花騎士秋桜劇場   作:インティライミ

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ハッピーハロウィン!ハロウィンストレプトカーパス、ハロウィンバイカモ、ケイトウにヒメノカリスと今年のハロウィンキャラ達も可愛いですね!
ところでメギしゃんどこ~?という気持ちから作ったSSです
本編でもメギとラークスパーのハロウィンデートが見たかったですね


花騎士秋桜劇場:『愛』を知らぬ怪物と少女

『むかしむかし、まだコダイバナが滅ぶ前の時代、在るところに一人の錬金術師がいました

彼は様々な物を作るのが趣味で、色々な知識を集めては研究し発明品を産み出してきました』

『ある時、彼は死体に魔力を吹き込んで操る死霊魔術に出会い、死体に生命を吹き込むという研究を始めました

彼の肉体が衰えていく程の年月が経ったある日、彼は継ぎ接ぎの死体に生命を吹き込み、継ぎ接ぎの怪物を産み出す事に成功しました』

『長年続けた研究の成功を喜んだ錬金術師はこの実験を後の世に遺そうと本に記し、国王へと報告に向かいました

しかし国王は錬金術師の研究を邪悪な研究であると判断し、彼を処刑し纏められた研究資料を全て焼き払いました』

『主を失い孤独となった怪物は脳に残る微かな記憶を頼りに一人、彼の遺した大量の本を読み続けるのでした』

 

 

 

 

ウィンターローズのハロウィンパーティー会場の入り口で私は壁に寄りかかりながら一人道行く人々を眺めていました

今日はハロウィンであり、人々は思い思いの仮装を身に纏い、楽しんでいますね

私も人を待っているのですが中々来ませんね……全く何をしてるのでしょうか

今回はハロウィンパーティーのパトロール及び花騎士のPR活動の為に二人一組で行動するように言われているのですが相方が集合時間ギリギリになっても現れません

 

「お待たせですぱ~!」

 

遠くから可愛らしい元気な声が聞こえてきました

ようやく待ち人が来ましたね

私は待ち人であるラークスパーさんの方を向き、声を掛けました

 

「遅かったですねラークスパーさん、時間を忘れていたかと思いましたよ」

「ハァ……ハァ……メギ遅れてごめんですぱ!ワルナスビ様が一人で衣装を着れなかったからお手伝いしてたんですぱ!」

 

肩で息をするほど疲れた様子のラークスパーさん、遅れると思い走ってきたんでしょうね……その手に持ったハンマーで飛んできたらもっと速かったのではと思わなくも無いですが

ラークスパーさんは以前見た魔女の衣装を身に纏ってやって来ました

大きく様々なアクセサリー付きの魔女の帽子や衣装の着こなしを見ていると普段は忘れてしまいがちな良家のお嬢様であるという事を改めて実感しますね

あまりの可愛らしさに正直人目が無ければ直ぐにでも抱き寄せたいところですね

 

「ところでメギのその衣装はなんですぱ?なんだか見慣れない仮装ですぱ」

「これは確かに珍しい仮装だと思いますよ、カーパスさん曰く古い物語の怪物だとか」

 

私は継ぎ接ぎの服の上に白衣を着て、腕や顔の一部を青白くなるようメイクしている

地肌とメイクの境目が分かるよう縫い目のような線を筆で書き入れ、ボルトを模したアクセサリー付きのイヤリングを両耳に付けている

 

「怪物……ですぱ?」

「ええ、古代の錬金術師に作られた動く継ぎ接ぎの死体、愛を知らない名も無き怪物らしいですよ。

カーパスさんが衣装を用意したんですが、この継ぎ接ぎの名も無き怪物か、ベルガモットバレーの猫の怪物か、ベルガモットバレーの顔にお札を付けた動く死体の怪物かの三択でこれにしました。

さぁ入り口でお喋りばかりしてないで私達もパトロールに行きましょうか」

「あ、待つですぱ!」

 

私達は二人並んで会場へと入り、総合本部を目指しました

 

 

 

 

