見てやる。職人が開発した新技術が各地で文明格差を生み出す程度なら笑って許してやる。商人が多少の暴利で稼いでも目こぼししてやる。

 だが、死者が出るのは戴けない。

 

「元聖女。冒険者が一般人を殺傷した場合の刑罰は?」

「利き腕の剥奪、及び意図せず殺害した場合は蘇生した被害者の報復行為を受ける義務。意図した殺害の場合更にアンデッドになり200年奉仕活動です」

「無許可の殺傷兵器の製造及び販売を行った場合は?」

「両手指の剥奪。大量破壊兵器及びそれに類する物の場合該当種族の平均寿命の50%相当の懲役刑です」

「上限金利を超過した金利分を取り立てた場合は?」

「財産全ての没収。特に悪質なものと認められた場合は該当のドラゴンの心臓あるいは同等額の支払い義務が生じます」

 

 今回の件は既存の刑罰では処罰できない、うまく法の穴を突いた方法だと褒めてやろう。だが、それだけだ。

 

「元聖女、この世界での最高裁は誰だ?」

「魔王様です」

「法律を定めるのは誰だ?」

「魔王様です」

「統治するのは誰だ?」

「魔王様です」

「ならば俺の意志一つで新たな法を定め、それを犯す者に裁きを与える事は可能か?」

「勿論、世界は魔王様の名の下に支配されおります故」

 

 三権分立?権力の集中?知った事か!俺が気に入らないから処罰する。その事に口出しする奴は俺がこの手で消してやろう。

 

「寄生し奪おうと躍起になる、小賢しいだけの屑共め。商い人を名乗ることすら不愉快だ」

「ダンジョン都市全てを一時的に封鎖しておきます。明日の昼食会前には解除されるでしょう」

「よくやった。ラナ・ドレイクからリストが届き次第処刑を実行する。いつでも予定をずらせるように準備しておけ」

「かしこまりました」

「さて、定例会議だったな。今日の議題はなんだ?」

「人界の北極圏に発生した超大型モンスター、通称『レヴィアタン』の討伐隊の編成及び支援金の割り振り。それと遠征路の設定ですね」

「……1時間で全部決まるか?」

「その為に魔王様が参加するのですよ」

「また俺の貴重な1時間が削られるのか……」

「私の1時間も削られているのをお忘れなく」

 

「「……ハァ」」

 

「魔王様、間もなく会議の開始時間です。会議場所は北方王国の大会議場です」

「あぁー、マジで会議出たくねぇー。北極圏に直で移動出来れば俺が直接叩いてくるのによぉ……」

「先遣隊の情報通りならあらゆる攻撃を軽減し1ダメージしか与えられず、HPも異常な程高いことから少数よりも大人数で袋叩きにした方が効率的でしょう。計算上魔王様一人が絶え間なく攻撃し続けた場合、5日間で討伐できますが魔王様を5日間も一か所に拘束できませんので」

「魔王軍動員出来ればなぁ」

「極地に適応出来る者達はほとんど居ませんからね……」

 

 グダグダとしながら転移魔法の準備を終える。

 

「あと10秒で開始時間です」

「あぁー……あのクソ王共全員死んでねえかな……」

「そんな一大事魔王様の耳に入らない訳無いでしょうに」

 

 刹那、景色が一気に変わる。

 荘厳な石作りの世界に、趣味の悪い垂れ幕、垂れ幕以上に趣味の悪い会議用円卓。そして趣味の悪い衣服を身に纏った会議の参加者達。無意味に金や宝石が散りばめられた、実際に使われることなんて一切想定されてない椅子に座りながら軽く見回して会議の参加者が全員揃ってるかを確認する。

 一通り見回した直後会議室の扉が開き、一人の男がズンズンと歩いて唯一空いていた椅子に座った。

 

「いやぁ遅れた!まあそれもこれも我に用意された部屋が狭く小汚い上に迎えの一つも寄越さない北方王国の気の利かない無能さが原因な「黙れ」は」

 

 俺は座ったまま召喚した剣を振るい、30メートル程離れた位置に居たその男の首だけを斬る。

 俺が首を斬り終わると同時に元聖女がその男の首を手元に召喚し、『不死の魔法』を掛けた。

 

