遊戯王GX 目覚めたら遊戯王の世界でした。   作:KEA

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第2話

ヘリの中で揺られながら外を眺めていると、目的地が見えてきていた。

デュエルアカデミアは孤島にあるため、ヘリか船かの二択になる。

俺はヘリを選択し、優雅な空の旅を満喫することができた。

 

島に着いてからはそれぞれの決められた寮で荷物を降ろし、制服に着替えてから

入学式をすることになる。

ラーイエローを象徴する黄色い制服に袖を通し、会場へと向かう。

 

退屈な入学式については割合しよう。

8割が校長先生の話で終わったし。

今はアカデミアの出入り口の前で島のことを調べていた。

 

そう、入学式で新入生にPDAと呼ばれる端末が配られたのだ。

海馬コーポレーションが支援しているだけあって、設備等も最新の機器らしい。

PDAがあれば島で迷子になることはまずない、と思う。

更にPDAにはDPと呼ばれるポイントが存在し、デュエルをすれば貯まる。

そのDPで購買のパックを購入することができるらしい。

この学校だけの限定のパックも存在するらしく、ほぼすべての生徒が利用するだろう。

俺は正直デッキを弄るつもりは無かった。

まあ気分転換にパックを買ったりはするかもなあ。

 

 

本音を言えば『強欲な壺』だとか『天使の施し』もデッキに入れたいんだが。

が、俺は未来のカードというズルを既にしてしまっている。

いずれこれらの優秀なドローカードが禁止になるのを首を長くして待っていればいい。

流石に禁止になると分かっているカードをデッキに入れるのは気が引ける。

 

新入生歓迎会までそれなりに時間があるし、島を探索するのも悪くない。

もしくは適当に誰かを捕まえてデュエルを仕掛けるのも良い。

デュエルアカデミアに入学するくらいなんだから流石にデュエルが嫌な奴はいないだろう。

何人かボコしてさっそく購買に行くのもアリかもしれない。

 

目についた生徒に「おい、デュエルしろよ」と問答無用でデュエルを仕掛けて勝利をもぎ取る。

そして購買に行って1パックくらい買って――。

 

「お、俺か? いいぜ!」

 

思考を打ち切って声をかけた生徒を改めてよく見てみた。

実技試験の時にクロノス先生とデュエルを行っていた生徒――遊城十代(ゆうきじゅうだい)だった。

GXの主人公じゃないですか。いるのは知ってたけど、知ってたけどさ!

適当に捕まえた生徒が主人公だとは思わないじゃないですか。

 

「あー、黒羽優斗だ。よろしく」

 

「俺は遊城十代! よろしくな!」

 

遊戯王の主人公にしては特徴のない茶髪に、元気の塊みたいな笑顔。そしてオシリスレッドの制服。

もう少し特徴ある髪型だったら声かける前に気づいたのかもしれないが……。

いや、遊城十代がいると分かれば狙って声をかけたかもしれない。

 

「それじゃあ早速始めようぜ!」

 

「ああ、そうだな」

 

お互い十分に距離を取り、ディスクを構えて同時に口を開く。

 

『――デュエル!』

 

黒羽優斗 LP4000

 

遊城十代 LP4000

 

ディスクに先行後攻が表示される。俺が先行のようだ。

 

「俺のターン、ドロー! ……えぇ?」

 

手札を見ればあら不思議。動きづらい! 何なのホント。

 

「俺はカードを1枚セット、そして『古代の機械飛竜(アンティーク・ギアワイバーン)』を通常召喚」

 

「古代の機械……? クロノス先生と同じデッキか!」

 

古代の機械飛竜(アンティーク・ギアワイバーン) ATK1700

 

深緑色の、ガラクタで作られたような飛竜が場に現れる。

 

「『古代の機械飛竜』の効果発動! このカードが召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから

『古代の機械飛竜』以外の『アンティーク・ギア』カード1枚を手札に加える。俺が手札に

加えるのは……『古代の機械要塞(アンティーク・ギアフォートレス)』だ。この効果の発動後、俺はターン終了時までカードをセットできない。

俺は『古代の機械要塞』を発動してターンエンド」

 

「ああ、だから先にカードを伏せてたんだな」

 

十代の言葉に俺は頷いた。

そう、古代の機械飛竜はサーチ効果を使ってしまうとそのターンカードを伏せることが出来なくなる。

そのデメリットを忘れて伏せずに召喚したときのあのやっちまった感は忘れられない。

 

「俺のターン、ドロー! 俺は『E・HERO バブルマン』を通常召喚! バブルマンの効果を発動!

