ぬわああああん異世界勇者の相手するの疲れたぁぁんもおおおおん   作:輝く羊モドキ

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勇者視点でお送りいたしたかった。


腰痛肩こり目の疲れ薄毛や脱毛症口臭肌荒れすり傷切り傷打撲骨折脱臼痙攣腱鞘炎水虫あかぎれささくれワキガ切痔水疱瘡うつ倦怠感吐き気胃痛消化不良目眩性病勃起不全便秘軟便血尿四肢欠損に効くエリクサーは如何!?

 

『最近目の疲れがひどい』

「んんwwwそういうのは拙者の専門外でしてwwwラナ娘に頼むべきそうすべきwww」

『既に頼んであるんだよなぁ』

「それで回復しないとか草」

『しかも『すみません魔王様ー、魔王様の目の疲れだけではなく腰痛、肩こり、胃痛どれもが肉体にとって正常な状態である、といった状況でしてー……魔王様いったい何時からこんな体なんですかー……』とか言われちゃったわけよ。わかる?俺の気持ち』

「わ か ら ん(ジャガー感)」

『控えめに言って年寄り扱いとかもうね、爆笑。笑うしかないわ』

「wwwww」

『何笑ってんだ殺すぞ』

「控えめに言って理不尽では?」

 

 わかるマーン!!(挨拶)

 拙者ヒッカ・ビッキー!何の変哲もない勇者でござ早漏(爆)!ただ人と違う所は魔王様に見初められたって所かなー!趣味はサボテン育成。

 拙者こう見えて最強格の勇者でおまんがな!その実力を買われ今魔王様から魔界の未探索エリアを探索してる最中でありまーす!やー、流石未探索なあるだけあるべー!精強な魔王軍が探索を諦める魔境!エグイ能力を持ったモンスターの巣窟やったり、極圏並の異常空間が牙をむいてきたり、怪物級のモンスターが襲ってきたり、もー大忙しの日々ですたい!

 

 私近いうちに死ぬなコレ。

 

 マジで何なんだよココ。何で私一人だけなんだよココ。誰か助けてよココ!!マジで魔境すぎて吐く。何で未探索なのか一瞬で理解できるわ。ボスケテ。

 でも何故探索しなきゃいけないのかも理解できるわ。何故なら私がこうして探索し続けられるのも未探索エリアで発見した『レベル増強剤EX』と名付けた木の実を食ったり、『魔力限界突破薬EX』と名付けた薬草を食ったり、『肉体強化剤EX』と名付けたモンスターの肉を食ったりと、食ってばっかだな拙者。ともかく異常な恩恵が豊富に見つかるのじゃ。暗黒大陸はココだった……?

 

「ともかく魔王様。近いうちに探索を一旦きりあげて帰るからよろしくぞなもし!」

『成果は当然あるんだよな?』

「勿論でござろう!魔王様に良さそうなモノを幾つか見つけたぞ!」

『俺に良さそうかどうかは置いといて、有用そうか?』

「ほっほん!薄毛に抜群に効くこの『毛生え草』や短小包茎に効くこの『ズルム毛虫』、性的な意味で夜寝られなくなる『ムササ媚薬』等等色々みつけたにゃー!」

『確かに凄そうだがなんで俺に良さそうなんて前置きしたんだテメェ』

「wwwww」

『誤魔化すな』

 

 まあそんな事はどうでもよい!我、この探索を一旦切り上げたら自室でごろ寝するんだ……。

 

ガサッ

 

「……」

『……どうした』

「スマヌ魔王様。一旦通信を切らせてもらう」

『は?おい』ブツッ

 

 はーつっかえ。拙者と魔王様のファニームーン(誤)な時間を邪魔しおって。絶許。つーかセーフティゾーン超えてくんなや。何処のドイツじゃメキシカン。一対一なら最強(魔王様除く)のバトるメイジ勇者舐めんなや?お?