「は?な、え?」

「やあ初めまして。お前は確か諸島帝国の代表だったな。お前は魔王たるこの俺の貴重な数秒を無駄に出来るほど偉いようだ」

「あ、首?は。我の、身体、は」

「お前のその素晴らしい態度に免じて、明日以降に発行される地図全てから諸島帝国の名を消そう。ああ、なに気にするな。俺の部下にはそういう事が得意な者が居る。お前は何もしなくていい」

「は、く、あ、ああああああああああああああ!!!!」

 

 元聖女が『静音の魔法』を掛け、首を元あった位置に戻した。

 

「ああ、気を付けるように。あまり大きく暴れると首がくっつかないうちにまたもげるぞ。さて全員揃った事だし会議を始めようか」

「前回の最後に伝えた通り、今回の議題は北極圏に発生した大型モンスター『レヴィアタン』の討伐隊の結成、討伐隊支援金の負担割り振り。遠征路の設定です。レヴィアタンの性質上、召喚勇者を使った少数精鋭は無意味です。『一般歩兵』以上の能力を持った戦闘部隊、救護や補給等の後方支援部隊。その他戦線を維持するのに必要な雑事云々合わせ、人間族換算で約5万人が今回必要な人員数であるとの試算が出ました」

『ご、5万人……!』ザワ

『そんなにも強大なモンスターなのか……!』ザワ

「なお今回の討伐隊に魔王軍は一切参戦しない」

「なっ、そんな!余りにも惨すぎます!かの大型モンスターが暴れでもしたら我が国は終わりだ!」

 

 俺の言葉に対し、席を立って喚く偉そうな赤衣の男……現在レヴィアタンに最も近い国の王だったな。情報通りなら確かに暴れでもしたら真っ先に滅びるだろうよ。

 

「だからなんだ?」

「なぁっ!?」

「人界のど真ん中にでも現れりゃ話は別だが、ヤツが出現した場所は北極圏。魔界に多少影響はあれど、大きな被害を受けることは無い。輸入品だって代替可能なモノばかりだ。故に無理してまで討伐する必要は何処にもない。だがこうして定例会議の議題にしてやってるのは、人界に広く影響があると予測されるからだ。そもそも奴の存在が確認されてからかなり時間が経つが未だに活動らしい活動はしていないだろう。重要度も緊急度も低い、なのにこうして会議に俺が参加しているだけありがたいと思え」

「くぅ……」

「言いたい事は終わりか?ならとっとと話を進めるぞ。レヴィアタン討伐に必要なのはとにかく頭数だ。各国代表はそれぞれ配備可能な人員数を述べろ」

 

 俺が世界を征服してから、近隣諸国との小競り合いはあっても大きな戦争はほぼ無くなった。戦争なんてする余裕が無い上にそんな事しようものなら俺が国家元首を挿げ替えるからな。……まあとはいえ、軍事力が完全に無いと外交上不利になるのは言うまでも無いからどの国も軍事縮小をしても完全に捨てては無い。俺が世界征服する前なら大抵の国なら5万程度なら用意できただろう。

 ま、その軍勢を遥か遠くの北極圏に遠征に出せるかどうかは別問題だろうがな。

 

「森の国、我等エルフ族の精強なる戦士達約2000人配備可能。北極圏でも我等なら独自で半月は行動可能と見ている」

天の国、我が龍族の民1000人配備可能である!北極圏を征くのであれば役に立つぞ!5万でも10万でも我等なら余裕をもって寒さから守ってやろう!ガハハハハハ!!

「砂の国、オーク族6000、ドワーフ族1000配備可能だ……です。軍事物資の準備と荷運び、任せろ……です」

「火の国、一般兵5000名配備可能です。内訳は戦闘隊2000名、後方支援隊3000名でございます」

 

「……どうした、何を黙りこんでる?俺は各国代表全員に聞いているんだ。沈黙が答えか?」

 

 俺の言葉で、慌てて手元の資料を荒らす人間族国家の代表共。ああ全く、お前らは本当に学ばないな。

 

「……まさか、まさかとは思うが貴様ら。前回の定例会議から時間があって、しかも丁寧に次の議題を説明してやったにも関わらず、貴様らは会議に必要になりそうな資料を纏めて来なかったと?」

素晴らしい!これ以上魔王様に無駄な時間を使わせるその気概!諸君らの英雄的行為、末代まで語ってやろう!

