部活を終えた放課後に解放感を感じながらいつものように瑞帆と先輩と帰るために二人が着替え終わるのを待っていると、突然また声が聞こえてくる。
(おい……なんか変な気配がするぞ……)
「どういうことだよ……」
(結界が張られている気配がする……)
「は? 学校にはそんな気配はないと思うが……」
(学校じゃねぇ……外だ……場所は特定できねぇがここらへんのどこかに張られている気配がする)
「悪魔か?」
(いや……そこまではわからないが可能性は高い……この学校には悪魔の気配がしていたからな……)
「アザゼルの情報だとグレモリーとシトリー通っているが……もしかしたら昨日ヴァーリが言っていた堕天使の可能性もあるな」
(俺からしたら誰でもいいが……さっさと場へ行ったほうがいいんじゃねぇか? 一応この地域の監視役なんだろう?)
「監視役になったつもりはないが……情報集めのために行ったほうがいいだろうな……場所はどこらへんだ?」
(近づかんとわからんが方向はあっちの山のほうだな)
普段学校でこいつは出てこないが、顔を出して山に向かって指差しをした。
それを確認した俺は、急いでその場を駆け出す。
飛べれば一番早いのだが、こんな夕暮れ時に飛んでしまえば誰かに見られる可能性が高い。
飛べないもどかしさを抱えつつ走り、さっきまで待っていた二人に詫びのメッセージを送る。
「絶対明日あいつに文句言われるだろうな……」
明日のことを考え少し憂鬱な気分になったが、できる限り受け流そうと心に決め、肩にいるナビに従いつつスピードを上げた。
下校中の生徒が多い中、裏道などの最短ルートを通ってナビ通りに進むと、この町では結構大きめの公園についた。
結界の中の状況を知るために何も気にせず公園に入ろうとすると懐から声がかかる。
(不用意に入ったら結界を張ったやつに気づかれるぞ……)
「あぁ、そうだったな……今回は偵察だった」
いつも通り、殲滅する気持ちで結界に入っていたら偵察をすることができなくなり、ヴァーリ達に何を言われるかわからない。
どうしようかと、考えていると急に結界がなくなりその中から黒い翼を広げて飛んでいく人影が見えた。
「あれは、どう見ても堕天使だな……」
(……見なくても気配でわかるだろうが……顔に見覚えはあるのか?)
「いや、みたことがないな」
(……目で見た成果もなしか……)
「顔を見たことがないってことは、おそらく下級の堕天使だろうな」
(……てすると、特に問題はなさそうだが――ん、結界のあった場所にまだ、気配が残ってるな)
そういわれて結界のあった公園を見渡してみると、公園の中心あたりに真っ赤な血だまりの上に倒れている学園の制服を着た生徒とそれを見下ろしている同じ制服を着た真っ赤な長い髪をした生徒がいた。
(……あの倒れている奴は……お前がいつも見張っていたやつだろ?)
こいつに言われて顔を確認してみると、いつも屋上から見ていた犯罪者予備軍の兵藤一誠だった。
こいつに見えるように首を一回縦に振ってから、様子をうかがうために気配を殺しつつ可能な限り近づいてみる。
だけど、公園の中心には隠れることができる場所がなく、二人の動作を見ることはできても、声まで聴くことができなかった。
仕方なく二人を見守っていると、二人の足元に魔法陣が現れたと思ったら、目の前から急にいなくなった。
(……あいつら、転移したようだな……)
「そうみたいだな……」
(……さっさと帰るぞ……ここにいて他の誰かに見つかると面倒だろ)
「あぁ……」
兵藤の血が残っているし、さっきの奴かその仲間がすぐにでも証拠を消しに来るだろう。
その前にこの場を離れたほうがよさそうだ。
だから、俺は気配を消したまま公園をでて、少し早足で帰路についた。