 

ガサガサッ

 

「……」

●「……」

 

 どう見ても(ブリオン)です本当にありがとうございました。

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

「……と言う訳で未探索エリアの調査自体は順調。ただやはりと言うかモンスターが強力すぎる。魔王軍から調査団を投入する際そこがネック」

『……成程な。ッチ、有用な素材は多い癖に安定供給は難しい、か。かといって軍に犠牲を強いるほどに有用かと言えばそうでもない……死んでも蘇生可能とはいえ、肉体が完全に無くなると蘇生難度も上がる。そもそも死んだという記憶はトラウマになり易いからな。何ともしがたい』

「私からすれば肉体が完全に消滅しても蘇生できると言う魔王様に驚きを隠せない。それより如何する?私が間引くとしても、探索拠点を作るとしても、単純に手が足りない。私一人で素材の採集も限度がある」

『とりあえず拡張ポーチいっぱいになるまで採集を続けてくれ。『鑑定の魔法』で調べきれなかった有用な効果が見つかるかもしれんから魔素濃度の高い植物類や鉱石類もな』

「かしこまりました」

 

 ブツッと魔王様との通信を切る。

 

「……魔王様はナチュラルに人間(ヒト)使いが荒い」

 

 そんな扱いには前から慣れているけど。まあその前と今を比較したら睡眠時間がしっかりとれるだけ今の方がマシではあるが。

 さて、時間は有限。魔物避けの魔道具を解除し、セーフティゾーンから抜け出す。

 ここは魔界の未探索エリアの中でも特に危険な区画の一つ、『塵界魔境』端。この辺りは強力な魔物達のテリトリーの境目であり、比較的安全圏である。

 安全圏とはいえ、比較対象が強力な魔物であるからここでも油断は出来ない、故に魔物避けの魔道具を設置してセーフティゾーンを作っていた。休憩と食事を終え、魔王様との定期連絡も終了。探索を再開する。

 しかし魔王様の無茶振りもまた酷い。持たされている拡張ポーチに入る容量は家一軒分どころかマンション一軒分は入るほど巨大。それをいっぱいになるまでとは……濡れる。

 

ザリッ

 

 異音、迎撃。音の発生源を見ずに氷結の魔法で拘束する。一瞬の躊躇の代償は常に自分の命。躊躇わない。

 

「あ”っッ!!やっ、助けて……っ!」

 

 子供の声。聞こえた方向に顔を向ける。視界の先には、頭部に小さな角を生やした魔族の子供が居た。

 

「ひっ……!」

 

 怯え、死の恐怖に震えている子供を私は容赦なく爆砕した。

 

 瞬間、子供の足元の地面が盛り上がり、大きな深海魚の様なモンスターが現れた。

 

『グラブ・フィッシャー』

 頭部から伸びた疑似餌を使い、モンスターを捕食する。素材:肝・疑似餌

 

 私の『鑑定の魔法』がその正体を説明する。あのモンスター……『グラブ・フィッシャー』はこの辺りでは何度も見かけている。そもそもこんな魔境に、私の氷結魔法を受けて命乞いをするような存在など居る筈が無い。もし居たとしたら……それは目の前のモンスターの様に、擬態や不意打ちに特化したようなモンスターだ。

 『グラブ・フィッシャー』は目と耳が退化した代わりに触覚が発達したモンスター……らしい。魔王様がそう言っていた。そもそも『塵界魔境』は常に砂嵐が起きている異常空間。ただの視覚では役に立たず、聴覚も吹き荒ぶ砂で使い物にならない。そんな中で使える感覚も限られ、適応するために進化していったモンスターの様だ。一見無害そうな魔族の子供を疑似餌にするのも、ソレを捕食しようと近寄るモンスターを逆に捕食するための様だ。まあ、そんな事はどうでも良い。

 

「『アイスクレイドル』」

 

 魔法で出来た氷の籠はモンスターを閉じ込め、じわりじわりと体力を奪っていく。悪趣味なモンスターだが、殺せば素材が残る。そしてその素材は中々に有用そうだから狩る理由になる。

 体力をある程度奪ったところで、一気にモンスターの心臓ごと爆砕する。魔王様曰く『首狩りスキル』の一種らしい。『首狩りスキル』とは、相手のHPの残量関係なく死に至らせるスキルだと言う。首を斬り落とせばHPなんて関係ないような気もするが、そう言う訳でも無いらしい。なんにせよ、私がモンスターの心臓を爆砕する技は、相手モンスターとのレベル差関係なく殺せる技だが、殺す為にはある程度体力を奪う必要があるそうだ。何故そんな必要があるのかは説明を受けてもよく分からなかったが、魔王様が言うにはそうなのだ。

