傭兵さんと戦術人形   作:AZAZEL

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がんばるぞい


改訂版:それから 1

「やっほー!元気?」

 

「こんな状況で元気に見えるか?生憎と俺は縛られて喜ぶタチじゃないんでね」

 

「ふーん、取り敢えず元気みたいだね……よいしょっと」

 

「何で膝の上……」

 

「さぁ?何でだと思う?」

 

そんなの俺が分かる訳ないだろ、て言うか何かいい匂いするんですけど……戦術人形ってそんな機能あるの?

 

やっぱ可愛い子からはいい匂いするって、それ一番言われてるから

 

「傭兵さん、人間の味方したいと思ってる?」

 

「そりゃあ俺も人間だからな」

 

「そうなんだ……やっぱり手足切り落とした方が良いかな、そうすればずっと一緒にいられるもんね」

 

「えぇ....(困惑)」

 

怖〜…発想が物騒、しかし統括AIがイカれたってのは確実みたいだな……ハイエンド全員がそんなんとか、勘弁しちくり〜

 

膝の上で何が楽しいのか、足を揺らしながら鼻歌を歌っているデストロイヤー

 

「傭兵さんが今考えてること、当ててあげよっか?」

 

「俺相手に心理戦とは…夢想家と五分五分の俺にそんな事出来ると思ってるのかね」

 

「脚の痛みが取れたら、どうやって脱出しようか……でしょ?」

 

「カンのいいガキは嫌いだよ」

 

ほぼ答え合わせしてる様な返答しちゃった……まあいいか、どっちにしろそれを知られたところでやる事は変わらない

 

幸いな事に脚の怪我は順調に治ってきている…この調子なら今夜には全力疾走しても問題ないだろう

 

「ふふん!傭兵さんのことなら誰よりも分かるんだから甘く見ないでよね!」

 

「おーおーそうかい、男として美女や美少女に好かれるのは嬉しい限りだよ……」

 

「言っておくけど傭兵さん、あたし達はずっと前から変わんないんだからね」

 

「……それは、どう言う意味かね」

 

「そこは自分で考えてみなさいよ、何でもかんでも教えると思わない事ね」

 

分かんないから聞いてるんですけどそれは……はぁ、これが統括AIの所為なのか…はたまた、俺自身に何か問題があるのか

 

いや、心当たりが無さすぎて本当に困る…ヒント無しで真っ白なパズルを解いてる気分

 

「一旦それはいいんだが…俺はさぁ、この状況でどうやって飯食うんだ?」

 

「私達が食べさせてあげる」

 

「え何それは……」

 

「何?それとも口移しがいいの?」

 

「冗談だってマジにするなよ」

 

「チッ……分かった」

 

今舌打ちしたよなこの子、何舌打ちしてんねんコラ…俺はそんな子に育てた覚えはないぞ

 

いやしかしご飯ったって何が出てくるんだか…普段食ってる様なクソマズレーションとかは勘弁して欲しいんだけども

 

「そろそろご飯だと思うよ」

 

「おお、そうなのか……ところで何しに来たの?」

 

「暇だったからお話しに来てあげたの」

 

「全人類に宣戦布告した一派とは思えない発言だな、暇じゃないでしょ絶対」

 

「むっ、今はあたしの番じゃないの!せっかく傭兵さんが寂しい思いをしてるかと思って来てあげたのに!」

 

「はいはいそれは有難い限りですなぁ」

 

ウチの上司は無事だろうか…部隊員達も鉄血に関わっていないとは言え、ゲリラ的に攻めてくる事もあるだろう

 

まあ早々死ぬ様な肝っ玉では無いのは百も承知だし、何だったら鉄血が心配になるレベルではある

 

「傭兵、食事を……何故デストロイヤーが居るんだ」

 

「ただお話してただけ、別に邪魔しないっての」

 

「……フン、そうか…それより食事だ、傭兵」

 