バブルマンの召喚時に他のカードがフィールドに存在しない場合、2枚ドローするぜ!

更に『融合』を発動! 場のバブルマンと、手札の『E・HERO バーストレディ』を融合!

来い、『E・HERO スチームヒーラー』!」

 

E・HERO スチームヒーラー ATK1800

 

紫のずんぐりとしたモンスターが場に現れる。

 

いやでも待って待って待って待って。待ってほしい。

突っ込みどころがありすぎるんですけど。

バブルマンってそんな効果だったっけ? 君そんなに強欲だった?

それにまさか初手から融合素材と融合が手札にあるなんてどういう事よ。

 

「バトル! スチームヒーラーで古代の機械飛竜に攻撃! スチーム・ブラスト!」

 

古代の機械飛竜は1700。それに対してスチームヒーラーは1800。

すまん、犠牲になってくれ。

 

黒羽優斗 LP4000→3900

 

「スチームヒーラーの効果発動! このカードがモンスターを戦闘破壊して墓地に送った時、その

モンスターの攻撃力分回復するぜ!」

 

遊城十代 LP4000→5700

 

あったねそんな効果。先制点は取られてしまった。

まあここから巻き返すしかない。

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」

 

更にバックが2枚……あんだけ動いて手札3枚あるんだもんなあ。

いやバブルマンの効果可笑しくねえ? 強欲すぎるでしょ。

 

「くそ、やるな。俺のターン、ドロー!」

 

引いたカードに目を向ければ、俺が最も求めていたカードだ。

俺はそのカードをフィールド魔法ゾーンに置いて宣言する。

 

「俺はフィールド魔法『歯車街(ギア・タウン)』を発動!」

 

ソリッドビジョンで俺たちの周りは歯車で作られた街並みへと変貌していった。

 

「おお、すげえ! どんな効果なんだ?」

 

「すぐに見せるさ、更に魔法カード『古代の機械射出機(アンティーク・ギアカタパルト)』を発動!

自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動する!

そのカードを破壊し、デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚できる。

俺が破壊するのは……1枚しかないこの『歯車街』だ」

 

瞬間、さっきまで回っていた歯車達が動きを止め、ボロボロと風化していく。

 

「自分で自分のフィールド魔法を破壊したのか!?」

 

「ああ。そしてこの瞬間、『歯車街』の効果が発動する! このカードが破壊され墓地の送られたとき、俺の

手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚する!

まず『古代の機械射出機』の効果で『古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)』が特殊召喚される!」

 

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム) ATK 3000

 

「さらに『歯車街』の効果により、『古代の機械熱核竜(アンティーク・ギア・リアクター・ドラゴン)』を特殊召喚!」

 

古代の機械熱核竜(アンティーク・ギア・リアクター・ドラゴン) ATK 3000

 

胸部分に大きな熱核(リアクター)を抱えた巨大な竜が姿を現した。

バチバチと紫電が体中を光らせている。

 

「あそこからここまで展開するなんてすげえな!」

 

「俺に言わせればそっちのドロー運がすげえって話だけどな! バトル!」

 

ここで一気に攻め立てないと次のターンが不安すぎる。

 

「『古代の機械巨人』でスチーム・ヒーラーを攻撃! えーっと、アルティメット・パウンド?」

 

俺の攻撃宣言で、『古代の機械巨人』は大きく拳を握りしめてスチーム・ヒーラーを殴りつけた。

1700で対抗できるわけもなく、スチーム・ヒーラーは破壊される。

その爆風が十代を襲った。

 

「うっ!」

 

遊城十代 LP5700→4500

 

「更に『古代の機械熱核竜』で直接攻撃!!」

 

「うわあっ!」

 

古代の機械熱核竜の直接攻撃を、十代はその身に受けた。

 

遊城十代 LP4500→1500

 

スチーム・ヒーラーの回復がなければここで勝ってたんだけどなあ。

まあ俺の場には3000が2体、それに伏せも1枚ある。この布陣はそう容易く突破できないだろう。

……あ、古代の機械熱核竜の効果を発動するの忘れてた。

これ、効果使って俺の場の古代の機械要塞を破壊し、破壊時の効果で

古代の機械飛竜を出してさらに直接攻撃すれば終わったよな?

やっちまった……! 明らかに慢心してた……!