 まあともかく『グラブ・フィッシャー』を殺し、崩壊していく身体を後目に残った素材を回収する。

 

『グラブ・フィッシャーの肝』

 強力な回復薬の元になる。

『グラブ・フィッシャーの疑似餌』

 とても精巧に出来た魔族の子供人形。内臓まで再現されている。

 

 疑似餌は爆砕したはずだが、何故か素材としてまたドロップする。不思議だ。

 魔王様が難しい言葉で説明していたが、理解できなかったのでそういうもんだという認識でいい。

 さて、肝と疑似餌を拡張ポーチに入れても、全容量の1%にも満たない。朝から採集し続けてもまだ容量は3分の1程度しか埋まっていない。このペースだと拡張ポーチがいっぱいになるまでに日が暮れて夜が明ける。久々の徹夜で濡れる。

 

「さて、採集を続けよう」

 

 辺りは砂嵐が吹き荒び、立っているだけで皮膚が裂け出血を強いられる。故に私は氷結の魔法を応用し、自身の体にぴったり沿う様に魔法の氷で出来た鎧を纏う。視界を確保する意味はあまりないので、顔は完全に覆い、呼吸も風魔法の応用で酸素を供給し続ける。

 この世界は強くなければ生き残れないし、環境に適応出来ない者から死んでいく。そして生き残れても次から次へと生存競争が繰り広げられ、進化を止めた者は絶滅する。非常に非情な弱肉強食の掟。弱い者が生き延びる為には泥水を啜ろうが毒草を齧ろうが何としてでも生きるという決意が必要だ。それが無ければ……強い者に食われるか搾取され続けるだけだ。

 嘗ての私は弱者だった。そして何としてでも生きるという決意を持たなかった愚か者だった。朝も夜も無く、死ぬまで働かされる日々。自業自得だ、本気で現状をなんとかしようという意志も決意もなかった。こうして異世界に呼ばれ、なお奴隷の如く強制的に働かされる日々は私自身が招いた因果だったのだ。

 

 魔王様に見初められるまでは。

 

 私の意志は魔王様によって打たれ、作り直された。まるで脆い銑鉄が鍛冶師によって打ち鍛えられた刀に変わるように。私は意志を持ち、決意を抱いた。

 肉体はこの異世界に召喚された際に強くなった。

 精神は魔王様によって鍛えられ、強くなった。

 だが魂は弱いままだ。

 

 それでいい。

 私の肉体は強い。生半可な攻撃ではやられはしない。

 私の精神は強い。適当な魔法には敗けはしない。

 私の魂は弱い。()()()()()この世界で生き残れる。

 私には強者の矜持なんてない。だからこそ勝ち続ける事が良いことだと思わない。

 私には強者の意識なんてない。だからこそ必要なら地に這い、泥を啜る。

 弱者が生き残るには強者から隠れ忍ぶしかない。

 強者は、より強き者や自然に勝ち続けなければ生き残れない。

 そして私は、目的のためなら手段は選ばない。最善で、確実に。

 

 

 『塵界魔境』には、確認されていないが数多ものモンスターが潜んでいる。そして、その全てのモンスターは例外なく異常環境を生き抜く()()()()()を持っている。

 例えば、先ほどのグラブ・フィッシャー。疑似餌に釣られた獲物を必ず仕留めて食らう為に強力な魔力を使い、疑似餌を基点とした圧縮・転送魔法で獲物を自身の胃のなかに直接送り消化する。

 例えば、吹き荒ぶ砂。散り飛ぶ砂に紛れている小さなモンスターは、自身を吸い込んだ獲物の肺に取り付き、腑を食らう。そうして獲物を内側から食い尽くした後、また砂に乗じて獲物を探す。

 例えば……

 

 

 ズゥゥゥゥゥン……

 

 

 ……山のように、巨大なモンスター。比喩無しに富士山並みの巨体を守護する甲殻はあらゆる攻撃を、その下の肉まで通すことはない。そしてあの巨体を維持するために必要な食事量も相応に多く、一度動き出したら地平線を食い尽くすまで止まらない。

 

 そんなバケモノでも、『塵界魔境』では食物連鎖のトップではないというから笑いも出ない。次の瞬間には他のバケモノの胃袋の中なんて当たり前の世界。まさしく、魔境。

 

 

 

 

 

 そんな世界で「採集終わるまで帰れま10!」やるとか濡れる。()は大火事、()は大水、これなーんだ?私だ。

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 地獄。

 

 地獄だ。

 

 私は今地獄に居る。

 

 なぜ、どうして、と詮無き言葉が頭の中をぐるぐる回り続ける。

 

 これが私の罪だと言うのか。

 

 これが私の罰だと言うのか。

 

 私はこんな地獄に落されなければならない事をやってしまったのか。

 

 私は……

 

 私はただ……

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()!!

