お金持ちなディモルフォセカの家ならメイド位居てもおかしくないよねという話から産まれた秋桜です
私は曇った日の朝が嫌いだ
薄暗い部屋で目が覚めると隣に居たはずの人の温もりを僅かに残して隙間の空いたシーツ、その隙間から入り込む冷たい空気
そしてその相手が二度と戻って来なかったという悲しみを思い出させる
私はそんな過去を思い出させる曇った日の朝が嫌いだ、そう思いながらベッドから起きて外に出る
外に備え付けられた共同の水道へと向かい、寝ぼけた顔に冷たい水を浴びせて目を覚まさせる
タオルで顔を拭きながら部屋に戻り、厚手の仕事着に着替える
そして幼い頃から使っている黄色いチューリップの描かれたリップクリームを唇に塗り支度を終えると朝の仕事を行う為に隣に建つ巨大なお屋敷へと歩いていく
お屋敷の中は既に起きていた先輩メイド達がランプに火を灯し、明るく照らされていた
ランプの照らす灯りを頼りに二階へ続く階段を登り、目的の部屋へと向かう
部屋の前に立ち、扉を二度ノックしてみるが返事はない
仕方なく部屋に入り込んでみると目的の相手はまだ寝息をたてていた
私は彼女を起こさぬように水差しの水を交換してからカーテンを開ける
曇り空とはいえ、僅かに刺しこむ光を浴びて、彼女は目覚めた
「おはようございます、ディモルフォセカお嬢様」
「うーん・・・・・・ふぁ・・・・・・おはようリップ、はぁ・・・・・・朝からどんよりした気分だよ~」
「今日も天気が悪いですからね、さぁ水を飲んでから朝食にしましょう」
私はディモルフォセカお嬢様に入れ換えたばかりの水をコップに注ぎ、手渡す
彼女はコップを受けとる為に手を差し伸べてくる
細く綺麗な指が私の手に触れた瞬間照れ臭さを感じてしまう、まだ慣れない時間である
「ありがとねリップ~、本当は一人でやらなきゃなのにお姉さんダメダメだから・・・・・・」
「お嬢様のお世話をするのが私の仕事ですからお気になさらずに」
天気によって気分が左右されてしまう体質のディモルフォセカお嬢様は晴れた日は調子がいいが、曇った日や雨、雪の日は調子が悪く自分自身を卑下してしまう
そんな彼女を支えるのが私の仕事であり、彼女に救われている私の恩返しだと思っている
水を飲み終わったお嬢様からコップを受けとると、もぞもぞとベッドから抜け出しフラフラと立ち上がるがバランスを崩して倒れそうになる
「!?お嬢様!」
私は慌てて支えようとするがお嬢様より頭一つ小さな私には支えきれず一緒に倒れてしまう
「お嬢様、お怪我は?」
「んん~大丈夫だよ~ごめんねリップ・・・・・・」
「そ、それならば良かったです・・・・・・その、動いて頂けますか?///」
お嬢様にのし掛かられてる為かお嬢様の優しい香りや暖かな温もり、豊満な胸の感触が私の心を乱す
お嬢様がゆっくりと身体を起こすと柔らかな感触が離れていく事にほんの少し寂しさを覚えつつ服を正す
「じゃあ朝食にしよっか~」
「はい、お嬢様・・・・・・では失礼します」
「ん~♪リップの手は太陽みたいにポカポカだね~♪」
「ただ体温が高いだけですよ」
私はフラフラなディモルフォセカお嬢様の手を引き食堂へと向かう
お嬢様の柔らかな手を掴む私の手が温かい理由、それは私はお嬢様に恩義を感じている・・・・・・それ以上にお嬢様をお慕いしているからである
「御馳走様、あっ騎士団に出勤する時間近いね」
「では食器を下げるのを他の者に任せて、着替えにしましょう」
食事中に天気が晴れてきた為かお嬢様が元気を取り戻してきた
天気に左右されて明くるくなったり沈んだりと目まぐるしく変化するお嬢様を年上でありながら可愛らしい方だといつも思う
お嬢様の自室に戻り、いつもの服と下着を用意し待っていると調子が良いからかパジャマを自分で脱いでいく
(お嬢様の胸大きいなぁ、それに綺麗なボディライン・・・・・・それに比べて私の胸は小さいしお腹も・・・・・・)
「リップ~?そんなに見られるとお姉さんちょっと恥ずかしいかなぁ///」
「!!?も、申し訳ございません///」
パジャマの下から溢れ出る巨乳や美しいボディラインに魅入っていた
控えめな自分の胸と比べる事が失礼だと思える程の圧倒的サイズ差、異性だけでなく同性からも羨望の視線を向けられる形の良さとサイズである
