花騎士秋桜劇場   作:インティライミ

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VOCALOIDの『キャットフード』聞きながら書き上げました、いい曲ですよね


花騎士秋桜劇場:アブラニャ

「訓練終了っと・・・・・・喉乾いたわね、確か棚の中に・・・・・・もう!棚の高さもう少し低くならなかったの?あったあった」

 

訓練を終えたアブラナが食堂の副団長専用と書かれた棚の中を背伸びして探っていると、仕舞われたラベルの貼られたビンを取り出し飲み始める

 

「んっんっんっ・・・・・・ふぅ、あら?こんな味だったかしら?まぁいいわ」

 

アブラナは空になったビンを近くの流し台に置き部屋へと戻っていく

ビンに貼られたラベルには、アブラナの買ってきたジュースではなく『イエローチューリップの試薬品』と書かれていた

 

 

 

「ふぅ・・・・・・シャワーで汗流そ」

 

アブラナは割り振られた自らの部屋に戻ると服を脱いでシャワールームへと入り、蛇口を捻ってお湯を出す

 

「あれ・・・・・・目眩が、疲れたから?」

 

シャワーを浴びていると突然目眩がしてふらふらと倒れそうになる

慌ててシャワーヘッドを引っ掛かけ蛇口も閉じようとするも間に合わず床へと倒れこんでしまった

 

 

 

「ん?何が起きたのかしら・・・」

 

再び目が覚めたアブラナが顔を上げて周囲を見渡すも自分がシャワーを浴びてる最中に倒れてしまったという事しか分からなかった

 

「そうか、あたしシャワールームで倒れて・・・・・・あれ?視界が低い?」

 

アブラナは自らの視界が低い事に気がついた、起き上がろうとするも視界は低いままだ

違和感を覚え近くの鏡を見上げると見えるのは人間ではなく、明るい茶色で光の反射によって金色のように見えるふわふわの毛に紫色の瞳、そして四足歩行で尻尾の生えた『猫』だった

 

「どうなってるのよ!」

 

鏡に映るのは前足で器用に顔を抑える猫の姿であり、どう見てもアブラナの姿は見えない

理解したくはないがアブラナは自分が猫になってしまった事を受け入れるしかなかった

 

「アブラナ、戻ってるのか?ちょっと話が有るんだが」

「!?団長!あたしはここよ!」

 

アブラナの部屋をノックして入ってきた団長の声を聞いてアブラナは必死に団長を呼び、シャワールームの扉を開けようと引っ掻いた

 

「ん?猫の鳴き声?シャワールームにいるのか?」

「いいから早く開けなさいよ!」

 

団長がシャワールームの扉を開けるとアブラナはシャワールームから抜け出して身体を震わせる

 

「うおっ!?なんだこの猫?アブラナが飼ってるのか?話を聞いた事ないが?」

「団長!あたしよ、アブラナよ!訳は分からないけどあたし猫になっちゃったの!」

「ミャーミャーどうした?飼い主は?よしよし、お前よく見るとアブラナそっくりだな~♪あいつも猫みたいな所あるからな~よ~しよし、気持ちいいかぁ♪」

「ちょっとやめ!あぁそこ撫でないでよ、声出ちゃう///」

 

団長はしゃがみこんで猫になったアブラナの頭を撫でたり喉を撫でてゴロゴロと鳴かせ可愛がる

 

「もう///やめなさい!」

「うおっ!ゴメンゴメンやり過ぎたわ、しかし可愛いなぁお前・・・・・・名前なんて言うんだろうな、とりあえずアブラニャって呼ぶか」

「なにバカ言ってるのよ///喜ぶわけないでしょ///」

「そっぽ向きながら尻尾はピンと立てて喜ぶなんて本当に飼い主そっくりだな」

 

団長は床に座り込み胡座をかいて、アブラニャを持ち上げて足の間に乗せてゆっくり身体を撫でていく

 

「お前の飼い主は凄いよな、いつも上を目指して努力し続けて訓練を欠かさず、それでいて他の花騎士の世話したり私の仕事手伝ったり・・・・・・本当に尊敬するし、そんな女性と交際出来てる事に感謝してるよ」

「・・・・・・恥ずかしい事言わないでよ///団長だって皆の為に色々頑張ってるじゃない」

「そうかそうか、お前もご主人の事凄いと思うか~」

「完全に意志疎通出来てないわね・・・・・・なら普段言いたい事言いたい放題じゃない!」

 

アブラニャはチャンスと言わんばかりに団長の膝から飛び降りると、団長と向かい合うように座り目をつむって鳴き始める

 

「団長のバカ!仕事中に秋桜すんな!他の花騎士に鼻の下伸ばすな!」

「ん?アブラニャお前少しずつ大きくなってきてないか?」

 

アブラニャが団長の悪口を言っていると徐々に身体が大きくなっていき、逆に体毛は短くなり始めていたがアブラニャは気がつかない

 

「他の花騎士の話ばっかすんな!もっとあたしを見なさいよ!」

「え?アブラナの声がアブラニャから?」

「団長が、皆を心配するのは分かるけど他の花騎士と話したり関わったんならそれ以上の時間あたしに関わってよ!」

「アブラニャもしかしてお前アブラナ本人か?」

 

徐々に人間サイズに成長して輪郭も猫から人間に変わっていくのを見て団長は目の前の猫がアブラナ本人だったと気がつくがアブラナ本人はまだ自分の変化に気がつかない

 

「あたしを見てよ!あたしの事で秋桜してよ!あたしと話してよ!あんたがあたし以外の女と居るのを見てると怖いのよ!団長の気持ちが変わるんじゃないかって!」

 

団長の目の前に居るのは猫ではなく一人の不安に悩む少女だった

 

「初めて会った頃から今も素直じゃない可愛くない娘だとわかってるけど!でも団長の事本当に、本気で好きなの!愛してるの!他の誰にも負けたくない!勝負も恋も貴方の側で貴方の一番で居続けたい・・・あれ?団長の顔が近い?・・・・・・・・・・・・!!?」

 

心の内を全て吐き出し、目を開いたアブラナが一瞬ポカンとしたあと状況を理解し、慌てシーツを掴み自らの裸体を隠す

 

「だ、団長!いつあたし元に戻ったね!?」

「居続けたいって辺りかな・・・・・・それ以外はニャーニャーとしか聞こえなかった」

 

団長は素直になるのが苦手な恋人を想い、嘘をついた

アブラナはシーツを身につけたまま団長にすり寄り、団長の胸に顔を擦り付ける

 

「あ、あの~アブラナさん?何を?」

「今はまだアブラニャだから・・・・・・だからマーキングしてるの、他の娘に団長盗られないように」

 

アブラニャはシーツを脱いで全身を団長にくっ付けるように抱きつき、キスをねだり始める

そのまま二人はキスを続けながらベッドへと移動していく

 

「今アブラニャは発情期だから・・・・・だからあとは分かるわよね///」

「もちろん、愛してるよアブラナ」

「あたしも愛してるわ団長」

 

その日の夜巡回中の花騎士がアブラナの部屋から発情期の猫の声が聞こえたという噂が流れる事となった

 

 

 

その日の翌朝、イエローチューリップが執務室の前で正座させられている以外はいつも通りの日常が流れてく

しかし夜になると毎日のように発情期の猫が盛っているのか日によって違う場所から猫の声が聞こえたという報告が後を絶たなかった

 

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