まあ元々、短編のつもりだったからってのもあるんですが
嫌に静かだったな…ここまでの道
数体の人形は居たが、ハイエンドモデル達は全く見なかったな……それどころか人の姿も見当たらない
だがここで引いても事態が変わらないのは事実……ええいままよ
中央監視センターのドアを静かに開け、JUDGMENTを構えながら中を覗く…クリアリングは問題無し
……マジで怖いなー全く、戸締りすとこ…取り敢えず防犯カメラの確認を終わらせるか
「入口は案の定、ガッチガチに固められてんな……あれ、これイントゥルーダーか?」
『そんなところでボーッとしてていいのかい?傭兵さん』
「クッソ電子戦得意なの忘れてたッ…これは不味い、さっさと脱出しな……」
「そこに居るんだよなぁ?傭兵よォ…」
「速過ぎんだろテメこの野郎」
ドアの外から処刑人の声がする…恐らく扉を機械腕の方でゆっくりノックしているのだろう、ガリガリと削れる様な音が聞こえる
何これ、下手なホラーより余っ程怖いんですけどー……
鍵は掛けてるし、ある程度は時間稼げそうだが…どの道あの太刀でスパッといかれたら扉なんて関係無いんだよな
おっとこんな所に通気口が……お、開いてんじゃーん
「オイ!開けろよ傭兵!別に取ってく食いやしねぇんだから、さっさと開けてくれよ…な?オレだってなるべく荒っぽい事をお前にはしたくねぇんだよ」
「この状況で一体その言葉のどこを信じれば良いんだってんだ」
「チッ…!扉の正面に立つなよ!まあ、片脚でも吹っ飛んでればコッチとしても楽に済みそうなんだけどなぁ!!」
次の瞬間には扉は真っ二つに切断され、ぶっ飛んでいた
俺も通気口へと体を仕舞い込んでいたので間一髪、てか今ソニックブーム的な何かが飛んでいかなかった?その太刀ってそんなのも出るんすか
「ああクソがッ!!イントゥルーダー!傭兵はどこ行った!!」
『はぁ…遊ばずにさっさと突入していれば、こんなに面倒ではなかった筈でしたのに』
「ゴタゴタ吐かす前にさっさと探せ!」
『はいはい、わたくしとしてもあの方と早く1つになりたいのは事実ですわ』
何か怖いこと話してる気がするんですけど……最早、脱出方法は最終手段の窓からダイナミック帰宅くらいしか残されてないのかな
通気口の中を這って進み、所々ある金網から下を覗く…まあ何処もかしこも鉄血人形ばかり、下手に降りられないなこりゃあ
さて、かなり通気口の中を這い廻った
しかし、さっき中央監視センターに人っ子一人居なかったな……嫌な予感はするが、あまり考えたくはない
……おっと、金網の下にアルケミストと代理人の姿が見える
「まだ彼は見つかりませんか」
「ああ駄目だね…スケアクロウは煙幕で撒かれ、イントゥルーダーが発見してエクスキューショナーが向かったが通気口で逃げられ…惨敗続きだ」
「流石と言ったところでしょうか、まあそう簡単に捕まってくれるとは思っていませんが…通気口と言いました?」
「そうだ、それがどうした?」
「……いえ、少し」
代理人のスカートをたくし上げ、サブアームを覗かせた…てかそれ前々から思ってたんだけどモラル大丈夫?