「ま、待て!違うのだ!これは……そう、情報を簡潔に纏めてから発言を……」

「エルフ、龍、オーク、それと火の国王。各々の長はすぐに纏めて発言をしたが?貴様らは何時になったら発言する?」

 

 コツ、コツ、と趣味の悪い椅子のひじ掛けを指で叩く。音が会議場に響く度に無能王共の額に汗が浮かび上がる。

 

「……なるほど。つまりこの場には各国代表は森、天、砂、火の国の4名しか揃ってないということか。おかしいなぁ、定例会議の場には国の代表しか入れないとルールを定めたのだが、俺の記憶違いか?」

「過去の議事録に確り記載されております、魔王様」

「そうか、なら代表以外が入り込んだらどうなると決めたかな?」

「その者と、その者の所属する国の国家元首は責任を取って処罰されること。魔王様が納得できる処罰でなかった場合その国の国民全ては魔王様の一存で如何様にも処分される。と決まりました」

「……だ、そうだ。さて、幸いなことに顔見知りが揃っているから、所属国家は簡単に特定できたな。アズラ・ガーラ、お前は新公国出身だったな?今の国家元首は誰だ?」

「ヒッ!?お許しを!お許s」

 

 無様に這いつくばって許しを求めたので許してやる。首一つでな。

 

「お前が国家元首だろ。無能晒してんじゃねえ。……次、首を落とされる国は何処だ?これ以上会議を止めるんじゃねえよ、なあザザ・ルガマ・ド・イーザ」

「ッッ!あ、わ、我々、イーザ聖公国は、聖騎士団2000、名、一般兵はっ、8000名、所属っ、こ、国内の各領地に平均約にせっ」

 

 舌を斬り落とす。

 

「……ッッ!!」

「俺は何て聞いた?討伐隊に配備可能な人数を答えろと聞いたはずだが?聖公国の軍事規模なんて聞いてねえんだよ。あぁ、よし分かった。これ以上時間を掛けるようならお前らの首をすげ替えてやる。右から、順番にな……」

 

 そう言って右端にいた奴に視線を向ける。可哀相に、今にも人形にでも変化するのではないかというほどに血の気が引いている男が手元の書類をがさついている。何が悪いってお前らの考えが足りない、出来の悪い頭で国の代表になった自身だからな。

 

「ヒッ、ヒッ、我々水の国はっ、ご、ぁ、4000名配備可能、です!」ハッ、カヒュ、

「ふん、良い良い、やればできるではないか。次」

「っぁ、魔法大国、1000名配備……可能……」

「次」

「西方、共和国に……ゃ、1500名……配備可能……」

「次」

「ひ、光帝国……3500名……配備可能……です」

 

 

 

 隣にいた木の国の男の首を落とす。

 

「俺が一々声出さなきゃ言葉も出せねえか?あ?」

 

 不死の魔法を掛け、乱雑に元に戻す。

 

「き、ききき木の国2000名配備可能!」

「中央自立地区3000人配備可能でございますっ!」

「北方王国1000名配備可能ですっ!」

「き、極北魔法国家は配備可能な人員はありません……」

 

 一通り発言が終わった。頭の中で十露盤を弾き、計算と平行し事前に纏めておいた情報を引き出す。

 まあ見事にどいつもこいつも、本来配備可能であろう人数からかけ離れてやがる。だが一度口に出した以上、発言の責任は取ってもらわないとな。

 

「ふん。総計三万千人か、五万人には程遠い……が、人間族の何倍も働けるエルフ族、龍族、オーク族にドワーフ族が揃っているから大した問題では無い。だが単純な手数がもっと欲しい所だな。そうだな……ああ、そう言えばイーザ聖公国に騎士団と歩兵合わせて1万人居たな。よし、それ全部配備しよう。異論はあるかザザ・ルガマ・ド・イーザ」

「ッ!ッッッ!!」

「無いようだな、これで約4万人。新公国、お前の所なら5000人配備出来るだろ。後はそうだな、冒険者共を臨時で雇って調整すればいいか。極北魔法国家、金貨幾らくらいなら用立てられる?」

