花騎士秋桜劇場   作:インティライミ

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某スレのカルダミネさんって許嫁とかいそうといつ書き込みから産まれた秋桜を形にしてみました
開花でどうなるか楽しみな娘の一人


花騎士秋桜劇場:カルダミネ・リラタの結婚式

とある昼下がりの執務室

部屋の中には制服を着た団長と青い長髪を花飾りで結びツインテールにした美女カルダミネ・リラタが書類を整理していた

黙々と作業をしていた二人であったが唐突にカルダミネ・リラタが口を開く

 

「団長、少しお話が」

「なんだ?」

 

手を止め、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるカルダミネ・リラタを見つめる団長

 

「その⋯⋯実は⋯⋯今度結婚する事になりました。式は一ヶ月後で、相手は昔から決められていた許嫁です」

「⋯⋯そうか」

「眠り姫さま、いえネムノキ様が目覚めた現在、王立聖護湖機関ネライダが存続する理由は薄くなりつつ在りますがネライダ局長としての責務として次の世代を残す事を言い渡されました⋯⋯」

「⋯⋯そうか」

 

ポツリポツリと結婚する経緯を語るカルダミネ・リラタであったが口から出る言葉に幸福な感情は一切感じられない

 

「許嫁と言っても一度も会ったことの無い他人です、ですがネライダ局長として断る事は出来ません⋯⋯何かしらの理由さえなければ」

「⋯⋯なぁリラタ、お前本当にその結婚望んで⋯⋯るわけないよな」

「当たり前です、結婚するなら半ズボンの似合う少年が一番です⋯⋯⋯⋯⋯⋯それと百歩譲ってですが貴方がいいです」

 

ボソッと小声で何かを呟くカルダミネ・リラタ、その声が団長の耳に届いたのかは誰にも分からなかった

 

 

 

 

 

その後も特に何も起こらず、時間は流れていき、一ヶ月が経過した

ロータスレイク水上都市の一角にある教会で結婚式が行われようとしていた

 

「美しい姿です、我が主」

「ありがとうございます、クローブさん」

 

教会の控え室で王立聖護湖機関ネライダの部下である水色の髪を束ねた美女クローブにより化粧を施され、純白のドレスを着て座るカルダミネ・リラタが居た

 

「⋯⋯我が主、団長さんにも声を掛けたのですが⋯⋯申し訳ありません」

「気にしないでくださいクローブさん、どうせあのジジイは来ないと思ってましたよ⋯⋯⋯⋯⋯⋯私もこんな姿を見られたくなかったので良かったですが」

「我が主?」

「いえ、なんでもありません」

 

美しい姿ではあるが表情は沈んだままのカルダミネ・リラタを見つめ、苦し気な表情を浮かべるクローブ

クローブを含めネライダ組全員が今回の結婚式に異を唱えたいと思ってはいるが聞き入れられない事も理解していた

何も出来ない無力さに胸が締め付けられるクローブに対して寂しげに微笑むカルダミネ・リラタ

 

「大丈夫ですよクローブさん、この婚約は昔から決まっていて覚悟も決めていました。気に病む必要はありません」

「しかし!」

「カルダミネ・リラタ様、式の準備が整いました」

「分かりました。ではクローブさん、席に戻ってください⋯⋯化粧ありがとうございました」

 

覚悟を決めているカルダミネ・リラタに対して納得のいっていないクローブは食い下がろうとするも控え室に入ってきた結婚式を運営するスタッフに促され退室していくカルダミネ・リラタ

クローブは泣きそうな表情でカルダミネ・リラタの背中を見つめ続けるのであった

 

 

 

 

「ではお集まりの皆様、本日はお忙しい中新郎モブノフ様、新婦カルダミネ・リラタ様の結婚式にお集まり頂き、ありがとうございます!これより式典を始めさせて頂きます」

 

スタッフの挨拶が済むと新郎モブノフが現れる

年は五十近く、白髪混じりの薄い髪と丸々と太った肉体、ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべる男は新婦の登場を今か今かと待ちわびていた

