花騎士秋桜劇場   作:インティライミ

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今回から幼少期の回想編です


花騎士秋桜劇場 君が最初に盗んだ大切な宝物②

久々に懐かしい夢を見た

あれはボクが4歳の頃、夏の時期に家族でバナナオーシャンの別荘に数ヶ月過ごして居た時の思い出だ

その頃、ボクは病弱だったのでいつも別荘の窓から外を眺めながら一人ベッドの上で絵本を読んでいた

正直バナナオーシャンの気候は当時のボクには辛く、いつも夏バテしてグッタリしていた

今思えば両親がいつも家の中で同じ光景ばかり見ているボクを心配して、新しい環境を見せようとバナナオーシャンに連れてきてくれたのだろうと理解出来るが当時のボクにはこんな環境に連れてきた両親の気持ちが理解出来なかった

 

 

別荘に来て数日経った日、ぼーっと窓の外を見ていると隣の家に済む白髪の中高年のおじいさんとその孫と思われる子供が、楽しそうに遊んでいた

孫と思われる子供はボクと同い年位でミディアム程に伸ばした髪をサイドテールにしており、動く度につられるように揺れる

とても無邪気な表情でおじいさんに笑いかけており、その笑顔がとても可愛らしく印象に残った

その日からボクは隣の元気に遊ぶ子供を窓から観察するのが日課となった

 

 

ある日はおじいさんと一緒に障害物を潜ったり、飛び越えたり、細い棒を歩いて渡ったりしていた

たまに引っ掛かったり、バランスを崩して地面に落ちて泣いてる姿も見せていたがおじいさんが近寄ると目を擦りながらも立ち上がり、再び障害物に挑戦していった

 

別の日は藁で作った案山子に的を付け、何やら紙のような物を二人で的を目掛けて投げつけていた

おじいさんが投げると的の中心やその周辺に全て刺さるが、子供が投げると的に刺さるどころか的に届かず途中で逸れて全て地面に落ちてしまっていた

子供は何度も紙を拾い集めては投げ拾い集めては投げを繰り返すがその日は一枚も的に当たることはなかった

 

 

また別の日には子供が一人で様々なポーズを決めていた

左手を突き出して高笑いしたり、首で巻きマントのようにした布の両端を掴み広げてみながら走り回ったりと元気に動き回っていた

 

 

その子供の様子を観察し始めてから一月位が経つだろうか

晴れた日はほぼ毎日おじいさんと子供が仲良く遊んでいる、そしてその様子をボクがじっと見つめ続けていた

ボクはあの子供が羨ましかった

一緒に遊んでくれるおじいさんが居ることが、激しく遊び回っても平気な体が、そしてあの幸せそうな笑顔が何よりも羨ましかった

ボクもあの子みたいに走り回りたい、あの子みたいに遊びたい、あのと一緒に幸せそうに笑いたいと願い始めていた

そしてあの日がやって来た、キミとボクが出会ったあの忘れられない日が…

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