遊戯王GX 目覚めたら遊戯王の世界でした。   作:KEA

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第1話

――遊戯王『デュエルモンスターズ』

世界で人気なカードゲームと言われれば、この名前が候補に挙がるだろう。

勿論他にも人気なカードゲームは多々あるが、俺が一番好きなカードゲームが遊戯王だ。

 

先行ワンキルだとか、一人遊び――ソリティア――などと呼ばれるくらいに高速化が進んでいたりもするが……。大会などには出ず、俺は友人と遊ぶ程度にはハマっていた。

火力にモノを言わせてぶん殴る脳筋デッキや、シンクロやリンクを多用してエクストラモンスターを大量展開だとか。

 

そういったデッキを俺は好んでいた。

特に前者。一発で8000削り切った時のあのやってやった感は異常。

なんだかんだ後攻ワンキルってよくあるよね。

 

――閑話休題。

 

どうして俺がこんな話をしているのか、それはただ一つ。

 

「……なんでデュエルアカデミアの入学試験関係の書類があるんですかね」

 

自身の机におざなりに置かれた封筒。

『デュエルアカデミア実技試験』なんて大きく書かれていてわかりやすいことこの上ない。

朝起きて違和感はあった。布団から出た時に視線が低く、欠伸をした時に漏れ出た声がいつもより高かった。まるで声変わりの途中か、といった感じで喉も少し痛む。

 

慌てて洗面所に向かって鏡を見ればあら不思議。

中学生程度までに縮んだ俺がこんにちはしているじゃありませんか。

馬鹿みたいに口を大きく開けて見つめ合っていた俺は悪くないだろう。

 

昨日まで大学生だった自分が突然中学生とか、どこぞの名探偵じゃあないんだから。

頬を叩いても引っ張ってもその痛みが現実となって帰ってくるだけだった。

 

仮に、本当に仮にこの世界が遊戯王の世界だと認めよう。

ならほぼ全てが遊戯王の実力で決められるこの世界、どうにかしなきゃならないだろう。

洗面所から自室へと戻り、部屋を物色する。

変わっているのは俺だけだったようで、ほとんどの物はそのままだ。

デッキケースは全て存在していたし、中を見れば欠けているカードもない。

 

――何故かスリーブが消え、デッキが剥き出しのままデッキケースの中に入っていたのを見たときは叫びそうになったが。

 

一枚数千円するカードが何枚注ぎ込まれてると思ってんだ。

こちとら角だとか、表面にキズが付かないように何重にもスリーブに入れてるんだぞ。

こんな剥き出しにするとは許せん!

 

いやでも、実際の遊戯王の世界でスリーブつけてる決闘者なんていないもんなあ……。

なんだろう、謎技術で汚れたりしないのだろうか。

でも海馬社長の名言の一つ「レアカードに傷がついたわ!!」なんてのもあるし。

 

部屋の端っこにはデュエルディスクが立てかけられていた。

 

問題が一つあった。この世界の時代だ。

それによっては俺のデッキが使えない可能性が存在する。

アニメとかだとデュエル中に造り出したカードをデュエルディスクにセットして反応していることから、俺の持つカードが反応するかもしれないが、存在しないカードを使って目を付けられるのは避けたい。が、どのカードがいつ発売したかなどと詳しくは覚えていない。そこらへんはもうあきらめるしかないだろう。

 

アカデミアが存在することから、少なくとも初代ではない。それは助かる。初代じゃホントに何も出来なかっただろうからな。

GXの時代ならまだ少しは使える。多少目立ってしまうことに目をつぶれば、だが。

いっそ5D'sだったら気負うことなくデッキもあるのだが……。

 

テレビやネットを駆使して情報を集めること数十分。

恐らくはGXの時代だろうと当りを付けることに成功した。

離島のデュエルアカデミアの情報が映し出され、特集で実力者であるカイザー――丸藤亮がデュエルしていたからだ。

 

「……このデッキでいいかなぁ」

 

内心投げやりにデッキを一つ選ぶ。一番事故率が低く、尚且つ勝率もそれなりに高いデッキだ。

ただ、これだとある人物と殆どデッキが被る。

絶対に目付けられるよなあ。でもなあ……。うんうん悩みながら腕を組んで頭を左右に振る。

本当にここが遊戯王、それもGXの世界だとするならば、精霊だとか、闇のデュエルだとか、そういったオカルトは実在する。試験で好成績を出さないと入学はできないし、多少目を付けられるのはこの際我慢だ。

 

万が一闇のデュエルとかに巻き込まれ、自分の使いこなせるデッキじゃなかったので負けて死にましたじゃあ洒落にならない。

なんて言い訳しつつ、単純に自分のカードがソリッドビジョンで動くさまを見たいなんてのもあるんだが。

 