「ハンターか……何この、凄いな…生まれてこの方、久し振りにちゃんとした『料理』ってモンを見たよ」

 

「私と代理人が作った物だ、色々と込めたからしっかり全部食べるんだぞ」

 

一体なぁにが込もってるんですかねぇ……でもこんな綺麗な料理、生まれて初めて見たぞ

 

まあ生まれてこの方19年しか経ってない若輩者ではあるけど、生まれた時から終末世界だったからしょうがないね

 

「しかし意外だな、料理できるんだお前ら」

 

「いつか傭兵に料理を出す日が来るかもしれないと思ってな、練習しておいたんだ」

 

「あ、ふーん……そうなんだ…」

 

「ハンターってばすっごい張り切ってたんだから」

 

「あ、うっす」

 

どんな気持ちで聞けばいいのそれは、一応これでも縛られてるんすけど俺…普段だったらそんな一面もあるんだ程度に収まるんだが

 

今この状況でそんな雑談されても、気持ちが追いつかないと言うか何と言うか

 

「デストロイヤーは?」

 

「はぁ?あたしがする訳ないじゃんそんなの、細かい作業とか嫌いだし」

 

「その辺は何となく想像はつく」

 

「デストロイヤー、ここからは私の時間だ…早く出ていけ」

 

「はいはい、分かってるって」

 

そう言うとデストロイヤーは膝から降りて部屋を出ていった……交代制なんすかこれ

 

さて、夕飯の時間とは言ったものの…未だに俺は縛られたまま、本当に介護形式で食べさせられなきゃダメなのこれ?

 

「ほら食べさせてやる、口を開けろ」

 

「いや、普通に自分で食べたいから腕だけでも解いてもらえない?」

 

「ダメに決まってるだろ、自分の手癖の悪さをそろそろ自覚した方がいい」

 

「そんなに手癖悪くないだろ…と言うか、目の前に戦術人形が居るのにどうやって逃げるんだよ」

 

「お前の事だ、私の思いもよらない方法で出し抜いてくるのだろう?」

 

「そんな事言われても、こっちだって日常を精一杯生きるのに必死なんだよ…常に筋書通りなんて事はない」

 

こちとらただの傭兵、人生思った様に進められた事なんて一度だってない……生まれて速攻ハードモードの開幕ぞ、どうしてくれるん

 

ともかく、今の脚ならば逃げ切るくらいなら出来る筈だ…後は運が向いてくることを祈りな(自己暗示)

 

「とにかく、縄は解けん…さっさと口を開けろ」

 

「ああそうかい……美味いな、中身は何だこれ」

 

「知らない方がいい」

 

「これ自然素材じゃないか?どっから持って来てるんだよこんな贅沢物資」

 

「室内栽培で野菜を育てているんだ、お前には食事が必要だろう?私達はカロリーバーで済むがな」

 

「このご時世に畑か…また何ともシュールそうな光景だことで」

 

外で栽培したら野菜までE.LI.Dになっちまうかもしれないし、何よりあれ人体に与える影響がとんでもない

 

直でくらえば塵一つ残さずに消し飛ぶし、そうじゃなかったら放射能でお陀仏…隙を生じぬ二段構え

 

「ああ…そ、それでだな傭兵……その、脚は大丈夫か?」

 

「脚?ああ太股のヤツね、別に大丈夫だよ…何だ、気にしてたのか?」

 

「ああ、まあ…撃っておいて何を言ってるんだと言う話かもしれんが、私だってお前を撃ちたくなんてなかったんだ」

 

「そう思うなら、撃たないで逃がして貰えたら有難いんだけどなぁ……」

 

そう言うと、ハンターの手が俺の頬に伸びる

 

何かハンターさんの目が怖いんですけども…働きスギちゃっていよいよおかしくなったんじゃなぁい?