 

 

 

()()()()()()()()()()というのが貴女の罪よぉネクラ勇者ぁ?」

「あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”!!」

「貴女はあらゆる義務や責任を放り出して引きこもっていたそうじゃない?ブクブクと肥え太ってぇ、自室でごろごろしてぇ、光も浴びずぅ、風呂にも入らずぅ。何かを創る事もせず、ただただ呼吸して、食事して、糞して寝るだけ。うわぁ……うんこ製造機とは貴女の事を言うのねぇ」

「い”や”あ”あ”あ”あ”!!」

「手先は器用なくせにぃ、何か作ったりすることもせずに自身を慰める事にしか使わない。頭の出来は良いくせにぃ、口八丁で親を騙かして延々と楽しよう……うーん、ドロりとしたクズねぇホント」

「み”き”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”!!」

「そして魔法大国に召喚されてぇ、()()()勇者として持て囃されるも性根がニートである事が即バレして馬車馬のように働かされてぇ……可哀想ねぇ、まるで丸丸と太った豚が無理矢理走らされているよう……可哀想すぎて嗤えてくるわぁ」

「き”に”ゃ”あ”あ”ぁ”!!」

「顔は良くてもぶくぶくと肥えた身体がゴミ貴族を思わせるわぁ。良かったわねえ無様に肥え太ってて、お陰で男性のおトイレ役にすらなれないなんて何が幸運に繋がるか分かった物じゃないわねぇ」

「ひ”ぎ”ゃ”ぁ”ぁ”ぁ”!!」

「そうして使いつぶされてさよなら~……ってなる直前に逃げだせてぇ、醜い脂肪をぶるんぶるん震わせながら命からがら魔界に堕ちてぇ、死の恐怖におびえながら戦い生き延び……あらぁ?貴女この時には随分痩せたのねぇ?豚子鬼(ブタゴブリン)みたいな見た目からかなり変化したわねぇ。ストレス痩せかしらぁ?」

「ひ”に”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!」

「……さっきから本当にうるさいわねぇ。状態異常耐性持ちじゃなかったら『消音の魔法』で口塞いであげるのにぃ」

「しし死んじゃうのでゃめてくだひゃいいいい!!」

 

 死ぬ!死んじゃう!無理無理無理無理!吐く!吐く吐く吐くぅ!!

 『土人形創造魔法(ゴーレムメイカー)』『岩石射出魔法(ブロックキャノン)』『束縛糸(バインド)』『木人形軍団創生魔法(ドールワーカーズ)

 『鋼鉄創造魔法(クリエイトメタル)』『地形操作魔法(アンチエネミー)』『魔力盾生成(シールド)』『重力場歪曲魔法(ブラックホール)

 『世界樹の守り(プロテクト)』『砂嵐葬送(サンドストーム)』『岩人形軍団(ストーンレギオ)ぅぼrrrr

 

「あらぁ、吐いてる暇なんて無いわよぉ?『屍人形王国創生魔法(アンデット・ワールド)』」

「死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅ!!!」

 

 無理!無理無理!これ無理な奴!!