「うっ……えー……金貨1万枚程度ならすぐにでも準備できます」

「ふぅん、冒険者を長期雇うにしては少し心もとない金額だ……なに?諸島帝国が無償で金貨10万枚出せると?素晴らしい殊勝な心掛けだな」

 

 大口を開けて何かを言っている諸島帝国代表だが『静音の魔法』の掛かっている奴には例え体内で爆弾が爆発しても虫の羽音以下の雑音しか聞こえないだろう。

 立ち上がって大きく両手を振るが、ああそんなに暴れると

 

「ひぃッ!!?」

 

 首がくっついていないのにもかかわらず暴れるから当然、首が身体からずり落ちる。血しぶきが隣に居た中央自立地区代表と森の国代表の服に掛かった。不憫な。

 

「さて、討伐隊の頭数は揃えられたな。残りは討伐隊支援金の負担割り振り、遠征路の設定か。遠征路だが、知っての通り北極圏では様々な魔法の使用が制限される。転移の魔法もそうだ、直接レヴィアタンの元に転移して叩く事は出来ない。故に転移出来る所に一度集まりそこから行軍を開始する。極北魔法国家、北極圏の詳細な地図を出せ」

「は、はいっ!」

 

 テーブルの上に広げていた資料の内の一枚を取り出して見せる極北国王。元聖女が風の魔法でそれを手元に手繰り寄せ、幻影の魔法で大会議場の壁に映し出す。

 俺は映し出された幻影に被せる様に虚像の魔法を使う。

 

「薄い黄色で塗られた範囲が極圏、魔法の使用が制限される場所だ。見ての通り極北魔法国家の大半が入っている。レヴィアタンが居る場所は此処だ。地図の縮尺とレヴィアタンの大きさを合わせるとおおよそこの程度になる」

 

 レヴィアタンの体はまるで蛇の様に細長く地図上に現れる。

 

「これは……かなり大きいですね……」

我が龍族の民全てを合わせてもまだ足りなさそうだな!

「見ての通りレヴィアタンは極圏のほぼ中心に位置取っている。だがその巨体から尻尾と思われる部分は極圏の端からかなり近い位置にある。ここなら遠征路を限りなく短く設定できるだろう」

「魔王様、意見具申申し上げます」

「構わん、言え」

「はっ、レヴィアタンは現在ほぼ活動してはおりませんが、討伐隊が攻撃を開始した際には流石に抵抗活動をすることが予測されます。その時に尻尾と思われる位置に居た場合、尻尾の一振りで部隊は壊滅する可能性が高いと思われます」

「その可能性は確かにあり得るな。それで?」

「討伐隊を複数に分けて複数個所から攻撃すると良いと考えました。事前に得ている情報通りならレヴィアタンはドラゴン種の異常個体でしょう。ドラゴン種の脅威はその巨体から繰り出される突進や尻尾の薙ぎ払い、強力な属性ブレスと噛みつきですが、逆に言えば脅威はそれくらいなのです。攻撃パターンを読め、ドラゴンの硬い鱗を貫けるだけの武器があれば誰でも討伐することは可能」

「馬鹿言うなエルフの小娘!ドラゴンと言えば数多の英雄が挑み、そして散っていった究極のモンスター種なのだぞ!そんなものを討伐できるのは選ばれた者のみ!それを誰でも討伐できるだと!?ふざけた事を抜かすな!」

「ああ、失礼。より正確に言うとフヌケた人間族以外なら誰でも、というべきでしたね」

「な、なんだと貴様!」

「黙れ光帝国。森の国も無駄に挑発する言動を控えろ」

「ぐっ」

「わかりました。ドラゴン種討伐のセオリーで言えば、正面に立たず常に側面から攻める。レヴィアタンが物理法則を無視した動きを見せない限り側面に張り付き続けて叩き続けられれば被害は限りなく少なくなるでしょう」

「なるほど」

ガハハハハハ!!ドラゴン種の討伐セオリーと言うのなら我々も一つあるぞ!奴等の弱点は口腔内!奴等がブレスを吐く時に強靭な槍で口ごと脳天をぶち抜く!それが最も手っ取り早い!