 

「くっそー……俺のターン! ドロー!」

 

勢いよくディスクからカードを引き抜いた十代。

そのカードを確認すると、十代は笑みを浮かべてそのカードを発動させた。

 

「俺は魔法カード『強欲な壺』を発動! 2枚ドロー!」

 

……待ってくれ、何か嫌な予感がしてきたぞ。

耳を澄ませばこう、反撃のテーマでも聞こえてきそうな雰囲気なんだけど。さっきのターンでトドメを刺しておくべきだったと後悔している。効果使うの忘れなければなあ!

 

「よっしゃあ、カードが俺に答えてくれた! まず速攻魔法『サイクロン』を発動!

その伏せカードを破壊するぜ!」

 

竜巻によって俺の伏せカードが捲られ破壊される。

カードの名前は『神の宣告』。魔法・罠の発動、モンスターの召喚等をライフを半分にする代わりに

無効にして破壊するカードだ。まあ、サイクロンで除去されてしまったわけだが。

 

「更に『融合回収(フュージョン・リカバリー)』を発動! 墓地の『融合』と『E・HERO バーストレディ』を手札に加えるぜ!

そして『融合』を発動! 手札の『E・HERO バーストレディ』と『E・HERO フェザーマン』を融合!

来いっ! 『E・HERO フレイム・ウィングマン』!!」

 

E・HERO フレイム・ウィングマン ATK2100

 

「ここでフレイム・ウィングマンか……だが、その攻撃力じゃあ俺の古代の機械は越えられない!」

 

そのセリフを吐いてから俺はやべえと思った。

これ、完璧負ける奴のセリフだよね?

 

「へへ、慌てんなって! ヒーローにはヒーローに相応しい舞台があるのさ!

俺はフィールド魔法『摩天楼 -スカイスクレイパー-』を発動!」

 

周りが暗くなり、高層ビルが立ち並ぶさまは正にヒーローのための舞台と言えるかもしれない。

……いや、あれ? これ、もしかしなくても……やばい?

 

「バトル! フレイム・ウィングマンで古代の機械巨人に攻撃! この瞬間、『摩天楼 -スカイスクレイパー-』の効果発動!

E・HEROモンスターの攻撃力が相手モンスターの攻撃力よりも低い場合、E・HEROの攻撃力をダメージ計算時のみ1000ポイントアップする!」

 

高層ビルの頂点にいたフレイム・ウィングマンは、その場を飛び降りて古代の機械巨人目掛けて落ちてくる。

 

「いけぇ! スカイスクレイパー・シュート!!」

 

E・HERO フレイム・ウィングマン ATK2100→3100

 

古代の機械巨人が迎え撃とうとその拳を叩きつけるが、僅かに押し負けて爆発四散してしまった。

その余波が俺に当たる。

 

「くっ……!」

 

黒羽優斗 LP3900→3800

 

「そしてフレイム・ウィングマンの効果発動! 戦闘でモンスターを破壊したとき、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える! 最後に俺は速攻魔法『非常食』を発動! 俺の場の伏せ2枚を墓地に送って2000回復するぜ! これで俺はターンエンド!」

 

遊城十代 LP1500→3500

 

フレイム・ウィングマンが爆炎を放ち、俺を包み込んだ。

 

「うおわっ!?」

 

黒羽優斗 LP3800→800

 

「……あっぶねえ、風前の灯火じゃねえか」

 

しかもあのスカイスクレイパー、OCGじゃなくてアニメ効果だな?

戦闘を行うときに1000ポイントアップってことはこっちから殴っても殴り負ける。

俺の場には熱核と古代の機械要塞。どうすれば打破できる?

 

「くそ、ドロー!」

 

引いたカード、俺はそれをすぐにそれを召喚した。

 

「『古代の機械猟犬』を通常召喚! 召喚成功時効果発動!

十代に600のダメージを与える!」

 

古代の機械猟犬 ATK1000

 

「くっ!」

 

遊城十代 LP3500→2900

 

くそ、非常食が無ければこのまま古代の機械魔神を出してバーンで押し勝てたのに……!

 

だがまだ勝ち目がないわけじゃない。ここで俺の切り札を出すしかない!

 

「『古代の機械猟犬』の効果を発動!自分の手札・フィールドから

融合素材モンスターを墓地に送り、融合モンスターを融合デッキから融合召喚!

俺が墓地に送るのは、場の『古代の機械猟犬』、『古代の機械熱核竜』!

そして手札の『古代の機械巨人』! こいつ等を素材に現れろ!

