― Sizzle! ―
フライパンの蓋を開けるとベーコンの香ばしい匂いが鼻をくすぐる。その隣で焼いている目玉焼きもいい具合に焼けている。私は出しておいたプレートに目玉焼きとベーコンを盛り付けていく。するとトースターの方からチンッ!と食パンが焼きあがた音が鳴る。小さめのバスケットに焼きあがったトーストを置き、プレートと一緒にテーブルへ運ぶ。冷蔵庫から作り置きのドレッシングとバター、牛乳を取り出す。バターはそのままテーブルへ、牛乳は私のグラスに注ぎ、ドレッシングを切っておいた野菜と混ぜ合わせる。そして二枚の小皿にそれぞれ盛り付け、最後にくし切りにしたトマトを乗せる。あらかじめ沸かしておいたお湯で私はコーンポタージュ、”おじさん”には珈琲を入れる。それぞれをテーブルへ運び、珈琲の横にガムシロップとミルクを置いておく。そのタイミングで洗面台から音が聞こえ始める。私はエプロンを畳み、席に着く。
「いただきます」
感謝を込めてはっきりと、手を合わせて声に出す。前世では多くの神や精霊と関ってきた私は感謝の言葉を忘れずにしっかりと行うのが習慣になっている。焼きたてのトーストにバターを乗せ、ナイフで塗り広げる。一口噛めばしっかりと耳まで焼けているようで、サクッとした食感に中はふわふわして柔らかく仕上がっていた。しばらく食べ進めているとワイシャツ姿のおじさんがやっとテーブルに顔を出した。
「おはようごさいます、先生。」
「おはよう、いつもありがと。」
「いいですよ。好きでしていることなんですから。」
「でも今年で受験生だろ。それなのに毎日家事をやらせてたんじゃ身が持たないんじゃないか。」
「ご心配なく。家事をしながらでも勉強はしっかりとしているので。それに先生に家事を任せると大方、総菜飯や中途半端な事になるので。」
「はは…。言う様になったね。」
「流石に前みたいにレトルト生活とか嫌ですからね。健全な精神は健全な肉体に宿る。そのためには規則正しい生活リズムと食生活からですから。」
「医者としてはご尤もとしかいえないな。」
おじさんとこうして毎日たわいのない会話をしながら朝食を取る。いつもと変わらない日常だ。
「ごちそうさま。」
「お粗末様です。食器は流し台に置いてください。」
「はいはい、わかりました。」
私が先に食べ始めたのにおじさんはあまり量を取らないし、食事のスピードもはやいのでだいたい私と同じく位に食べ終わってしまう。ちゃんと噛んでいるのに。私は再びエプロンを着て、今度はお弁当とおじさんの昼食の準備もしておく。……今日はサンドイッチにするかな。
お弁当と昼食の準備も終わり後片付けをする。ふと壁の時計を見ると7時を少し過ぎていた。私は家事を切り上げて鞄の中身を確認し、玄関に向かう。玄関の姿見で身だしなみを確認しているとおじさんがひょっこり顔を出す。
「……やっぱりそうしてると女の子に見えるよね、君。」
「今日の夕飯はゴーヤチャンプルで決定ですね。」
「あー、ごめんごめん。嘘だからそれはやめて。」
「なら、最初から言わなければいいんですよ。じゃあ、行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい。」
確かに顔は女顔だが基本的に五虎退の髪型を真似して後ろは刈り上げて、そんなに長くしてはないんだけどな。
スニーカーを履きながらおじさんとたわいのない言い合いをし、ドアを開けておじさんに向け挨拶をする。こんな平和なやりとりをもう何年も続けてる。私、三笠 冬扇は今年で中学三年、受験生になりました。
「ん?おぉ、おはよう三笠!今日も早いな。」
「はい、おはようございます三浦先生。今日の仕事は何かありますか?」
「そういえば、今日はノートの回収日だったな。三笠、一時間目までに皆のノート集めておいてくれ。」