『怪物は長い年月をかけて科学者の遺した本を読み、外の世界の知識を増やしていきました

しかしいくら本を読んでも分からない事が一つだけ有りました

それは『愛』というものでした』

『いくら本を読んでも図鑑を見ても『愛』だけは載って居ませんでした

主亡き今、孤独な怪物に『愛』を教える者は居らず、行き詰まった結果怪物は一つの決意をしました

この狭い部屋を出て、外の世界で『愛』を訊ねようと

そして怪物は外の世界へと旅立ちました』

『しかし怪物を待っていたのは人々からの拒絶でした』

 

 

 

 

「ようこそハロウィンパーティーへ!あ、花騎士の方々ですね!こちらのワッペンを胸に付けて、この籠を持って会場を回って下さい!よろしいお願いします!」

「こちらこそよろしくお願いします」

「よろしくお願いしますですぱ!」

 

私達は総合本部に居たスタッフからカボチャを模したスタッフ用ワッペンと様々なお菓子の入ったカボチャの籠を受け取り広場へと向かいます

広場に向かいながらラークスパーさんは籠とお菓子を眺めていました

通常はこの籠を入り口やお店で買い、売店で買ったお菓子を入れるみたいですね

籠の中には動物の型をした飴細工や宝石のような飴玉、チョコを使ってデフォルメされた花騎士の描かれたクッキー、小さなカップケーキ等様々なお菓子がいれられています

 

「メギ~!美味しそうなお菓子が沢山ですぱ!でもこれは配る用なんですぱよね。うぅ……こんな美味しそうなお菓子が沢山あると欲望に負けてしまいそうですぱ!」

「ダメですよ、それは子供たちに配る用なんですから。食べたいなら自分で買ってくださいね」

 

そう言って今にもお菓子を食べそうな彼女に釘を刺す

目の前でお預けを言われていじける子犬みたいで少し可哀想だったので広場に着く前に露店に寄りキャンディをいくつか買い、口の中で転がしながら再び歩き始めました

隣で幸せそうな表情を浮かべるラークスパーさんを横目で見ながら歩いていると少女とぶつかってしまいました

 

「ごめんなさい、大丈夫ですか?」

 

ウサギのフードを被った少女の目線に合わせるようしゃがみ、謝罪をしながら怪我をしていないか確認していると少女が話しかけてきました

 

「ウーちゃんは大丈夫なの!よそ見しててごめんなさいなの……それよりトリックオアトリートなの!お菓子くれなきゃイタズラしちゃうなの♪」

 

少女が右手に付けたウサギのパペットと一緒にガオーと腕を挙げる

微笑ましい姿に癒されながら私はお菓子を差し出します

 

「イタズラは困りますからお菓子をどうぞ」

「ありがとうなの!またねなの!」

 

左手で手を振って走っていく少女に手を振り返して見送る

振り替えるとラークスパーさんが不機嫌そうにこちらを見ていた

 

「小さい女の子にデレデレして……メギはロリコンですぱ」

「私はロリコンではないですよ、かわいいのが好きなんですよ。もちろん一番好きなのはラークスパーさんですが」

「ちょっ!?こんな人前で恥ずかしい事言うなですぱ!」

 

ラークスパーさんをからかいながら歩いていると広場に着きました

広場には多くの人が集まっており、子供達が私達の姿を見ると群がってきました

 

「あっ!花騎士のお姉さん達だ!トリックオアトリート!お菓子頂戴!」

「トリックオアトリート!お菓子ください!」

「あれ~?お姉さん、去年のハロウィンの時はうしちち怪盗さんと一緒だったよね~?今年はうしちち怪盗さん居ないの~?」

 

子供達が群がりながら一斉に話しかけてくるので全て聞き取れないですね

 

「みんな順番に整列するですぱ!順番にお菓子配るですぱ!あとワルナスビ様をうしちち怪盗言うなですぱ!!」

 

子供達はラークスパーさんの指示に従い、ちゃんと並びながらお菓子をもらって行きます

このまま何も無く終われば良いのですが……

 

 

 

 