そんな事考えてる場合じゃねぇや
何故か背筋がスッと冷たくなったので、ここは戦略的撤退を……と思ったのも束の間、何と代理人の放つ弾丸でダクトを型抜きされてしまった
「いッ…たいんですけどぉ……あっ」
「おや、こんな所で奇遇ですね…傭兵さん?」
「あ、ああ…奇遇だな、代理人」
「おいおいあたしの事は無視か?寂しいねぇ」
「別に無視はしてはいけど…おいおい物騒だな、そんなもん向けられてちゃビビって話も出来やしねぇ」
アルケミストと代理人から銃口を向けられ、両手を上げて後退る…あの代理人さん、ガッツリ見えてるんですけど
くっ、これも作戦の内なのか…?侮り難しハイエンドモデル、これ設計したヤツ絶対変態だろ
「まあ安心しなよ、別にお前を殺す気は無いんだから」
「俺としてもお前の芸術(笑)に仲間入りするのは御免だね」
「無駄話もこの辺にしておきましょう、貴方に二つの選択肢を提案します」
ちゃんと選べる提案だと俺は嬉しいんだけど……まあ、スケアクロウの時もそうだったが、そう簡単には逃がしてくれないか
……だが、中央監視センターでいいモンを拾ってきたんだよねぇ
「一つ、大人しく私達に着いてくるか…もう一つ、力ずくで連行されるか…お好きな方をお選び下さい」
「二者択一とは名ばかりで、結果として殆ど一緒じゃないかよ」
「前者を選べばあたしが介抱しながら連れて行ってやるよ、勿論だが代理人も一緒にな…どうだ?嬉しいだろ」
「そりゃあ美人に囲まれるのは嫌じゃないが…生憎とそう言うのは間に合ってんだ」
「では力ずくで、という事で宜しいのでしょうか?」
「おいおい気が早いってえの…実はさっき中央監視センターで親切な警備員さんに貰い物しては、ここでお裾分けをしようと思ってね」
「ほう、お前以外の人間は粗方片付けたと思ったんだがな…まだ誰か生き残ってたか?」
……やっぱ殲滅されてたか、そこまで関わりがあった訳じゃないが…あそこまで蹂躙されていると可哀想になってくる
瞬時に代理人達へ向かってとある物体を投げる…そして俺は背を向け、目を固く瞑り……耳を思いっ切り塞ぐ
次の瞬間、眩い光と耳をつんざく様な高音が響き渡る……フラッシュバンだ、やっぱ持つべき物はフラッシュよ
「まあ御愁傷様と言っておこうか、聞こえてないだろうけど」
「くっ…迂闊でしたか…!!」
「クソがっ!なんつーもんをぶつけやがる!」
「それじゃ、お先に失礼させてもらうわよ〜」
回復される前にさっさと撤退、所構わず乱射みたいな事をされなかったのはラッキーだったな
もう隠密とかやってる時間もないし、距離的にもゴリ押しで行った方が早い気がする
という訳で完全に武器の性能頼り、ゴリ押し戦法で押し切りますか
前に立つ戦術人形達を沈めていく…特殊マガジンのリロードも長年やってきたから慣れたもんさ…走りながらリロードを行い弾幕を薄めず、且つノンストップで扉まで駆け抜ける
と、天井がいきなり爆音と共に落ちてきた
「うえっ…ゲホッ、ゲホッ……何なんだ今度は」
「
「そう言えばお前を見てなかったな、デストロイヤー」
装備もギャップが凄いな、榴弾って…やっぱ破壊者って名前だけあるな、まあ人じゃなくて対物用だと思うんすけどねソレ
そして次に横の壁が吹き飛ぶ…出口を目の前にして囲まれるとは、これピンチじゃね?
「や〜っと追い付いたぜ、傭兵」
「御苦労なこったな処刑人…てか速過ぎだろやっぱ」
「侵入者から情報は貰ってたからなぁ…んじゃ、大人しくしとけよ?」
流石はイントゥルーダーだよ畜生、一度アイツの電子戦を見せてもらったが感嘆したよ本当
まあ、ウチの会社にいる奴ら程ではなかったけどな……それでも専門じゃない俺からしてみれば驚異でしかないのは事実
「フラッシュとは、やってくれましたね…傭兵さん」
「ああ本当、効いたぜ全く…これはお仕置が必要だなぁ?」
「うわっ…回復早すぎだろ、もうちょっとゆっくりしてても良かったんだぞ?ビールでも飲んでリラックスしなぁ」
「生憎とそうも言ってられませんでしたので…もう一度問います、傭兵さん……私達へ着いてくるか、力ずくか」
ハイエンドモデルが4人か……対して俺は生身の傭兵、絶体絶命とは正にこの状況よな
だが、タダでは転ばないのが俺のやり方……下準備は済んでる、あとはタイミングを合わせるだけだ
「早いとこ降参した方がいいんじゃない?あたしの武器、傭兵さんの銃じゃ勝てないでしょ!」