「そんな事出来るのは属性ブレスを受けても耐えられる龍族(あなたたち)だけです」

「ですがレヴィアタンの頭の向きだけでも固定し続けることが出来れば側面に張り付く討伐隊の安全も確保できるのではないでしょうか?例えばですが、レヴィアタンの眼前に龍族が張りついてヘイトを稼ぐとかどうでしょう」

火の国の王よ、中々面白い事を言う!

「良い案だ。討伐隊は二つに分け、それぞれレヴィアタンの左右側面に付く。そしてヘイトを稼ぐタンク役だが天の国王、良い人材は居るか?」

ガハハハハハ!!()()が出来る命知らずなど、龍族の勇者である我のみで十二分ッ!!

「心強い言葉だ。と……なると、討伐隊を1ヵ所から進軍させるのは些か非効率だな」

「ま、魔王様!意見具申申し上げます!」

「なんだ、極北魔法国王」

「この極圏の、我等極北魔法国家とほぼ反対の位置に約1万人を収容可能な軍事拠点があります。討伐隊を二つに分けるのなら、この拠点を使わない手は無い……かと!」

「ほう、前時代の物か?まあいい、使える物はなんでも使おう。とはいえ少し小さいな……」

「魔王様、我々砂の国の技術をもってすれば3~4日で拡張可能だ……です」

「ふむ、んならその拠点の拡張は砂の国に任せよう。極北魔法国家、良いな?」

「勿論です……!」

 

 もう一度地図を見る。極北魔法国家、軍事拠点の位置をそれぞれ映し出し、レヴィアタンと接触するまでの時間を計算する。

 

「我々エルフ族なら拠点からレヴィアタンに接触するまで1週間もかからないな」

貴様等サバイバル特化の種族とそれ以外の種族の足の速さを一緒にするな!まあ我等なら2~3日程度で接触できるだろうがな!

「空を飛べる龍族が何を言っているんでしょうかね。我々火の国の精鋭達ならばおおよそ半月程度で接敵可能でしょう。ただ気になるのは極圏の自然現象でしょうか」

 

 地図上に何本もの光の線を引きながらアレコレと言葉を交わす天、森、火の国王達。極圏の内側、数多の等高線が複雑に絡み合っている中を縫うような光の線が残っていく。時々極北魔法国王が光の線を指差し、異常現象が発生しやすい場所を説明しながら線を消していく。

 それをポカンとマヌケな表情で見つめる数多の国家元首。

 そうして僅か数分、極北国家と軍事拠点からレヴィアタンに繋がる二本の線が残った。

 

「魔王様、遠征路は設定できました。我々の想定ではレヴィアタンの討伐遠征に60日程度必要であると進言致します」

「ご苦労。では最後、討伐隊支援金の負担割り振りだが、これは討伐隊における貢献度の低い国に優先させて負担するように。水の国、西方共和国、お前等は最低でも金貨5万枚、魔法大国、お前の所は金貨10万枚は最低でも負担してもらおうか」

「なっ!?横暴ですぞ!!」

「何故そのような暴挙を!」

「ほぉ、お前等の国の規模から考えるにそれぞれ4000人、1500人、1000人の動員は適正だと?他の国は人界の一大事に自国の安全を削ってまで動員しているのにか?光帝国なんて軍属のほとんどを投入してるぞ?イーザ聖公国は1万人動員してるぞ?」

「そ、それは……しかし……我等にはそれほど人的余裕は無く……」

「なら代わりに金銭で支援するのが道理だろう。違うか?」

「そ、それなら森の国の2000人配備は適正なのですか!?あの国の規模ならあと3倍は配備出来るでしょう!」

「お前達人間族がエルフ族を攫いに来ないと確約するのなら3倍と言わず5倍は配備出来るのだがな」

「そら見たことか!魔王様!このエルフは戦力の出し惜しみをしているではないですか!森の国にも正当な負担をさせるべきです!」

「ならばお前が人間族代表で人攫いをしないとエルフ族に確約するか?この俺の前で」

「なっ……!それは……!」

「人攫いの被害は俺の耳に届いている。大体が未遂に終わっているとは言え、それでも年に何人ものエルフが攫われているとな。そしてその犯人が人間族であるということも」

「それは……それは今の話とは関係ない事でしょう!」

「関係大ありだろ、馬鹿か。森の国からすれば人攫いによる被害はレヴィアタン以上に無視できない事件。だがそれが解決するのならばレヴィアタンに総力であたると言ってるんだ。お前が『人間族はエルフ族を攫わない』と確約し、最大限の努力をするのならエルフ族の戦士1万がレヴィアタン討伐に出向くと言ってるんだ。勿論森の国には国の規模相当の負担をしてもらうが、既に限界近い人的負担を強いている以上負担額は少なくするべきだろう。だがお前等はどうだ?人的負担はまるでなく、金銭負担も少なくしてほしい?ふざけた事を言うんじゃねえよ、ああ?」