花騎士としての仕事や様々な習い事で鍛えられ引き締まった腰や肉付きのよい太ももは立っているだけで絵になる美しさである
そんなディモルフォセカお嬢様の美しさに惚けていた事を指摘され慌てて下着と服を差し出す
「あははは・・・・・・ねぇリップから見てお姉さんって魅力的かな?」
「はい///魅入る程に魅力的です///」
「そっか~♪嬉しいなぁ♪って!行かなきゃ!じゃあねリップ!あとお願い!」
「お任せ下さい、いってらっしゃいませディモルフォセカお嬢様」
私は慌てて階段を降りるディモルフォセカお嬢様を見送り、パジャマを洗濯し部屋の掃除を行う
いつもの日常のはずなのに今朝の天気のせいか、仕事中に昔の事を思い出してしまうのだった
私がまだ八歳の頃、母は居なくなった
前の日の夜、母と一緒に寝て翌朝になると母は既に起きて居なくなっていた
その後母は帰って来なくなり、一緒に住んでいた祖母は
「あの娘は、貴女のお母さんは出ていったよ」
普段は優しい祖母が冷たい口調で現実を伝えてきた
私には分からなかった・・・・・・いや分かろうとしなかった、大好きな母が私を置いて出ていくだなんて
母の仕事の事は祖母からしか聞いていないが水商売をしていた事、客の一人との間に出来た子供が私であること、そして客の男と蒸発した事
それくらいしか聞いていない
その後祖母は普段は優しい祖母、しかしメガネを掛けた瞬間からは厳しい教育者となり私に作法や紅茶の入れ方、家事等を厳しく教え始めた
最初は怖かったが祖母は私が一人になっても仕事が出来るようにと気を使っている事に気がついてからは祖母の教育に付いていった
「リップ、今日はお屋敷に行きます」
「はい、おばあちゃん」
祖母が突然、働いているお屋敷に行くと言い始めた
母が居なくなり仕事を休んで付きっきりで私の世話をしていた為であろう、仕事先に孫を連れていき仕事風景を見せようというのだろうか?
支度を済ませた祖母にと共に自宅を後にした
お屋敷が見えてきた時にまず思ったのはなんて大きな建物なんだという感想だった
自分達の住む家の数倍もある屋敷にそれを囲む敷地、こんなに大きな建物に人が住んでるとは思えなかった
「ただいま戻りました」
「!?ばあや!お帰りなさい!」
広い敷地を歩き、玄関の扉を開けて祖母が挨拶すると一人の少女が祖母に気がついて駆け寄ってくる
私より五、六歳年上の少女は黄色をメインとしたドレスを着て、将来もっと成長しそうな年齢の割には豊かな胸を揺らして祖母に駆け寄り手をブンブンと振るように握手を交わし喜ぶ
近い年代の少女に会うのは初めてな私は祖母の後ろに隠れて少女の様子を伺う
「お久しぶりですディモルフォセカお嬢様、お元気そうでなによりです」
「ばあやが居なくて大変だったよ~、ところでその娘は?」
ディモルフォセカと呼ばれた少女が私の方を覗き込むように見てくる
祖母の服にしがみつくが祖母の手で背中を押されて挨拶するよう促される
「・・・・・・初めまして、リップです」
「初めましてディモルフォセカだよ♪ばあやのお孫さんだね、話は聞いてたけどかわいいね~」
「ディモルフォセカお嬢様、しばらくの間この娘と遊んで貰えませんか?母親を失くした寂しさを紛らわせて貰いたのですが。実に勝手なお願いですがよろしくお願いいたします」
そう言うと祖母は目の前の少女に頭を下げる、私も釣られて頭を下げると目の前の少女は太陽のような温かく優しい笑顔を浮かべ、私の手を取る
「分かったわ、リップちゃんの事は任せて頂戴!リップちゃん、今日から私がリップちゃんのお姉さんになるね♪気軽にフォ姉ちゃんって読んで!」
「・・・・・・よろしくおねがいしますディモルフォセカお姉さん」
私は照れ臭さを感じながら彼女の手を握り返し、引っ張られていった
それから三年間、月に二、三回晴れた日にお屋敷に行きディモルフォセカお嬢様と一緒に遊んだ
沢山の本を読んだり、ボードゲームやおままごと等様々な遊びを二人でした
後から聞いた話だが周りのメイド達からは仲の良い姉妹のように微笑ましく思われていたらしい
私もディモルフォセカお嬢様を実の姉のように慕い、懐いていた為母が消えた寂しさや悲しみを彼女に癒して貰った
ディモルフォセカお嬢様と出会って二年目の冬、大事な話があると言われたのはディモルフォセカお嬢様の部屋でボードゲームをしているときだった