「それはやってみなきゃ分からんだろう?て言うかそれ、榴弾って対物用だから普通…人様に向けるもんじゃないんだよ」
「ふーん?怖いんだ?まあ!今の状況だったらあたしの方が強いから仕方ないよね!」
「ほほぉ、言うねぇデストロイヤー…良いだろう、少しお灸を据える意味も踏まえて…そろそろ動くとするか」
「別に強がらなくたっていいんだよ傭兵さん、その代わりにあたしが甘やかしてあげるんだから!」
ロリにあやされるとはこれ如何に…そんなところ夢想家に見られたら超面倒臭そうだし、遠慮しておこうかな
……もう少し、もう少し近付いてくれればピースが揃う
「傭兵さん、これでも私は貴方に期待をしているのです…今までそうだった様に、この状況でも貴方は一切の動揺を見せない」
「そりゃあなぁ、傭兵ってのは虎視眈々と一瞬の隙ってのを狙ってるんだよ」
「それは面白いな、あたしにも見せてみろよ?」
「ああ勿論いいぜ…目に焼き付けとけよ」
「それで、これからどうすんだ傭兵…さっさと動かねぇと、オレが捕まえちまうぞ」
「……はっ、何するかって?爆破ですよォ」
右手に持つスイッチを押し込む、すると代理人達の後ろにあった部屋が次々と爆発していく
扉を吹っ飛ばしながら爆音をあげ、瓦礫と砂煙を巻き上げていく…通気口を通りながら各部屋にC4爆弾を設置していたのだ
まあただ、この程度の爆発では建物が崩れたりする事はない…ならば何が目的か……一瞬でも、俺から意識を逸らさせる事だ
「隙あり」
「は?…ってうわ!?」
「え?ちょっ!?」
処刑人とデストロイヤーの腕を掴み、一本背負いをする…その勢いで後ろに立つアルケミストと代理人へ背負い投げた二人をブン投げる
この距離なら咄嗟の判断で避けられる心配もない……フッ、我ながらいい動きが出来た
「扉は……瓦礫でダメか、最初から期待はしてなかったが……最終手段、窓からダイナミック帰宅と行きますか」
「ま、待ちなさ…!」
「あばよレディ達」
窓ガラスへ飛び込み外へ飛び出す、まあ2階程度では大した高さではない…受身の取り方さえ間違えなければどうと言う事はない
よし無傷、お次は脱出作戦DA☆
「い"ッ……つぅ」
「お前ならこの動線で逃げると思っていたぞ、待っていた甲斐があったな」
「ハ、ハンターさんじゃねぇっすか…こんな所で待伏せとは、いい性格してるなオイ」
右太股に二発……これは流石に不味い、確かに見ない見ないとは思っていたがこんな場所に潜伏されていたか
ここに来てまさかこんなヘマをやらかすとは…詰めが甘いとはまさにこの事だよ全く
「罠を張り、獲物を待つ…これもまた狩人のやり方だ」
「はっ…この俺を片脚潰した程度でどうにか……」
「させませんわ」
「なっ…クソっ」
片脚のまま地面を蹴って距離を稼ごうとしたところ、スケアクロウに見事なまでに背後を取られていた
ノーガードで突っ込んだところを捕獲され、地面へと押さえ付けられる…脚の痛みとか急なハンターにビビってたわ
周囲の警戒に気を付けよう(猛省)
「やっと取り押さえらたか…しっかし、本当お前はやる事が派手だなぁ」
「そいつはどうも……皆さんお揃いですな、嫌になるぜ全く」
「脚を撃ち抜かれてもその余裕、本当タフだよなお前…だからオレが気に入ったんだがな」
「では傭兵さん、多少の乱暴には目を瞑っていただけると嬉しいですわ」
スケアクロウが俺の腕を後ろで縛る、かなりキツめに……いやこれギッチギチやんけ
縄抜けを試そうかと思ったがこれじゃ無理だわ、戦術人形の力でギチギチに縛られたら無理ですよこんなの
あと足も縛られました、ちょっと厳重過ぎとちゃう?
「それじゃ、よっと」
「まさかの俵担ぎ?」
「お前歩かせると何してくるか分かったもんじゃ無いからな、この方が比較的安心なんだよ」
「手足縛られてこれ以上一体何が出来るってんだよ……」
「口から銃口出てくるかもしれねぇだろ」
「俺は改造人間じゃないんだわ」
処刑人のデカ腕で俵担ぎにさせられ、何処かへと連れて行かれる……これ本当にどこへ向かってるの?
「では、少しお話をしましょう」
「こんっなガッチガチに拘束してお話したァ、随分なおもてなしだな代理人」
「……本当、貴方のタフさは何処から来てるのでしょうか」
「悪いが通常運転なんだ」
地下のどっかにある部屋へと運ばれ、腕と足を縛られてるのに追加で椅子に縛られた…何?俺ってそんな危険物なの?