『怪物が街に出ると人々は怪物を恐れて叫びながら逃げたり、石を投げたりしてきました

とても『愛』について聞ける状況では無いため怪物は仕方なく狭い部屋に戻ろうと来た道を戻っていると、途中にある花畑で一人の少女に呼び止められました』

『少女は両親が仕事で忙しくいつも独りぼっちで遊んでおり、寂しげな怪物に自分に似たものを感じて一緒に遊びましょうと誘ってきました』

『少女と共に花を積み、花輪を編んだりする間、怪物は今まで感じた事の無い温かな気持ちを感じていました

日が暮れる頃、少女は立ち上がり怪物にまた明日と別れの挨拶を告げて近くの家へと帰っていきました』

『少女を見送り、部屋へと戻る帰り道、怪物は先ほどの胸に宿った暖かな感情について考察していきました』

 

 

 

 

 

「お菓子が足りないですか?」

「はい、倉庫に用意されていたはずのお菓子が無くなっていました、そして床に穴が……」

 

子供達に配るお菓子が減ってきた為、補充しようと運営本部に来るとお菓子の盗難が発生しているようですね

床から侵入してるということは害虫が犯人でしょうね

早く見つけて対処しなければ人々に被害が及ぶ可能性が……

 

「キシャー!キシャー!」

「あーっ!メギ!害虫が居たですぱ!お菓子持って森に逃げて行くですぱ!待つですぱ!」

「ラークスパーさん!一人で先走らないで下さい!すみません!他の花騎士達に連絡を!私は彼女を追いかけます!」

 

連絡を運営のスタッフに任せ、ハンマーに乗り飛んで行ったラークスパーさんを追いかけるため私は走り出しました

しかししばらくするとラークスパーさんの悲鳴が聞こえてきました

 

「わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

 

焦る余りハンマーの操作を誤ったのかその場でぐるぐる回り続けて眼を回したラークスパーさんが墜落していました

 

「大丈夫ですか、まったく……そそっかしいんですよラークスパーさんは」

「メギ……でも子供達の笑顔を盗む害虫は許せないですぱ!」

「怪盗の貴女が言うセリフですか?とにかく私も一緒に行きますよ。ラークスパーさんはハンマーの制御に集中してください、魔力の制御や攻撃は私が行います」

 

私はラークスパーさんのハンマーに乗り密着するように左腕を彼女の腰に巻き付けます

 

「ちょっと近すぎるですぱ!」

「ぶれたり落ちない為です我慢してください!ほら害虫が逃げてしまいますよ!」

「あぁもう!どうにでもなれですぱ!」

 

ラークスパーさんがハンマーに魔力を送り込み始めたので私がその魔力を調整してブースター部分に流して行きます

 

「!?いつもより制御しやすいですぱ!これなら害虫に追い付けるですぱ!」

 

さらに魔力を込めてスピードを上げていく私達を乗せたハンマー

子供達の笑顔を、幸せを守るために私達を乗せたハンマーは街道を横切って行きました

 

 

 

 

『少女との出会いから数日、少女との交流をしながら怪物は『愛』や自分の今抱いている感覚について考え続けていました』

『少女に聞いても分からないと言われてしまいましたが怪物はそれを残念だとは思いませんでした』

『その日も少女と遊ぶために待ち合わせの花畑を目指していましたが何故か周囲に人だかりが出来、騒がしくなっていました』

『怪物が人だかりの先を見ると少女の家から煙が上がり家の中から火が見えていました。少女の両親と思われる男女が少女がまだ中に居ると叫びながら、家に戻ろうとするのを人々に抑えられいました』