「で、ですが……」

「ですがも何もねえんだよ西方共和国代表。今お前に二つの選択肢がある、お前が人間族代表としてエルフ族に『人間族はエルフ族を攫わない』と確約するか、最低でも金貨5万枚を用意するか、だ。無論エルフ族と確約したらお前は死ぬ気でそれを守れよ。その後もし人間族によるエルフ攫いが起きたらお前は勿論、お前の一族どころか議会に居る者の一族全てをアンデッドに変えて永遠に奉仕活動させるからな」

「あ……ぅ……き、金貨5万枚用意します……」

「水の国は?」

「ヒッ!?わわわ、我々も金貨5万枚用意いたしますででです!」

「魔法大国は?」

「わ、我々は……や、やはり討伐隊に5000人配備する事に」

「却下。もう討伐隊に余計な人員を入れる必要は無い。ましてやお前等魔法大国の軍隊の足の遅さは有名だからなぁ、これ以上遠征に時間掛けさせる訳にいかないだろう?」

「し、しかし冒険者なんぞを雇うより我々の準備する精鋭の方が!」

「困りますなぁ。想定した遠征路は冒険者の、それも北国出身の優秀な人材を揃える事を前提とした遠征路と日数なのですが」

「5000人配備するなら初めからそう言え。魔王様にこれ以上無駄な時間を掛けさせるな」

「ぐ、ぐぐぐ」

いいから貴様は金貨10万枚を出すと言えば良いのだ!

「ぐ、き、金貨10万枚……用意いたします……!」

 

「……さて、もう時間だ。残りの支援金負担の割り振りは次に回そう」

「はい。それでは次回の定例会議の議題ですが今回で決まっていない支援金負担の割り振り、討伐隊の装備を決めたいと思います。残りの時間はレヴィアタン討伐以外に会議するべき議題を決める時間にしたいと思います」

「支援金負担だが、国の規模と討伐隊に配備した人数を考慮しておおよその金額をリストにして纏めた。次の会議に討伐隊への貢献度を確定させる、その金額は目安だと思え。以上」

「はい、それでは人界定例会議を終了します」

「ぁ、御待ちを魔王様!」

「待たない。俺は忙しいんだ」

 

 無駄に装飾が施された椅子から立ち上がり、元聖女の腕を掴んでそのまま転移魔法を発動。

 景色が変わり、転移した先は魔王城の私室……では無く魔界の人狼族の集落、その族長の家に併設されている会議室に出た。

 

「……まだ誰も居ねえ」

「人狼族は時間にルーズですから」

「あいつ等月の満ち欠けに敏感なくせになんで時間に鈍感なんだ?」

「時計文化が根付いていなかったから……でしょうか……。それよりも魔王様、今日の定例会議ですが時間の流れが遅く感じたのですが」

「お前よく気が付いたな……気が付かれ無い程度に時間圧縮魔法を使ったんだが」

「じ、時間圧縮……」

「下手に時間魔法をあのクソ王共の前に使う訳にもいかん。だが時間を75%に圧縮した程度なら体感余り変わらないと思ったんだがな」

「……もはや何も言いますまい。(この前もそうですが平然と時間操作するなぁ魔王様)」

「つーかマジで俺が居なくても定例会議くらい出来るようになれよな……。元聖女、議長育成の件はどうなってる」

「やはり本質的な問題が大きいですね。森の国王が議長ではその他人間族の王に舐められ、当人も人間族を見下した態度を改めないですし、天の国王と砂の国王は種族的にそういうのに向いていないですし、火の国王では抑止力と言う意味では役者不足。そういう事に長けた勇者()を召喚したほうがまだ現実的ですよ全く」

「頭痛が止まらねえなぁオイ」

 