「はい、わかりました。」
担任と校門の前で挨拶と今日の予定を話し、下駄箱まで歩く。木製の下駄箱の戸を開けると、一通の手紙。可愛らしいは明らかに女子からのもので思わず一瞬固まってしまった。誰かに見つかると面倒臭いので早々に中身を検める。……どうやら勝己宛らしいが勇気が出ないので私に直接渡してほしいとのことだ。あいつのことだ。ヒーロー科に受かるために勉強や鍛錬でその気は今のところないのだろうし、恐らく爆破するだろうなぁ。しかし、届けないわけにはいかないので私は渋々その手紙を持っていくことに。
上履きに履き替え、三階の教室まで上がる。教室のドアを開けると一人の女子生徒が。眼鏡で三つ編みの浮かせる能力を持つ、
「おはようございます、三笠さん。今日も早いですね。」
「うん、おはよう浮本さん。浮本さんこそいつも早いじゃないか。」
「私は静かなところで本を読むのが好きなので。この時間帯は静かですし、窓を開けると風の音が聞こえてとてもいいんです。」
「そうなんだ。ちなみに何を読んでいたんだい?」
「えーと……笑わないでください。その…ファ、ファンタジー物を少し……。」
そう言って翠香さんは読んでいた本を口元に当て恥ずかしそうに頬を染め、身を縮こまらせる。
「(かわいいっ!)んんっ!別におかしくはないさ。趣味趣向は人それぞれだ。私はとても素敵だと思うよ。」
「っ!?そ、そうですか。ありがとうございます。」
「そうだ、今日、三浦先生からノート回収するよう頼まれたんだった。浮本さん、大丈夫かな?」
「はい。……これです。」
「ありがとう、私の机の上に置いといてもらえるかな。私は花瓶の水を変えてくるよ。」
「それでは、私はノートの件を黒板に書いておきますね。」
「ありがとう。お願いするよ。」
そう言い、私は教室にある花瓶を廊下の手洗い場へ運ぶ。花の状態を確認し、特に傷んでいなかったのでそのまま水を入れ替える。教室に入ると翠香さんが綺麗な字で黒板にノート回収についての伝言を書いてくれいていた。私が花瓶を置くと階段の方からドタドタと走る音が聞こえてきた。
「いっちばーん!!って!?委員長と浮本さんもういるよ!?」
「はは、おはよう乾さん。今日は珍しく早いんだね。」
「うん!今朝ねなんとなく目が覚めちゃって、そのまま眠れなかったから早く準備して誰もいない教室ってどんなんだろって思って来てみたんだけど…二人とも早いんだね!」
「私は本が読みたくて来てるだけだから。」
「いつもこの時間にきてるから、もう習慣になってるよ。」
ガラッと教室のドアを勢いよく開けて入ってきたのは犬っぽいショートカットで風の能力の
「ちょっと待てよ楓夏。お前早すぎ。」
「ん?あ、針間おそーい!そんなんで私に追いつけると思うの?」
「馬鹿、なんで朝から全力疾走しなくちゃなんねぇだよ。」
「棘木くんもおはよう。もうお疲れだね。」
「あぁ、三笠。おはよう。珍しくこいつが早起きしたと思ったら、学校まで走っていくぞって突然言い出してだな。俺はそれに付き合わされたのよ。」
遅れて教室に入ってきたのは楓夏さんの幼馴染の
「お…おはよう……三笠君。」
「あ、緑谷。おはよう。今日は登校中にヒーローショーは見れなかったのかい?」
「そうなんだ、珍しく今日は何もなかったんだよ。」
次に入ってきたのはちょっと内向的な幼馴染、緑谷 出久。彼と勝己とは小学生以来の付き合いでたまにうちの診療所で診察しに来る。
「緑谷はヒーローがいると時間を忘れて遅刻寸前まで来ないこともあるからなぁ。むしろ今日はよかったんじゃないか。あ、そうだ。一時限目までに三浦先生がノート回収するように言われてるんだ。緑谷は大丈夫か?」
「うん、僕は大丈夫だよ。……はいこれ。」
「にゅ?……あぁ!ノート忘れた!針間お願い、見せて!」