今は代理人と二人きり、違う意味でドキドキしてくる…動悸と汗が止まらない、恋とかそんな甘いものじゃないのよコレ
「何故、私達が貴方を殺さなかったのか…理解出来ますか?」
「……さぁ、そんなの分からないけど」
「私達だけでは無く、ヴェスピドやイェーガー達の攻撃も全て…脚や腕、貴方を無力化する攻撃を行っておりました」
「まあ確かに、言われてみればそうだな」
「それは私…いえ、私達が……貴方と言う人間以外に、興味が無いからです」
「それは…えっと……何だ?新手の告白か?」
「ええまあ…言い換えればそうなるのでしょうか……私達は貴方が欲しい、貴方の全てが欲しい」
「い、いやいや…急にそんな事を言われても……」
なんか、雲行き怪しくない?俺の思ってた事態の斜め上をブチ抜いて行ってるんですけど……こっから軌道修正って難しいっすよ?
代理人の顔が近付く…いや近い近いもちょい離れて
「私達は人形、彼等からして見れば道具に過ぎません…作戦終了後は労うどころか顔すらまともに見ないでしょう……ですが、貴方は違います…私達がどんな残虐な方法で敵を排除したとしても、平然とヘラヘラした顔で私達に話し掛けてくれました」
ヘラヘラって…いやまあ確かに、硬っ苦しい空気は好きじゃないからそういう風に接してはいたけど
俺にとっては戦術人形だろうが生身の人間だろうが、そこまで区別は無いし
「そのまま雑談をしたり、時には遊びに付き合ったり…ここに居る人間でそんな事をするのは貴方だけです」
「別に普通じゃないか?そんなの…ほら、俺以外にも雇われてた傭兵とか……」
「居ません、貴方だけです」
「あ、はい……」
超食い気味なんですけど、怖……
共に戦場へ出るのに、人形か人間かなんて一々区別してたらキリないだろ……そんなの面倒なだけだし、無駄な労力使いたくないじゃん?
「まあそれは分かったけど…お前ら、これからどうする気だ?」
「エルダーブレインの命により、人間を排除します」
「えっ…とぉ……それは殲滅って、コトォ?」
「その通りです、1人残さず…と言うのが我々に下された命令ですので」
鉄血の統括AIってのは一体何を考えてるんだか……急に全人類へ向けて宣戦布告とは、やる事が派手だねぇ
思ってたよりも面倒な事態になってるみたいだな
「それじゃ俺はどうするんだ、俺だって一人類な訳だけど」
「貴方は別です、貴方にはここに残ってもらいます…勿論ですが、戦闘に参加させる気はありません」
「冗談キツイぜ…人類のラストワン賞とか誰も嬉しくないだろそんなの」
「これはお願いではありません、命令です…貴方の意思に関係なく、そうなる運命です」
Where is a Jinken……戦術人形相手に人権主張するのもおかしな話ではありそうだが、それでも侵害っすよこらァ
さてどうしたものか……こっからどうやって行動しようか、愛銃もどっかに片されちゃったし…無線は相変わらずノイズ掛かってるし
そんな思考を巡らせていると、代理人の陶器の様に真っ白な掌…それが俺の頬を包み、グイッと代理人の顔が近付く
「嗚呼、そうやって画策し思考を巡らせている貴方は一段と愛おしい……ですから私はその画策を壊しましょう、何度も何度も何度も…!嗚呼、嗚呼!なんと素敵で甘美な……!永遠と続く画策と打破、そのやり取りで精神が壊れてしまう貴方を見るのも一興ですね…どの様な貴方であろうと私は愛し続けます、永遠に…永久に……ですが、その程度では折れないでしょう?でなければ私の一番愛おしい貴方の姿が見れません、ああ勿論ですが普段の貴方も愛しております…へらへらした顔も、何も考えていない顔も、敵を前にした無表情な顔も…貴方のその髪も目も口も舌も耳も腕も脚も身体も全て全て全て!!……愛してやまないのです……さあ、もっと私に顔を見せてください…?」
なんてこったパンナコッタ(白目)
んー…マ゜ッ、あ"あ"ッ(脳破壊)
なんっ……でだよッッッッ
意味分かんなよ、何でとんでもない方向にベクトル吹っ飛んで行ってんのよ……どうすんのコレ
あーやめてやめてその目、すっごいドロッドロしてるタールみたいな感じなのそれ…絡み付いてきそうでホント色々とちょっともう……
「では私はこれで、食事などはまた時間を置いて持ってこさせますので」
「……う、ういっす」
どうしよっかなー……早めに出ないと危ないな、色々と
ヤンデレを布教せよ(ステマ)