花騎士秋桜劇場   作:インティライミ

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少年がアブラナに惚れるだけの話


花騎士秋桜劇場:アブラナと少年

ある日新たに設立された騎士団施設の前に一人の青年が立っていた、この騎士団に赴任した団長である

年齢は二十歳になりたてで、また幼さが残る顔には緊張の色が見える

最近仕立てたばかりなのか白い団長服は汚れ一つなく綺麗な状態であった

 

「ここが自分の赴任先・・・・・・ここに彼女が居るんだよな・・・・・・」

 

団長は憧れの相手と出会った日の事を思い出しながら正門をくぐり、施設へと歩みだした

 

 

 

10年前

まだ団長を目指す前の彼はブロッサムヒルの田舎町で雑貨屋を営む両親と共に、親戚住むウィンターローズへと乗り合い馬車で向かっていた

 

「ねぇ、なんでこんなちんちくりんな花騎士が護衛なの~!ロータスレイクのアデニウム様とかバナナオーシャンのレッドジンジャーさんとかブロッサムヒルのサクラさんみたいな美人でカッコいい花騎士が良かったのに」

「誰がちんちくりんよ!あたしだって立派な花騎士なんだから!」

「コラッ!やめなさい!申し訳ありません花騎士さん、うちのバカ息子が失礼な事を言ってしまって」

 

彼はまだ幼く花騎士の仕事や害虫の恐怖についてはまだよく理解しておらず、ただカッコいいヒーローみたいな存在だと考えていた

その為目の前の小柄でつり目の気の強そうな少女を花騎士だと思えなかったのだ

 

「まぁいいわ、あたしはアブラナ!先輩騎士達に負けない位頑張って皆を守るわ」

「そんな剣一本で?お前みたいなちんちくりんに出来るわけないね」

「あんたねぇ!」

 

アブラナは金髪のツインテールを揺らして怒ろうとするが必死に我慢する

 

「ええと、アブラナさん?他の花騎士の皆さんはどちらに?」

「あたしは馬車の人達を守る為にここに、他の四人は馬車の先行きと後ろに二人一組で周囲を警戒してるわ」

 

花騎士は基本五人一組を一班とし、一部隊四班で行動する

今回も街道を行く乗り合い馬車の護衛に馬車一台に一班の護衛が着いていた

 

「もし周囲に害虫の気配が有ればこの笛を吹いて知らせる事になってるわ」

 

彼女は首に掛けている金属製の笛を持ち、こちらに見せてくる

 

「そんな小さな笛で聞こえるわけないじゃん、ちんちくりんで嘘つきなんだ!」

「あんたねぇ!いい加減に・・・・・・!?」

 

我慢出来なくなったアブラナが立ち上がった瞬間前方と後方から同時に笛の音が鳴り響く

アブラナは急いで荷台の前に向かい周囲を確認する

 

「まずいわ!囲まれてる!」

 

直後、馬車になにかが当たり乗っていた人々ごと荷台が倒れ込む

彼は宙に浮く感覚を覚えた後荷台から放り出され背中から地面に叩きつけられる

 

「がっ!・・・・・・ゲホッゲホッ!な、何が起きたんだ!?父さん!母さん!」

 

横たわる荷台は右側の車輪が折れて外れており、起こしても使い物にならないほどボロボロになっていた

彼は中に居た両親が心配になり荷台に駆け寄ろうとするが目の前にトンボ型害虫が現れ、行く手を阻む

こちらの頭を簡単に噛み千切れる鋭利な口をカチカチと開閉し、彼に近寄っていく

 

「だ、誰が助けて・・・・・・助けて!!」

「やらせないわよ!間に合いなさい!!」

 

荷台の中から現れたアブラナが腰に差していたレイピア抜き、右足に加護の力を集め、地面がめり込むほどの力で地面を蹴り一直線に飛ぶ

髪が光を反射して金色の筋を描きながらトンボ型害虫の元へと到達しレイピアが胴体に突き刺さる

その勢いのまま一人と一匹は大きな木まで叩きつけられる

 

「まだよ!喰らいなさい!『エイミングスタンス』!!」

 

木の幹に叩きつけられた害虫からバッグステップで二歩下がり、叫び声と共にレイピアを高速で復数回突き付ける

害虫の絶叫と木の幹が削られていく音が鳴り響き、音が止まった時には害虫が光の粒子に変わりつつあった

 