「お前またか!?今度忘れたら見せねぇつったろ!」
「ははは、今日乾さんが早く登校したのはこのためかもね。私でよかったら見せるよ」
「あ、いいよ三笠。こいつには俺の見せるから。」
「おお、それでこそ我が友よ!」
「代わりに、後で説教だからな」
「ぬーう……。」
「君たちは相変わらず面白いな。」
そうして同級生と話をしているとぽつぽつと人が登校してくる。しばらくして勝己が取り巻きと共に登校してきた。
「おはよう、爆豪。」
「てめェ朝から不愉快な面見せんな、”男女”。」
「はは、朝からギア入ってるな。だけどもう少し抑えないと損をするぞ”ボマード”。」
「るっせぇ!なんだよボマードって!訳わかんねぇよ!」
「ボマーとポマードをもじったあだ名だ、いいだろ。爆発してるみたいな髪型してんだから。似合ってるぞ。」
「わかったてめェ、ケンカ売ってんだろ。いいぜ買ってやるよ!」
「それは放課後に。三浦先生がノート回収してくれって頼まれたんだ。爆豪は持って来てるか?」
「あたりめェだ!ぶっ殺すぞ!」
「はいはい、あぁ、そういえば爆豪宛に後輩から手紙が来てたぞ。なんでも勇気がないから俺から渡してくれだってさ。……はい。」
開口一番で私に悪口を言ってきたのは緑谷と同じく、幼馴染の爆豪 勝己。声と態度はでかいがこれが意外とみみっちい。その割に毎回週一ペースで私とタイマンを行う奴だ。
勝己は私から微妙な顔で可愛らしい封筒を受け取ると、面倒くさそうに、中身を読む。そして全て読み終えると勝己はそれを爆発させて消滅させる。
「フン、直接顔を見せるような気概のないモブの告白なんか受ける気にもならねぇ。」
「爆豪ならそういうと思ったよ。それじゃ私はノートの回収をするから。」
そう言って私は自分の席に戻り、集まったノートを確認していく。そうこうしているうちに予鈴が鳴り、三浦先生が入ってくる。私は回収したノートを先生に渡し、SHRが始まった。
― キーンコーンカーンコーン ―
下校を知らせるチャイムが鳴ると、皆一斉に席から立ちあがり帰り支度していく。私も今日の宿題と明日の予定を確認し、支度をする。ふと出久を見ると今日もスマホでヒーローに関する記事を見ていた。私は呆れながらも出久の席まで行き、机をノックする。
「緑谷、気になるのもわかるがさっさと帰るよ。」
「あ!三笠くん。……よいしょっと。ごめんね、帰ろう。」
「おい、クソナード!そいつには用があんだよ!失せろ!」
「まあまあ、どうせ帰る方向は一緒なんだからそこまで邪険にしなくてもいいだろ。緑谷、ちょっと寄り道するけど大丈夫かい?」
「う、うん!僕は大丈夫だよ。それに二人の模擬戦は僕も参考になるし……。」
「無個性のてめぇになんの参考になるんだよデク!」
「っ!?…別にいいしゃないか!誰が見てたって!」
「はいはい、二人とも喧嘩しない。とりあえずいつもの場所に行くよ」
こうして今日も、勝己とのタイマンの為に私がいつも鍛錬を行う森へ3人で向かう。タイマンの日になると勝己の取り巻きは空気を読んで帰るので少し申し訳ないと思うが、無駄に熱くなった勝己に近づきがたいのだろう。
さて、鍛錬所の森は日頃私が鍛錬しているせいか勝己の爆破を使っても心配ないくらいの広さを確保できるようになっている。着いた早々に勝己はバックを邪魔にならないところに置き、私に向けファイテンポーズを取る。私はそれを見て、ふっと笑いながらゆっくりと準備する。
「それでルールは?」
「俺が勝つまでだ!」
勝己はそう叫ぶと両手を後ろに向け爆破し、物凄いスピードでこっちに突っ込んでくる。そしてそのまま右腕を振り降ろす。私はそれを冷静に観察し頭を伏せる。空を切る勝己の右手をそのまま掴み、元居たところへ投げ返す。
「じゃあ、気絶したら負けで。」