 

「それでは新婦の入場です」

 

パイプオルガンの奏と共に式場へと入り、新郎の待つ場所までゆっくりと歩く新婦カルダミネ・リラタ

その美しさは座席で見守るネライダ組や他の参加者達をも魅了し、目が離せなくなっていた

 

「初めまして、王立聖護湖機関ネライダ局長カルダミネ・リラタです」

「デュフフフ♪儂はモブノフだ、まさか噂で聞いていたカルダミネ・リラタがここまでの美女とはな」

「⋯⋯っ!」

 

モブノフの舐め回すようないわらしい視線に不快感を感じるカルダミネ・リラタだったが必死に耐える

 

「では式を始める前に確認をさせていただきます⋯⋯この式に反対の者は挙手を」

 

式を始める前に神父が最終確認を行う、クローブや同じく王立聖護湖機関ネライダに所属するスパラキシスが手を挙げたい衝動に駆られているが必死に耐えていた

 

「⋯⋯居ないようですね、では⋯⋯」

「いや、居るぜ!ここに一人な!」

「!!?」

 

突然教会の扉が開き、結婚式に異を唱える声が挙がる

 

「闇より出でし悪の華!我の名は怪盗ナイトシェード!!お宝、新婦カルダミネ・リラタを頂きに参上した!」

「ちょっ!ムナール!それあたしのセリフ!」

 

入り口に現れたの白いタキシードに白のシルクハット、そして目を白いマスクで隠し、薔薇の花束を持った男と黒いシルクハットに白と黒の衣裳と黒いマスク、そしてはち切れんばかりの豊かな胸を持つ怪盗達が現れた

 

「な、なんだ貴様は!」

「見ての通り怪盗さ」

 

困惑し叫ぶモブノフに対して、答える白いナイトシェードは手に隠し持っていたカードを投げつける

カーペットに刺さったカードには予告状と書かれている

 

『予告状

今宵、純白のドレスに身を包んだ新婦を頂きに参上します

怪盗ナイトシェードより』

 

「我が怪盗妙技の数々!とくと見よ!」

「だからムナール!!さっきからあたしのセリフ盗らないでよ!あぁもう!出でよ我がスクワイア達よ!」

「任せるですぱ!」

「それそれ」

「煙玉の大盤振る舞いッス!!」

 

黒いナイトシェードの呼び掛けに答えるように燕尾服の少女、狐を模したパーカーの少女、ギザ歯の少女が現れ、会場に煙玉をばら蒔いていく

 

「くっ!おい警備!奴等を捕まえろ!」

「ハッ!!」

 

モブノフの指示に慌てて狼藉者達を捕まえようと動き出すモブノフの私兵達

しかし煙が晴れる頃には既にナイトシェード達は立ち去り、新婦カルダミネ・リラタも姿を消していた

 

 

 

 

 

「ハーッハッハー♪ざまぁ見やがれってんだ!大事な新婦を奪われるなんていい気味だぜ!」

「あの⋯⋯そろそろそのふざけた格好を止めて、私を降ろしてもらませんか?さすがに恥ずかしいのですが」

 

ナイトシェードと名乗り、カルダミネ・リラタを拐った白いタキシードの男、いや団長は今カルダミネ・リラタをお姫様だっこしながら街中を駆けていた

人々は仲の良い新郎・新婦がイチャイチャしてるだけかと思いつつも二人を見つめていた

 

「わかったよ」

 

ある程度式場から離れた公園に着くと団長はカルダミネ・リラタを地面へと降ろした

 

「はぁ⋯⋯色々言いたいことは有りますが⋯⋯バカですか貴方は?いや元からバカでしたね」

「なんだとテメェ!人が折角あの無茶苦茶な結婚式から助け出してやったのに!」

「だからバカって言ってるんですよ!何が助けたですか!結婚式ぶち壊して向こうの心証最悪にしただけですよ!」

「望まない結婚しようとするのを阻止して何が悪いんだよ!」

「決まりだって言いましたよね!断る理由も無しにぶち壊されたこちら側の事も考えてください!」

「うるせぇ!テメェの家の事情なんか知るか!お前が心底嫌そうだから俺は今回の事をした!それだけだ!」

「だから貴方はバカなんですよ!」

「またバカ言いやがったな!」

 