「ほら立ちなさい!早く荷台に隠れて!ハァッ!!」

 

アブラナは指示を出すと直ぐに接近してきたイモムシ型害虫に立ち向かっていく

その後アブラナは警戒に当たっていた花騎士達と協力し、害虫を全て殲滅して荷台へと戻り彼に話しかけてきた

 

「大丈夫?怪我はない?」

「だ、大丈夫」

「そう良かったわ」

 

アブラナが優しく微笑む度に彼の心臓は高鳴り、身体が熱くなる

 

「どうよ、あたしがただのちんちくりんじゃなくてちゃんと実力のある花騎士って分かったでしょ!」

「うん、凄かった・・・・・・助けてくれてありがとうお姉ちゃん///」

「ふふ、どういたしまして」

 

彼はアブラナの眩しい笑顔を直視出来ず、顔を背けて射ると優しく頭を撫でられた

その後馬車を放棄し、徒歩で付近の駅まで向かった

その間、彼はアブラナと手を繋いで歩き続けていた

 

 

 

「あの日から自分は団長を目指してここまで来たのか・・・・・・」

「あ、お待ちしていました!貴方が赴任される団長様ですね」

「は、はい!」

 

玄関に近づくと白いドレスを着た美人に話しかけられた

綺麗な顔立ちに大きな胸、そして何故か見えるパンツにドギマギしてしまう

 

「えっと貴女は?」

「はい、私はしばらくの間団長様のサポートをさせていただくナズナと申します!中で他の人が待っていますから急ぎましょう!」

 

彼はナズナと名乗る女性に手を引かれ、建物の中へと向かう

彼女に手を引かれて歩いていると執務室と書かれた扉の前で立ち止まり扉をノックする

 

「団長様がお見えになりましたよ」

「はぁい♪どうぞ!」

 

ナズナが扉を開けて部屋に入ると二人の女性が立っていた

ピンクの髪にツインテール、もう片方も金髪ツインテールの小柄な女性が二人扉の方を向いていた

 

「初めまして!イチゴでぇす♪よろしくお願いしますぅ!」

 

ピンクの髪の女性が先に甘ったるい可愛らしい声で挨拶する、支給されている花騎士制服にフリルをたくさんあしらった改造をしておりチラリと見える膝が眩しい

改造制服を少し押し出している控えめな胸のラインは彼女の容姿と合わさり魅力を引き出している

 

「初めましてアブラナよ、あんたが噂の団長ね。それなりに期待してるわよ」

 

金髪の女性が可愛らしくも気の強さを感じさせる声で話しかけてくるが彼は凍ったように動かない

 

「ちょっと!挨拶してるんだから何か返しなさいよ!」

「だ、団長様?大丈夫ですか?」

 

彼は望んでいた光景に止まっていた

記憶の中の彼女と比べるとほんの少し背は伸び、胸や太ももの肉付きもよくなり幼さの残る少女から小柄ながらも色気のある美女に成長していた憧れの女性に心奪われていたのだ

 

「返事しなさい!」

「ハッ!?申し訳ありません!じ、自分は菜の花団長と申します!」

「菜の花?・・・・・・あんた何処かで見たような・・・」

「はい、十年前アブラナさんに乗り合い馬車で助けていただきました」

「あ!?あの時のクソガキ!?」

 

驚きの表情を浮かべるアブラナに菜の花団長は微笑み、他の二人へと顔を向けながら挨拶する

 

「本日より騎士団に配属になりました菜の花団長です!騎士団学校卒業後他の騎士団で勉強してきましたがまだまだ未熟者ですのでご指導ご鞭撻よろしくお願いします!」

 

 

 

ここに新たな騎士団の物語が始まった

菜の花団長とアブラナの二人が時に喧嘩して、時に支えあい、様々な団員を抱えつつも困難を打ち砕きいつの間にか同じ指輪を左薬指につけて生活するようになるのでした

それはまた別のお話で・・・・・・それではこれでどっとはらい

 

 




毎日アブラナに感謝の一万票投票中、アブラナ別ver実装を目指して頑張ります!
皆さんも自分の推しの花騎士の為に頑張って下さい!
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