そういって私は左手を腰に当て、右手の甲を勝己に向ける。私の余裕にキレたのか、勝己は物凄い形相で私に肉薄する。
勝己は両手の爆破で複雑な軌道を描きながら攻撃するが、私はあえて接近し右手のみで勝己の攻撃をすべて捌く。この間私からは一切攻撃しない。舐められていると思うだろうが私は過去に機械相手に白兵戦で挑み、勝利している。ましてや今は、魔術による強化をしていない状態でこの結果だ。経験値が違う。
「てめェ!まともにやりやがれ!」
「へ、なら君が私を本気にさせてみなよ」
「っ!なめるなよ!!」
勝己は両手を私に向ける。すかさず私は勝己が大技を撃とうとしていることに気づき、瞬時に勝己の懐に潜り込む。
「残念だが、身を削る攻撃はNGだ。」
勝己の鳩尾目掛け、掌底を打ち込む。勝己は口から空気を吐き出しそのまま気を失う。倒れる勝己の体を私は支え、木の幹に彼の体を休ませる。一応骨や筋肉などに異常が確認をするも、特に何も怪我はしていなかった。
「三笠君、かっちゃん大丈夫?」
「あぁ、そこまで強くしていないからすぐに起きると思うよ。」
私の言葉通り、その後すぐに勝己は目を覚ました。勝己はしばらく自分の手をにらむように見つめた後、無言で荷物を担ぐとそのまま帰っていった。
「かっちゃん……。」
「緑谷、今の爆豪には近づかない方がいい。慰めがいつも正解とは限らないから。」
「ねぇ三笠君、一つ聞いていい?なんで本気で戦わなかったの?」
「……私たちはまだ子供だ。自分の行動に責任を持てない。もしこの模擬戦で大怪我を負ったら?爆豪は進学できないかもしれない。私と本気で戦えるとしたら……雄英でなら戦えるかもしれないな。」
「雄英……三笠君も目指しているんだ。」
「あぁ、ノーマルヒーローになる為に正しい順序を踏んで私は歩き続けるよ。じゃあ緑谷、私はこのまま夕飯の買い出しに行くから。また来週な。」
「あ、うん。さよなら!」
勝己を見送った後、私も帰る為に荷物を拾い上げ、そのまま出久と別れる。春風が舞う住宅街を照らす太陽はもうすぐ夕日に変わる。私は早足で商店街へ向かう。……今日の夕飯はゴーヤチャンプルでいいか。
「お前らも三年ということで、本格的に将来を考えていく時期だ!今から進路希望のプリントを配るが……皆、だいたいヒーロー科志望だよね。」
三浦先生が教壇でプリントをばらまくとみんなは各々の能力を発動させる。やはり超常が一般化してみんなの意識が低くなったのか、本来は校則違反の能力発動を行う。わかりやすく言えば、暑苦しいからワイシャツの第一ボタンを外す感覚と一緒なんだろう。三浦先生も半笑いで皆を鎮めるのがいい証拠だ。
「先生ー!俺はこんな没個性共と仲良く底辺なんかに行かねーよ!モブはモブらしくしろってんだ。」
勝己の一言にクラスの皆が騒ぎ立てる。そこに先生が勝己の進路先を軽々と暴露する。
おいおい仮にも個人情報だろうが、教師がそんな簡単に教えるなよ。それに勝己もまだHR終わってないんだから机の上に乗るなよ。
「そういえば、緑谷と三笠も雄英志望だったな」
「(この教師はっ……!)」
すると今まで騒がしかった教室が静まりかえり、私と隣の出久を皆が見つめる。次の瞬間、クラスのみんなから笑いが湧き上がる。
「緑谷!?三笠!?三笠は望みはあるかもしれないけれど、緑谷は無理でしょ!!」
「そんなの!やってみなくちゃわからないよ!」
「そうだな、ノーマルの受験禁止は撤回されてる。誰が受けようと文句はないはずだ。」
私がそう言い返すと途端に気まずくなったのか笑い声は収まったが、未だに私と出久を見る目に嘲笑の色が見える。すると勝己が出久の机を爆破する。
「このデク!男女!没個性どころか無個性のてめェらがどうやって合格する気だ!」
「やってみなければわからないだろう」