取っ組み合いの喧嘩になりそうな雰囲気で言い合う二人

互いに肩で息をするほど言い合うと落ち着く為に息を吐く二人

 

「まったく⋯⋯今日は人生最悪の日ですね」

 

そう言いながらもカルダミネ・リラタの表情は明るく笑みを浮かべていた

 

「そうかよ⋯⋯なら最悪の日らしく最悪の言葉を添えてやるよ⋯⋯あんな男の所に嫁がないでうちに来いよカルダミネ・リラタ」

「絶対にお断りですよ、団長」

 

真剣な表情で逃げる過程でぐちゃぐちゃになった真っ赤な薔薇の花束を差し出しプロポーズする団長に対して満面の笑みを浮かべながら薔薇の花束を受け取り断るカルダミネ・リラタ

 

「⋯⋯そこははいとか分かりました言う流れだろこのショタコンが!」

「うるさいですねジジイ!せめて半ズボンの似合う年齢に若返ってからにしてください!」

「「ぐぬぬぬ⋯⋯!」」

 

 

ついに取っ組み合いを始める二人、互いに手を組み合い、押し合うが徐々に顔が近付いていき、唇が重なりあう

 

「「⋯⋯///」」

 

一分ほど唇を重ね合わせた後、頬を染めて互いに顔を背ける

 

「な、なんだよ⋯⋯///ジジイは嫌じゃなかったのかよ///」

「か、勘違いしないでください///妥協しただけですよ、貴方は年齢以外容姿も性格も好ましいですし、何より私の趣味にドン引きしないで付いて来てくれますし///ち、ちょっと御手洗いに行ってきます!着いて来ないでくださいね!」

「行かねぇよ!」

 

 

 

 

 

トイレへと逃げ込むように向かうカルダミネ・リラタ

トイレに入るとじっと鏡を見つめる

そこには顔を真っ赤に染めつつも幸福感に満ち溢れにやけた笑みが抑えられない自分の顔が写っていた

 

「あぁもう⋯⋯///あんなジジイにプロポーズされ、キスまでされてこんなに嬉しくて幸せだなんて絶対に認められませんね!」

 

そう言いつつも無意識のうちに先ほどまで団長の唇に触れていた自らの唇を指で触れていた

 

「まったく⋯⋯今日は人生最悪の日ですね⋯⋯♪」

 

その声は幸せに満ち溢れ、人生最高の日を楽しんでいる弾んだ声であった

 

「お待たせしました」

「おう⋯⋯じゃあ式場に戻るか」

「え?」

「いや⋯⋯その⋯⋯式場に戻ってな⋯⋯なんだ⋯⋯やり直さないか?結婚式を」

「私と貴方とですか?」

「そう⋯⋯どうだ?」

「そうですか⋯⋯分かりました」

 

団長の提案に素直に従うカルダミネ・リラタ、団長の隣に立つと団長の腕に自らの腕を絡める

驚く団長を見上げて、微笑む

 

「今の貴方は私の新郎なのですから式場までエスコートしてくださいね?よろしくお願いしますジジイ♪」

「おう、任せろショタコン!」

 

腕を組み合った二人の新郎新婦は皆の待つ式場へと仲良く歩んで行くのであった

 

 

 




憲兵隊牢屋にて
ワルナスビ「ムナール達、上手く行ったかな?」
ラークスパー「多分大丈夫ですぱ!なんやかんやムナールは上手くやる人ですぱ!」
ワルナスビ「だと良いけど⋯⋯あたし達の事忘れてないかな?」
キツネノボタン&アニソドンテア「⋯⋯zzz」
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