『|古代の機械究極巨人《アンティーク・ギア・アルティメット・ゴーレム》』!」

 

|古代の機械究極巨人《アンティーク・ギア・アルティメット・ゴーレム》 ATK4400

 

ケンタウロスのように四足歩行で、古代の機械巨人よりもさらに強大な

巨人がその姿を現す。

 

「攻撃力4400!?」

 

「くそ、まさか今切り札を出す羽目になるとは思わなかったよ!

いけ、古代の機械究極巨人! フレイム・ウィングをぶちのめせ!」

 

スカイスクレイパーがアニメ効果じゃなければここまで苦戦しなかったはずなんだけどなあ。

 

3100に上昇しても4400には届かず、フレイム・ウィングはその身を散らす。

 

「くっ……! フレイム・ウィング!」

 

遊城十代 LP 2900→1600

 

「くそ、俺はこれでターンエンドだ」

 

これで十代の場はスカイスクレイパーのみ。対して俺の場は4400のモンスターに古代機械の要塞。

だが相手はあの十代だ。アイツの手札は尽きているというのにマジで油断はままならねえ。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

窮地に陥っているというのに、十代はそれでも楽し気だった。

 

「俺は通常魔法『天使の施し』を発動! 3枚引いて2枚捨てる!」

 

これが本当に最後のドローになるだろう。少し目を閉じた後、十代は勢いよく3枚一気に引き抜いた。

 

「……よし! 俺は通常魔法『ホープ・オブ・フィフス』を発動!

墓地の『E・HERO』をデッキに戻してカードを2枚ドローする! また、このカード発動時に

手札・フィールド上にカードが存在しない場合は3枚ドローだ!」

 

「ええ……」

 

「バーストレディ、バブルマン、フェザーマン、フレイム・ウィングマン、スチームヒーラーを戻す!

そして……ドロー! よし、バブルマンを通常召喚! 更に2ドロー!」

 

この1ターンでコイツ何回ドローしてる?

今戻したバブルマンが帰ってきたりしたとでもいうのか?

もしかしてUNOでもやってんの?

 

「俺は『融合』を発動! 『E・HEROスパークマン』と『E・HEROクレイマン』を融合!

来い、『E・HERO サンダー・ジャイアント』!」

 

E・HERO サンダー・ジャイアント ATK2400

 

おかしい。融合とその素材を引くってなんだよ。

確かに十代と言えばチートドローの代名詞だけどさ、だけどさ……!

 

「行くぞ、バトル!」

 

「はぁ!? 自滅する気か!?」

 

仮に1000ポイントアップしても、攻撃力は3400。

俺の古代の機械究極巨人には到底かなわない。

 

俺の言葉に、十代はニヤリと笑って魔法カードを発動した。

 

「――バトルフェイズ開始時、速攻魔法『決闘融合-バトル・フュージョン』を発動!

自分フィールドの融合モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる!

ダメージステップ終了時まで戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップだ!」

 

E・HERO サンダー・ジャイアント ATK2400→6800

 

「えぇ……」

 

バチバチと帯電しているサンダー・ジャイアントが今か今かと待ち構えている。

 

「いっけぇ! ボルティック・サンダー!」

 

古代の機械究極巨人は閃光に包まれて爆発し、その余波が俺を襲った。

いや、おかしいでしょ。

 

黒羽優斗 LP800→0

 

「――ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ、優斗!」

 

決め台詞と共に朗らかにそう言う十代に負けて落ち込みそうだった俺は茫然としてしまった。

いやまあ、そんだけ望むカード引けりゃ楽しいデュエルだろうよ……。

チートドローと有名な十代でも、未来のカードが入っているデッキなら勝てると思ったんだけどなあ。

何処かで慢心して相手を見下していたのかもしれない。

敗因はそれだし。

 

そんな状態だったらきっとカードも俺に応えてはくれないだろう。

もう少し自分を改めよう。

 

「……完敗だわ、次は負けないぞ。十代」

 

「へへ、ああ!」

 

最後に握手を交わし、ここにきて初めてのデュエルは終わりを告げた。




大幅に修正した結果、十代がチートドローになってしまった。
あと言い忘れましたが、作者はクソ雑魚ナメクジ決闘者なので、デュエルについて
おかしな点があればバンバン教えてください。

こう、自然なデュエルを表現できるようになりたい……

追記
アンティークデッキにした事を若干後悔しております。
火力に振りすぎた結果どうしても一方的な展開になりがちになってしまいそう。

カードの効果について

  • 今までのように攻撃力や守備力のみ表記
  • レベルや属性効果攻撃力守備力全て表記
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