 

いや、統括AIイカれてるしもう色々も手遅れではあるか

 

「ダメだ、お前が居なくなるのだけは……私はただ、離したくないだけなんだ…お前という温もりを、この安心感…今ここにある全てを……いつの日かお前という存在が、何処か私の知らない場所へ行ってしまわないか…不安で、怖くて…もう、どうしようも無いんだ…手の届く所にお前を縛って、閉じ込めて…そうしないと、私が私じゃなくなってしまう気がして…そんな事ばかり考えて、私の中を燻らせる……なあ傭兵、私はおかしいのか?こんなにもお前を想うのは間違っているのか?……でもそんなのはどうでもいいんだ……もう、駄目なんだ…お前が居ないと、私は……」

 

ハンターは俺の首に手を回し、かなり強く抱き締めた…締まってる締まってる

 

うーん、これはダメみたいですね……にしても、ハンターってこんな性格だったか?もっとこう、クールビューティーと言うか

 

ハンターの色々が当たってるし、いい匂いだしもう分これ分かんねぇなあ……あとそんな勢いで匂いを嗅がれるとちょっと恥ずかしい

 

「なあハンター、そろそろ離れてくれないか」

 

「も、もう少しだけ……」

 

「首締まってて苦しいんすよね」

 

「あっ…す、すまない」

 

滅茶苦茶残念そうな顔をしながら俺から離れる…そして残っていた夜ご飯を食べさせて貰った

 

食事が終わると食器類を持って部屋から出て行った……よし、やりますか

 

久し振りに美味い飯も食ったし、脚の痛みも引いてきた…脱出作戦に移行する為にも、色々と下準備をしておかなければな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間が経った、この部屋窓も何もないから外の状況が分かんないんだよね

 

時間感覚狂う^〜

 

「傭兵さん、如何お過ごしでしょうか?」

 

「何だイントゥルーダーか…」

 

「そんな反応をされると、わたくしとて悲しくなってしますわ」

 

「おっ、そうだな…それより今何時だ、飯食ってから結構経ったと思うんだが」

 

「そんな適当に流さなくても宜しいではありませんか……もう真夜中ですわ」

 

「ほう、じゃあ良い子はもう寝る時間って訳だな…俺は何だ?座ったまま寝ろってのか」

 

流石に座りっぱなしとか嫌なんだけど、尻痛いし腰も痛くなるし……まあ別に寝なくても良いんだけどね

 

傭兵家業なんぞやっとると、睡眠時間なんてあってないようなもんさ

 

「勿論そんなことはさせませんわ、人間の身体はわたくし達よりも遥かに脆いのですから」

 

「思いやりがあるなら、縄を解いてもらいたいもんだがな」

 

「寝る時は解きますわよ、その代わりにわたくしが添い寝しますけれども」

 

「あ、成程…そういう流れになるのね……」

 

「腕と足は縛らせてもらいますが、布団は用意しましたので…さあ」

 

まあ流石に手足は解いてくれはしないか…それでも椅子から離れられるだけでも大きい

 

しかしイントゥルーダーに添い寝されるのか……何かちょっと嫌だなそれ、別にコイツが嫌いって訳じゃないが

 

「と言うか、なんで布団なんてあるんだ」

 

「エージェントがどこからが引っ張ってきたものですから、わたくしにも分かりません…ですが相当綺麗ですので」

 

「じゃあ鉄血の職員が使ってたヤツかもな……はぁ」

 

「そんなに嫌がられると傷付いてしまいますわ……もしメンタルに異常が起きたら、責任を取ってもらわないといけませんわよ?」

 

「そりゃ勘弁願いたいね……」

 

うおっマジで普通の布団だ、でもこれどう見ても2人用じゃないですよね…こんなんに2人も入ったらギッチギチやないか

 

パーソナルスペースはどうなってんだパーソナルスペースは

 

「さあ傭兵さん、こちらへ」

 

「何でウキウキなんだよお前…まあいいか、確かに眠いし」

 