『怪物は近くの井戸から水を汲み上げ、自らの身体に掛けると人々を押し退け、制止を振り切り、家の中へと突入しました』

『怪物は崩れた柱を退かし、少女の声がする部屋の扉を破壊して中に入ると床に倒れ込んだ少女を見つけました

怪物は少女を抱え込み、火が当たらぬように自分の服の中に入れ、来た道を戻りました』

『途中燃えた柱や屋根の一部が怪物に当たり炎が怪物の身体を燃やしていきますが怪物は気にせず、ただ少女を守りたい一心で外を目指しました』

『ようやく外に出た時には怪物の顔を隠すフードは燃え尽き、身体のほとんどが焼け焦げて炭となっていました』

『突然現れた怪物に人々はパニックになり、逃げていきました

怪物は逃げていく人々を気に止めず、少女の両親の元へ近づき、炭になり上手く動かせない腕をゆっくりと開き、中の少女を渡しました』

『両親は泣きながら少女を抱きしめて、怪物に感謝の言葉を伝えました。

そして意識を取り戻した少女も怪物に感謝を告げて、怪物の胸に触れました』

『その時、怪物はようやく自分の抱いた感情の正体に気がつきました。

怪物は少女に別れと感謝を告げて屋敷へと戻りました。薄れ行く意識の中、自分が少女と触れあう中で抱いた感情こそ探し求めていた『愛』だと確信し、目が覚めたら再び少女に会いに行こう、そう思いながら怪物は眼を閉じ静かに長い長い眠りにつきました』

『その後、怪物は二度と目覚めることはありませんでした。

怪物が再び目覚めた時、少女に会いに行き何を伝えようとしたのか、それを知る者はもう誰も居ませんでした』

 

 

 

「疲れたですぱ……どれだけお菓子持って行ってるんですぱ……」

「これで終わりみたいですね、お疲れ様ですラークスパーさん。あとは他の花騎士達に任せておきましょう」

 

私達は害虫を追いかけ、盗んだお菓子を溜め込んでいた場所を発見し、応援に来た花騎士達と共に害虫を殲滅し、ラークスパーさんのハンマーを使って盗まれたお菓子を会場まで運ぶ作業を終えた所でした

段々と日も暮れて来たので、私達は他の花騎士と交代し自由の身になりました

しかし先ほどぶつかった少女が花騎士でしかも同じ騎士団所属だったとは……

 

「メギ~、早く屋台回ろうですぱ!」

「今行きます」

 

とりあえず気分を切り替えてラークスパーさんとのデートを楽しみましょうか

ラークスパーさんの隣に並び、そっと手を繋ぐと彼女は一瞬ビクッとしましたが優しく握り返してくれました

その反応の可愛さにときめいているとラークスパーさんが話しかけてきました

 

「そういえばメギにまだ言ってなかったですぱ!トリックオアトリートですぱ!」

「お菓子の持ち合わせは無いので私に悪戯して良いですよ?あの大きなジャックオーランタンの裏で私の身体を悪戯してみますか?」

「しないですぱ!何考えてるですぱ!メギは色情魔ですぱ!」

「失礼な、今の私は愛を知らぬ怪物ですよ。だからラークスパーさんの愛を行動で知りたいだけで……冗談ですよ、そんな目で見ないで下さい」

 

私の事を引いた目で見てくるラークスパーさんをジャックオーランタンの影に引っ張っていき、ポケットに入れたクッキーを差し出しました

 

「ちゃんとお菓子はようしてますし、私の手作りですよ」

「メギの手作りお菓子貰えるのは嬉しいけど何でここに連れてきたんですぱ!」

「それはこうする為ですよ」

 

私はクッキーを一枚摘まみ、口に咥えてラークスパーさんに差し出します

ラークスパーさんも恥ずかしそうに眼を背けながらも顔を近付けて唇を触れ合わせながらクッキーを受けとりました

 

「これはお礼ですよ、ラークスパーさんど出逢って無ければ私は『愛』を知らぬ怪物のままでした。だから今日はいっぱいラークスパーさんに私の『愛』を伝えてあげますね」

「そんな事言われたら拒否出来ないですぱ……でもさすがに恥ずかしいで……んんっ!」

 

私は遠慮なくラークスパーさんの唇を塞ぎ、私なりの愛を伝えました

彼女の要望通り甘い甘い口付けと言う名のトリートを

 




イベント終わるまでにと急いで仕上げたので誤字脱字有りましたらご報告して頂けると助かります
次はウサギゴケがお菓子貰いにいくだけのSSも書き上げ予定です
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