資料を見る限り、俺の筆記試験の結果は42位。

100人以上の受験者がいるらしいから、少なくとも中間よりは上だろう。

というか筆記試験を受けた記憶がないからまったく分からないが。

 

なんだかんだこの世界に適応し始めてるのはまだここが異世界だと思えてないからだ。

何せ突然剣と魔法のファンタジー世界に飛んだって訳じゃあない。

元の世界とあまり変化を感じてないからだろう。まあ、これから嫌って程感じるんだろうが。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

『――受験番号42、黒羽優斗(くろばねゆうと)君』

 

長かったな。まさか100番台から始まっていくとは思わなかった。

てっきり1番からどんどん上がっていくもんだと……。

ここに来る前に家でしっかりデッキも確認したし、一枚一枚ディスクに反応するかも試してきた。

全てのカードが問題なく使えたし大丈夫だろ。

 

デュエルディスクを携え、デュエルフィールドへと降り立つ。

試験を務める教師が準備万端で待ち構えていた。

 

「受験番号42番、黒羽優斗。よろしくお願いします」

 

「うむ。この実技デュエルは実力を測る為のものだ。勝敗で合否が決まるわけではないから、普段通りにデュエルをするといい」

 

「……はい」

 

緊張を解そうとしてくれているのだろう、確かに少しは気が楽になる。

まあ、違う心配もあるわけだが。

 

『――デュエル!』

 

お互いが同時に宣言し、それぞれのディスクにライフと先行後攻が表示される。

基本は受験者に先行が譲られ、試験官である教師も試験デッキを使用している。

落ち着いてやればきっと勝てる。

 

 

黒羽優斗 LP4000

 

試験官  LP4000

 

 

「俺の先行……っと、ドロー!」

 

危ねえ、この時代は先行ドローがあったハズだ。

しっかりとこの時代のルール確認しといてよかった。

 

「あー……んーっと?」

 

中々に微妙な手札に眉を顰める。

事故って程じゃあないが、少し酷いな。

動けないことは無いが……まあしゃーない。

 

「俺は手札から、永続魔法『古代の機械要塞(アンティーク・ギアフォートレス)』を発動!」

 

手札から一枚引き抜き、発動する。

と、同時ににわかに観客席が騒めき始めた。

そうだよなあ、あの教師が使ってるテーマのデッキだもんなあ。

 

「『古代の機械要塞』が場に存在する限り、「アンティーク・ギア」モンスターは

召喚・特殊召喚されたターンは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されません。

また、「アンティーク・ギア」カードの効果の発動に対して、相手は魔法・(トラップ)・モンスターの効果も発動することができません。3番目の効果は……まあ説明するときが来れば」

 

現実でやってるときは相手のカードを見せてもらって効果を見ることができたが、ソリッドビジョンを利用してるときは離れてるからいちいち説明しなきゃならないデメリットがあるな。

デュエルディスクによっては相手の使ったカードの効果を見れたりもするらしいけど、そういうのは高価なディスクにだけ搭載されているっぽい。

にしても、この時代はあんまり手札誘発がないから『古代の機械要塞』はあんまり意味ないかもなあ。

 

「アンティーク……? まさか!」

 

「そのまさかですよ! 更に『古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ)』を通常召喚!」

 

古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ) ATK1000

 

赤い眼をした緑色の鉄で作られた猟犬が飛び出す。

その鋭利な牙に似合わず、攻撃力は僅か1000だ。

 

「『古代の機械猟犬』の効果! コイツが召喚した時、相手に600ダメージを与えます!」

 

飛び出した勢いを利用して、ドンッと『古代の機械猟犬』が試験官へとタックルを放った。

 

「ぐっ……」

 

試験官LP4000→3400

 

「更に『古代の機械猟犬』の2つ目の効果! 自分の手札、フィールドから「アンティーク・ギア」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地に送り、その融合モンスター一体をエクストラ――じゃなくって!融合デッキから融合召喚!」

 

場の『古代の機械猟犬』と、手札の『古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)』を墓地に送る。

「アンティーク・ギア」モンスター2体で出せる融合モンスターは……。

 

「『古代の機械魔神(アンティーク・ギア・デビル)』を守備表示で融合召喚!」

 

古代の機械魔神(アンティーク・ギア・デビル) DEF/1800

 

濃い青を強調とし、大砲を6つも装備した大きなモンスターが現れる。

……あれ、というかこの世界って表側守備表示で通常召喚とか出来なかったっけ? 