「お、魔王様!もう御着きになられていたのですか!」

「もう御着きになられていたのですかじゃねえよ糞狼、時間過ぎてるだろうが!他の奴等はどうした」

「え?まだ開始時刻からたったの5分しか経ってないですぞ?」

「開始時刻の意味知ってる?お前の脳味噌を土塊と取り換えてやろうか?」

「はっはっは、御冗談を!なあにもうじき揃いますぞ!どれ、時間も余っておるんじゃしワシと一発シケこもうではないか!」

「お前みたいな獣臭いジジ口調ロリバカはマジで守備範囲外だからカエレ、と言うかさっさと全員呼んで来いこの色ボケ犬」

「むむっ、衆人観衆の中でシケこむと。うーむ流石にワシもかなり恥ずかしいのじゃが、魔王様のご希望なら」

「耳まで腐ってんのか、その首が落ちないうちにさっさと呼んで来い」

「つれないのう。群れの長たるもの、もっと心にゆとりを持ってじゃな」

「テメエは時間感覚を持て、話はそれからだ」

「仕方ないのう」

 

「おい聖女、この2分でさっきの1時間より疲れたんだが」

「元聖女です。安心してください、この会議が終われば次はスライム族との会合、その後はニクラに魔法教育論を、昼食を挟んでヒッカ・ビッキーとリル両名による魔界の未探索エリアの報告、新しく雇った勇者の育成状況の確認、悪魔族とトレント族とオーガ族による人界の田畑の途中報告兼会議。まだまだ予定が詰まっておりますよ魔王様」

「はっはー久しぶりのデスマーチだぜー」

 

 あぁ^~脳細胞がぴょんぴょんするんじゃぁ~

 

「元聖女、癒しが欲しい」

「おっぱい触ります?」

「無いものを触るとか哲学かな?」

「死にたいようですね」

 

「魔王様!おっぱい触りたかったらワシのを貸そう!」

「よし駄犬、お前はそのまま火葬」

「そう言うな!ほれほれ、そこの小娘より豊満じゃぞ~」

「壁と比べる時点でお察しだよ脳味噌ピンク犬」

「やはり死にたいようですね」

 

『魔王様ー。くだんの業突張り商人リストアップ終わりましたー』

「1時間でよくやった素晴らしいだが今はちょっと俺の精神状況が悪い」

『あらー。おっぱい揉みます?』

「なんでお前等そうおっぱい揉ませたがるの揉むけど」

「魔王様?」

「そういう訳だ後でな」

「それはどっちの意味での後でですか?おっぱいですか?」

「後で処刑しに行くからな!」

『ならリストの商人達を纏めて拘束しておきますー』

 

 

「あ”あ”あ”も”お”お”お”身体一つじゃ足りない”い”い”!!!」

「魔王様、重婚は罪ですよ?」

「そういう意味じゃねえよ!!」

「強いオスは多くのメスを囲う権利がある、気にせんでもよいぞワシは気にしない。まあ魔王様がそばに居るのならワシは何番でも」

「もう黙ってくれませんかねぇ!」

 

 

 

 

 

「そうか、増えればいいのか」

「「!!?」」

 

 




 後日魔王城の一室で魔王が複数で書類作業をしている所が見られたとか。

・レヴィアタン
HP %Γ¨Ωヽ MP 0
STR *** DEX 5
INT 0 LUK 2
 ドラゴン種の異常個体。身体がとてつもなく大きく、あらゆる攻撃ダメージを1にする絶対的な防御を持っている。しかしその巨体故に鈍重で、自身を支え切れていない。移動するにもナメクジ以下の速さでしか這いずることが出来ない。

・極圏
 人界の最北端と最南端に位置する異常空間の総称。北極圏は常に吹雪いて、南極圏は常に灼熱の溶岩が溢れ出ている。
 極圏の内部では様々な異常事態が報告されている。主な報告例は時空間の異常や通常ではありえない大きさの動植物の発生、反重力物質の塊でできた島等。そんな空間の地図を作った極北魔法国家はガチの偉業。
 極圏内は放出系の魔法の使用が制限される。自身の肉体の内側に作用するタイプの魔法は使える。