 倒しても倒しても無限に湧いて出てくる死人の群れに正気を削られながらも魔法で薙ぎ倒す。薙ぎ倒す度に自分のレベルが上昇していくのが分かる。そして自分のレベルが上昇していくにつれ、死人の群れが硬く強く変化していく。

 私と土虞さんの地力が違い過ぎる。私が十の魔法に対して、土虞さんはたった一つの魔法を詠唱するだけで全てをぶち壊してくる。私が勝っている所と言えば、言葉に発しなくても魔法を発動できる所と発動速度。土虞さんが一つ魔法を詠唱している間に、私は十も二十も魔法を発動できる。逆に言えば、私の十二十の魔法が土虞さんの一つの魔法に勝てないということだけど。

 そして無詠唱、多重詠唱はかなり脳に負担がかかる上膨大な魔力を必要とする。私の現在の魔力値が常人の約100倍以上あるとはいえすぐに枯渇してしまう。常に魔力補給のスキルを使い続けないと魔法の反動で死ぬ。

 逃げようにも自身を包むようにまとわりつく泥人形の足枷が逃げるのを阻止する。というか逃げる事に意識を割いた瞬間死人の群れに押しつぶされる未来しか見えない。

 

 うん、これ無理☆

 

「うふふ、負けたらゾンビちんちんで敗北レイプしてあげるから必死に頑張るのよぉ?」

「一思いに殺してくだひゃい!」

「ダメよぉ、死んでも簡単に蘇生できるんだものぉ」

「鬼!悪魔!さですと!」

 

 ゾンビで処女散らすのは嫌ぁ!!魔力全てを使ってでもそんな未来は回避する。

 

 スキル『魔力解放』を会得しました。

 

 ……!この感覚は、スキルを覚えた時の!

 

「『魔 力 解 放(リ リ ー ス) !!!』」

 

 全身の魔力が体外に溢れ出てくる。自身にまとわりついていた泥が弾け落ちて、尚魔力は留まる事を知らぬかのように身体から溢れ出る。

 これもしかしてヤバイ状態では?

 と思考を巡らした次の瞬間、手足が吹き飛んだかのような激痛に襲われた。

 

「ぁギッ!!?」

 

 痛みのあまり声を上げた瞬間に更なる痛みが身体を襲い、全身の細胞一つ一つを丁寧に擂り潰されていくように思える感覚が駆け巡る。

 ショックで気絶した次の瞬間には更なる痛みで目を覚まし、そして意識が途切れ目を覚ます。視界が真っ赤に明滅し、呼吸もままならず、腹の中が灼けるように痛い。

 声にならない声を上げて抵抗しようにも意識と身体は完全にバラバラになってしまった。

 スキル:精神統一のお陰で発狂することは無く、自分自身を斜め上から見下ろすように客観視する。今の自分は正に魔法の反動を受けている状態だ。ただし自分が知っている状態より100倍ヤバイけど。

 狂う程の痛みによってまともな思考が出来なくなったが、スキル:分割思考により辛うじて守護できた思考力をつかって溢れ出る魔力に点火する。

 

 

 

 点火された魔力は、純粋な爆発力となって辺り一帯を吹き飛ばした。

 

 

 

 気が付けば、自身は何も無い巨大なクレーターの中心に立っていた。

 ゆっくりと戻ってくる思考力はスキルの恩恵で次々に分割されていき、様々な事を考え始めた。

 

 先程の痛みは過剰に魔力を消費した事による反動ダメージ。魔力解放とは自身の限界まで魔力を消費し、破壊力に変換するスキル。土虞さんは何処に行った?まさかさっきので消し飛ばした?

 

 ねとぉ、と夏の日光を浴びた泥の様な温度の手に足を掴まれた。

 

「ハぁい♥」

「ひぇ」

 

 ズるぅリ、と冒涜的な音を立てながら私の影からハい出てkる土虞さn。

 

「うふ、うゥふふふフふ、よくモやってくれたわねぇ?」

「あ、ア……」

 

 うねうね、ぐねぐねと躰を再構成しnaがらひたひたひたひたひたひたと歩く歩く。

 暗い位昏い目が光光光る。よく分からないうちに私の身体がからだの身体で体の身体が影影影影影に沈め沈む沈め

 

「だからぁ、貴方には特別に『ゴホウビ』をアげようとオもってねぇ?」

「ぁ……」

 

動かな動け動く動き動けけけそうで沈む影が

 

太陽が昇り昇り月が落ち落ち落ち落ちて影が延びび空が昏く昏く昏く昏く昏く昏くくらくらくらくらくら

 

ぬるい手がつかつかつか掴み私を引き引きヒキひきずって締め締め締め締め締め締め締め締め

 

苦しい苦しい苦しい苦しい

 

喉の奥に何かが入り込んでくる。

 

やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやあ

 

 

 

 