今度から『古代の機械猟犬』を出すときはそうしたほうがいいかもしれないな。

 

「『古代の機械魔神』の効果発動! 相手に1000ダメージを与えます。

これで俺はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

追い打ちをかけんと、『古代の機械魔神』が砲撃を行い、試験官の足元を爆破させた。

 

「ぐううっ!! まさか、古代の機械(アンティーク・ギア)デッキを使う受験生がいるとは……」

 

試験官LP3400→2400

 

煙が晴れると、苦々しい顔をしつつも何処か楽しそうな試験官がそこにいた。

根っからの決闘者らしい。

 

「私のターン、ドロー! 私は通常魔法『強欲な壺』を発動! 2枚ドロー!」

 

あっ、そっかぁ……。この時代、『強欲な壺』使えるんだぁ。

2枚引けてデメリットなしで1枚手札増えるってズルい……ズルくない?

 

「私は速攻魔法『サイクロン』を発動! 君の伏せカードを破壊する!」

 

竜巻によって伏せられたカードが1枚捲り上げられ、破壊される。

 

「破壊されたのは永続罠(えいぞくトラップ)古代の機械蘇生(アンティーク・ギアリボーン)』……1ターンに一度、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地の「アンティーク・ギア」モンスターを特殊召喚する罠カードです」

 

「なるほど、破壊しておいて正解だった……! 私は『アレキサンドライドラゴン』を攻撃表示で通常召喚!

更に装備魔法『デーモンの斧』を『アレキサンドライドラゴン』に装備!」

 

アレキサンドライドラゴン ATK2000→3000

 

アレキサンドライトのウロコを持った奇麗に輝くドラゴン。

それが片手に斧を握っているのは若干シュールではある。

 

「バトル! 『アレキサンドライドラゴン』で守備表示の『古代の機械魔神』に攻撃!」

 

『アレキサンドライドラゴン』は大きく顔を仰け反らせ、光輝くブレスをぶちかました。

おい、『デーモンの斧』で攻撃しろよ。これじゃトンファーキックじゃねえか。

 

防御が1800しかない『古代の機械魔神』じゃ抵抗のしようがなく、あっという間に呑み込まれて

その体を粉砕された。まあ、それが狙いだったんだが。

あれか、遊星風に言うなれば――

 

「――この時を待っていた!」

 

「なに!?」

 

「『古代の機械魔神』のもう一つの効果発動! このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる!デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚します!来い! 『古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)』!」

 

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム) ATK3000

 

「『古代の機械巨人』! クロノス教諭以外で見ることになるとは……!

くっ、『古代の機械巨人』の前には魔法・罠は意味を成さない。だが、アレキサンドライドラゴンの攻撃力と互角だ。私はこれでターンエンド……さぁ、君はどう突破する?」

 

「ええ、頑張りますよ。俺のターン……ドロー」

 

引いたカードはまさに一撃必殺と呼べるカード。

いやまあこれは使わないでいこう。初っ端から切り札は見せるものじゃあない。

ここは違うカードで幕を降ろさせてもらおう。

 

「――バトル! 『古代の機械巨人』で『アレキサンドライドラゴン』に攻撃!」

 

「何? 相打ちする気か!?」

 

「そんなわけないでしょ! この瞬間、手札から速攻魔法『リミッター解除』を発動!

自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる!」

 

『古代の機械巨人』 ATK3000→6000

 

「6000だと!? ぐわあっ!」

 

試験官LP2400→0

 

あんな巨人にぶん殴られたらそら悲鳴上げるよね。

しかも6000とかいうこの世界じゃ打点お化けだし。

 

試験官のライフを0にしたことで、デュエル終了のブザーが鳴り響く。

 

ノーダメ、数ターンキル。これに筆記試験の結果も加味すれば十分合格ラインだろう。多分、きっと、メイビー。にしてもソリッドビジョンってすっげーわ。こりゃ確かにこのカードゲームが流行るわけですわ。

やっててめちゃくそ楽しいもん。

 

これはますますデュエルアカデミアに入りたくなってきたな。

 

「黒羽優斗君。合否は追って自宅へと郵送される。今日は帰っても見学していっても構わないよ」

 

そう言って試験官はフィールドを離れていく。

俺もどうしようかね、一応他の受験生の実力も観たいし、観てから帰るのもいいかもしれない。

……クロノス先生らしき人物からの視線に気づかないようにして俺は観客席へと歩いて行った。




初めての仕事&一人暮らし。
ようやく落ち着いてきたので息抜きがてら投稿

カードの効果について

  • 今までのように攻撃力や守備力のみ表記
  • レベルや属性効果攻撃力守備力全て表記
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