時系列は助手と従者編の裏側の話となっております
団長から召集が掛かり、ボクとメギは執務室へと向かっていた
執務室へと繋がる廊下の角を曲がるとワルナスビとラークスパーが執務室の前に立っていた、彼女らも召集されたのだろうと推理した
「呼ばれたのは我らだけではないのか!?」
ワルナスビがこちらへ驚いた顔を向けてくる、こちらも団長に呼ばれた事を伝えるとラークスパーとメギが張り合いを始めてしまった
思わずボクはワルナスビと顔を合わせるが、どうしたら良いのか分からず困惑しオロオロしているだけだった
張り合いを続けても仕方がないので、目の前の扉を開けて入室することにした
ボクが入室するとそれに続くようにワルナスビ、メギ、ラークスパーが入室した
執務室では団長と今週の副団長が机に向かって書類を処理していたようだ
団長が入室したボク達に気が付き、要件を言う
話を要約すると1週間後の大討伐を前に花騎士同士の連係を強化する合宿を行う予定のようだ
そして組み合わせがボクとワルナスビ、メギとラークスパーとのこと
ラークスパーは不満を団長に言い、メギも口には出さない不満気な表情を浮かべていた
団長は色々な連係を取れる方が作戦の成功率が上がると組み合わせを変える気は無いようだ
「ククク、ならば我が怪盗妙技を存分に披露してみせよう!」
ワルナスビはやる気みたいだ、ボクも負けていられないと気合いを入れる
ラークスパーとメギも不満げだか受け入れたようだ
こうして一週間に渡る探偵と怪盗、助手と従者による合宿が始まろうとしていた
合宿一日目
ボクは合宿所の割り振られた部屋の前に立って困っていた、部屋の鍵を貰っていた筈なのだが鍵穴が合わないのか扉が開かないのである
受付に戻って開けてもらおうとした時、ワルナスビがやって来た
「闇よりいでし~黒い花~♪彼の者の名は~怪盗ナイトシェード♪!」
廊下で歌うのは自由だけど、前を見ないで歩くのはどうかと思う
「ん?カーパスよ、何故我らが肉体を癒す聖域への扉の前で立ち止まっているのだ?」
芝居がかったセリフで訪ねてくるワルナスビに鍵穴が合わないのか扉が開かない事を伝える
「ククク、聖域への封印が解けぬと…!ならば我が怪盗妙技で封印を解いてみせよう!」
そう言ってワルナスビは鍵穴に針金を差し込みピッキングを試みるが直ぐに手が止まる
「あ、ダメだこの鍵穴!中に何か詰まってるのかな?開けれそうにないや」
怪盗であるワルナスビが言うなら無理なのだろう、荷物を持ち二人で合宿所の管理者の元へ行く事となった
管理者に謝罪と別室の用意を訓練中に行っておくと言われ、荷物を預けてて隣接する訓練所へと向かう
大討伐では囮部隊、迎撃部隊、支援部隊に分かれて行動するため、基礎訓練を行った後に連携訓練に入る
連携訓練中にラークスパーの悲鳴が鳴り響き、一時訓練が中断される
「ラークちゃん大丈夫かな?」
隣にいる囮部隊に配属されたワルナスビが、ラークスパーを見て心配そうに呟いてるのが印象に残った
訓練を終えて、合宿所に戻りワルナスビと二人で管理者を訪ねる
すると管理者はこちらを見るなり申し訳なさそうな表情を浮かべて、こちらへ走り寄ってきた
どうやら空き部屋が団長や副団長が利用する一人部屋一室しか空いてなかったようで、二人で一部屋に泊まる事になったようだ
「ククク、我は問題ない!探偵と怪盗が同じ聖域を共にしようと闇の力は衰える事はない!…普段ラークちゃんに着替えとか手伝って貰ってるから、一人だと困るんだよね」
正直ボクも家にいる時は自堕落だとメギに小言を言われる事が多い
管理者の案内で、団長達が利用している部屋の一番端に位置する角部屋に向かう
食堂には近いが大浴場やメギ達の部屋からは大分離れている
部屋に入ると、一人部屋にしては広めな空間と隣接する広めなバスルーム、そして部屋の中央に鎮座するクイーンベッド…本当に一人部屋なのだろうか…なんとなく一人部屋なのに広い理由を察する
「わぁ~!思ってたのより広い!ほらカーパス!ベッドふかふかだよ!」
ワルナスビが芝居ががった喋り方を忘れて無邪気に部屋を見て回る
ボクもそれに続くように部屋を見て回る
やはり一人部屋にしては浴室も浴槽も広く、二人で入れそうな大きさだ
「…ねぇカーパス…お風呂入りたいんだけど一緒に入ろ?」
いきなり何を言い出すんだ!と驚いてしまう
「いつもラークちゃんとお風呂入ったりしてたから…変な意味じゃないよ!背中とか洗いにくい所を洗って貰ってただけだよ!」
相変わらず仲が良いコンビのようだ、最近はキツネノボタンが加わりトリオかな?
「うぅ、我が宿敵である探偵に頼むのは心苦しいが致し方あるまい…ラークちゃんの代わりに一緒に入って頂戴!お願い!」
ここまで言われて断る訳にはいかない
それに裸の関係は相手と信頼関係を築くのに貢献すると聞いた事が有るので一緒に入る事にした
浴槽にお湯を張る間にシャワーを浴びる、シャワーを浴びながらワルナスビを観察してみる
身長は小柄ながら一部がとても豊満である、こんなものをあの服の中に押し込めようとすれば服に隙間が出来るのも納得する
「あまりこっちを見ないでよ~あたし最近また太ったみたいなんだから!」
全体的に肉付きはいいが太った印象は見られない、多分一部に栄養が集まってるのだろう
「あ、お湯が張り終わったみたいだよ!ククク、聖水にて我が汚れを洗い流そう!…熱ッ!」
お湯が予想以上に熱かったようだ、少し水を足して一緒に入る、二人で入ると浴槽からお湯が溢れ出る
「はぁ~暖かい…まさかこんな事になるなんてね~、探偵と怪盗が同じ部屋で過ごすことになるなんて」
普段一緒に過ごす時は事件現場か騎士団か一緒に買い物したりする時だが、確かに二人きりの機会は少ない
丁度良い機会なのでワルナスビに普段ボクが思ってる事を伝えようと思う
そう、度々事件を起こすがその度にその裏に隠された大きな陰謀を白日の下に曝す怪盗の事を尊敬していることを
「なんだよ、突然恥ずかしい事言わないでよ…まぁあたしも探偵居ての怪盗だと思うときも無くはないよ」
照れ臭そうにこちらを見てくる
そして手を差し出してきた
「今宵は探偵と怪盗が手を組む時、暫しの間闇と光が混ざり合う事となろう、その誓いの交わそうぞ!…とりあえず一週間よろしくね♪」
笑顔を向けてくるワルナスビにこちらこそと手を握る
探偵と怪盗、どちらかが欠けたら整理しない大きな物語が始まろうとしていた