「やってみないとわからないし」
― キーンコーンカーンコーン ―
「おぉっと。そら皆、HRを終わりにするぞ。」
チャイムが鳴り、三浦先生の一声で皆、前を向く。勝己は少し恨めしそうにこちらを睨むが、すぐに目線を戻す。先生のおかけで事態は収拾したが、思い返せば発端も先生だったなぁ…。
こうしてちょっとした事件はあったがその後は先生に挨拶してそのまま解散になった。私は少し残って日誌を書き上げる。
― bomb! ―
ちらほら帰る生徒の中で、突如として後ろから爆発音が聞こえる。突然のことに私もその周りの生徒も行動が止まる。振り向けば勝己が出久に何か言い寄っている」
「雄英受けるな、ナードくん」
「っ!?……。」
「いやいや、何か言い返せよ」
「かわいそうに中三になっても現実が見えていないんです。……あ、そうだヒーローに就きたいんなら効率良い方法があるぜ。
来世は個性が宿ると信じて、屋上からワンチャンダイブ!!」
― BOOOM! ―
「爆豪……お前、少しは自分の言動に気を付けろと言っただろう。」
「「「「「っ!?」」」」」
教室が一瞬にして静まりかえる。そして誰もがその場から動けなくなる。たった一人を除いて。私は勝己の自殺教唆にしか聞こえない言葉を聞いて、キレてしまった。左手で机を割り、殺気を漏らす。その光景に女子だけでなく男子までもが恐怖し、震えている。私はそのままゆっくりと立ち上がり、勝己のいる方へ目線を向ける。勝己は今まで体感してこなかった殺気に当てられ、今にも気絶しそうになっている。ゆっくりと距離を詰める。逃げ出したいはずだろうにもその足はまるで縫われたように床にくっついている。そうして勝己の目の前に行くと、私は勝己の胸倉を掴み上げる。
「いいか。お前がどんなに暴言を吐こうが、暴れまわろうが、それはただの餓鬼の癇癪と何も変わらないんだよ。見てる分にはほほえましいくらいだ。自分の力もわからない餓鬼の言動はな。だがな。お前は今、超えてはならない一線を越えたんだよ。そこに餓鬼とかそんなもんは関係ない。お前はいつまで子供のままでいる気だ?いい加減自分の未熟さを自覚し、言動を改めろ!」
私はそう言って勝己を廊下へ放り投げる。なすがままの勝己は壁に当たり、うめき声を上げる。私は彼をただ見下し続け、殺気を彼に集中させる。勝己は地面に這いつくばったままこちらを恐怖した目で見ている。
「三笠君!そこまでだよ!」
「緑谷。」
「大丈夫!僕は大丈夫だから!もうそんなに怒らなくてもいいから!!」
「…ふぅー……。すまない、緑谷。一番怒りたい本人に止めてもらうなんて。流石にあの言葉を耳にして我を忘れてしまった。ありがとう、止めてくれて。」
「う、ううん。そんなことないよ、それに僕の為に怒ってくれてありがと。」
「こら!!お前たち!何をしてるんだ!!」
この後、騒ぎを聞きつけた三浦先生が現れ、周りの生徒の証言で私と勝己が喧嘩していることを確認した。先生はまさかの私たちが喧嘩するなんて思わなかったのか、驚愕した目でこちらを見ていた。更に詳しい状況を聞き、最終的には勝己に反省文三枚、机を壊した私には反省文五枚の処分が言い渡された。受験を控えているこの時期に、学校としても雄英高校進学者と言う実績が欲しいのか、あまり大事にはしなかった。
勝己はあの性格なので、皆いつかやらかすと思っていたらしくそこまで噂にならなかったが、ノーマルで学級委員長の私が机を叩き割ったのが衝撃だったのか、次の日から怒らすとマジでヤバイと噂が流れ、しばらくは周りに人が集まらなくなった。
「解せない……。」
三笠 冬扇 Mikasa Tosen
性別:男性
年齢:15歳
身体:175cm,60kg
備考:中学3年生までに成長した三笠(体は信陽)一見見た目は女子ぽいがその体は鍛え抜かれている。