「良い子は寝る時間ですわ、人間は睡眠をしっかりとらないとスグに身体を壊してしまいますわ」

 

「存外、人間ってのは2日寝なくても生きていけるもんだよ」

 

既にステンバイしてるイントゥルーダーの横へ…思いっ切り背中へ抱き着いてきやがった

 

ディスタンス、ソーシャルディスタンス

 

「……傭兵さん、まだここから逃げる手段を考えているんですわね」

 

「…さあどうだろうな」

 

「嗚呼…わたくし悲しいですわ、こんなに近くにわたくしが居ると言うのに……わたくしを考えてもくれないなんて、悲しいですわ」

 

「考えるも何もないだろ……まあ距離近いから考える事は色々とあるけど」

 

「おや、傭兵さんも年頃の男の子ってことですわね…まあ、わたくしの頭は傭兵さんの事でいっぱいだと言いますのに」

 

「変な言い方しないでもらっていいですか、あと俺みたいな一介の傭兵の事なんて考えなくてもいいから」

 

「そんな悲しい事言わないで下さいませ……わたくしは今、この状況で傭兵さんが何を考えているか…知りたくて堪らないですのに」

 

お腹辺りに回っていた侵入者の腕が徐々に上がり、首元まで伸びる……そして軽く首を掴まれる

 

もう片方の手は、割れ物を撫でるよに頬を撫でる

 

「わたくしは知りたいのです、傭兵さんの深層を……何を思って何を考えるか…さぁ、教えて下さいませんか?」

 

「それを知って何になるんだ、俺の思考なんて聞いたところでクソの役にも立たないと思うがね」

 

「まあそう言わない出下さいませ、これは単なる好奇心…傭兵さんの発想にはいつも驚かされるばかり、あの逃走劇も大迫力でしたわ」

 

「そりゃどうも…だが生憎、今は特に何も考えちゃいないよ」

 

「……ウソですわね」

 

耳元で、それも何とも甘ったるい声で囁く…耳溶けそう

 

首元にあった片手が少しづつ強まっていく…え、ちょ待てよ……これ回答間違ったら首締まるの?とんだデスゲームだなぁオイ

 

「その様な嘘でわたくしを欺けると?そんなところも傭兵さんの可愛らしい部分ではありますが……わたくしに嘘を吐くなんて、酷いですわ」

 

「お、おいッ……それ死ぬ、マジで…死ぬ、からっ」

 

「あら?はっきり喋っていただかないと分かりませんわ、わたくしにどうして欲しいのですか?」

 

「絶っ……対、わざ…と…だろ」

 

藻掻いてはみるが掌の力は以前強いまま…酸素足りなさ過ぎ、酸欠で意識が……強制睡眠(気絶)とか俺は嫌やで

 

漸く力が弱まり、ありったけの酸素を吸い込む……キッツぅ^〜

 

「かはッ……マ、マジで死ぬかと思った」

 

「次から嘘は控えて下さい?」

 

そう言うとまた腕をお腹の辺りへ移動させ、抱き締めてくる……はぁ〜、マジで今のは不味かった…危うく川を渡るところだったよ

 

傭兵、殺されたんじゃ……残念だったなぁ、トリックだよ

 

「それでは、おやすみなさいませ」

 

「はいはいおやすみ」

 

イントゥルーダーが何故か俺の首裏に顔を埋める、凄いこそばゆい…あと吸う時だけ勢い有りすぎ、やめろ吸うんじゃない

 

その度に抱き締めが強くなるし気になって眠れやしないじゃないか、俺もさっさと寝たいのに

 

……さて、1時間くらいは寝たかな?まあそれくらいで充分よ…イントゥルーダを起こさない様にゆっくり抜け出し、そろそろと出口のドアを…

 

「何処へ行かれるのですか?」

 

「あっ…」




やっぱぁ、ヤンデレってのは良いんもだよなぁ
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