「リップ、お姉ちゃんね、花騎士になろうと思うの!来月の試験を受けて通ったら、今度の春から三年間花騎士学校の寮で過ごさなきゃいけないんだ」
「フォ姉ちゃん帰ってこないの?」
「時間が有れば帰ってこれるかもだけど分かんないかな」
大好きな姉と会えない可能性があると言われて私の顔は曇る
するとディモルフォセカお嬢様は私に太陽の描かれたロケットを差し出してくる
「お姉ちゃんが居ない間寂しくないようにこのロケットあげるね、お姉ちゃんはリップの笑顔で元気になれるから離れてても笑顔でいて欲しいな」
「フォ姉ちゃん・・・・・・うん!笑顔で待ってるね!試験頑張ってね!」
寂しい気持ちを押し殺し、満面の笑顔でディモルフォセカお嬢様を送り出す
それが当時の私が出来る精一杯の事だった
その後無事に試験を通り、花騎士学校に通うディモルフォセカお嬢様に少しでも近づきたいと思った私は祖母から進んでメイドの仕事を学ぼうと決意し、本格的に仕事を覚え始めたのだった
掃除や洗濯を終えて外を見ると空がオレンジ色に染まって来ていた
夕方、日が暮れ始める頃に屋敷の扉が開く
「ただいま~」
「お帰りなさいませディモルフォセカお嬢様」
「ただいまリップ~、お姉さん疲れちゃったからリップ成分補充のぎゅ~♪」
「で、ディモルフォセカお嬢様!こ、困ります!」
花騎士学校入学から半年過ぎた頃に一時休暇としてお屋敷に戻ってきたディモルフォセカお嬢様にお会いした時も、今のように抱き締められ成長してきていた豊満な胸に顔が埋まってしまっていた
包み込まれる暖かさと柔らかさ、優しい香りに顔が赤くなり、胸の鼓動が収まらなくなる
「お、お嬢様!他の者が見ていますので離れて下さい!」
「え~もっとお姉さんに癒しを~なんてね♪」
「ぷはぁっ!悪ふざけはホドホドにしてくださいね、日が沈む前に夕食にしましょう」
私はディモルフォセカお嬢様から離れるとお嬢様を食堂へと連れていく
日が沈む前に夕食を食べて頂かなければならないからである
ディモルフォセカお嬢様のもう一つの体質、日が沈むと眠ってしまうため夕食の時間も慌ただしいのである
夕食後、うつらうつらぽわぽわと夢の世界へと旅立ちそうなお嬢様の手を引いて階段を登り、自室へと導き、ベッドへと腰掛けさせる
「リップ~、お姉さんはもうおねむの時間なのです」
「はいはい、とりあえず服を脱がしますね、手をあげてください」
「ばんざーいでやんす~」
「はい、ブラを外しますね・・・・・・ガウン羽織ったら寝て大丈夫ですよ」
「ばたんきゅ~」
今にもベッドに倒れ込みそうなお嬢様を支えながら服を脱がせていく
ディモルフォセカお嬢様の豊満な胸を支えてきた純白のレースで飾られたブラを外して胸をはだけさせる
ポヨンと音がしそうな勢いで零れ落ちる胸に視線を引き付けられぬよう自制しながらガウンを羽織らせてベッドに寝かせる
横になった途端、寝息を立て始めるディモルフォセカお嬢様の寝顔を眺める
(ディモルフォセカお嬢様・・・・・・私の憧れのお姉さんで仕える相手で恩人で・・・・・・初恋の人)
ディモルフォセカお嬢様が花騎士になり数年後、祖母が流行り病で入院するときに入院費用を立て替えてくれたのはお嬢様だった
「ばあやが倒れたって聞いて心配したよ!お金?心配しないで、お姉さんはお金持ちなのです!それにばあややリップはうちの家族みたいなものだもの・・・・・・ねぇリップ?ばあやの変わりに家で働かない?」
ディモルフォセカお嬢様の一言で祖母が倒れこの先の生活をどうするかという不安が拭われた
そしてディモルフォセカお嬢様お付きのメイドとして働くうちに私の心は変化していった
(ディモルフォセカお嬢様、私は貴女に救われました・・・・・・貴女は昔、私を太陽みたいだと言いましたが貴女の方が私の太陽です)
私は眠るお嬢様に近づき、膝をついて顔を近づけ柔らかな頬に口づけして囁く
「今日もお疲れさまでした、おやすみなさいフォ姉ちゃん」
起こさないようそっと部屋を出るときにふと声がしたような気がして振り返るが聞こえるのはお嬢様の寝息だけだった
気のせいなのだろう、私はそう思い部屋を後にする
まさか寝ているディモルフォセカお嬢様が呟くはずがない、リップの意気地無しだなんて
休日の話や過去の話やら書くかも知れませんがとりあえず今はここまで
年上女主人と年下メイドの話流行れ~流行れ~