魔王様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごちそうさまでしたぁ♡

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

「いやー戦争特需というかレヴィアタン特需というかー。もー素材が素材なので職人街はお祭り騒ぎですよ魔王様ー」

「そうか」

「ついでと言うかオマケと言うかー、レヴィアタン討伐のせいか冒険者の数も爆発的に増えて世界中のダンジョンがひっきりなしに稼働し続けてますー。『ギルド』もものすごく忙しくなって雇用の増加につぐ増加。お金があっても人が足りなすぎて働けなくなった欠損障害者からスラム街の孤児に至るまで片っ端から教育しては現場に送ってますー。もー超好景気、どんな形でも働ける人材が必要な魔王領に他所からどんどん人材が入って来て、経済的にも文化的にも超成長期といって差し支えないかとー」

「そうか」

「まあ他の国からすれば人口の流出が激しすぎてヤバイみたいな事もあるみたいですがそんな事は知った事無いですしー。ダンジョン都市及び領地の拡張は人口増加に伴い段階的に進行してますしー。そう遠くないうちに名実共に魔界・人界の覇者として魔王様が君臨することになりますよー」

「そうか」

「だからー、滅茶苦茶頑張った私にもごほーび的な何かがあっても良いと思うんですよ魔王様ー」

「そうか」

「……魔王様ー?」

「そうか」

 

「あー……ラナ、その魔王様は分身体ッス」

「……分身体?」

「五感は共有しているらしいッスけど、書類作業等に使える最低限の思考能力を有してるだけの、いわば等身大魔王様人形みたいなもんッス」

「えっ……つまり私の報告は?」

「本物の魔王様には届いてる筈ッスけど……」

「……」

「んな『自分不満です!』って顔されても困るッス」

「だって私は魔王様に『よくやった(イケボ』って言われたくて頑張ったんですよー!それなのにこの仕打ちはあんまりじゃないですかー!?」

「仕方がねえッス。なんせ魔王領の人口が爆発的に増加した影響で()()書類仕事が爆増したッス。勿論ラナの仕事量も知ってるッスけど、それ以上に魔王様の仕事量も増えてるッスから多少の不満は我慢しろッス」

「ムキー!なんで魔王様いつも働いてるのよー!」

「世界の管理なんて元々一人の手でやるもんじゃねえッスからねぇ」

「なら四天王と呼ばれる貴方達も魔王様を手伝いなさいよ」

「ジブン、シュゾクテキニ、ムリナンデ」

「急に片言にならない!」

「ほ、ほら。四天王は魔王様の夜のサポートもしてるッス。役に立ってるッスよ?」

「……」

 

 

 

あんた等の所為でチ○コ痛いって相談されるんだけど?

マジすんませんでしたッス

 

 

 




管理職は大変だなぁ!
そして気が付けば半年経とうとしていた。きっと天狗の仕業。


・魔界の未探索エリア
 精強な魔王軍が探索を諦めるほどの危険地帯の総称。人界の極圏とは比べ物にならない程に危険な事が多い。
 未探索エリアの中には魔王軍が確認出来ていない魔族の部族や異常な特性を持った素材が隠れている。
 時空間のねじれやスキル無効、即死エリアは当たり前。能力値やレベルを失う事も。レベルを失った場合、魂の強度がほぼ0となりそれ以上強くなることは無くなる。蘇生が不可能になる。それでも魔王様なら……魔王様ならきっと何とかしてくれる……!!

・魔法の反動
 自身の力量を超えた大魔法やMP総量を上回る程の魔法力を行使した場合に起きる現象。個人差があるが、スキル:精神統一を会得していない者は発狂し、自身の最大HPと寿命が大幅に減少する。精神統一を会得している者は現在HPを大幅に減少する程度に抑えられる。

・四天王
 全員が理を外れている程に強いが、書類仕事にはめっぽう弱い。どれくらい弱いかというと
 大丈夫?魔王軍の四天王だよ?
 と言われるくらい誤字脱字が多い上に単純に字が汚い。
 魔王から「お前等は書類仕事しなくていい」と言われるくらい。
 探索能力もあまり高くなく、戦闘能力、殲滅能力ばかりに特化している。
 最近は魔王軍所属の勇者が育って来たお陰(所為)で出番も無くなっている。つまり……おっとここまでにしておこう。
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