・不死の魔法
 その名の通り『死ななくなる』状態異常を付与する魔法。『死ななくなる』状態だと例え心臓が爆散しようとも脳が爆散しようとも全細胞が焼き尽くされても『死なない』。
 不死の魔法を掛けられた瞬間から肉体は腐り始め、時間が経つとゾンビに変化するが、腕のいい回復魔法使いなら治療することが可能。
 元々人間族のとある王が不老不死を求めて開発させた魔法。その王は生きたまま埋葬された。
 魔王はこの魔法を改造し『不老の魔法』(肉体的な変化が無くなる)、『不老不死の魔法』(肉体的な変化が無くなり、魂が肉体から離れなくなる)、『不壊の魔法』(あらゆるダメージを即座に回復する)、を作った。なおどれも回復魔法で治療可能。

・エルフ族
 長命、美男美女揃い。肉体的な強さはそれほどでもないが、サバイバルが得意な種族。
 例え砂漠のど真ん中や氷山、火山、海の上だろうが平地の草原並の速度で移動することが出来、生き残る事にかけて他の追随を許さない程に生存術に長けている。その為狩猟に必要な各種道具の扱いや野草、キノコ類の知識、更には猛毒耐性に優れている。
 特に魔法を扱う事に長けたエルフはハイエルフと呼ばれ、魔素の濃い場所に適応進化したエルフはダークエルフと呼ばれる。

・龍族
 長命、種族的に体力が高く頑丈(STRが高い)。詩を愛し、人に化けては吟遊詩人の真似事をしている。プライドが高く、ドラゴン種(モンスター)に間違えられると激おこ。
 本来の姿は巨大な蛇の様な姿だが、昔に人化の魔法を魔王に教わってからは種族全員が使えるようになり、かなり気軽に人間世界に繰り出していたりする。
 体を覆っている鱗はとても硬く頑強。並大抵の魔法ははじき返してしまう。
 龍族の勇者だった天の国王は魔王との一騎打ちの末敗北、魔王の軍門に下る。魔王の元で戦う中で人間族が支配していた人界に疑問を抱き、魔王が世界を征服した事で人界に蔓延っていたあらゆる種族間問題が(ほぼ強引とはいえ)解消された事で魔王に心底陶酔する事になった。
 一人娘が勇者(仮)にかどかわされ、行方不明になった事で勇者絶対ブッ殺すおじさんと化す。

・オーク族
 短命(寿命約100年)、種族的に頑丈で器用。イノシシ頭の人型。
 よく人間族を攫っては孕ませるなどと誤解を受けるが、オーク的美的感覚だとむしろ人間族は皆不細工。
 似た種族でゴブリン種(モンスター)が居る。子供オークと大人ゴブリンはほぼ似た体格。

・ドワーフ族
 短命、種族的に力持ちで器用。ちっちゃい、大の酒好き。
 主に金属類の加工技術に優れ、勇者(本物)の力に耐えられる武具を作ることが出来るのはドワーフぐらいなもの。
 魔王が普段使いしている覇剣『ガラスソード』はドワーフの武器長渾身の傑作、だが魔王は気軽に使いつぶす。
 覇剣『ガラスソード』は南極圏で採集された星の核と呼ばれる最硬の金属を使って造られているが、魔王の全力の一振りで壊れてしまうから『ガラスソード』と銘打たれた。だが『ガラスソード』以外ではそもそも全力を出せない事から文句なしの名剣である。

魔王「わり、また壊れちった」
武器長「お、お、オレの力作が……」

・火の国
 別名ニンジャ国家。ニンジャ!?ニンジャナンデ!?
 正規兵どころか訓練兵、一般市民に至るまで人間離れした身体能力を持つ怪物国家。空気にプロティン含まれてる。
 火の国王はかつては暗愚王と言われていたが、魔王が世界を征服してから一気に賢王と呼ばれるようになった。なおやってること自体はほぼ変わって無いもよう。

・人狼族
 高い不死性を持ち、鋭い爪と牙で獲物を砕く。
 一応魔族扱いとはいえ脳みその出来が悪く、本能で生きている。強い者が美しいという価値観を持ち、世界征服した魔王に種族全員で戦争を仕掛けるも返り討ちに。それ以降全員が魔王に忠誠を誓い、メスの人狼族は魔王に一目惚れした。割と絶滅の危機である。


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